21世紀の自然科学 『エネルギーと熱』 第4部 原子力エネルギー 正確に理解するための最小限の材料を提供し、私の意見は最後に話します。

Slides:



Advertisements
Similar presentations
物理化学 福井工業大学 工学部 環境生命化学科 原 道寛. 物理化学: 1 章原子の内部 (メニュー) 1-1. 光の性質と原子のスペクトル 1-2. ボーアの水素原子モデル 1-3. 電子の二重性:波動力学 1-4. 水素原子の構造 1-5. 多電子原子の構造 1-6.
Advertisements

オーロラの話. NZL でのオーロラ 北海道 ミネソタミネソタ 2015 年 10 月 7 日- 8 日.
X線で宇宙を見る ようこそ 講演会に 京大の研究
花火って何? 花火とは火薬を用いた光(色)と音の エンターテイメント 参考)大曲花火競技会.
僕らの原子力 ~近代科学の光と影~.
原子核物理学 第3講 原子核の存在範囲と崩壊様式
電磁気学C Electromagnetics C 7/27講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
物質量 原子量・分子量・式量.
このパワーポイント教材をスライドショー として使うときの注意
自然放射能と人工放射能の違い 内部被曝と外部被曝の違い
物理化学(メニュー) 0-1. 有効数字 0-2. 物理量と単位 0-3. 原子と原子量 0-4. 元素の周期表 0-5.
東北地方太平洋沖地震と原発事故 福島第一原子力発電所の事故について.
実習B. ガンマ線を測定してみよう 原子核・ハドロン研究室 永江 知文 新山 雅之 足立 智.
放射線.
α α 励起エネルギー α α p3/2 p3/2 α α 12C 13B 12Be 8He α α α
御国の光の作り方 明治大学2年 星野浩樹.
金箔にα線を照射して 通過するα線の軌跡を調べた ラザフォードの実験 ほとんどのα線は通過 小さい確率ながら跳ね返ったり、
W e l c o m ! いい天気♪ W e l c o m ! 腹減った・・・ 暑い~ 夏だね Hey~!! 暇だ。 急げ~!!
基盤科学への招待 クラスターの不思議 2005年6月3日  横浜市立大学 国際総合科学部  基盤科学コース 野々瀬真司.
放射線の基礎と原子力防災 平成20年10月7日 於福島県広野町 原子力有識者 石井正則 MI
 突然ですが、質問です・・・  「ヒバク」という漢字、二通りで書けますか?.
物質(人体含む)が吸収した放射線のエネルギー
エネルギー資源とエネルギーの分類 ウラン <エネルギーの源> <エネルギー> <生活に使っている物> 天然ガス 火力 小水力 地熱 石油の
Fe Ag Au C O 陽子と中性子:原子核内でバランスよく存在する Q : Biって中性子の方が多くね? 安定な原子核の例 陽子だけだと
代替エネルギー源について 作成者:Welasha、Morgan、Jennifer
高エネルギー加速研究機構 放射線科学センター 波戸芳仁
山崎祐司(神戸大) 粒子の物質中でのふるまい.
大きな数と小さな数の 感覚的理解 北村 正直.
平成19年度 エネルギ変換工学 第3回 核分裂と原子力発電の仕組み 2006S09 高橋 昌希 2007S05 小島 泰明 監修  木下 祥次.
身の回りの放射線 今日の内容 1.原子炉とは何をしているの?(発電所の原理) 2.原子とは?原子炉から何が飛び出した?
サフラニンとメチレンブルーの 酸化還元反応を利用
放射線(エックス線、γ線)とは? 高エネルギー加速器研究機構 平山 英夫.
ウラン 例:閃ウラン鉱 UO2 (U238) 放射性のU235を0.7%含む。 六フッ化ウラン(液体、気体)→ 遠心分離法かガス拡散法で濃縮
身の回りの放射線 今日の内容 1.なぜ今、放射線を勉強。(発電所の原理、どの部分が原子炉)ー 実験
原子核 atomic nucleus (陽子+中性子) 電子 electron e e- b線 陽子 proton H+
放射線 物質を電離するエネルギーを 持つ微粒子または電磁波 放射能 放射線を出す能力 放射性物質 放射線を出す物質
核燃料サイクルとは何か ウラン 軽水炉 使用済み核燃料 高レベル 放射性廃棄物     再処理 プルトニウム 高速増殖炉 プルトニウム.
放射線の基礎 このPPT教材のコマ数は大目に作成してあります。授業で利用する場合、不必要画面は削除するか早送りし、必要な資料は追加して、
●電極での化学変化 電子が移動するから 電子が移動するから 電流が流れる! 電流が流れる! 水素原子が 2個結びつく
原子核物理学 第4講 原子核の液滴模型.
酸化と還元.
食の安全ナビ検定 小中学生・消費者編 の解説
加熱する.
加熱する.
電磁気学C Electromagnetics C 7/17講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
体内、食物中の自然放射性物質 ●体内の放射性物質の量 カリウム40 4,000Bq 炭素14 2,500Bq ルビジウム87 500Bq
水素核融合炉 7MeV/n.
星の進化と元素の起源 -我々はどこからきたのか-
原子核・ハドロン物理学研究室 オープンキャンパス
科学概論 2005年1月20日
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 8/11講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
最近の宇宙マイクロ波背景輻射の観測 銀河の回転曲線 回転曲線の測定値 NASAが打ち上げたWMAP衛星が観測
モル(mol)は、原子・分子の世界と 日常世界(daily life)をむすぶ秤(はかり)
近代化学の始まり ダルトンの原子論 ゲイリュサックの気体反応の法則 アボガドロの分子論 原子の実在証明.
4号機の使用済み核燃料移動.
今後の予定 7日目 11月12日 レポート押印 1回目口頭報告についての説明 講義(4章~5章),班で討論
教養の化学 第4週:2013年10月14日   担当  杉本昭子.
原子核・ハドロン物理学研究室 オープンキャンパス
電子システム専攻2年 遠藤圭斗 指導教官 木下祥次 教授
2・1・2水素のスペクトル線 ボーアの振動数条件の導入 ライマン系列、バルマー系列、パッシェン系列.
課題研究 P4 原子核とハドロンの物理 (理論)延與 佳子 原子核理論研究室 5号館514号室(x3857)
原子核物理学 第6講 原子核の殻構造.
小出裕章公開講座・松本、第2回  2017年6月28日(水)
「大阪大学レーザーエネルギー学研究センターの共同利用・共同研究拠点化」に向けた要望書・意見書のお願い
スーパーカミオカンデ、ニュートリノ、 そして宇宙 (一研究者の軌跡)
発電方式別の二酸化炭素排出量
教養の化学 第3週:2013年10月7日   担当  杉本昭子.
放射線クイズ 11311028 柴田拡.
新エネルギー ~住みよい日本へ~ E 山下 潤.
Presentation transcript:

