シミュレーション論Ⅰ 第2回 シミュレーションとモデル化.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
模型を用いたジェットコターの 力学的原理の検討 06522 住友美香 06534 秦野夏希. 平成22年度 卒業研究発表 山田研究室 研究目的 ジェットコースターのコースは、どのような計算に 基づいて作られているのか、研究を通じて理解し、 計算を用いた模型製作を行う。
Advertisements

2 年 確率の導入 指導手順 身の回りの生活の中の確率の話をする。 10 円玉の表と裏を確認する。 本時の課題を提示する。 ( シート 4) 実験をする。 準備物 ワークシート、 10 円玉 ×2× 生徒数 結果をエクセルに入力 グラフから言えるこ とを発表する。 確率についてまとめる。 教科書の練習問題をする。
シミュレーション論Ⅰ 第 7 回 待ち行列のシミュレーション(2). 第 6 回のレポート(解答例) 乱数表より乱数を記入し、到着間隔・サービス時間にした がってグラフを作成する 例) 最大待ち人数:2人 最大待ち時間:5分 平均待ち時間:3分.
新設科目:応用数学 イントロダクション 情報工学科 2 年前期 専門科目 担当:准教授 青木義満.
シミュレーション論Ⅰ 第5回 乱数の生成と利用.
入門B・ミクロ基礎 (第4回) 第2章 2014年10月13日 2014/10/13.
第1節 問題解決の工夫 1 情報を活用しよう 2 問題解決の工夫.
第1回 確率変数、確率分布 確率・統計Ⅰ ここです! 確率変数と確率分布 確率変数の同時分布、独立性 確率変数の平均 確率変数の分散
高度情報演習1A “テーマC” 実践 画像処理プログラミング 〜画像認識とCGによる画像生成〜 第四回 演習課題 画像中からの物体抽出処理(背景情報を手がかりとして) 芝浦工業大学 工学部 情報工学科 青木 義満 2006/05/15.
シミュレーション論Ⅰ 第6回 待ち行列のシミュレーション.
確率と統計 平成23年12月8日 (徐々に統計へ戻ります).
統計解析 第7回 第6章 離散確率分布.
確率・統計Ⅰ 第12回 統計学の基礎1 ここです! 確率論とは 確率変数、確率分布 確率変数の独立性 / 確率変数の平均
ワールドカフェ この説明資料の内容は以下のとおりです。 〇 ワールドカフェについての説明 〇 ワールドカフェの進め方 〇 進め方の例
収量を推測する -Excel- 2011年6月24日 理学部3回 青木陽輔.
知識情報演習Ⅲ(後半第1回) 辻 慶太(水)
シミュレーション論 Ⅱ 第5回 ランダムウォーク.
シミュレーション論Ⅰ 第9回 様々なシミュレーション:販売と在庫管理.
寺尾 敦 青山学院大学社会情報学部 atsushi [at] si.aoyama.ac.jp
第4回 (10/16) 授業の学習目標 先輩の卒論の調査に協力する。 2つの定量的変数間の関係を調べる最も簡単な方法は?
プログラミング 平成24年10月23日 森田 彦.
様々なシミュレーション:金利とローン返済
シミュレーション論 Ⅱ 第12回 強化学習.
行動経済学による分析 ~なぜ人は「タダ」に翻弄されてしまうのか~ 古川ゼミ
シミュレーション論Ⅰ 第4回 基礎的なシミュレーション手法.
