高速バス業界の改善にむけて 南山大学 寶多康弘研究会 ~名古屋駅太閤口付近について~ 高速バス 南山大学 寶多康弘研究会 青栁琢也 荒明由 上野真菜 紀平涼美 福田恵里
現状 需給調整規制・・・ はじめに、高速バス業界では平成12年2月に道路運 送法が改正され、貸切ツアーバスについての需給調整 はじめに、高速バス業界では平成12年2月に道路運 送法が改正され、貸切ツアーバスについての需給調整 規制が廃止された。続いて平成14年には高速乗合バ スについての需給調整規制が廃止になった。 需給調整規制・・・ 需要と供給のバランスを考えて運賃・料金または事業者数を定めなくてはならない。 規制内容が不統一のため、両者間に格差 新規参入の容易化 免許制から許可制への移行 運賃・料金設定の規制緩和
増加傾向! 現状 1,貸切ツアーバス事業者の増加 (H)11から約1,8倍に 年度 貸切バス事業者数 (H) 計 民営 公営 11 2,336 2,294 42 12 2,864 2,821 43 13 3,281 3,238 14 3,521 3,478 15 3,581 3,541 40 16 3,743 3,708 35 17 3,923 3,890 33 18 4,110 4,080 30 19 4,159 4,126 20 4,196 4,166 需給調整規制廃止 増加傾向! (H)11から約1,8倍に 『貸切バス事業者推移』 国土交通省 統計情報より
現状 1, 貸切ツアーバス事業者の増加 10年間で約7,000両のバス車両が増加した!! 区分 年度(H) 車両数 (両) 走行キロ 区分 年度(H) 車両数 (両) 走行キロ (百万㎞) 11 37,661 1,614 12 36,815 1,629 13 39,806 1,650 14 41,115 1,668 15 42,718 1,674 16 44,685 1,698 17 45,625 1,729 18 45,668 1,709 19 44,832 1,699 20 44,617 1,697 10年間で約7,000両のバス車両が増加した!! 「貸切バスの車両数、走行キロ」 国土交通省 バス産業勉強会より
改正道路運送法が施行され、高速乗合バスに新基準導入 現状 2, 高速乗合バス事業者の現状 (台数) 年度 高速乗合バス事業者数 (H) 計 11 153 12 154 13 158 14 169 15 165 16 177 17 187 18 200 19 270 20 281 需給調整規制廃止 増加傾向! 改正道路運送法が施行され、高速乗合バスに新基準導入 「高速乗合バス事業者数推移」 国土交通省 統計情報より
乗合バス全体としての車両数は特に目立って変化していない 現状 2,高速乗合バス事業者の現状 区分 年度(H) 車両数 (両) 走行キロ (百万㎞) 11 58,689 2,900 12 58,348 2,897 13 58,273 2,924 14 58,801 2,952 15 58,335 3,009 16 58,119 3,029 17 58,430 2,974 18 58,252 3,002 19 59,313 3,033 20 58,944 3,046 乗合バス全体としての車両数は特に目立って変化していない あまり変化なし 「バスの車両数、走行キロ」 国土交通省 バス産業勉強会より
平成18年度では過去最低の11,989廃止キロであった。 現状 2,高速乗合バスの現状 ⇒高速乗合バスは多数の貸切ツアーバスの新規参入 により収益が落ち、不採算路線にあたる地方路線は 廃線に追い込まれた。 (単位:路線キロ) 平成18年度では過去最低の11,989廃止キロであった。 年度(H) 許可キロ 休止キロ 廃止キロ 11 300,368 15,439 9,559 12 304,023 14,539 9,027 13 314,376 12,248 10,293 14 330,348 11,860 8,320 15 340,898 11,258 8,217 16 352,687 10,899 7,180 17 357,103 12,094 8,087 18 372,654 11,658 11,989 改善の必要性! 「乗合バスの路線の休止・廃止状況」 国土交通省 バス産業勉強会より
現状 3,高速バス市場の拡大 2005年~2010年の間に利用人員は約28倍に!! ツアーバス連絡協議会 統計情報より
貸切ツアーバスの人気は高速乗合バスにも波及し高速バス業界全体で利用人員は増加!! 現状 3, 高速バス市場の拡大 貸切ツアーバスの人気は高速乗合バスにも波及し高速バス業界全体で利用人員は増加!! 国土交通省 統計情報より
今の高速バス業界には、この3大要素が求められているため、全てにおいて改善の必要性!! 現状 今の高速バス業界には、この3大要素が求められているため、全てにおいて改善の必要性!! 3, 高速バス市場の拡大 ⇒高速バス市場の3大要素 柔軟な価格設定 価格の自由設定 柔軟な運行計画 届出が不要 新しいサービス ニーズに応じたシートやサービス
法律の相違 貸切ツアーバス →旅行業法約款 高速乗合バス →道路運送法 それぞれに基づいている →旅行業法約款 高速乗合バス →道路運送法 それぞれに基づいている 両者間では根本の法律が異なるダブルスタンダードが存在!!