21世紀の自然科学 『エネルギーと熱』 第4部 原子力エネルギー 正確に理解するための最小限の材料を提供し、私の意見は最後に話します。

物質の構成 元素(element): 物質を構成する基本的要素の種類 原子(atom): 各元素の構造の最小単位 水素,酸素,炭素,...カルシウム,...鉄,鉛,...ウラン,... 元素記号: H, O, C,… Ca,… Fe, Pb,… U,… 原子(atom): 各元素の構造の最小単位 大きさ:  『 パチンコ玉 : 鉄の原子 = 地球 : パチンコ玉 』 分子(molecule): 様々な物質の構造の最小単位             いくつかの原子の結合したもの

化学反応(化学エネルギー) 分子を構成する原子の組み替えがおきる現象 酸化反応: ほとんどの場合、発熱する。 『水素爆発』 水素原子 水素分子 + 酸素分子              水の分子 酸素原子 炭素原子 メタン(天然ガス) + 酸素            炭酸ガス + 水  酸化反応: ほとんどの場合、発熱する。 燃焼(爆発) 激しく反応 『水素爆発』 鉄がさびる: これもゆっくりとした酸化反応 → ホカホカカイロ 燃料電池: 水素の酸化反応をゆっくりと起こさせ、電気エネルギーに変える。

原子の構造 (原子核と電子) 水素原子の原子核(陽子) 電子: 負の電気をもつ粒子 原 子 原子 : 原子核 = 教室 : パチンコ玉 原子の構造 (原子核と電子) 水素原子の原子核(陽子) 正の電気をもつ粒子 電子: 負の電気をもつ粒子 (電気量は符号はちがうが同じ大きさ) 電子は核の周りで広がった存在に近い。 原 子 原子 : 原子核 = 教室 : パチンコ玉 電子はさらにその1000分の1以下 (大きさも質量も)

