第9章 自己意識と発達課題.

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第4章 何のための評価? 道案内 (4) 何のための評価? ♢なぜ教育心理学を勉強するか? (0) イントロダクション ♢効果的な授業をするために (1) 記憶のしくみを知る (2) 学習のしくみを知る (3) 「やる気」の心理学 ♢生徒を正しく評価するために ♢生徒の心を理解するために (5)
自己実現 あなたの目標は? 大きな目標 身近な目標 努力・挫折・成功・いろいろな経験 人間としての成長.
第2回 住育とは 監修 一般社団法人住まい教育推進協会. Copyright 2015 一般社団法人住まい教育推進協会 Contents 2 住育とは … Chapter 5 子どもを育てる.
教育と発達. 能力とは何か(まとめ) 能力=何かできること 教育との関連での条件 – 価値ある能力であること – 訓練で発達可能であること – 教えることが可能であること ふたつの階層性 – 価値的な階層 – 発達の規定性としての階層.
1 1.「環境」という言葉の意味 と、「環境を通しての保育と は?」 瀧川 光治. 2 1.「環境」という言葉  「環境」という言葉がつく、 3文字、4文字、5文字 の言葉を考えてみよう。
第2章 なぜ発達心理学を学ぶのか? 道案内 1 準備 (0) 授業を始める前に * (1) 発達心理学とはどんな学問か? 2 知覚の発達 (3) 子供に世界はどう見えるか? 3 認知の発達 (4) 子どもはものごとをどう理解するか (5) 子どもは心をどう理解するか 4 感情の発達 (6) 子どもに愛情を注ぐこと.
1.情報モラル教育の必要 性 5 情報モラル教育. 【1】情報モラル教育とは 情報モラル教育は、①コンピュータや情報通信 ネットワークなどの情報技術の特性と、②情報 技術の利用による文化的・社会的なコミュニ ケーションの範囲や深度などが変化する特性、 などを踏まえて日常生活で適正な活動を行うた めの考え方と態度を育てることが求められる。
第5章 子どもは心をどのように 理解するか? 道案内 (5) 子供は人の心をどう認識するか 1 準備 (0) 授業を始める前に (1) 発達心理学とはどんな学問か? (2) なぜ発達心理学を学ぶのか? 2 知覚の発達 (3) 子供に世界はどう見えるか 3 認知の発達 (4) 子供はものごとをどう認識するか.
1.「時間感覚」のズレを直す 2.「他者の承認」の仕組みを生かす
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第5章 子どもは心をどのように理解するか?.
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学びの出発 学びの再思考 学びの獲得と新たな学びの創出
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未病はなぜよくならないのか? 医療者の問題 ① 未病をみることができない ② 健診に携わる医師や総合内科医の不足 ③ 患者さんとの意思疎通力の不足 患者さんの問題 ① 未病の概念をしらない ② 「薬」に対する絶大な信仰心.
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メンタルフレンドについて 福島大学総合教育研究センター   中野 明德.
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第9章 自己意識と発達課題

道案内 1 準備 (0) 授業を始める前に (1) 発達心理学とはどんな学問か? (2) なぜ発達心理学を学ぶのか? 1 準備 (0) 授業を始める前に        (1) 発達心理学とはどんな学問か? (2) なぜ発達心理学を学ぶのか? 2 知覚の発達 (3) 子供に世界はどう見えるか? 3 認知の発達 (4) 子供はものごとをどう理解するか? (5) 子供は心をどう理解するか? 4 感情の発達 (6) 子供に愛情を注ぐこと 5 性格の発達 (7) 性格は生まれつき? 6 社会性の発達 (8) 人間関係の中で育つ 7 発達上の問題 (10) 発達上の心の問題 8 まとめ   (11) まとめと試験情報 (9) 自己意識と発達課題

メインメッセージ9 自分の発達課題を意識し、 自分らしさを発見しよう

自己認知の発達 鏡映像の理解 [VTR9.1]

