ノロウィルス食中毒対策と食肉の管理 岩手大学・盛岡大学 品川邦汎 Norovirus 今回、食肉情報出張講座で使用した図表の一部は、国立医薬品衛生研究所 衛生微生物部 野田 護先生から分与されたものも含まれており、深謝します。
科学的に説明可能リスクの大小で判断(客観的) 安全と安心 安 全 安全かどうかは科学的評価で決まる 科学的に説明可能リスクの大小で判断(客観的) 安 心 安心できるかどうかは心理的なもの 科学的な説明に限界 ゼロリスクの追求 (主観的) 安全な食品=安心できる食品への努力 (信頼・信用を高めることが重要)
問われる 安全性
食の安全問題のどこが問題か? ・ 人々が食のリスクについて、怖がり過ぎていること ー寺田寅彦ー ・ 人々が食のリスクについて、怖がり過ぎていること ー寺田寅彦ー 「ものを怖がらなさ過ぎたり、怖がり過ぎたりすることはやさしいが、正当に怖がることはなかなか難しい」 日経BP社:中野
食品安全基本法の基本理念 ①国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識の下に、必要な措置が行われること ②食品供給行程の各段階において、安全性を確保 ③国民の健康への悪影響が未然に防止されるようにすることを旨として、国際的動向及び国民の意見に十分配慮しつつ科学的知見に基づいて必要な措置が行われること
食中毒原因物質の分類 微生物・寄生虫 細菌 : 毒素型食中毒菌 食物内毒素型:ボツリヌス菌、黄色ブドウ球菌 細菌 : 毒素型食中毒菌 食物内毒素型:ボツリヌス菌、黄色ブドウ球菌 生体内毒素型:ウエルシュ菌、腸管出血性大腸菌 感染型食中毒菌:サルモネラ属菌、腸炎ビブリオ、 カンピロバクタージェジュニ/コリ、その他多くの菌 感染症型食中毒菌: コレラ菌、赤痢菌、チフス菌 リステリア・モノサイトゲネス ウイルス : ノロウイルス(小型球形ウイルス:SRSV)、 A型・E型肝炎ウイルス 寄生虫・原虫 : アニサキス、クリプトスポリジウム、クドア 化学物質 : ヒスタミン、農薬、重金属他 自然毒 植物性 : キノコ、山菜など 動物性 : 魚・貝毒貝毒などbika
食中毒事件の病因物質別の発生割合 2012年 事件数 患者数 2003年~2012年の平均 24% 49% 出典:厚生労働省食中毒統計を基に集計
食中毒の原因食品別発生数 原因食品 平成22年 平成24年 件数(%) 細菌性 ノロウイルス 件数(%) 細菌性 ノロウイルス 件数(%) 細菌性 ノロウイルス 件数(%) 細菌性 ノロウイルス 食中毒発生件数 1,254 1,159 399 1,100 419 416 原因食品判明件数 989(100) 38.5 36.5 911 31.5 41.9 魚介類 128 8.6% 44.5% 150 0.6% 30.7% 貝類 63 6.3 90.5 49 2.0 93.9 その他(フグ等) 65 5.3 0.0 101 0.0 7.7 魚介類加工品 8 25.0 12.5 14 14.3 0.0 肉類及びその加工品 80 97.5 1.3 51 96.1 0.0 卵類及びその加工品 7 71.4 14.3 6 100 0.0 穀類及びその加工品 13 61.5 38.5 16 62.5 37.5 野菜及びその加工品 104 1.9 1.0 71 4.2 4.2 菓子類 9 44.4 55.6 9 22.2 77.8 複合食品 79 55.7 40.5 74 32.4 54.1 その他 560 40.4 46.1 520 36.5 54.2 食品特定 19 31.6 36.8 23 17.4 30.4 食事特定 541 40.7 46.4 497 37.4 50.3 原因食品不明 265 75.1 14.3 189 69.8 16.9
年 件数・患者数 カンピロ(%) STEC ブドウ球菌 サルモネラ ウエルシュ菌 ノロウイルス 食肉およびその加工品による食中毒 年 件数・患者数 カンピロ(%) STEC ブドウ球菌 サルモネラ ウエルシュ菌 ノロウイルス 20 件数 96 件 79(82.3) 6 4 2 1 1(1. 0) 患者数 1375名 793(57.7) 32 36 17 388 36 21 件数 91 件 74(81.3) 11 2 - 3 - 患者数 852名 608(71.4) 91 14 - 134 - 22 件数 80 件 57(81.3) 11 2 3 5 1(1.0) 患者数 873名 473(54.2) 24 20 44 277 25 * カンピロ : カンピロバクター , STE : 腸管出血性大腸菌
