本日の内容 1.講演者の自己紹介 2.鉄軌道の実力とその実現へのステップ 3.バス路線再編 4.モノレールの利便向上

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Presentation transcript:

沖縄経済同友会 例会講演 沖縄の未来を拓く交通 -路線バス・モノレール・LRT・南北縦貫鉄道- 沖縄経済同友会 例会講演 沖縄の未来を拓く交通 -路線バス・モノレール・LRT・南北縦貫鉄道- (株)ライトレール 代表取締役社長 阿 部   等 http://www.LRT.co.jp 2015年10月13日

本日の内容 1.講演者の自己紹介 2.鉄軌道の実力とその実現へのステップ 3.バス路線再編 4.モノレールの利便向上  1.講演者の自己紹介  2.鉄軌道の実力とその実現へのステップ  3.バス路線再編  4.モノレールの利便向上  5.中南部鉄軌道ネットワーク  6.南北縦貫鉄道  7.まとめ

1.講演者の自己紹介 参考資料 (株)ライトレール会社案内 公共交通の活性化に関わる主な業務成果 (株)ライトレール事業目論見(概要) クルマ社会の次にあるもの 『満員電車がなくなる日』 紹介 交通ビジネス塾のご案内 講談社「現代ビジネス」住みたい街2015【沿線革命】 沖縄建設新聞 建設論壇

2.鉄軌道の実力と その実現へのステップ

①ストラスブール市資料より 同人数を運ぶ場合のイメージ 自動車 路線バス LRT http://www.mlit.go.jp/crd/tosiko/guidance/ 自動車 路線バス LRT 鉄軌道は自動車より面積も車両数も少ない

②鉄軌道の実力 空間利用が効率的な他に 一定以上の集積地では エネルギー利用が効率的 環境負荷が小さい 交通事故がほとんどない 車を運転できない人も移動できる 中心市街地を活性化する 運動不足による不健康を解消 一定以上の集積地では 自動車主体でなく鉄軌道主体とすべき

③沖縄本島中南部都市圏の人口集積 沖縄中南部は鉄道が特性を発揮できる 自動車主体の交通体系ではいけない

④地下鉄の不経済・低利便性 用地費を除いた複線km当り事業費 地下鉄の事業費 地下鉄の他のデメリット 地下鉄:250億円 高架鉄道・モノレール:80億円 地平LRT:30億円 地下鉄の事業費 高架鉄道・モノレールの3倍、地平LRTの8倍 地下鉄の他のデメリット 駅間距離が長くなる、乗降時の上下移動 外の景色を見られない どこを走っているか分からない

⑤鉄軌道の実現へのステップ 沖縄は車社会 いつの時代も、どの地域も 便利な交通の根幹は「移動時間の短縮」 公共交通は受入れられない いつの時代も、どの地域も 便利な交通は受入れられる 便利な交通の根幹は「移動時間の短縮」 バス・モノレール・LRT・鉄道とも共通 低コストに短期に実行できることから始める バス路線再編から順々に 公共交通の良さの理解が広まるとともに 次のステージへ勇気を持って進める

3.バス路線再編

①沖縄の現実 生まれ育った人のバスの利用 観光やビジネスでの来訪者 バス路線再編 高校時代は通学に毎日、土日も年中 免許を取るとバイクまたはマイカーが当り前 70才代後半で車の運転がつらくなり再び利用 観光やビジネスでの来訪者 モノレール・レンタカー・タクシー・送迎が主体 路線バスの利用はわずか バス路線再編 数十年間言われ続けながら未だに実行されず

②那覇-沖縄-うるまの現状 111( 45m,22) 石川IC 沖縄南IC 西原IC 那覇IC 沖縄北IC 77(1h50m,22) 赤崎 至名護BT 系統番号(平均所要時間、平日の上下平均便数) ※一部の便は那覇空港まで運行 ※所要時間の77番は赤崎 、111番は沖縄北ICまで 63(1h40m,17) 90(1h45m,56) 安 慶 名 具志川BT 胡  屋 中 の 町   那 覇 B T 普 天 間 うるま市役所前 コ  ザ 23(1h35m,79) 52(1h50m,22) 屋慶名BT 27(2h05m,47.5) 110(1h45m,32) 21(1h40m,29) おもろまち駅前 古島駅前 227(2h10m,12) (高速経由) ※うるま市中心と那覇市を結ぶ1時間おきより高頻度の系統を抜粋 ※他に6系統39.5往復あり、111番を除き計356往復

③路線バスをなぜ使わない (1) 系統が分かりにくい 高頻度と感じない 所要時間が長い 同じ起終点で経由が異なる 同じ経由で起終点が異なる 等 高頻度と感じない 全系統を併せると高頻度だが等時隔でない ダンゴ運転となることも多い 所要時間が長い 高速道と並行する長距離系統も一般道経由 遠回りする区間もある

④路線バスをなぜ使わない (2) 那覇都心部は慢性的な渋滞 高速道経由は街中と行き来できない 運賃が高い 速達性も定時性も劣る バス停と街中のアクセスが不便 運賃が高い 乗車効率が低い 低速で車両・運転手の回転効率が低く高コスト