確率・統計Ⅱ 第7回.
クロスワードゲームの 作り方を学ぼう/やってみよう ‐ボードゲームの動作機構‐
経済・経営情報コース コース紹介.
情報数理Ⅱ 平成27年9月30日 森田 彦.
シミュレーション論Ⅰ 第3回 シミュレーションと経済・社会システム.
統計解析 第10回 12章 標本抽出、13章 標本分布.
対応のあるデータの時のt検定 重さの測定値(g) 例:
メディア学部 2011年9月29日(木) 担当教員:亀田弘之
シミュレーション論Ⅰ 第2回 シミュレーションとモデル化.
シミュレーション論 Ⅱ 第5回 ランダムウォーク.
スマホゲームとお金について ~課金のしくみ~
シミュレーション論 Ⅱ 第12回 様々なシミュレーション手法(3) 強化学習.
シミュレーション論 Ⅱ 第14回 まとめ.
シミュレーション論 Ⅱ 第15回 まとめ.
データからいろんなことを学ぼう! このスライドでは、順に、こんなことを説明します。 「データ」って、どんなもの? 「データ」を集めてみよう
編入学試験体験談 5年 電気工学科 No.26 藤井 優貴.
確率・統計Ⅰ 第3回 確率変数の独立性 / 確率変数の平均 ここです! 確率論とは 確率変数、確率分布 確率変数の独立性 / 確率変数の平均
ワークショップ型研修の進め方 .
教育工学を始めよう ~研究テーマの選び方から論文の書き方まで~ (第1章)
-10円玉切れのとき、たまにありませんか?-
確率と統計 メディア学部2008年後期 No.3 平成20年10月16日(木).
言語XBRLで記述された 財務諸表の分析支援ツールの試作
モデル化とシミュレーション.
音声分析 フーリエ解析の定性的理解のために.
統計学の授業でのセカンド モニタとしてのiPhoneの使用
様々なシミュレーション:社会現象のシミュレーション
確率と統計2009 第12日目(A).
シミュレーション論Ⅰ 第14回 シミュレーションの分析と検討.
「アルゴリズムとプログラム」 結果を統計的に正しく判断 三学期 第7回 袖高の生徒ってどうよ調査(3)
シミュレーション論 Ⅱ 第1回.
シミュレーション論Ⅰ 第7回 シミュレーションの構築と実施.
情報基礎Ⅱ (第1回) 月曜4限 担当:北川 晃.
メディア学部 2010年9月30日(木) 担当教員:亀田弘之
社会理論と調査法 自分のなぞ? 「どんななぞ」に対して、 「どのような実験・調査」をして 「どのような分析」をすればいいのか?
探究科スライド 教材No.10.
様々なシミュレーション:社会現象のシミュレーション
アルゴリズム入門 (Ver /10/07) ・フローチャートとプログラムの基本構造 ・リスト ・合計の計算
情報数理Ⅱ 平成28年9月21日 森田 彦.
確率と統計 確率編- 平成20年10月29日(木).
確率と統計 確率編- 平成19年10月25日(木) 確率と統計2007.
平成23年12月22日(木) No.9 東京工科大学 担当:亀田弘之
情報ネットワークと コミュニケーション 数学領域3回 山本・野地.
応用プロジェクト後半 第5回 (12/17) 担当:奥田教授
プログラミング教室 鹿児島大学プログラミング研究会 with Scratch.
シミュレーション論Ⅱ 第2回 モデル化の手法.
Presentation transcript:

