マッソントリクローム染色 (Masson trichrome stain)
目的 原理 膠原線維を選択的に染めることで、アザン染色と同じ目的である膠原線維と筋線維を染め分ける特徴をもつ。 核をヘマトキシリンで染め、細胞質を赤く、膠原線維を青く染める、3色染色とよばれる。 核がヘマトキシリンで染まっているか否かで得られる情報の差は大きく、迅速に染まることと同時にこの染色の特徴である。 原理 分子量の異なる一連のアニリン色素を用いての配合染色。 鉄ヘマトキシリンで核を染め、その後に拡散速度の大きい小色素分子(酸フクシン、 ポンソーキシリジン)が細胞の細網孔へ浸透し、次いで拡散速度の小さい大色素分 子(アニリン青)が膠原線維の粗構造に入り込み青色に染め出す。 アザン染色との違いは核が染まっているかどうか。
試薬 媒染剤 10%トリクロル酢酸水溶液 1容 10%重クロム酸カリウム水溶液 1容 ワイゲルトの鉄ヘマトキシリン液 10%トリクロル酢酸水溶液 1容 10%重クロム酸カリウム水溶液 1容 ワイゲルトの鉄ヘマトキシリン液 1%塩酸70%アルコール 1%酢酸水 1液 1%ビーブリッヒスカーレット 90ml 1%酸性フクシン 10ml 酢酸 1ml 2液 リンモリブデン酸 5g リンタングステン酸 5g 蒸留水 200ml 3液 アニリン青 2.5g 酢酸 2ml 蒸留水 100ml 教科書に載っているもの。
染色方法 1%酢酸水(5分) すばやく水洗、脱水、透徹、封入 脱パラ、蒸留水水洗 媒染(10~15分) 水洗(5分) ワイゲルトの鉄ヘマトキシリン液(5分) 軽く水洗 1%塩酸70%アルコールで分別 色出し、水洗(10分)後、蒸留水水洗 1液(2~5分) 軽く水洗 2液(30分以上) 軽く水洗 3液(5分) 軽く水洗
試薬(細胞組織) ブアン固定液(使用前に60℃に暖めておく) ヘマトキシリン Gomori-one-step-stain液 ピクリン酸 37.5ml ホルマリン原液 12.5ml 酢酸 2.5ml ヘマトキシリン Gomori-one-step-stain液 細胞組織で染めている方法。
染色方法(細胞組織) Gomori-one-Step-Stain液(60分) 脱パラ・流水水洗 ブアン固定(60分) 流水水洗(15分、黄色がなくなるまで) ヘマトキシリン(15分) 流水水洗(15分) アルコール分別(×3) 透徹、封入 アルコールで分別するときは色落ちするので別容器で。
GOMORI’S ONE STEP TRICHOME METHOD Gomori-one-step-stain Masson’s trochome method Chromotrope2R 0.6g Light green 0.3g Glacial acetic acid 1.0ml Phosphotungstic acid 0.8g Distilled water 100.0ml 1液 1%ビーブリッヒスカーレット 90ml 1%酸性フクシン 10ml 酢酸 1ml 2液 リンモリブデン酸 5g リンタングステン酸 5g 蒸留水 200ml 3液 アニリン青 2.5g 酢酸 2ml 蒸留水 100ml Chromotrope2R Gomori-one-step-stainを使用する染色。 MTと同じものが染まり、簡単な方法。 細胞組織の方法はそれを更に簡略している。 Chromotrope2R (クロモトロープ2R) Light green (ライトグリーン) → アニリン青でも可。繊維の青がはっきりしない場合にライト緑を使うと良い Glacial acetic acid (氷酢酸) Phosphotungstic acid (リンタングステン酸) Distilled water (蒸留水)
染色結果 赤 緑 紫 筋線維, 筋繊維 ,肝細胞 コラーゲン, 膠原質 核 肝臓:M-T染色 比較用:Azan染色 アニリン青を使うとコラーゲンは青く染まる。
M-T 染色 Azan 染色 核がはっきりと染まって見える。
← メチルブルー 結合組織:青 ライトグリーン → 結合組織:緑 ← メチルブルー 結合組織:青 結合組織染色にメチルブルーに代えて、ライトグリーンを使用して結合組織を緑色に表現することが可能。 通常はメチルブルーを使っているところが多い。 ライトグリーンは赤との対比により、好みで染め分ける。 ライトグリーン → 結合組織:緑 http://info.fujita-hu.ac.jp/~hirasawa/gallery1/gallery1.html