大規模食中毒事件 (2003~2012年) 年・月 場所 摂食者数 患者数 原因物質 原因施設 原因食品 年・月 場所 摂食者数 患者数 原因物質 原因施設 原因食品 2012,12 広島 不明 2,035 ノロウイルス 仕出し屋 不明(弁当?) 07,12 奈良 4,137 1,734 ノロウイルス 仕出し屋 不明(仕出し弁当 11, 2 北海道 2,758 1,552 サルモネラ 学校給食 サラダ(ブロッコリー) 12,12 山梨 3,775 1,442 ノロウイルス 仕出し屋 弁当 11,12 岡山 3,092 1,192 ノロウイルス 仕出し屋 不明 07, 9 静岡 9,844 1,148 サルモネラ 仕出し屋 不明(仕出し弁当) 11,12 大阪 2,569 1,037 ウエルシュ菌 その他 給食 07, 6 福島 1,706 905 サルモネラ 仕出し屋 弁当 07,5 東京 2,340 887 ウエルシュ菌 飲食店 弁当(エビとチリソース) 07, 1 鳥取 5,421 864 ノロウイルス 学校給食 和え物 07, 6 滋賀 8,555 862 ブドウ 球菌 飲食店 鮭の塩焼き 07,12 大阪 不明 801 ノロウイルス 仕出し屋 仕出し弁当 07,11 長崎 1,492 790 ノロウイルス 飲食店 レストラン食事 07,12 秋田 5,505 781 ノロウイルス 仕出し屋 不明(弁当) 11,11 岐阜 1,992 756 ノロウイルス 仕出し屋 不明(給食弁当 ) 09, 1 広島 不明 749 ノロウイルス 仕出し屋 不明(弁当)
ノロウイルスの命名 Caliciviridae科 Norovirus属 Norwalk virus 種 直径 38nm 球形ウイルス ノロウイルスの命名 1968年 オハイオ州ノーウオークの小学校で集団胃腸炎患者から分離 1980年代まで電子顕微鏡でしか検出できない(20~300mm) 小型球形ウイルス:SRSまたはノーウオーク様ウイルスと呼称 1997年(5月30日) 食中毒原因物質として「小型球形ウイルス:SRSV」と その他ウイルスを指定。 2002年 国際ウイルス命名委員会 命名 ノロウイルス(Norovirus) サポウイルス(Sap(p)ovirus) 2003年(8月29日) SRSVからノロウイルスと改正 Caliciviridae科 Norovirus属 Norwalk virus 種 直径 38nm 球形ウイルス
ノロウイルスの概要 人の小腸(上皮細胞)で増殖 食品中では増殖しない! 最も小さいウイルス 38nm 核酸(+RNA)と蛋白 細胞寄生性 38nm 核酸(+RNA)と蛋白 細胞寄生性 自己増殖能を持たない 人の小腸(上皮細胞)で増殖 食品中では増殖しない!
ノロウイルスの特徴 ① 大きさ : 極小 直径 約35~40nm ② 宿主 : ヒトの小腸上皮細胞のみで増殖 ① 大きさ : 極小 直径 約35~40nm ② 宿主 : ヒトの小腸上皮細胞のみで増殖 ③ 自然界での抵抗 : 抵抗力強く、自然界(乾燥状態)で比較的長期間 感染性保持 ④ 培養 : 培養できない、組織培養系は開発されていない ⑤ 構造 : 1本鎖のRNAを保有、変異し易い ⑥ ヒトの感染 : 宿主により感染、発症に差が大きい (不顕性感染)、健康体でウイルスを排出 : 発症、治癒(回復)後、2~1か月程度、糞便中に ウイルスを排出
ノロウイルスの特徴 ー物理化学的抵抗性ー 条件 抵抗性 ① pH : 酸に強く、胃酸に抵抗し、胃を通過する ① pH : 酸に強く、胃酸に抵抗し、胃を通過する (pH2.7, 3時間感染性を保持) ② 消毒 : ルコールが効難い(75%エタノール、30秒で1/10に) ③ 加熱 : 60℃, 30分加熱でも感染性保持 ④ 温度 : 低温ほど安定 液体;20℃, 2wで0.01~0.001%低下、4℃では1%しか減少 ⑤ 乾燥 : 室温で20日以上感染性保持 乾燥状態;20℃,3wで0.01%減少、4℃では55d程度掛か る ⑥ 凍結 : 不活化しない
ノロウイルスの概要 ●冬期に多発する。 ●乳幼児から高齢者まで感染する。 乳幼児の感染性胃腸炎の主な病原ウイルス、 全国3,000箇所の小児科からの報告では90万人/年の患者発生、食中毒の病因物質である。 ●ウイルスの増殖系(組織培養、動物)がない。 血清型、感染性等が不明である。 ● 遺伝子型多い 遺伝子診断法、酵素抗体 法等による診断法が完全ではない
ノロウイルスの感染経路は? 1) 汚染貝(二枚貝:かき)の生食(食・水系感染) 2) 食品取り扱い者(調理従事者, 食品製造者,など)が感染し, その人からの汚染食品の摂取. 3) 患者(糞便, 吐ぶつ)から, 手を介して汚染による(接触感染) 4) 家庭, 共同生活施設などで, 人同士の接触, ヒトからヒトの 飛沫感染など.吐物などの飛散による(塵埃感染) 5) ノロウイルス汚染井戸水、簡易水道水の消毒不十分による.