シミュレーション論Ⅰ 第2回 シミュレーションとモデル化

前回のアンケートより一部抜粋 感想・希望 やってみたいこと 難しそう、数学が不安、PCがなくても大丈夫? 楽しみ、PCを使うのが良かった 工学系:自動車、建物、スポーツ、地震、隕石 経済・社会系:金融、経済動向、流行、風邪の伝播 それほど難しい数学は使いません なるべく演習等でパソコンを使う機会を考えますが、PCがなくても大丈夫です 工学系のものを作るのはかなり難しいので、体験できるものを考えます 経済系については(簡単なものですが)いくつかやってもらえます

サグラダ・ファミリア教会の設計 網目状の糸に重りを吊るした形式。ガウディはこの形が最も重心のバランスがよいと考えた→カテナリー曲線 →物理的シミュレーションの一種

運動シミュレーション 投球モーションやボールの回転状態など

講義予定(参考) 講義内容(予定) 第 1回 シミュレーションとは何か 第 2回 シミュレーションとモデル化 第 3回 シミュレーションと経済・社会システム 第 4回 基礎的なシミュレーション手法 第 5回 乱数の生成と利用 第 6回 待ち行列のシミュレーション(1) 第 7回 待ち行列のシミュレーション(2) 第 8回 シミュレーションの構築と実施 第 9回 様々シミュレーション1:販売と在庫管理 第10回 様々なシミュレーション2:金利とローン返済 第11回 様々なシミュレーション3:社会現象 第12回 シミュレーションの手法 第13回 意思決定とシミュレーション 第14回 シミュレーションの分析と検討 第15回 まとめ

今回の内容 ○○のシミュレーションをしよう! →いったい何から手をつければいい? シミュレーションとは「模型を使った模擬実験」 →まずは模型(モデル)を作らねば!! 「モデル」と「モデル化」の基礎を学ぶ 手作業でシミュレーションの仕組と手順を体験する

シミュレーションとモデル化 モデル=模型、見本 モデル化:複雑な現実社会や実際の現象を「抽象化」し、問題を解くために必要な構造と情報を備えた「模型」を作ること。 物理的モデル -橋、車などの模型 -運転席を模したドライブシミュレータやフライトシミュレータなど 論理的モデル -物理学、力学などにもとづく数学モデル -ある状態を時間的に変化させて再現する手続き型モデル

物理的モデル、論理的モデルの例 物理的モデルの例・・・車の模型(実物大のほか、拡大・縮小したものもある) 論理的モデルの例・・・コンピュータ上に構築した車の外形・材質・表面の状態を含む模型

シミュレーションの対象、目的、手法をもとに必要な要素を抽出し、現実の「模型」を作る。 モデル化に必要なこと 対象の選択:何のシミュレーションをするのか? 目的の決定:何を知りたいのか? 現実問題の抽象化:必要な構造、情報は何か? 分析手法の選択:どのような手法を用いてシミュレーションするのか? 仮定・条件の設定:どのような状態をシミュレーションするのか? シミュレーションの対象、目的、手法をもとに必要な要素を抽出し、現実の「模型」を作る。

手作業でのシミュレーションをしてみよう 簡単なシミュレーションを通してモデル化の手順を学ぼう 紙と鉛筆、それにコインを使って手作業でシミュレーションをしてみよう つり銭問題:サークル会費を集めるとき、つり銭はいくら用意しておけばいいだろうか? モデルを作成してシミュレーションしよう!

モデルの作成(つり銭問題) サークル会費3,000円を集める サークルのメンバーは15人 会費は一人ずつ順にやってきて幹事に支払う メンバーは1,000円札を3枚か、10,000円札1枚のどちらかで会費を支払う 10,000円札で支払われた場合、1,000円札7枚をおつりとして支払う どちらで支払うかの確率は50%ずつ 1,000円札は何枚用意すればいいだろうか?

数学的モデル ある時点での1,000円札の枚数を x とする。 あるメンバーが会費を1,000円札3枚で払ったら x → x + 3 あるメンバーが会費を10,000円札で払ったら x → x – 7 どちらで支払われるかは50%ずつ: 確率50% メンバーの数 n は15人: n = 15 つまり、確率50%(=0.5)でどちらの支払い方法をとるかを決定し、それを15回繰り返してシミュレーションすればいいのでは?

