外国人観光客の受入に関する 課題と改善策について

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外国人観光客の受入に関する 課題と改善策について 琉球大学 観光産業化学部 観光科学科 3年次 高江洲 景子

課題 外国人観光客を受け入れるにあたっての主な課題を、県と協同すれば比較的短期間で改善できるであろうものから3つ挙げたい。 外国語表示メニューの不足や外国語対応が可能な人材の不足 Wi-Fiの設備不足 外国人に対する交通機関の利便性の悪さ

注文するのは大変だった。(香港/20代男性) 1.外国語対応 Reference: 平成24年度 外国人観光客満足度調査報告書 バーによっては外国人を受け入れない ところがある。(台湾/20代男性) 一部店舗に英語のメニューが無く 注文するのは大変だった。(香港/20代男性) レンタカー店ぐらいは英語が 通じないと不便。(韓国/20代男性) 出典:平成24年度 外国人観光客満足度調査 ホテルのスタッフも英語対応が できなかった。(香港/30代女性) 韓国語表記が備わっていない。韓国語 対応の人力不足。(韓国/30代男性) 英語が出来るスタッフがいない。 (シンガポール/40代男性)

改善策 県内のホテル・レストランに限り、メニューの英語表記を義務付ける。(地域の食堂まで義務付けると当地らしさが感じられず、逆に海外旅行の醍醐味が失われ魅力低下に繋がる) 義務教育課程に英語のみならず第二外国語として中国語・韓国語・ロシア語などを選択必修にする。(文法などだけでなく会話力を磨く) 県内学生に対し留学等の推奨、それに付随する諸補助の充実。(外から見つめる沖縄、魅力の再認識のきっかけ) 外国語対応能力向上のため、教育の観点から改善策を挙げた。外国語対応能力に関しては教育の側面から変えていくことが最も効果的だと考える。しかしこの場合の外国語能力はあくまでも「観光客が不自由なく沖縄を楽しむためのコミュニケーション能力」のことであるから、話す相手が沖縄のことを知らないではなんとも味気ない。地域の魅力を再確認する意味でも沖縄の方言や歴史、文化を知る授業も教育課程に組み込んで欲しい。県の政策としてもうちなーぐちを大切にする動きがあるため、これは比較的取り組みやすいと考える。現在働く方に対しては、旅行で使う簡単な英語や中国語に加え沖縄の歴史と文化をお教えするセミナーを開講し、言語能力プラス沖縄の知識を習得していく必要があると思う。OCVBの出前講座等の需要は年々高まっていると思うので、より大々的に宣伝することで効果が得られるのではないだろうか。

2.Wi-Fi設備 Reference: 平成24年度 外国人観光客満足度調査報告書 平成24年度 外国人観光客満足度調査報告書 どこのカフェにもWi-Fiがなく、そういう面が沖縄は弱いと感じる。 東京や大阪の空港では簡単にWi-Fiルーターが借りれるのに、 沖縄の空港ではそれが出来ない。無料のWi-Fiスポットを 見つけることが非常に困難。(香港/40代女性) ホテルや主な観光地にWi-Fiがなくて 不便だった。(香港/30代女性) 出典:平成24年度 外国人観光客満足度調査 ホテルでインターネット、Wi-Fi利用が 出来なかった。(香港/40代女性) (宿泊施設の)部屋にWi-Fiがない。 (台湾/20代男性)

改善策 県の政策として年度別にいくつかWi-Fi設置重点地域を決め、2020年の東京オリンピックまでに県内全域のWi-Fi利用可能を目指す。 海外旅客にとってネット環境は母国の家族、友人と繋がる為の大切なコミュニケーションツールである為。 観光客が沖縄の写真をSNSにアップすれば、宣伝の一部になる為。 情報の質、速さがものをいう世の中になっている為。 海外旅客にとって、インターネットは母国にいる友人や家族と連絡しあう手段であるため、使えないとなると不便であることは間違いない。また、旅行先である沖縄の写真などを携帯のカメラで撮ったとしても、SNS等にアップ出来ないことは旅行者の「ここに行った」というステータスも満たされない上に、沖縄としても宣伝の機会を逃していることになり、非常にもったいない。実際、台湾の人気ブロガーの男性が沖縄の写真をアップしたところ「この人が行くなら素敵な場所に違いない、私もここに行きたい」という需要が高まるなど、いまやSNSの宣伝能力は測り知れない。Wi-Fiを整備することで観光客側にも県側にもプラスに働く要因があるため、一刻も早くいつでもどこでもネットが使える環境を提供していくべきだと考える。