カキのノロウイルス汚染様式 汚水処理場 糞便・吐物 河川、海へ 1 カキの中腸腺に蓄積 カキの中では増殖しない
感染症の予防及び感染症患者に対する医療に関する法律 感染性胃腸炎 感染症の予防及び感染症患者に対する医療に関する法律 感染症法において5類感染症 (定点把握疾患:全国3,000か所の小児科定点) 症状 : 胃腸炎症状(腹痛,嘔吐,下痢)を呈す症候群 原因 : ノロウイルス(norovirus),ロタウイルス(rotavirus) サポウイルス(sapovirus), アストロウイルス(astrovirus) エンテロヴィルス(enterovirus) 発生時期 : 10月から増加、11月に急増、12月ピーク ~ 3月まで多発 ノロウイルス食中毒注意警報 : 感染性胃腸炎患者報告を基に発令
小児の感染性胃腸炎とノロウイルス集団発生の月別報告数発生状況(2002/03~2010/11シーズンの平均) ■ 不明 ■ ヒト-ヒト伝搬(疑いを含む) ■ 食品媒介(疑いを含む) ― 感染性胃腸炎 事件数(平均) 定点当たり患者数 出典 感染性胃腸炎患者数は、発生動向調査を基に集計。 集団発生報告数は集団発生病原体票のデータ(山下和予博士提供)を集計
わが国におけるノロウイルス食中毒事件数と患者数 平成 16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年 23年 24年 25年 事件数 277 274 499 344 303 288 399 296 416 328 (件) 患者数 12,537 8,727 27,616 18,520 11,618 10,874 13,904 8,619 17,632 12,672 (人) 死亡者 ― ― - ― - ― - - - - (人)
ノロウイルス食中毒の原因食品 原因食品 年次別事件数 平成16~22年 23年 24年 25年 原因食品 年次別事件数 平成16~22年 23年 24年 25年 事件数 2,384(平均 341) 296 416 328 魚介類 237 50 46 26 うち二枚貝 220(92.8%) 50(100) 41(89.1) 25(96.2) 魚介類加工品 5 3 - - 肉類とその加工品 6 - - - 卵とその加工品 2 - - - 乳とその加工品 - - - - 穀類とその加工品 19 1 6 4 野菜とその加工品 10 4 3 4 菓子類 28 - 7 6 複合食品(弁当類) 249 27 40 23 その他 1,549 182 282 245 うち食品特定 44 7 7 1 食事特定 1,505 175 275 244 不明 279 29 32 26
ノロウイルスによる食中毒の発生施設 食品取扱者事件
ノロウイルスの臨床 胃の運動神経の低下 嘔気・嘔吐 嘔吐は突然、急激に起きる ●主症状:小腸の炎症 下痢、腹痛 ●主症状:小腸の炎症 下痢、腹痛 胃の運動神経の低下 嘔気・嘔吐 嘔吐は突然、急激に起きる ●その他の症状:発熱、筋肉痛、頭痛 ●便 :水様性の下痢便、血便はない ●潜伏期:12~72時間 ●治癒 :1~3日後に治癒し、後遺症は残らない。 ●発病率:40から70%程度である
死 亡 率 イスラエル高齢者施設 2% アメリカ健康者 0.001% 日本 食中毒患者 0/56,969人 1 死 亡 率 イスラエル高齢者施設 2% アメリカ健康者 0.001% 日本 食中毒患者 0/56,969人 日本 高齢者施設 0.2%(12/5,371人)?