法律の相違 項目 高速乗合バス 貸切ツアーバス 運行計画 国土交通省へ届出が必要 届出不要 運行形態 事業計画に基づく通年運行が義務付け 増便・減便・運休の規制がない 運行の休廃止 30日前までに国土交通省に届出が必要 届出の必要なし 新規参入が容易 容易に運休不可
法律の相違 最少催行人数 定められていない 定められている バス停留所 運行計画にバス停位置の明記を義務付け 設置義務なし 運賃・割引・変更 上限運賃の変更は国土交通相へ認可申請・実施運賃は国土交通省地方局に届出が必要 旅行業約款に基づき自由に設定可能 法律が違うため両者間の格差は経済面・環境面・安全面等において浮き彫りになっている!! 乗客が0人でも運行義務付け 最少催行人数以下であれば運休できる 違法路上駐車の原因となっている レベニューマネジメントが可能!
レベニューマネジメントとは? 顧客をセグメント化(分割化)して各セグメントの需要 を把握し、価格の最適化を通して販売の拡大と収益 の最大化を目指すこと。 売れない座席をあらかじめ予測し、料金割引をして需要を喚起 割引期間を限定して導入する「セミ・ダイナミック・プライシング」と、日々の需要に合わせて実施する「フル・ダイナミック・プライシング」がある。 売れる席 売れない席 売れる席の関しては通常販売 例)セミ・ダイナミック・プライシング:航空運賃の早割 フル・ダイナミック・プライシング:ホテルの変動料金
法律の相違による道路環境の悪化 規制緩和による貸切ツアーバスの台頭と貸切ツアー バスと高速乗合バスの法律の相違はバスの乗降場 所及びその周辺の道路環境の悪化をもたらした。 なぜか? 貸切ツアーバスの法律(旅行業約款)は、バス停の設置義務がないため。バス停を設置せずに路上駐車するようになったから。
利用者の利便性や安全性の確保の観点から問題が発生!! 法律の相違による道路環境の悪化 特に、集客力がある大都市(東京・大阪・名古屋)の ターミナル駅周辺の公道上に多数の貸切ツアーバス が集中し、予定していた乗降場所に車両が駐車出来 ないまた、車道上を歩いてバスへ乗降することがある。 利用者の利便性や安全性の確保の観点から問題が発生!!
アンケート調査結果 回答者の構成 半数以上が20代 会社員、学生が ほとんど 有効回答者96名のうち、高速バス利用経験のある人は83人。 調査期間:2011年9月11日~9月24日 調査対象者:名古屋駅太閤通口周辺の通行人107名(うち、無効11名) 回答者の構成 半数以上が20代 会社員、学生が ほとんど *性別:男性55.2%、女性44.8% *年齢:10代3.1%、20代54.6%、30代14.4%、40代14.4%、50代12.4% *職業:学生30.8%、フリーター2.2%、会社員45.1%、主婦11.0%、その他11.0% 有効回答者96名のうち、高速バス利用経験のある人は83人。
アンケート調査結果 ○東京―名古屋間での利用が最も多い。(64.6%) ○旅行目的での利用が最も多く(44.2%) 、次いで仕事目的の利用が多 い(16.9%)。 ○高速バスを今後も利用したいと考える人の割合は約8割。(77.9%) ○高速乗合バスと貸切ツアーバスの違いを認識している人は2割ほどしか いない。 ○どの年齢、職業においても安さを理由にバスを選択する人が最も多い。 (選択理由:安い71.2%、サービス8.2%、利便性1.4%、安全面1.4%、そ の他17.8%) ○その他の利用目的では、イベントやライブでの利用が多かった。 ○20代の学生は旅行での利用が多く、50代の会社員は仕事での利用が ほとんどである。30,40代は偏りなく利用していた。
アンケート調査結果 ・旅行での利用が多いため、学生の休暇中や週末などはバスの乗客、台数共に増加し、駅周辺の混雑が考えられる。 考察 ・東京―名古屋間の利用が最も多いのは、規制緩和によって新規参入が容易になった結果、需要のある東京方面への参入も増えたためであると考えられる。 ・旅行での利用が多いため、学生の休暇中や週末などはバスの乗客、台数共に増加し、駅周辺の混雑が考えられる。
アンケート調査結果 約8割もの人が 高速バスの違いを意識せず利用している!!