レンタカーを利用できない旅行者からすると、 3.公共交通機関 Reference: 平成24年度 外国人観光客満足度調査報告書 レンタカーを利用できない旅行者からすると、 交通面がとても不便。(中国/20代女性) 公共バスが高すぎて不便。 (アメリカ/20代女性) 出典:平成24年度 外国人観光客満足度調査 ゆいレールの運行範囲が狭い。 (中国/20代男性) 空港間(国内線⇔国際線)の 移動が不便。(台湾/40代男性) バスの系統が分かりにくく、 不便。(台湾/30代女性)

改善策 バスのアナウンスや車内案内板の言語表記に最低限英語を取り入れる。 バスをはじめとする公共交通機関の乗り継ぎの仕方や料金などを分かりやすくまとめたものを空港で配布する。 1日乗車券やフリーパスなどを充実させる。 バスの車内アナウンスに日本語しかないのは外国人観光客にとっては不便である。また、観光客が目的地まで簡単にたどり着ける仕組みとして1日乗車券やフリーパスの種類を増やし、内容を充実させる必要があると考える。最近出来たOKICAは継続型の形式なので一時の旅行に関して言えば適していない。平成24年度外国人観光客満足度調査報告書にもちらほら意見があるが、1日~3日、1週間など短期的に使える専用のフリーパスのようなものがあれば利用しやすいと考える。そしてこれは対外国人観光客に限ったことではないが、沖縄の路線バスはそれぞれ運行経路を整理し直すことが必要だと考える。路線図を見てもどこに何が通っているのか分かりにくく、予定時刻通りに来ないバスには乗ろうと思わないし観光客の間でも不満の声が広がっている。“うちなータイム”が沖縄独特の観光資源になっている反面、不満も確実に増えていることを意識し、ある程度の水準まで利便性を高めていかなければならない。

その他諸問題 クレジットカード対応  ⇒クレジットカードに対する考え方の違いで、沖縄ではクレジットカード文化がそれほど根強くないため不便を感じさせてしまうことがある。   ⇒海外対応のATMの設置増加を求める声多数。 宗教対応  ⇒イスラム教に特化したハラール食対応推進  ⇒イスラムのみならず他宗教へも配慮が必要なの  では? 近年、イスラム教徒の観光客のためハラール認証を受けた食材や食器を使いおもてなしするホテルやレストランが増えている。沖縄にも沖縄の文化があるため完全に特化することは出来ないが最大限のおもてなしを約束するという“ムスリムフレンドリー”の考え方は観光業界では意識せざるを得ないほど注目度が高まっている。もちろんこのように宗教という個人の思想・精神に関係することにセンシティブになりリスペクトの心を持って接することは大切だと思うが、その扱いがイスラム教だけに集中していいのだろうか。世界にはたくさんの民族がおり、宗教があり、それぞれに異なる精神世界を持っている。それらを平等に尊重するその姿勢こそが異文化理解・相互理解への一歩であり、受け地として求められる資質なのではないだろうか。

ありがとうございました 外国人を受け入れるにあたっての課題は山積している。私も観光を学ぶ一学生としてこれからも沖縄観光について考え、将来的に地域に貢献できる人材になりたい。その意味で民間と行政の間の立場で沖縄観光を動かすOCVBでのインターンシップは、普段理論を学ぶ私にとってまさに実践的な経験で、自分の枠にとらわれた考え方の甘さを痛感する大変良い機会となった。この経験を生かし、これからもしっかり学んでいこうと気が引き締まった。お世話になりました職員の皆様、ありがとうございました。