発症者と非発症者のふん便中のウイルス量 ウイルス量(log/g)
患者吐物のノロウイルス量 件数 log10 ウイルス量(コピー数/g)
パンによる食中毒事件の概要 項目 事例A 事例B 事例C 発生年月 2003年1月 2006年12月 2007年3月 原因食品・原因施設 パン委託加工工場で製造された「ミニきなこねじりパン](学校給食として提供) パン委託加工工場で製造された食パンおよび背割りコッペパン(学校給食として提供) パン委託加工工場で製造された黒糖パン(学校給食として提供) 病因物質 ノロウイルス (GII) 喫食者数/患者数 (発症率) 661/1,438 (46.0%) 366/1,440 (25.4%) 123/405 (30.4%) 感染経路 感染者がパンにまぶすためのきな粉と砂糖を混ぜ合わせる作業を素手で行った 不顕性感染していた従業員から他の従業員の手指が汚染され、焼成後のパンを素手で取り扱った 調理従事者は不顕性感染で、手袋を着用し、パンを箱詰め作業をしていた
仕出し弁当による大規模ノロウイルス食中毒事件 項目 事例1A 事例1B 事例1C 発生年月 2006年12月 2012年12月 患者数/喫食者数(発病率) 1,734/4,137(41.9%) 2,035/約5,200(39.1%) 1442/3,775(38.2%) 従事者の健康管理の把握 把握されていない。 記録はあるが、形骸化 調査時に作業者等に有症者がいたことが確認された 調理係、盛付係のみ自己申告で把握(下痢有症者が作業を継続していたが、体調不良に関する記録なし) 使い捨て手袋の着用 ○(盛付時) ○ ○(調理、盛付時) その他 作業場への入室時の手洗いは、トイレ内のものを併用 入室前の手洗いは励行されていない 調理場入室前の手洗い不十分(電解水による消毒、使い捨て手袋使用に対する過度の安心) トイレの清掃は実施、消毒は未実施 トイレの清掃、消毒は管理されていない 事前の十分な手洗いと適正な着用が大切
ノロウイルスの遺伝子型 ヒトに感染するノロウイルスの遺伝子 遺伝子群 GⅠ、 GⅡ、 GⅣ 食中毒、感染症の原因は主に GⅠ、 GⅡ 遺伝子群 GⅠ、 GⅡ、 GⅣ 食中毒、感染症の原因は主に GⅠ、 GⅡ 遺伝子型(Genotype) GⅠ : GⅠ/1~GⅠ/14 GⅡ : GⅡ/1~GⅡ/14 現在の主要な流行はGⅠ/4:他の型と比較して 変化し易く、新しい変異型が出現 変異型は検出年を冠して呼ばれる2004, 2006a
ノロウイルスによる感染性胃腸炎推定患者数(135万人) ノロウイルス感染症の発生状況 ノロウイルス感染者(数百万人) 乳幼児、小児の子供が中心 冬季を中心に一年中発生 無症状感染者もいる 発生動向調査等に基づく小児の ノロウイルスによる感染性胃腸炎推定患者数(135万人) 飲食店 ノロウイルス食中毒 患者数(約1万人) その他 旅館 販売店 仕出屋 病院 家庭 事業場 学校 製造所
二枚貝事例におけるウイルス検出状況 (北海道、2000.7~2010.12) 事例数(N=41) 検体数(N=232) 北海道立衛生研究所 吉澄志磨先生
輸入魚介類NV汚染状況 1 22% 20% 8% 15% 陽性率 67% 25% 40% 0% 19%
輸入魚介類の月別NV汚染状況 1 月 季節 (陽性率) 春期 (24%) 夏期 (12%) 秋期 (16%) 冬期 (24%)
食品取扱者事件 ノロウイルス 小腸 非加熱食品の調理
食品取扱者事例(北海道) 小学生用パン:800コピー、中学生用:1,400コピー/個のノロウイルス検出 従事者:きな粉と砂糖を素手で混合わせた 2003年1月 A町の小中学16校で発生 生徒および職員1,438名中661名が発症 疫学調査できな粉ねじりパンが推定された (他の食品は調理行程に加熱作業があり) 小学生用パン:800コピー、中学生用:1,400コピー/個のノロウイルス検出 遺伝子解析:従事者、患者、パンは同一
雑巾などの掃除道具、水道の蛇口、ドアのノブを介して、ヒトからヒトに感染 感染症(ヒトーヒト感染) 雑巾などの掃除道具、水道の蛇口、ドアのノブを介して、ヒトからヒトに感染 掃除道具 水道の蛇口 ノロウイルス ドアのノノブ