X 原子核の構造 核子 A Z 水素 ヘリウム 核子の数 A : 質量数 陽子の数 Z : 原子番号 X=元素記号 電子の数は陽子の数と同じ 陽子 p 核子 中性子 n: 陽子と大きさ・質量は同じで電気的には中性  1 42 63 23 11 水素 ヘリウム 16 _8 リチウム ... 酸素 ... ナトリウム X A 核子の数 A : 質量数 陽子の数 Z : 原子番号 Z X=元素記号 電子の数は陽子の数と同じ 陽子の数で電気量がきまり、周りを回っている電子の数も決まる。→ 元素の化学的性質を決定する。

金属  原子核の周りにある電子のうち、外の方を回っている電子は原子から離れやすい。                             この性質をもつ原子が固体を作ると、これらの電子(自由電子)が固体の中を自由に動き回れるようになり電流を運ぶ。 電流 電圧(発電機) 電気エネルギーの利用のほとんどはこの電流から出発する。 発熱作用(電熱器、光源)、 磁気作用(モーターなどの動力利用) (電子そのものの利用: エレクトロニクス)

核融合エネルギー(太陽、水素爆弾) 宇宙の始まり → クォーク → 陽子 電子 中性子 最初にできる元素が 水素 太陽などの恒星 (基本粒子)   物質粒子の形成(ハドロン) 宇宙の始まり  →  クォーク  →  陽子               電子            中性子 クオーク (レプトン) グルオン 陽子 陽子 (正の電気どおしでも結びつく) 自己重量 最初にできる元素が 水素 太陽などの恒星 重力によって凝縮されて陽子が密集すると結合するようになり、核融合反応がおき始める。 核融合反応: 水素など小さい原子核が融合して大きな核になっていく現象

銀河と星の誕生 ハ ド ロ ン 最初は 水素ガス が球状に集ってくる。 自己重力によって収縮し、水素原子が凝集して星ができ始める。

核融合 4 H He H H He H Li + n He 比較的軽い元素がぶつかって融合し、より大きな元素になる。 11 太陽(恒星) 太陽(恒星)  4 H 42 He + 2e+ 『陽電子』 (正の電子) 水素爆弾 21 31 42 H H He + n + 重水素  3重水素 (普通の水素より中性子の数が多い) 重水素は天然(海水)に 0.015% 存在 3重水素はリチウムから製造する: 63 31 H 42 Li + n He + 超高温状態(プラズマ状態)でないと融合反応が起きない。

核融合反応のエネルギー 『水素爆発』は? 1gの水素 から、2.4×109 kJ = 5.7×108 kcal 約1000トンの水が沸騰(気化)する。 cf 水素の燃焼熱 (あるいは燃料電池)  = 1 g で 142 kJ (34 kcal) = 核融合エネルギーの 1700万分の1   → 17 トン 必要 『水素爆発』は? 原子炉の高熱と放射線により水の分子が分解して発生した水素ガスが燃えた化学反応 太陽の莫大なエネルギー源 人工的には、水素爆弾(制御する必要なし)として実現されたが、 制御可能な核融合炉は実現できていない。「人工の太陽」

原子力エネルギー(核エネルギー)の話 核融合反応によってできる物質は鉄や鉛などの金属で安定するが、さらに大きな元素は不安定。 (はじめに) 核融合反応によってできる物質は鉄や鉛などの金属で安定するが、さらに大きな元素は不安定。 また同じ元素でも中性子の数が異なる核(同位元素、アイソトープ)で不安定なものが存在する。 様々な放射線を出して崩壊し安定な核になる。(自然崩壊) またわずかな刺激で分裂して小さい核になる。(核分裂) 理解に必要な基礎概念 (1)同位元素、自然崩壊、半減期 (2)放射線、放射能、放射性物質、(ベクレル、シーベルト) (3)核分裂、原子炉、臨界(未臨界)、(増殖炉)...