⑤路線バスを使えるものに 系統を分断して分かりやすく 等時隔かつ守れるダイヤに 長距離路線は高速道経由に 那覇都心部はモノレールと結節させる 一般道経由は地域の輸送に徹する 等時隔かつ守れるダイヤに 10分おき等に、運行実績データから時分算定 長距離路線は高速道経由に マイカーに伍せる所要時間に 那覇都心部はモノレールと結節させる 北東方面の系統は古島駅で乗継ぎ 効率を高めて運賃を安く 乗車効率の向上、高速化が前提

⑥那覇-沖縄-うるまの提案 那覇ー沖縄55分 那覇ーうるま60分 琉球大学便も 古島駅乗継ぎに 古島駅前 西原IC おもろまち駅前 (高速経由) 沖縄南IC 45分 石川IC 50分 赤崎 沖縄北IC 50分 ⑥那覇-沖縄-うるまの提案 ・都市間は高速経由とし渋滞区間はモノレール ・地域内の幹線は単純化し高頻度・等時隔運行に 35分 至名護BT ・その他はキメ細かくデマンド路線を設定 20分 25分 胡  屋 中 の 町   普 天 間 那 覇 B T コ  ザ 具志川BT うるま市役所前 安 慶 名 那覇ー沖縄55分 那覇ーうるま60分 30分 琉球大学便も 古島駅乗継ぎに 35分 屋慶名BT 那覇IC ※所要時間の高速経由はおもろまち  駅前から      、地域内放射3路線は中  の町から ※モノレールで古島駅-県庁前は乗車と乗継ぎで15分 、拠点間路線は区間

⑦同車両・運転手数での運行本数 車両・運転手数は総走行時間に比例 現行よりはるかに便利にできる

4.モノレールの利便向上

①平成26年度決算 開業以来最高の利用・収益 ほぼ同距離の首都圏郊外路線は10倍以上 沖縄都市モノレールはもっと乗る、稼げる 1日平均4.1万人超、年間30億円超 ほぼ同距離の首都圏郊外路線は10倍以上 井の頭線 渋谷-吉祥寺:1日50万人超 大井町線 大井町ー溝の口:1日40万人超 沿線人口はモノレールの2倍以下に過ぎない 観光需要はモノレールの方が多い 沖縄都市モノレールはもっと乗る、稼げる 最低でも、井の頭線・大井町線の5分の1 増客・増益のために増便と所要時間短縮を

②増便 現行 提案 平日朝ピーク30分間:5分おき 平日夕方:8分おき 平日昼と土休日:10分おき 待ち時間が長く、需要を取りこぼしている 平日の朝以外と土休日は低コストに増便可能 地上設備改修も車両増備も不要 平日朝ピーク30分間以外を6分おきに

③所要時間短縮:駅停車時間の短縮 全駅とも 片道当り2分20秒のロスタイム 安全を維持しつつロスタイムをなくす 到着から開扉開始まで3秒 閉扉完了から出発まで7秒 片道当り2分20秒のロスタイム 所要時間27分中の8%以上 安全を維持しつつロスタイムをなくす 着座したままドア操作スイッチを扱えるように 戸挟み検知の精度向上 不安全な出発時の非常制動

④所要時間短縮:曲線速度制限の緩和 35,45,55km/h等の速度制限が随所にあり 桁の傾斜を大きくする 真下のより急曲線を曲がる自動車の方が高速 桁の傾斜を大きくする 鉄道ではカントに相当 走行時の遠心力を打消す 安全性と乗心地を維持しつつ速度向上できる

⑤所要時間短縮:急行の運転 緩急結合ダイヤ 急行の最高90km/h、平均60km/h モノレールは待避線を設置しやすい 主要駅に待避線を設置 急行が各停を追越すと同時に相互に乗換え可 小駅のサービスと長距離の速達性を両立 急行の最高90km/h、平均60km/h 那覇空港-首里:27分→13分 那覇空港-県庁前:12分→6分 モノレールは待避線を設置しやすい

⑥普天間新都心延伸時の時刻表案 急行と各停を終日各5分おき 県庁前-普天間新都心12kmを急行12分 旭橋・おもろまち・大平で追越し・相互乗換え 県庁前-普天間新都心12kmを急行12分 車両は急行8+各停16=計24編成のみ 運転士も同数の常時24人のみ

5.中南部鉄軌道ネットワーク

①沖縄中南部 多くの政令指定都市を上回る人口密度 幹線道路の車線を縮減してLRTを敷設 モノレールは一部延伸 キメ細かい鉄軌道ネットワークを構築すべき 幹線道路の車線を縮減してLRTを敷設 LRT(Light Rail Transit、次世代型路面電車) モノレールは一部延伸 屋富祖と普天間新都心へ

