社会福祉調査論 第7講 量的調査でのデータの準備

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社会福祉調査論 第7講 量的調査でのデータの準備 社会福祉調査論 第7講 量的調査でのデータの準備 11月30日

第7講 量的調査でのデータの準備 【目標】  変数について理解する。  調査票回収後の手続きについて知る。

【構成】 1.変数 2.回収後の作業 3.個人情報の取扱い

1.変数 ①変数の意味 ・役割 理論 従属変数と説明変数の関連の仮説的言明 調査の積み重ねは、明確に定義した変数を共通して使うことが前提

調査の研究課題 「 分析単位間で共時的あるいは通時的に、なぜ従属変数の値が異なるのか」

共時的関係

通時的関係

設定  変数をできるだけ明確に定義し、 妥当性、信頼性を高める。 ・相互背反的で全てを尽くしたカテゴリー ・残余カテゴリー ・カテゴリー分類が困難な変数は 複数次元の可能性

②尺度 教科書3-4-1 p77- 属性データ C;Categorical Data 質的データ 計数 数える(COUNT)    質的データ    計数  数える(COUNT) 数値データ N;Numerical Data    量的データ    計量  加える(SUM)

スチーブンスの4種の尺度 名義尺度 nominal scale 単なる分類(変数の各値が独立し相互関係がない) カテゴリカルデータの典型 序数尺度 ordinal scale 推移律の適用が可能 距離尺度 interval scale 分散(散らばり度合い)の計測が可能 比例尺度 ratio scale 原点(0点)を持ち多様な数値解析が可能

質的データの数量化 (計量可能変数への転換) 名義尺度が2分類であれば、1,0とする。 序数尺度を順に1,2,3,4,5などに置き換える。 名義尺度にコードを付ける → コード化

恣意的数値化(点数化) ・任意尺度 文章尺度 文章表現により恣意的に付与 社会的距離尺度 ・間接・直接測定 間接:判定者の主観的な判断 直接:回答者の判断 個体値の入手 多様な工夫がありえ得るが、作られた尺度の妥当性・信頼性に疑問がつきまとう 内的一貫性 一次元性の確認

量的データのカテゴリー化 階層区分を設定する     層毎に数える

③尺度化 尺度づくり ガットマンの技法 尺度分析 リッカートの技法 項目分析 サーストンの技法 等間隔尺度法 ガットマンの技法 尺度分析 リッカートの技法 項目分析 サーストンの技法 等間隔尺度法 ※「要介護度」も意図的に作成された尺度

要介護度 要介護度5 最重度の介護を要する状態です。具体的には、以下などの状態をいいます。 ・生活全般で、全面的な介護が必要 ・自分の力で食事や排泄ができない ・意志の伝達が困難 ・多くの問題行動や理解力の低下がみられることがある ・歩行や両足での立位保持などの動作がほとんどできない

要介護度1 部分的な介護を要する状態です。具体的には、以下などの状態をいいます。 ・日常の動作全般にわたって不安定で、物忘れもみられる。 ・立ち上がりや歩行が不安定である ・食事や排泄はだいたい一人でできる ・身だしなみや居室の掃除などの身の回りの動作になんらかの介助や見守りが必要

介護度の判定基準の作成手順 ①個々の判定基準の列挙 ②多くの高齢者での判定 ③判定基準の序列化、高齢者の序列化      (一方向の記述にしておく) ④区別の明確な判定基準の選別 ⑤介護度判定境界の設定

ガットマンの技法 尺度分析 判定者とその項目別判定内容から項目の序列を整理  ・特定テーマで深さの異なる様々な質問項目を作成     例えば、近隣関係の親さ       顔を見知っている       冠婚葬祭のお付き合いをする       一緒に旅行に出かける  ・はい、いいえの回答を求める  ・判定者の総得点を集計する  ・得点の高い準に判定者を並べる  ・各項目の回答が「はい」から「いいえ」に変わる               カッティング・ポイントを見出す カッティング・ポイントの位置が各項目の持つ尺度となる

リッカートの技法 項目分析 明確な判定をする判定者の判定から、尺度となる項目を選択  ・特定テーマでの様々な質問項目を作成     例えば、服装の規範      Tシャツで一流ホテルに食事へ      職場では周囲の人と同じような服装をする      年配のものは地味な服装をする  ・序列の回答を求める      非常に重要~・・・~まったく重要でない  ・判定者毎の総得点を集計する  ・上位、下位それぞれ25%の人を判定グループとする  ・各判定グループで異なる回答がでる項目を排除する  ・残った項目を尺度として利用する

サーストンの技法 等間隔尺度法 各項目の間隔が等間隔になるように、多数の項目の中から項目を取捨選択 ・特定のテーマに関する態度の項目を作成する   例えば、離婚への態度    あらゆる和解への努力が失敗した場合に離婚を認める    離婚は不名誉なことである    離婚は当事者の意思で認めても良い  ・判定者は、各項目を一定の尺度の上に乗せる    例えば、最も肯定的~・・・~中立~・・・~最も否定的  ・各項目について尺度の片方からの累積出現度数を計算し、 その中央値を尺度とする  ・四分偏差の大きい項目は除く

④調査票調査で入手できる変数 単数回答(SA) 複数回答(MA) 数量回答 文字回答

単数回答(SA) 二項目選択 多項目選択 カテゴリの並びに「順序なし」 カテゴリの並びに「順序あり」 数値回答の階層(分布の範囲) 段階評価    カテゴリの並びに「順序なし」    カテゴリの並びに「順序あり」       数値回答の階層(分布の範囲)       段階評価         中央あり         中央なし

複数回答(MA) 無制限法 幾つでも 制限法   幾つまで MA&SA  幾つでも&最大のもの1つ

数量回答 順位回答     完全順位  すべてに付ける     一部順位  上位幾つかを付ける 数値回答

2.回収後の作業             教科書3-3-2 p73- ○従来の方法 エディティング → コーディング → 入力(デジタル化) (コーディングシートへの転記 今日では2度手間) (読み手、入力手の分担もかえって)

○今日的方法 まずデジタル化 調査票のデザインに注意

①調査票のナンバリング 

②入力 入力規約 グループ作業では不可欠    欠陥値対応 セルの着色         無回答、異常値     幅のある回答     SAでの複数回 →学生生活アンケート

入力方法     表の固定※     入力方向の工夫※     項目群の色塗り※     テンキー利用※     マルチアンサー 複数桁の数値    自由記述(文字回答) 文字列のコーディング    状況に応じて手順を決める(別途入力)

③エディティング 論理矛盾点検 ※IF 非該当者、非一貫性 非指定値点検 ※VLOOKUP 異常値点検 外れ値 ※MAX、MIN ③エディティング   論理矛盾点検  ※IF    非該当者、非一貫性 非指定値点検  ※VLOOKUP 異常値点検 外れ値   ※MAX、MIN ブランク消去 ブランクを不用意に入れないこと →学生生活アンケート

分布点検   既知の属性との比較   選択肢 不要選択肢の発見

3.個人情報での留意 教科書3-3-2 p74- 調査票ID シート番号 個人特定と切り離す 調査票ID シート番号   個人特定と切り離す 変数内容から個人が特定できる場合   分離   秘匿に留意 XXX (郵送調査では、返信用封筒に通し番号)

時間末課題 要介護度の尺度を作る手順をあなたなりに考え、述べてぐたさい。