C C C 同位元素(アイソトープ) C → N + e 原子番号(陽子数)Zが同じで、質量数Aが異なるもの 大気中 (したがって中性子数が異なるもの)を 同位元素 という。 水素の仲間 : p 水素   pn 重水素  pnn 3重水素 12_6 C 炭素の仲間 安定: 自然界で98.9% 13_6 C 比較的安定: 自然界で1.1% 14_6 C 放射性同位体 ごく微量、半減期 5730年 大気中     N + n(太陽宇宙線 )  →  C  +  p    C  →  N  +  e 14_7 14_6 14_6 陽子 14_7 - 電子

R(t) = R(0)×(0.5)t/τ (半減期 τ) 非放射性元素(窒素) R(t) = R(0)×(0.5)t/τ  (半減期 τ) 自然崩壊によるC14の比率の減少 半減期 5730 11460 17190 年

放射線: 放射性物質から出る高速粒子線 n → p + e (β線=電子) 放射性物質 α線 ヘリウム原子核 放射線: 放射性物質から出る高速粒子線 α線  ヘリウム原子核 β線  電子であるが、高速(運動エネルギーの大きいもの)は人体に害を ___ 及ぼす γ線、X線  電磁波  細胞、遺伝子(染色体)を破壊する。          → ガンを誘発。            逆にガン細胞をねらいうちすることで治療にも利用される。   (ガンマ) (中性子線)  強いものを一時に浴びると危険であるが、半減期が短い。 質量が陽子とほぼ同じで、電気的には中性の粒子 n →  p + e (β線=電子) 半減期 = 12分 放射性物質 天 然: ラジウム、ラドン、ウラン 、...その他、微量な放射性同位体 原子炉廃棄物: ヨウ素131、セシウム137、ストロンチウム90などの放射性同位体

放射能の強さの表し方 ベクレル = 放射線源の強さを表す 「光源の明るさ」 ベクレル = 放射線源の強さを表す       「光源の明るさ」 1秒間に1個の原子核が崩壊したとき出る量が1ベクレル 「ある放射性物質 1kg からこれこれの量 」 という形で放射量を表す。 グレイ = 体が吸収した放射線量を表す。 (体重1kg    _______ あたりで吸収した放射線のエネルギー総量)  「1時間あたりに これこれ」 という言い方で 強さ を表す。 「紙面の明るさ」 べ ク レ ル 吸収量 グレイ   (シーベルト) 離れるほど弱くなる。

(注意) 同じ強さ(ベクレル)の放射線源であっても、 (注意) 同じ強さ(ベクレル)の放射線源であっても、    (1) そこからどれだけ離れていたか、    (2) どれくらいの時間にわたって被曝したか、    (3) 出された放射線がどのような種類のものか、 によって体組織が受ける影響は違ってくる。 シーベルト: 放射線の種類や粒子の速さによって体組織に与える効果が異なるため、定められた重率をかけて換算する。(←これが 『各種貨幣の枚数と総額の関係』 のたとえ) 放射線の強さを表すときには 「1時間あたり○○シーベルト」 と言うのに対し、被曝による身体への影響は、これに被曝時間をかけた被曝総量(シーベルト)で表す。 (例) X線(レントゲン)撮影による被曝 1回あたりの被曝総量は 0.2ミリシーベルト 程度(年間自然被曝量の 1/10 程度)である。 放射線としてはかなり強いが被曝の時間が短いため、この程度になる。

内部被曝: 体内に入った放射性物質からは、離れるわけにはいかない! 内部被曝: 体内に入った放射性物質からは、離れるわけにはいかない! 例:汚染された野菜  = 放射線源(ベクレル)   体が受ける放射線の強さ(時間あたりシーベルト)は、線源からどれだけ離れているかによるが、放射能で汚染された野菜が食物として体内に入った場合には、体外に出て              行くまでの時間の間に体の組織にどれだけ               影響を与えるかを考慮して、シーベルト               (被曝総量)に換算して表すことができる。              ただし、この場合でも、汚染された野菜なら              「何kg食べたら」、水や牛乳なら 「何リットル                飲んだら」 という形で線量を表す。    出された放射線(ベクレル)は全部、体の組織を通過する。

