腹腔動脈を介した 右肺底動脈大動脈起始症に対する 胸腔鏡下 右下葉切除術の1例 三愛病院 胸部外科 佐藤政弥 循環器科 中田晃孝 虎ノ門病院 呼吸器外科 河野 匡
症 例 38歳 男性 08/4/1 血痰を主訴に来院 扁桃腺軽度発赤 肺雑音聴取せず 胸部X-P異常指摘されず 風邪薬処方され帰宅 症 例 38歳 男性 08/4/1 血痰を主訴に来院 扁桃腺軽度発赤 肺雑音聴取せず 胸部X-P異常指摘されず 風邪薬処方され帰宅 08/5/1 血痰を主訴に再来 胸部X-P上右下肺野の浸潤影認め 肺炎疑われ 胸部CT施行 右下肺野の異常血管影を認め 造影CT施行
入院時所見 身長168cm 体重85kg 血圧118/68 ㎜Hg 脈拍83/分 SpO2 99%(room air) 身長168cm 体重85kg 血圧118/68 ㎜Hg 脈拍83/分 SpO2 99%(room air) ラボデータ 特記事項なし 気管支鏡検査 右の中葉枝が3分枝して いる以外は分枝異常は 見られなかった
術前胸部X-P 右下肺野浸潤影(S/O) 2008/4/1 2008/5/1
胸部単純CT
08/5/1 造影CT(3D)
肺動脈造影
肺動脈造影
腹腔動脈 造影
スワンガンツカテーテル検査 肺動脈楔入圧:16 ㎜Hg オクリュージョンテスト (腹腔動脈をバルーンで閉塞) (腹腔動脈をバルーンで閉塞) 肺動脈楔入圧:直後 25 ㎜Hg 5分後 15 ㎜Hg
胸腔鏡下 右下葉切除術
術後CT
術後X-P 08/05/19 術後5日目 08/9/11 術後4ヶ月
肺底動脈大動脈起始症 ・本症例は右肺底動脈大動脈起始症であるが, 2006年の内原らのまとめでは,左43例(88%),右6例 (12%)と右は比較的まれである. ・左は,ほとんどが胸部下行大動脈からの直接分岐で ある.一方,右に発生した場合は,腹部大動脈からの 分岐がほとんどであるが,腹腔動脈からの分岐はま れである.
肺底動脈大動脈起始症 ・手術適応: 左ー左シャントから,肺高血圧症,心不全を発症する危険があることから,手術適応となることが多いが,本症例ではS-G カテーテル検査を施行し,軽度のPCWPの上昇(16㎜Hg)を認めた.また,多くの症例と同様に,血痰を主訴に来院されており,手術適応と判断した.
結 語 比較的まれな右肺底動脈大動脈起始症のさらにまれな腹腔動脈からの分岐の症例を経験した. 結 語 比較的まれな右肺底動脈大動脈起始症のさらにまれな腹腔動脈からの分岐の症例を経験した. 左ー左シャントから,左房負荷をきたしていることをS-Gカテーテル検査にて確認し,手術適応と診断した.