鏡映像への反応

自己の芽生えを示す行動 第一反抗期 (1歳3ヶ月〜2歳6ヶ月頃) 「自分でする!」など

自己の芽生えを示す行動 名前や所有の認知 (1歳3ヶ月 ):自分の名前を呼ばれて「はい」と答える   名前や所有の認知 (1歳3ヶ月 ):自分の名前を呼ばれて「はい」と答える (1歳5ヶ月 ):自分のものであると主張する (1歳8ヶ月 ):自分のことを「***ちゃん」と呼ぶ

自己主張と自己抑制   [VTR9.2]

発達課題とは? 各年齢で達成または克服 されなければならない 心理的、行動的な課題

Freudの心理性的発達段階

Huvigurdの生涯発達課題 乳児期・幼児期 1.歩くことを学ぶ 2.かたい食べ物を食べることを学ぶ 3.話すことを学ぶ 4.排泄をコントロールすることを学ぶ 5.性の違いと性に結びついた慎みを学ぶ 6.概念を形成し、社会的現実と物理的現実を表す言葉を学ぶ 7.読むための準備をする 8.良いことと悪いことの区別を学んで、良心を発達させはじめる

Huvigurdの生涯発達課題 児童期 1.ふつうのゲームをするのに必要な身体的スキル(技能)を学ぶ           児童期 1.ふつうのゲームをするのに必要な身体的スキル(技能)を学ぶ 2.成長している生物としての自分について健全な態度をきずく 3.同じ年頃の仲間とうまくつきあっていくことを学ぶ 4.男性あるいは女性としての適切な社会的役割を学ぶ 5.読み、書き、計算の基本的スキルを学ぶ 6.日常生活に必要な概念を発達させる 7.良心、道徳性、価値基準を発達させる 8.個人的な独立性を形成する 9.社会集団と社会制度に対する態度を発達させる

Huvigurdの生涯発達課題 青年期 1.同性と異性の同じ年頃の仲間との間に、新しい、 そしてこれまでよりも成熟した関係をつくりだす          青年期    1.同性と異性の同じ年頃の仲間との間に、新しい、 そしてこれまでよりも成熟した関係をつくりだす 2.男性あるいは女性としての社会的役割を獲得する 3.自分のからだつきを受け入れて、身体を有効に使う 4.両親や他の大人からの情緒的独立を達成する 5.結婚と家庭生活のために準備をする 6.経済的なキャリア(経歴)に備えて用意する 7.行動の基準となる価値と倫理を修得する  −イデオロギーを発達させる 8.社会的責任をともなう行動を望んでなしとげる

Huvigurdの生涯発達課題 成人前期 1.配偶者を選ぶ 2.結婚した相手と一緒に生活していくことを学ぶ 3.家族を形成する         成人前期    1.配偶者を選ぶ 2.結婚した相手と一緒に生活していくことを学ぶ 3.家族を形成する 4.子どもを育てる 5.家庭を管理する 6.職業生活をスタートさせる 7.市民としての責任をひきうける    8.気のあう社交のグループを見つけだす

Huvigurdの生涯発達課題 成人後期 1.10代に達した子どもが責任を果たせて、幸せな大人に なることを助ける    1.10代に達した子どもが責任を果たせて、幸せな大人に なることを助ける 2.成人としての社会的責任と市民としての責任を果たす 3.自分の職業生活において満足できる業績を上げて、それを維持していく 4.成人にふさわしい余暇時間活動を発展させる 5.中年期に生じてくる生理的変化に適応して、それを受け入れる

Huvigurdの生涯発達課題 成熟期 1.体力や健康の衰えに適応していく 2.退職と収入の減少に適応する 3.配偶者の死に適応する    1.体力や健康の衰えに適応していく 2.退職と収入の減少に適応する 3.配偶者の死に適応する 4.自分と同年齢の人々の集団にはっきりと仲間入りする 5.社会的役割を柔軟に受け入れて、それに適応する    6.物理的に満足できる生活環境をつくりあげる