施設の拭き取り検査成績 場 所 コピー数(cm2) トイレの便座 520~15,000 手 す り 110~5,900 ドアーノブ 場 所 コピー数(cm2) トイレの便座 520~15,000 手 す り 110~5,900 ドアーノブ 120~270
ネコカリシウイルスの次亜塩素ナトリウムによる不活化 次亜塩素ナトリウムの濃度によるウイルス生存 5000ppm 0 1000ppm 0 500ppm 200 250ppm 200 100ppm 3000 (ウイルスコピー数は100,000) Doultree JC:J Hos.Infect.41:51,1999
ネコカリシウイルスの加熱温度による不活化 感染価log10 分 Doultreeら:J.Hos.Infect.41.51.1999を改変
ネコカリシウイルスの乾燥による不活化 日 (感染価 log10) Doultree JC:J Hos.Infect.41:51,1999を改変
ネコカリシウイルスのアルコールによる不活化 (感染価log10) 分 Gehrkeら:J.Hos.Infect.2004 ,56:49改変
身の周りの消毒 ドアーノブ、手すり等は200ppmの次亜塩素酸ナトリウムで湿す様に拭く 10分後 10分後 金属部分は水に湿したペーパータオル等で拭き、次亜塩素酸ナトリウムを拭き取る
ノロウイルスの特徴のまとめ 食品取扱者による食中毒事件、 集団感染の制御がなかなか困難 糞便や嘔吐物の中に大量にウイルス粒子が排泄される 回復した(症状が消えた)後も長期間(2~4週間)ウイルスの排泄 感染しても症状が出ない場合(不顕性感染)がある 不顕性感染でも糞便中にウイルス粒子を排出する 感染力が強く、10個~100個程度で感染・発病する 環境中で感染性を長期間生存し、なかなか不活化されない エタノールが効きにくい ウイルス粒子は小さく、除去が難しい 食品取扱者による食中毒事件、 集団感染の制御がなかなか困難
食中毒の予防-1 ●食材(ウイルスを持ち込まない) 二枚貝(カキの加熱用)は充分に加熱する 器具類は使用前後に消毒する 生食する生野菜、果物,は流通過程での汚染の危険性もあり、よく洗う 食肉、食肉製品では、食肉処理、加工段 階で汚染させない
食中毒の予防-2 ●調理人(ウイルスを広げない、付けない) トイレ、調理前には特に丁寧に手洗い 嘔吐、下痢の症状を有する時には調理しないことが望ましい。できないときに食品の加熱前のものに、制限する 症状が消失後も10日から1ヶ月間程度は加熱前のものに制限する ●患者の食器・調理品(ウイルスを殺す) 患者が使う食器は使い捨てのものにする 出来ない時には、一番最後に洗い、その後加熱する
ノロウイルスの予防 ● 付けない 予防の4原則(食品製造&調理施設) ● 持ち込まない ● 広げない 製造・調理人(手指)から汚染させない 予防の4原則(食品製造&調理施設) ● 持ち込まない 製造・調理施設にヒトと汚染食品(原材料)による持ち込みを防ぐ ● 広げない 製造・調理器具、製造・調理環境(ドアノブ、トイレ、ドア)に 汚染を防ぐ ● 付けない 製造・調理人(手指)から汚染させない ● 加熱する 食品の調理で中心部まで85~90℃,90秒以上加熱する
加 熱 処 理 二枚貝の内臓(中腸腺)にウイルスが存在 洗浄 ウイルスは除去されない 中心部まで85℃,1分間以上加熱 感染性は消失する 器具、食器、布巾、タオルも同様に加熱する ベット、畳、絨毯はアイロン(95℃以上)をかける
塩素消毒の方法 200ppm 1,000ppm 長野県作成
ふん便・吐物の処理 ふん便・吐物を処理の際に手、雑巾、バケツ、洗面所等を汚染する 感染拡大防止 ●処理する際にマスク、手袋をする ふん便・吐物を処理の際に手、雑巾、バケツ、洗面所等を汚染する 感染拡大防止 ●処理する際にマスク、手袋をする ●ペーパータオル等で拭き取る。散らばっている時にはペーパータオルを上から覆い、そのうえから次亜塩素酸ナトリウム(1,000ppm)をかける。 ●ペーパータオル等は市販の次亜塩素酸ナトリウム(1,000ppm)に5-10分間浸す ●床は200ppmの次亜塩素酸ナトリウムで湿す様に拭く 注意 塩素が発生するので窓等は開けておく