K K C C K 自然放射線量 自然内部被曝 (通常時の食物による摂取) 1マイクロ=1000分の1ミリ 自然放射線量 通常でも空や大気、鉱物などから1年間で 1~2ミリシーベルト (1時間あたりにして 0.2マイクロシーベルト) 程度の放射線を受けている。この平常値は国や都道府県によって異なるが、 事故における人為的被曝の危険性を判断する目安 になる。    自然内部被曝 (通常時の食物による摂取) 3819 K 4019 K の同位元素 0.01%,半減期 12.5億年、γ線 12_6 C 14_6 C の同位元素 ごく微量 半減期 5700年 4019 K 1kg の野菜(ほうれん草)で        は 約200ベクレル 体重60kgの体内には 約3300ベクレル が恒常的に蓄積されている。

「半減期が短いものは安全なのか?」 「ヨウ素剤について」 No! 同じ量なら、出される放射量(時間あたり)は、むしろ強い。 比較的短い期間で非放射物質に変わるから、しばらく避難しておれば安全になるということ。半減期が長いものは、いつまでも放射を続ける。(除染が必要) 「ヨウ素剤について」 ヨウ素は体の中の必須元素の一つであり、体内に吸収されやすい(特に甲状腺)。そこで、放射性のヨウ素131(半減期=8日)に曝される危険があるときは、あらかじめ安全な普通のヨウ素を十分摂取して満杯にし、それ以上に吸収されにくい状態にしておけばよい。

自然放射能 と 人工放射能 出される放射線の種類や危険性は同じであるが、自然界の放射性物質は、人類、生物が何十万年もかけて耐性を得て適応してきた。 これに対して原爆や原子炉で人為的に発生する放射性物質は生物にとっては未体験の新たな物質であり、これに対する耐性はできていない。 ヨウ素135やストロンチウム90のように体に必要な元素の放射性同位体やカルシウムに置き換わるものは、取り込まれ蓄積されやすいという危険性がある。 微量放射線の影響についてはまだ定説はない段階であるが、以上の理由から人為的放射性物質はゼロ(ND)であることが望ましいことは言うまでもない。

U U (原子力エネルギー) H He C N O 質量数 Z の大きい元素は、比較的不安定 → 核分裂 人工核分裂   1938 ハーン(独) ウランの分裂に成功          1941 フェルミ等(米) 連鎖反応に成功           1945 広島、長崎に原子爆弾 陽子数  Z    中性子数 A-Z 例 ウランの仲間 238_92 重い元素 中性子が過剰 A > 2 Z U 99.3%  安定 濃縮 235_92 U 0.7%  放射性、半減期 7億年 Cf 軽い元素 A=2 Z p と n が同数 11 H 42 He 12_6 C 14 _7 16_8 N O

U Sr + Xe Ba Kr + I , Cs 原子炉 熱 放射性廃棄物 連鎖反応: 発生した中性子を水で減速して再度燃料にぶつける 沸騰水型、加圧水型 (分裂による生成物) 発 電 ウラン 中性子 ストロンチウム キセノン 235_92 U 9438 + n →  Sr + 140_54 Xe + 2n ↑ 二次冷却水 クリプトン バリウム 89_36 Kr +  144_56 Ba + 3n ↑ 熱交換 ヨウ素 セシウム 熱中性子 ↑ 131_53 I ,  Cs 137_55 連鎖 熱 → 一次冷却水 放射性廃棄物 ガンマ線 原子爆弾 連鎖反応: 発生した中性子を水で減速して再度燃料にぶつける         ことにより、次々に分裂反応が起きる。

熱 物が燃える のも同じように連鎖反応である。 燃料を分散して隔離すればよい。 燃えるには気体になる必要がある。 可燃ガス になって燃える 物が燃える のも同じように連鎖反応である。 燃えるには気体になる必要がある。 可燃ガス になって燃える 熱 蝋が融けて蒸発 この連鎖を断てば、火は消える。 江戸の火消し = 隣家の破壊作業 燃料を分散して隔離すればよい。

臨界量 : この有効中性子数が1以上になると、 連鎖反応: 発生した中性子が再度ウランにぶつかる         ことにより、次々に分裂反応が起きる。 中性子 ↓有効中性子(別のウランにぶつかる中性子) 臨界量 : この有効中性子数が1以上になると、         連鎖反応が起きる。          (例えは悪いが、インフルエンザの流行に似ている。) 燃料の大きさがある限界を超えウラン原子が接近すると、発生した中性子が、外へ出る前に別のウランにぶつかり、連鎖反応が起きるようになる。

