入門!認知行動療法 行動を活性化しよう 【進行】 入門!認知行動療法 行動を活性化しよう 【進行】 「全7回のプログラムの第1回目です。それぞれの回は独立しており1回だけの参加が可能なようになっています。今回は第2回目です」 「今回講師を担当する〇〇です、書記の〇〇です。」 「皆さんの名前を教えてください」→一人ひとり苗字を答えてもらい、ホワイトボードに名前を書き出す。 「このプログラムでは、皆さんに文章を読んでもらったり、質問に答えていただきますが、分からない時や、答えるのがしんどい時は遠慮なくパスとお伝えください。」
本日のテーマ 感情・考え・行動・身体反応は相互作用しています。 本日の目標は、 ①行動を変えて感情に働きかける「行動活性化」のしくみを学び、 ②行動実験計画を実際に自分で立ててみることです。 考え 行動 身体反応 【進行】 参加者を一人当て、「感情・考え・・・の所から読み上げてもらう」 「今読み上げてもらったように、感情―行動―考え―身体反応は連動しています」 「連動しているということは、その中の一つが変われば、他のものもそれに伴って変わるということですね」 「本日は、この中で、行動と感情の関係に着目し、行動を変えることで感情を変える、『行動活性化』という方法のお話をします」 感情
不安 感情と活動範囲の関係 悲しい 活動範囲 ゆううつ はずかしい むなしい ポジティブ感情には活動の範囲を広める力があります。 さびしい どうせ楽しめないだろう・・・ 悲しい やったら危険だと思う・・・ ゆううつ 失敗するに決まってる・・・ はずかしい 不安 むなしい 活動範囲 活動範囲 【進行】 参加者一人をあて「ポジティブ感情には・・・」という所を読んでもらう 「なめくじの絵が書かれていますが、人間の活動範囲はネガティブ感情に晒されると狭まってしまう傾向があります」 参加者の一人をあて「どうせ楽しめない・・・」の所を読んでもらう 「一度辛い感情に晒されると、『少しでも辛い感情から逃れたい』という気持ちが働き、新たな活動を控えるようになります」 「抑うつの場合は『どうせ楽しめないだろう』、不安の場合は「やったら危険だ」といった考えも出てきます」 「しかし、活動範囲が狭いと、ポジティブ感情を得ることも難しくなります。」 「やってみたら楽しいかもしれないのに、『食わずぎらい』で行動の種類が狭まり、ネガティブ感情から抜け出すことがさらに難しくなります。 「この悪循環から抜け出すのに、本日お話しする「行動活性化」が役立ちます」 【ねらい】 このスライドでは2つのことを伝える。 第一に、ネガティブ感情を経験した人は、さらなるネガティブ感情を避けるために活動範囲を狭めてしまうこと 第二に行動範囲が狭まった状態ではポジティブ感情を得にくいため、悪循環となること ポジティブ感情には活動の範囲を広める力があります。 逆にゆううつや不安などのネガティブ感情を経験すると、今までしていた活動をしなくなり、活動の範囲は小さくなってしまいます。
感情と行動のどちらが変えやすい? →感情や気分は簡単には変えられないが、 行動は簡単に変えられる。 質問:どちらが簡単ですか? ①「今から悲しんでください!」 ②「今から手をあげください!」 →感情や気分は簡単には変えられないが、 行動は簡単に変えられる。 【進行】 「いまから皆さんにアンケートを取ります。」 「①今から悲しんでください、②今から手を挙げてください どちらが簡単ですか?」 「①だと思う方、手を挙げてください、②だと思う方、手を挙げてください」 「皆さん、手を挙げることはできましたね」 参加者の一人を当て、「感情や気分は・・・」の所を読んでもらう。 「その通りですね、「悲しい」という感情は簡単に変えられないのに対し、「手をあげる」といった行動は簡単に行うことができます」 「行動活性化は、行動を変えることを通して、感情を変えるテクニックです」