名古屋の現状 苦情多発 朝昼のみでよいのか・・・? ・H19 .1まで 名古屋駅太閤口付近の市道椿町線にて システムや規制がなく、事業者自由に乗降場所を設定していた ↓ ・貸切バスが乗車待ちのため不法駐車多発 ・周辺地域やコンビニ等でゴミを捨てていく利用者 苦情多発 ・利便者の利便及び地域に迷惑をかけないため「名古屋駅貸切バス乗車システム運営協議会」にて名古屋駅バス乗車システム運用マニュアルを定める ↓ 6時45分~12時15分までにバス利用したい場合は6営業日までに利用申込書提出、運用負担金(現在1000円)を事前に納付の義務づけ 整備するのは 朝昼のみでよいのか・・・?
名古屋の現状 駐停車 禁止区域 ↓ 名古屋駅太閤口 (西口 新幹線口) Bバスバース(4台) Aバスバース(4台) (西口 新幹線口) 駐停車 禁止区域 Aバスバース(4台) 現在早朝、深夜には8台では足りていない状況 ↓ 混雑時には違法駐車多発中 (左折帯、交差点の中等)
名古屋の現状 追突事故の誘発原因 道路環境の混雑は 中村警察署管内における椿町線上の事故発生状況年別推移 区分 計 横断中 追突 出会頭 左折時 右折時 単独 その他 平成18年 18 1 7 3 6 平成19年 21 2 9 平成20年 20 5 平成21年 24 12 平成22年 30 4 平成23年9月末 道路環境の混雑は 追突事故の誘発原因 愛知県交通規制課 統計資料より作成
問題意識 両者が納得のいく仕組みづくりの必要性! バス駐車スペースを確保! バス利用者の待機所の確保! ・両者の法律の違い ⇒高速乗り合いバスと比べ、貸切ツアーバスの規制の緩さ ・名古屋駅西口の交通渋滞 ⇒バスの違法駐車、バス利用者の集合 両者が納得のいく仕組みづくりの必要性! バス駐車スペースを確保! バス利用者の待機所の確保!