つり銭は何枚用意すればいいか? 仮におつりを用意しなかったとして、15人から会費を集める際に1,000円札が一番少なくなる場合(x の最小値:min x)に合わせるとよい。 最小値が+の場合:おつりの準備は不要 最小値がーの場合:マイナス分だけ用意が必要 おつりの必要枚数を y 枚とすると

シミュレーションの流れ おつりの枚数を x = 0 としてスタート ↓ 50%の確率で1,000円札×3か10,000円札×1を決定 1,000円札×3なら x → x + 3 10,000円札×1なら x → x – 7 15回繰り返す x の最小値から必要なおつりの枚数を決定

手作業によるシミュレーション コイン投げで表・裏が出る確率はそれぞれ50% 表が出たら1,000円札×3、裏が出たら10,000円札×1として、手作業でシミュレーションしてみよう! 人数 表(+3)または裏(-7) 増減 1,000円札の枚数 x 1 2 3 4 5 6 7 表 +3 3 裏 -7 -4 表 +3 -1

シミュレーションの結果例 枚数が最小になる部分を調べ、それに合わせておつりを用意すればよい。 人数 表(+3)または裏(-7) 増減 1,000円札の枚数 x 1 表 +3 3 2 6 裏 -7 -1 4 5 -5 -2 7 8 -6 9 -3 10 11 12 -14 13 -11 14 -18 15 -15 枚数が最小になる部分を調べ、それに合わせておつりを用意すればよい。

各自で手作業のシミュレーションをやってみてください。

シミュレーション結果の検討 一通りのシミュレーションだけで判断していいだろうか? ↓ 他にも様々なパターンがあるはず 多くのデータを集める →シミュレーションの繰り返し、コンピュータの利用 傾向を分析し、何らかの法則がないか探す →統計分析 目的に沿った結論を導く

シミュレーション結果を検討してみよう 周りの席の人たちとデータを持ち寄って表やグラフ(ヒストグラムなど)にしてください。 用意すべきつり銭の枚数の最小値、最大値、平均値などを計算してみましょう。 シミュレーションの目的を考え、自分なら何枚用意するか、理由も含めて考えてください。 例えば・・・ 手間がかかってもいいから確実な枚数を用意するか? 手間を省いて、ある程度の場合に対応できる枚数に抑えるのか?

モデル化のおさらい 今回やった手作業でのシミュレーションを題材に、モデル化の手順について再度考えてみましょう。 対象の選択:何のシミュレーションをするのか? 目的の決定:何を知りたいのか? 現実問題の抽象化:必要な構造、情報は何か? 分析手法の選択:どのような手法を用いてシミュレーションするのか? 仮定・条件の設定:どのような状態をシミュレーションするのか?

対象の選択・目的の決定 シミュレーションの対象: サークルの会費集め(つり銭の用意) 目的: 必要なつり銭の枚数を調べる →目的によって、求める結果が異なってくる 例えば  あらゆる可能性に対応できる枚数にするのか?  8割程度の場合に対応できればいいのか?  できるだけ用意する枚数を減らしたいのか?

問題の抽象化 必要な構造や情報を抽出する ・会費の支払い方法 ・おつりの支払い方法 ・おつりの枚数 ・お札や小銭の種類 ・サークルの人数 など 数式などを使って明確で分かりやすい形にする

分析手法の選択 今回のシミュレーションで使った手法 手作業でのシミュレーション ・・・コイン投げを用いた確率的シミュレーション ・・・他の人とデータを持ち寄って分析 もっと多くの場合のシミュレーション、分析が必要 →コンピュータの利用

仮定・条件の設定 今回の仮定・条件 ・会費は3,000円 ・一人ずつ順にやってきて会費を払う ・支払いは1,000円札を3枚か、10,000円札を1枚のいずれか ・どちらの支払い方法を取るかは50%の確率 ・おつりは全て1,000円札で支払う ・サークルのメンバーは15人 など 目的に合わせて、妥当な仮定・条件を設定しよう!

第2回のレポート 今回のシミュレーションを参考に、オリジナルのつり銭問題のモデルを考えてください。 金額、人数、お金の種類などを変更したり、支払いの確率を変更するなど、調べてみたい目的とともにモデルの概要を記入してください。 時間的余裕があれば手作業でシミュレーションをおこない、結果も記入してください。 次回はノートパソコンを使用します。 しっかり充電したうえで持参してください(ノートPCをお持ちでない場合はなくても構いません)