行動活性化とは・・・ ゆううつだから何もできない。気持ちが晴れれば 外にも出られるんだけど 試しに行動して みたら、気分が 晴れるかも! 気分や感情が改善するのを待っていても、いつになるかは分かりません。逆に、先に行動を変えれば、感情や気分の変化もそれについてくるかもしれません。行動活性化とは、様々な 行動を試してみて、感情が変わるかどうかを実験することです。 【進行】 「行動活性化の説明をしていきます」 参加者一人を当て、「気分や感情が・・・」の所を読んでもらう。 続けて、「ゆううつだから・・・」「ためしに行動してみたら」という所を読んでもらう。 「私たちは『ゆううつだからから家に引きこもる』『不安だからあの人とは合わない』『悲しみがおさまったら外に出られる』と考えて行動を控えがちです。」 「そこで、感情が変わる前に、行動から先に変えてみて、それに伴って感情が変化するかどうか、試行錯誤してみることを行動活性化といいます」
行動実験を実際に計画してみよう! 手順 ① 活動の候補をたくさん挙げる ② 活動のリストを作り評価する ③ 行動実験をしてみる ④ 行動実験をふりかえる 【進行】 「本日は皆さんに、実際に行動実験を立てていただきたいと思います」 参加者を一人当て、「手順」の所を読んでもらう。 「今の時間は①~④のうち①と②を行います」 「ここで立てた行動実験計画を1週間以内に実際に行い、どうだったか後で振り返ってみてください」 【ねらい】 以後の流れを説明する。大事なのはこれは架空の話ではなく、各参加者が実際に行うことの計画であるということを強調する!
喜びや達成感が得られそうな身近な活動を探してみましょう ①活動の候補をたくさん挙げる 喜びや達成感が得られそうな身近な活動を探してみましょう 小さな達成感を得られそうなこと 簡単な用事を片づける 筋トレしてみる ラジオ体操に参加する 俳句を作ってみる 誰かに手紙を書いてみる パズルを解いてみる 小さな喜びが得られそうなこと 指相撲、しりとりをしてみる 晴れた日に空を眺めてみる 夜風にあたってみる 散歩してみる 誰かに挨拶してみる 周りの人に話しかけてみる 周りの人とゲームをしてみる 美人・イケメンウォッチング お菓子を買って食べてみる ショッピングに行ってみる 知人にメール・電話をしてみる 【進行】 「それでは、さっそく活動の候補をたくさん挙げていきましょう。まずは、喜びや達成感が得られそうな身近な活動です」 参加者を一人当て「小さな喜びが得られそうなこと」を読んでもらう。 読んでもらった参加者に?「読んでもらった中でもいいですし、ご自身で思いついたことでもいいですが、どんなことをすると小さな喜びが得られそうですか?」 参加者を一人当て「小さな達成感を得られそうなこと」を読んでもらう。 読んでもらった参加者に?「読んでもらった中でもいいですし、ご自身で思いついたことでもいいですが、どんなことをすると小さな達成感が得られそうですか?」 【ねらい】 本スライドから11枚目のスライドまでは、とにかく活動の案を提示し、ブレインストーミングしてもらうことである。 自分で行動のアイディアを出すのは難しい場合が多いので、活動の案を提示しておくことが計画を立てることに役立つ 後で活動の候補をリストに上げて1つ選ぶというプロセスがあるので、ここでは不適切に見える活動でもこちらからは評価を下さない。
今までにやったことのある活動から これまでやったことのあるもので最近は やらなくなってしまったことはありませんか? 今までにやったことのある活動から これまでやったことのあるもので最近は やらなくなってしまったことはありませんか? →まずはたくさん挙げてみましょう。評価は後まわしです。 昔やったことのあるスポーツをしてみる。 昔読んだ本やマンガをまた読んでみる。 昔行ったことのある場所に行ってみる。 最近食べていない食べ物をまた食べてみる。 最近着ていない服を着てみる。 しばらく会っていない友人にメールしてみる。 【進行】 「次に、今までにやったことのある活動から活動の候補を考えてみましょう」 参加者を一人当て「これまでやった・・・」を読んでもらう。 参加者を一人当て「昔やったことのあるスポーツ・・・」を読んでもらう。 「良い悪いといった評価はしないで、とにかくアイディアをたくさん挙げることをブレインストーミングといいます」 「たくさん案を挙げられるほど、その中に良いアイディアが含まれている可能性が高まります」 参加者を一人当て、「昔やっていた活動にはどんなものがありますか?」と問う。