②LRTは徹底的な利便性を追及 駅間は約500m 非常ブレーキ力を高く、防護柵を設置し 車内でなく駅で運賃収受 ダイヤと道路信号をシンクロ 適切に待避線を設置して急行と各停を運行 非常ブレーキ力を高く、防護柵を設置し 安全に最高速度を高め80km/hに 車内でなく駅で運賃収受 駅での停車時間を最小化 ダイヤと道路信号をシンクロ 交差点での停車を最小化 急行の平均40km/h 那覇-沖縄25kmを35分、マイカーより速い

③路線案 凡例 329号 58号 330号 332号 331号 10 20km 市町村役場 自動車専用道路 具志川 〃 第3期 与那原 糸満 〃 第3期 与那原 糸満 嘉手納 58号 普天間 〃 第2期 瑞慶覧 コザ 伊佐 南風原 豊見城 北谷 330号 普天間新都心 〃 第4期 LRT第1期 牧港 屋富祖   〃  第4期 主要交通結節点 ゆいレール 首里 浦西 那覇空港 旭橋   〃  第2期 332号 主要国道 331号 10 20km

④発想の転換と成功モデル作り 深刻な道路渋滞 何事も百聞は一見に如かず バス路線再編とモノレールの利便向上 従来の発想:車線を減らしたらますます渋滞 新たな発想:空間利用が効率的なLRTに転換 何事も百聞は一見に如かず バス路線再編とモノレールの利便向上 便利な公共交通の有用性を示す 便利で低コストなLRTの成功モデルを作る 大量の移動ニーズがある区間 走行空間を確保しやすい区間 LRT第1期:国道58号の旭橋-牧港8km

⑤LRT第1期区間のダイヤ案 急行と各停を終日6分おき 旭橋-牧港8kmを急行12分 泊・安謝・屋富祖で追越し・相互乗換え 車両は急行5+各停13=計18編成のみ 運転士も同数の常時18人のみ

6.南北縦貫鉄道

①那覇-名護の所要時間 現時点の構想では70kmを60分 現在、高速道路を飛ばすと50分 1964年開業の東海道新幹線 最高130km/h、平均70km/h 2005年開業のつくばエクスプレスと同等 現在、高速道路を飛ばすと50分 数千億円を投じ20年後開業の鉄道が60分? 1964年開業の東海道新幹線 こだま最高210km/h、平均130km/h (翌年から) 2008年開業の北京-天津 120kmを33分、最高300km/h、平均220km/h 那覇-名護の1.7倍の距離を半分強の時間

②那覇-名護30分にしてこそ価値あり 低速鉄道でも高速鉄道でもなく中速鉄道に 地下鉄主体でなく高架主体に 技術的ハードルの低い最高200km/hに 駅は数kmおきで待避線を適切に設置 特急・急行・各停を運行 特急は平均140km/hで70kmを30分 地下鉄主体でなく高架主体に 経済性と利便性のため 観光振興のためには景色を見れることも重要

③ルート案 名護市 58号 沖縄市 凡例 330号 329号 那覇市 ゆいレール 332号 331号 糸満市 主要国道 市町村役場 南北縦貫鉄道 329号 自動車専用道路 西海岸道路 沖縄市 330号 那覇市 ゆいレール 那覇空港 332号 331号 糸満市 10 20 30km

④走行空間の確保策 既存または事業中の道路空間を活用 イノベーションにより急曲線・急勾配に対応 低コストかつ短期に空間を確保 中南部は沖縄西海岸道路 北部は沖縄自動車道 イノベーションにより急曲線・急勾配に対応 道路線形でもできるだけ高速走行 許田IC付近は道路より急勾配で短絡 低コストかつ短期に空間を確保 道路用の路盤を活用し土木工事費も最小化 那覇-名護の事業費 60億円/km×70kmとすると4200億円

⑤南北縦貫鉄道を実現するために なぜ国と県の調査が実現性を持たないか 実現性を持たせる方策 地下鉄主体のため高コスト 利便性が充分でなく多くの需要を見込めない 運賃設定を低くし採算性を落としている 実現性を持たせる方策 道路空間を活用して高架主体に 多駅・高速・高頻度運行で多くの需要を喚起 運賃をJR九州並み1,250円でなく高速バス並み2,100円に

7.まとめ

①沖縄の未来に交通は決定的に重要 日本一の道路渋滞にあえぐ那覇市 外国観光客を呼び込みたい沖縄 政令指定都市を上回る人口集積で、空間利用効率の低い自動車交通主体では賄えない 外国観光客を呼び込みたい沖縄 外国人は日本の言葉も地理も交通ルールも分からず、レンタカーなど運転したくない

②沖縄の未来を拓く交通 実現すべきは「移動時間の短縮」 新事業を成功させる要諦 低コストで短期の施策から順に実行 低コストに実現する技術的工夫と発想の転換 新事業を成功させる要諦 小さく生んで大きく育てる 低コストで短期の施策から順に実行 バス路線再編 モノレールの利便向上 中南部鉄軌道ネットワーク 南北縦貫鉄道

便利な交通は沖縄の未来を拓きます。 その実現の方向性を整理しました。 皆様とご一緒に汗をかく覚悟です。