未臨界 制御棒 臨界 燃料棒 停止 炉 臨界に達すると連鎖反応が始まる。 この密度ではまだ、連鎖反応は起きない。 中性子 この密度ではまだ、連鎖反応は起きない。 制御棒が中性子を吸収し、連鎖反応が止まる。 臨界に達すると連鎖反応が始まる。

(メルトダウン) 蒸発 せっかく未臨界になって停止しても、冷却機能が止まる と燃料棒が熱により融けて大量に集まることにより 冷却水 燃料棒はまだ熱い。(余熱+放射性物質の崩壊) せっかく未臨界になって停止しても、冷却機能が止まる と燃料棒が熱により融けて大量に集まることにより 冷却水 蒸発 再び臨界に達して、連鎖反応が始まる。

U U U Np Pu Pu 高速増殖炉 倍増! 新たな燃料 注:天然にはU235はわずかの濃度でしか含まれない。 _ 大部分を占めるU238は燃料にはならない。 高速増殖炉 通常の原子炉 水で減速して連鎖反応 235_92 U + n →  放射性元素+数倍の n 放射性プルトニウム= 原子炉の生成物    一部は 非燃料 238_92 U 239_92 U 239_93 Np 239_94 + n →  Pu 23分 2.4日 β崩壊 倍増! 従来は核兵器に使用 新たな燃料 残りは + n → 分裂核種 + 3n   Pu 239_94 1個あれば連鎖反応の臨界 減速しない高速中性子が必要: このため、一次熱交換に液体ナトリウムを使う。(これが水に比べて危険物)

> 発熱 原子力エネルギーはどこから出てくる? cf 化学反応(たとえば燃焼、酸化反応) H2O H2 H2 化学エネルギーの差 O2 cf  化学反応(たとえば燃焼、酸化反応) H2O H2 H2 化学エネルギーの差 > O2 H2O 化学エネルギー = 分子のエネルギー H2分子 原子核ー原子核 ー + 原子核ー電子    の電気的位置エネルギー    + (結合エネルギー)  ー 電子ー電子

U Ba+ Kr 原子核反応のエネルギーは 質量(差) で表される。 核反応エネルギー = E = m c2 原子核反応のエネルギーは 質量(差) で表される。 光速 核反応エネルギー = (原料の総質量 - 生成物の総質量)×c2 『質量欠損』 E = m c2 ウラン バリウム クリプトン   中性子 235_92 U + n →  144_56 Ba+ 89_36 Kr + 3n (235.0439u + 1.0087u) – (140.9139u + 91.8973u + 3×1.0087u) = 0.2153u 1u = 普通の炭素原子の質量の1/12 = 1.66×10-27 kg 235.0439 : 0.2153 = 1 : 0.00092 ウラン235 1 g から 0.00092 g の質量欠損 = 830億  J(ジュール)のエネルギー   ( c = 3.0×108 m/s) = 2 TOE (石油換算トン) :化学的エネルギー = 200億 カロリー  = 約40 トンの水が沸騰(気化) する。

日本国内の平均発電量 = 約1.2 億キロワット (*) 日本国内の平均発電量 = 約1.2 億キロワット (*) (1秒あたりのエネルギー生成あるいは消費量) 3600秒×24時間 倍して 1日あたり平均発電量 = 1013 キロジュール                = 20万 TOE(~小型タンカー1隻に匹敵)                 = ウラン235 100 kg (消費量) (~サッカーボール大) (*)現在、日本国内の原子力依存度は 約25% と言われている。 原料 『イエローケーキ』 「放射能発生域」 (X線なども含む)

なぜ原発か?(設置者側の主張) 化石燃料の枯渇。 (最近の論調) クリーン=「CO2を出さない」 しかしぃ.....使用済み燃料は?    建設費用、ランニングコストが安い。   化石燃料の枯渇。 (最近の論調)   クリーン=「CO2を出さない」   しかしぃ.....使用済み燃料は? いったん事故が起きると深刻な災害となる:    近隣住民の 「生存権」 の侵害が起きている。    国(=国民)による費用負担 「決して安くない」    原発事故は最高級の公害・環境汚染 自然エネルギー(太陽光、風力など)は採算がとれないのか?