Eriksonの心理社会的発達段階 信頼 対 不信 乳児期 (0ー1歳) 養育者からの愛情を受けて、基本的信頼を学ぶ 乳児期 (0ー1歳) 信頼 対 不信 養育者からの愛情を受けて、基本的信頼を学ぶ <失敗した場合>基本的信頼を獲得することができず、情緒不安定になる

Eriksonの心理社会的発達段階 自律性 対 恥・疑惑 早期児童期 (1ー3歳) 身の周りの事を自分ですることができるという自信をつける 早期児童期 (1ー3歳) 自律性 対 恥・疑惑 身の周りの事を自分ですることができるという自信をつける <失敗した場合>過剰な羞恥心、猜疑心を身につけてしまう

Eriksonの心理社会的発達段階 積極性 対 罪悪感 遊戯期 (3ー6歳) 外界への積極的な関わりの結果、様々な知識を身につける 遊戯期 (3ー6歳) 積極性 対 罪悪感 外界への積極的な関わりの結果、様々な知識を身につける <失敗した場合>過剰な罰の結果、罪悪感を過剰にもってしまう

Eriksonの心理社会的発達段階 生産性 対 劣等感 学齢期 (6ー11歳) 地域社会や学校で、様々な生産的な知識を身につける 学齢期 (6ー11歳) 生産性 対 劣等感 地域社会や学校で、様々な生産的な知識を身につける <失敗した場合>不満足や失敗などを経験し、劣等感を生み出す

Eriksonの心理社会的発達段階 同一性 対 同一性拡散 青年期 (11ー 歳) 青年期 (11ー  歳) 同一性 対 同一性拡散 「自分とは何か」と問い、様々な価値観を統合して同一性(アイデンティティ;自分らしさ)を獲得する <失敗した場合>自分とはどのような存在なのかがいつまでも定まらない

Eriksonの心理社会的発達段階 親密・連帯 対 孤立 初期成人期 他人と、互いの人格を傷つけることなく、対等で両方向的な関係を築く 親密・連帯 対 孤立 他人と、互いの人格を傷つけることなく、対等で両方向的な関係を築く <失敗した場合>自分とは異なる存在を拒否し、孤立する

Eriksonの心理社会的発達段階 生殖性 対 自己拡散 成人期 他者(子ども、親など)への援助に興味を向ける 生殖性 対 自己拡散 他者(子ども、親など)への援助に興味を向ける <失敗した場合>自分自身を見失ってしまう

Eriksonの心理社会的発達段階 完全性 対 絶望 成熟期 自分の人生を振り返って評価し、それを受け入れる 完全性 対 絶望 自分の人生を振り返って評価し、それを受け入れる <失敗した場合>自分の人生を肯定することができず、絶望する

アイデンティティ 自我同一性 自分が何者であるかという意識

アイデンティティ地位 アイデンティティ地位 危機 積極的 関与 概略 経験した している 経験して いない して アイデンティ ティ達成 幼児期からのあり方について確信がなくなり、いくつかの可能性について本気で考えた末、自分自身の解決に達して、それに基づいて行動する。 経験して いない 自分の目標と親の目標の間に不協和がない。どんな体験、幼児期以来の信念を補強するだけになっている。融通のきかなさが特徴。 して 危機後拡散:すべてのことが可能であり、また可能なままにしておかなければならない 危機前拡散:今まで本当に何者であった経験がないので、何者かである自分を想像することが不可能。 アイデンティ ティ達成 早期完了 アイデンティ ティ拡散

アイデンティティ地位の発達

モラトリアム 猶予期間 危機はその最中、積極的関与はしようとしているところ。 いくつかの選択肢について迷っており、その不確かさを克服しようとしている

メインメッセージ9 自分の発達課題を意識し、 自分らしさを発見しよう