今までにやったことがない活動から やってみたいことは何かありませんか? →まずは挙げてみましょう。評価は後回しにしましょう。 やってみたかったスポーツ 行ったことのない場所に行ってみる 話しかけたことのない人にあいさつする わざと笑顔を作ってみる 誰かに感謝の気持ちを伝えてみる 誰かにプレゼントしてみる 普段着ない色の服を着てみる 雑誌やテレビで楽しそうなことを情報収集してみる 【進行】 「次に、今までにやったことのない活動から活動の候補を考えてみましょう」 参加者を一人当て「やってみたいことは・・・」から最後まで読み上げてもらう。 「してみたかったけれどできなかったこと、ほかの人はやっている活動で自分はしたことがないけれど良いなと思う活動がないか、自分に問いかけてみましょう」 参加者を一人当て、「今までにやったことのない活動はありますか?」と問う。
習慣になっていたことを止めてみる 習慣化していたことを止めてみることで、新しいことを始めるゆとりができるかもしれません。 いつも一緒にいる人と会わないようにしてみる。 いつも頼まれる雑用を断ってみる。 いつも自分がやっていたことを人に頼んでみる。 使ってないものを処分して、部屋をすっきりさせる。 電話・メール・テレビなどに1日触れないようにしてみる。 カフェイン・アルコールを1週間だけ控えてみる。 【進行】 「次に、いつもやっていることを止めてみるということも考えてみましょう、『止めてみる』というのも立派な活動です」 参加者を一人当て、「習慣化して・・・」の所から最後まで読み上げてもらう。 参加者を一人当て、「習慣化して当たり前になっていたことは何かありませんか?」と尋ねる。
~五感を活用しましょう~ 触覚:好きなぬいぐるみを触る、粘土遊び、陶芸 味覚:コンビニの新作お菓子を食べる、激辛に挑戦する ~五感を活用しましょう~ 触覚:好きなぬいぐるみを触る、粘土遊び、陶芸 味覚:コンビニの新作お菓子を食べる、激辛に挑戦する 嗅覚:外で深呼吸する 香水をつける アロマを嗅ぐ 好きな香りを部屋に置く 花の香りを嗅ぐ 聴覚:音楽を聞いてみる、自然の音に耳を傾ける 視覚 写真集・雑誌を見てみる 空をみる 花をみる 触覚 【進行】 「これまでと切り口が違いますが、五感を活用すると感情が動くことがあります」 参加者を当て、「触覚:・・・」の所から読み上げてもらう。 「散歩をすると、「花をみる」という視覚、「鳥のさえずりを聞く」と言う聴覚、「花びらを触る」という触覚、「花の香りを嗅ぐ」と嗅覚を同時に使うこともできますね」 参加者を一人当て、「リストの中のものでも、自分で思いついたものでもいいですが、五感を用いた活動の候補はありますか?」と尋ねる。 嗅覚 散歩 味覚 聴覚 視覚
②活動をリストアップし評価する 例 よさそうな活動を5つリストアップし、評価してみましょう どれくらい喜びを得られそうか? 0-100点で評価 どれくらい達成感がありそうか? 0-100点で評価 難しさはどれくらいか? 0-100点で評価 番号 行動 喜び 達成感 難易度 1 朝起きたら挨拶する 30 10 2 大学構内を散歩する 40 50 3 料理をする 70 4 【進行】 「それでは、お配りした資料を用いて、活動の候補をリストアップしてみましょう」 参加者を一人当て、「よさそうな…」の所から最後まで読んでもらう。 「1週間以内に実行する計画なので、あまり難しくない活動を優先的にあげてみてください」 「これまで読み上げたリストの中の活動でもいいですし、自分で考えたものでも構いません」 「5つ行動をリストアップしたら、それぞれ得られそうな喜び、達成感、難易度を0-100点で点数をつけましょう」 3-5分ほど時間を取る。講師・ファシリテーターは参加者のところを回り、必要に応じリストアップを援助する。 各参加者に1つ、リストに上げた活動の一つを挙げてもらう。挙げてもらった行動は、ホワイトボードに書く。 例