分析手法について 国土交通省や警察からのデータ参考 ヒアリング調査の実施 (ツアーバス会社2社、路線バス会社1社、 約100人へのアンケート実施 ヒアリング調査の実施 (ツアーバス会社2社、路線バス会社1社、 バス協会、センディング会社、警察)
ヒアリング調査①(路線バス会社) 同じ競争なら同じ基準で競争すべき 独自のバスターミナルを持っている 安全性の高さ(休憩時間の確保、精密な点検) 鉄道との連携 市民からの信頼性が高い(歴史が長いため) 路線バス会社の強み ダブルダブルスタンダード(路線:道路交通法 貸切:旅行業法)は不平等 貸切バスも自社で運営できるような場所(ターミナル)を持つべき 行政、貸切ツアーバス会社への要望 同じ競争なら同じ基準で競争すべき
ヒアリング調査②(警察、市民) 名古屋駅太閤口付近につてどう思いますか ≪市民、バス利用者≫ ・人が多すぎて混雑しすぎている ・待機場所がわかりにくい(特に地方からの利用者) ・屋根がないため雨の時に困る ・車で通る時に不便 ≪中村警察署≫ ・交通量が多いため事故が多い。 交通量が多いにも関わらずツアーバスの集合場所となっているため、多くの人が集まり事故の誘発原因となっている ・市民からの駐車違反の苦情も多い(交差点の中央に駐車している車両や交通の妨げとなる車両等) ・検挙はしているが、実際は運転手 不在時のみ可能 ⇒運転手が乗っていても検挙対象ではあるが、移動してしまうため検挙が難しい
ヒアリング③ (愛知県バス協会・センディング会社) ・JATA、ANTAと結びつき 協議会設置 ・非営利によるバス調整作業 (朝昼のみ) 非営利のため夜までは 負担が大きすぎるため 現在実施せず ・負担金として1000円を バス事業者から回収して行う (開始当初は1400円) 23時50分発の貸切ツアーバスが5年前の15倍に増加 バスバースを増設してほしいと要望しているが国家公安委員会が難色 名古屋駅前のバスは関東のバス会社が多い 愛知県のルールを知らない場合がある 愛知県バス協会 センディング会社
ヒヤリング調査④(貸切ツアーバス会社) 違法路上駐車に関しては認識している。 →貸切ツアーバス会社は停留所を必要としている。 →貸切ツアーバス会社は停留所を必要としている。 現状は、有効な対策がなされていない。 一部の貸切ツアーバス会社では自社のターミナルを 所有している。 運行を委託している旅行会社は、事故が発生した場 合責任を一切負わない。 →運行会社が全責任を負う 安全面で悪影響を及ぼしている可能性
国土交通省「バス事業のあり方検討会」資料 先行研究 先行研究 国土交通省「バス事業のあり方検討会」資料 「柔軟な車両調達」 「柔軟な価格設定」 高速バス規制の見直し 運行委託モデル 現在は認められていない受託者の車両の活用を認める高速乗合バス事業の管理の受委託制度を創設 新高速バスへの移行の実現
先行研究 出典:バス事業のあり方検討会(第7回) 配布資料新たな高速バスサービスの事業モデルhttp://www.mlit.go.jp/common/000147819.pdf
オリジナリティ 私たちの独自の政策としての もととして・・・ 貸切ツアーバスにおいて、企画側の旅行会社にも責任を負わせ、安全面での改善をめざす 貸切ツアーバス専用のバスターミナルを設置し、名古屋駅太閤口の道路環境の改善をめざす
政策提言 競争の 公正を 実現 路線バス 規制緩和 届け出制→自由制 貸切ツアーバス 停留所の設置を義務化 責任の明確化 ・運行ダイヤの自由化 ・価格を変動制にし、消費者のニーズに合わせ た価格設定を可能にする (ex.飛行機) 路線バス 規制緩和 届け出制→自由制 競争の 公正を 実現 ・現在のAバスバース、Bバスバースの利用を禁止 ⇒名駅付近に複合的なバスターミナルの建設 ・旅行会社にも責任を負うシステムへ変更 貸切ツアーバス 停留所の設置を義務化 責任の明確化
所属していない業者→利用の都度施設利用費 政策提言 名古屋セントラルバスターミナルシステム 名駅太閤口付近にシャトルバスを運行(現在のAバスバースを利用) 人数集まり次第随時運行 早朝、深夜など利用者数が多い時は増便 バスターミナル 名駅周辺地域では適地確保できない ⇒“ささしま”地域や“亀島(ノリタケの森付近)” 地域で開発 ≪運営組織≫ 独自で独自の停留所を作ることができない事業者を集い、各事業者で代表者を選出し、運営委員を作る ≪財源≫ 所属している業者→運営費 所属していない業者→利用の都度施設利用費 各地へ
政策提言 安全性確保 責任の明確化 責任の分担化 従来 施行後 安全面が軽視されているのでは? 責任が不透明 運送業者のみ 【企画・運送】運送業者 → 【企画】旅行会社→【委託】運送業者 100%運送業者 責任を問われるのは 運送業者のみ 従来 【企画・運送】運送業者 → 【企画】旅行会社→【委託】運送業者 100%運送業者 50%旅行業者 50%運送業者 旅行業者にも責任を負わせる (安全な事業者に委託するようになる) 施行後 安全性確保 責任の明確化
ご清聴ありがとう ございました!