施 設 の 改 善 ●手洗い水道 施設の入所の入り口に設置する 自動とし、流水時間は10秒以上とする ●ドアー 自動、または足で開閉する ●トイレ 職員と客(外来者)とは別にする 便座洗浄式で、温風乾燥式が良い (自宅でも同様に設置が望ましい)
ノロウイルスによる感染症 ふん便.吐物: 大量にウイルスを排泄 症状が消えた後: ウイルスの排泄が続く ふん便.吐物: 大量にウイルスを排泄 症状が消えた後: ウイルスの排泄が続く 不顕性感染: 常にウイルスを排泄する危険性 感染力が強い: 10個程度で感染・発病 感染性を長期間維持: 不活化されない 物理、化学物質に抵抗: 不活化が難しい 遺伝子型: 多い、多くに感染=乳幼児~高齢者 獲得する免疫: 弱い、繰り返し感染 現代社会に生き残るウイルス
「食肉の安全確保」 1.食肉にするための家畜とは 馬、牛、豚、山羊、綿羊 2.食鳥肉とは 鶏、七面鳥、アヒル 2.野生鳥獣肉(ジビエ)とは 「食肉の安全確保」 1.食肉にするための家畜とは 馬、牛、豚、山羊、綿羊 2.食鳥肉とは 鶏、七面鳥、アヒル 2.野生鳥獣肉(ジビエ)とは 鹿、猪 カンピロバクター 食肉の危害要因 生物学的危害物質:サルモネラ、病原大腸菌 カンピロバクター、ウエルシュ菌 黄色ブドウ球菌他、k 原虫、寄生虫 牛肉:腸管出血性大腸菌 O157,26など 豚肉:サルモネラ 馬肉:住肉胞子虫
食品安全の重要性 食品衛生とは ー世界保健機構(WHO)ー 日本の食品衛生法 定義 「食品を消費するまでの、栽培、生産、加工、流通、 食品衛生とは ー世界保健機構(WHO)ー 定義 「食品を消費するまでの、栽培、生産、加工、流通、 消費の総ての段階で、安全に、栄養的に、完全に保つ ため必要な手段を講じること」 日本の食品衛生法 「食品、添加物、器具及び容器包装を対象とする 飲食に関する衛生)と定義 その目的として、 「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、 公衆衛生の向上及び増進に寄与すること」
農場から食卓までの安全確保 フードチェーン 生産段階 加工・流通段階 農林水産物 生産者 食品 消費者 農林水産省 厚生労働省 (生産行程における規制等) 連携 厚生労働省 (食品衛生規制等) 食品安全委員会 (人の健康に与える影響の科学的評価)
食鳥処理場での 食肉の安全確保対策の「三本柱」 食鳥処理場での 食肉の安全確保対策の「三本柱」 Ⅰ 疾病・異常肉の排除 食鳥検査法に基づき疾病(人畜共通感染症、家畜伝染病等)に罹患した家禽や異常肉が食用に供されないように排除する。 Ⅱ 微生物制御 食鳥検査法に基づき、処理業者は、家禽の処理工程で食肉の微生物汚染を防止するために衛生措置を講じなければならない。 (HACCPの概念による処理等) Ⅲ 残留有害物質排除 食品衛生法に基づき規格基準に違反する食肉が、食用に供されないように排除する。 (抗生物質、抗菌性物質、農薬等)
1 「食肉の安全確保対策」の三本柱 疾病・異常肉排除 疾病に罹患、あるいは異常が認められる 「食肉の安全確保対策」の三本柱 疾病・異常肉排除 1 疾病に罹患、あるいは異常が認められる 家禽=「食用に適さないもの」を「法律に基づき排除」
「食肉の安全確保対策」の三本柱 微生物 制御 2 食中毒等の原因となる微生物による食肉等の汚染を防止
2 カンピロバクター サルモネラ 病原性大腸菌 寄生虫、虫卵 各種ウイルス,etc. 「食肉の安全確保対策」の三本柱 糞便汚染 の防止! 微生物 制御 2 寄生虫、虫卵 糞便汚染 の防止! 病原性大腸菌 各種ウイルス,etc.
「食肉の安全確保対策」の三本柱 残留有害物質の排除 3 有害物質(抗菌性物質、駆虫剤、農薬等)が残留した 食肉等の排除
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