③行動実験をしてみる リストからこの1週間でできそうなことを1つ選びましょう ★最初は、すぐ身近にできそうなことを選びましょう。 ★大きくて難しそうな行動は小さく分けてみましょう。 例:友達と旅行に行く→友達に連絡を取ってみる ★内容を具体的に決めていきましょう。 (いつ?どこで?誰と?どのように?どれくらい?) 例:あいさつをする→日曜日に、病棟で、今まであいさつした ことのなかった人のうち3人に「こんにちは」と声をかける。 予想される喜びと達成感と成功確率を書きましょう。 確率80%以下なら難易度が高すぎるかもしれません。 【進行】 「次に、お配りした行動実験ノートを用いて、実際の計画を立てていきます」 参加者を一人当て、「リストから・・・」の所を読んでもらう 「それではみなさんに行動実験ノートを作成してもらいます」 「先程書いてもらったリストの中から1週間以内に実施できそうなものを選んでください」 「大きくて難しい行動は、小さな行動に分けて、その小さな行動を行うことを目標にするとよいです」 3-5分時間を取る。行動実験ノートの作成を講師とファシリテーターは適宜援助する。 「ではご自身の計画を発表してくださる方はいませんか?」 いなければ2,3人当てる。 【工夫】 講師とファシリテーターが回っている間に、良い計画を立てている人の目星をつけ、 「素晴らしい計画ですね、是非皆さんに共有させてください」と言っておくと、後で自発的に手を挙げてくれる可能性が高まる。 1週間以内に実施できない大きな計画を立ててしまうことが少なくない。その場合は、 「素晴らしい計画ですね、その計画の中で、1週間以内に手を付けられそうなところはどんなところですか?」と尋ねる。 具体性を欠いた計画を書いている人に対しては、 「素晴らしい計画ですね。ところで計画は成功したかどうかがはっきり分かるように、具体的な数値目標を立てておくと実現しやすくなることが知られています」と前置きし、「いつ、どこで、だれと、どれくらい」といった具体的な点を尋ねていく。 成功確率が低い(例えば30%)人は、計画を実行に移せない可能性が高い。その場合は、 「素晴らしい計画ですね。しかし最初はもう少し余裕をもって実現できる計画から始めるのが良いと思います」 「どこら辺を変更すると、実行しやすくなりますか?」と尋ね、例えば「本を1冊読む」→「本を50ページ読む」など、目標のダウンサイジングをしてもらう
④行動実験をふりかえる 感情と行動の科学者になろう! 活動を実行したら、感情や気分がどれくらい変わったか、 行動実験ノートに記録しましょう。 行動実験はその名の通り「実験」です。実験は期待外れの結果が生じることがつきものです。しかし、「食わず嫌い」にならず、思いきって身体を動かし、試してみることが重要です。 ※うまくいかなかったら、どこがうまくいかなかったか を振り返り、次の計画を立ててみましょう。 【進行】 「それでは、みなさん1週間の間で、実際に行動実験をしてみてください」 参加者を一人当て、「活動を」の所から読み上げてもらう。 「それでは、是非実際に試してみてください」 感情と行動の科学者になろう!
感想を教えてください! 疑問点、参考になったところを教えてください。 お渡しする資料: 行動実験ワークシート 活動案リスト 【進行】 行動実験ワークシート 活動案リスト 【進行】 「それでは本日のプログラムはこれで終了です」 「わからなかった所、参考になったところなどを教えてください」 時間的に余裕があれば1人1人聞いていく。 「最後に皆さんにフィードバックペーパーを書いてください」 「これは今日のプログラムの感想を、担当の先生や看護師さんに伝え今後の治療に活かしたり、プログラムの改善に役立てるために使います」