学習目標 1.高齢者に関する身体・精神・社会的な特徴について概要を説明できる. 2.高齢者を発達課題からとらえることができる. 3.高齢者に対するステレオタイプを抱くことの危険性が説明できる. 4.高齢者が社会全体の中でどのような状況に置かれているのか説明できる. 5.高齢者の人権が阻害されやすい理由を説明できる.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
医療重視から暮らし重視に 転換したスウェーデンの認知症ケア 次世代にどんな社会を残すか ホスピタリティ☆プラネット 藤原瑠美 ©RUMI Fujiwara Hospitality 2013 All Rights reserved.
Advertisements

J.Kominato 個別ケアプラン作成の留意点 個別ケアプラン作成の留意点 J.Kominato.
介護支援サービス(ケアマネジメント) 要援護者やその家族がもつ複数のニーズと社会資源 を結びつけること。 要援護者の生活の質を高めること。 保健,医療,福祉,住宅等の各種公的サービスだけ でなく,家族、ボランティア,近隣等の支援とも調整 し,在宅生活を支えていくもの.
パーソンセンタードケアの構成要 素 ① アルツハイマー病の人々の Personhood 人 格は、失われるのではなく、次第に隠さ れていく ② すべての場面で、アルツハイマー病の 人々の Personhood 人格を認める ③ ケアと環境を、個人に合わせる ④Shared decision making.
学習目標 1 .セルフマネジメントモデル,学習援助型教育とは何か を理解する. 2 .セルフマネジメント支援のために必要な構成要素につ いて理解する. 3 .セルフマネジメントにおいて看護職に求められる能力 と責任について理解する. SAMPLE.
地域市民による 成年後見制度説明会 主旨説明 私たちは、平成 2 4 年度東京大学市民後見人養成講 座を受講した受講生です。私たちのグループ名は坂 東グループ(構成メンバー 3 名)といいます。 私たちは、今回市民後見人養成講座の受講生に与 えられた実習の一つである、市民成年後見制度を広 く市民の皆様に知って頂くため、の啓もう活動を兼.
第 2 章 子どもの成長・発達と看護 3. 幼児期の子どもの成長・発達と看護( 2 ) 学習目標 1 .幼児の睡眠と規則正しい生活の必要性を理解する. 2 .幼児の健康維持に対する取り組みとしての清潔行動確 立に向けた援助を理解する. 3 .幼児にとっての遊びの意義と発達を促すために必要な 遊びへの援助を理解する.
MSW の役割について 広島大学病院 薬剤部 藤田啓子. MSW の仕事とは? ・主に医療機関や老人保健施設、在宅介護支援センター等 に勤務し、医師・看護婦・理学療法士などと共に、 医療チームの一員として、患者さんとその家族への相談 やさまざまな援助を行っています。 ・社会福祉の専門家として、患者さんに関わる経済的、
カウンセリングナースによる 新しい治療システム -ストレスケア病棟での治療体験と カウンセリングナースの導入- 福岡県大牟田市 不知火病院 院長 徳永雄一郎.
がん患者の意思決定について がん患者の意思決定と、その過 程、要因について知る がん患者の意思決定への支援に ついて考える 先端侵襲緩和ケア 看護学 芦沢 佳津美.
設置者・管理者の責務② ~職員の育成指導等~ 平成 26 年度 青森県障害者虐待防止・権利擁護研修 公益社団法人 日本社会福祉士会 平成 26 年度障害者虐待防止・権利擁護指導者養成研修から.
「ストレスに起因する成長」に関する文献的検討
主旨説明 地域市民による成年後見制度説明会
安心おたっしゃ訪問事業 杉並区保健福祉部 高齢者在宅支援課.
1.高齢者の健康とその支援 2.保健・医療・福祉の連携
成年後見制度 成年後見制度.
安全管理体制と リスクマネジメント.
ノーマライゼーションかしわプラン策定に向けた基礎調査について
心理学 底知れない複雑な分野 12年3組3番  原 優子.
主旨説明 地域市民による成年後見制度説明会
      特別支援学校 高等部学習指導要領 聴覚障害教育について.
自律学習と動機づけ 教育心理学の観点から 2011/2/19 上淵 寿 (東京学芸大学).
「存在の肯定」を規範的視座とした作業療法理論の批判的検討と 作業療法・リハビリテーションの時代的意義 田島明子
情報は人の行為に どのような影響を与えるか
後期高齢者医療制度では、生活を支える医療を目指します。
子どもたちが発達段階に応じて獲得することが望ましい事柄
平成27年度 障害者虐待防止権利擁護研修 施設コース
大分県立宇佐支援学校 グランドデザイン (平成28年度版)
「カウンセリングナースの役割と 教育システム」
平成27年度 埼玉県障害者 虐待防止・権利擁護研修
主旨説明 地域市民による成年後見制度説明会
Ⅲ.サービス開発の方法.
第2次総合計画 【H22~H26】 ~本市の基本的な計画
人権と教育基本法.
重症心身障害児者等 支援者育成研修テキスト 5 ライフステージにおける支援① 各ライフステージにおける 相談支援に必要な視点
介護予防サービス・支援計画表 記入のポイント.
学習目標 1.成人期の性生活と健康障害の関連を理解する. 2.成人が健康障害時にパートナーとの関係において性生活を営んでいることを知る. 3.性生活に関連した健康障害の予防と治療に関わる保健医療の場と職種を理解する. 4.性生活に関連した健康障害を考慮した看護方法を理解する. SAMPLE 学習目標.
2007年10月14日 精神腫瘍学都道府県指導者研修会 家族ケア・遺族ケア 埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科 大西秀樹.
<校訓> つよく・あかるく・たくましく 【目指す宇佐支援学校の児童生徒像】
学習目標 1.在宅療養者の特徴を理解する. 2.在宅療養の成立条件を理解する. 3.地域社会やシステムの改善の必要性を理解する. 4.保健・医療・福祉の連携の必要性を理解する. 5.施設と在宅を結ぶ看護継続の視点を理解する. 6.在宅看護の継続の視点とそのしくみを理解する. SAMPLE 板書(授業終了まで消さない)
第2回 福祉の現在・現在 厚生労働省(2018) 障害者白書 厚生労働省(2016) これからの精神保健福祉のあり方に          関する検討会資料.
介護支援専門員 ケアマネジャー サービス担当者会議.
若年性認知症支援コーディネーター設置等事業
認知症老人の介護   家族に対するケア 上野公園病院 高 田 靖 子.
「“人生の最終段階における医療” の決定プロセスに関するガイドライン」
提案された弱者法 第 2 回アジア障害者・高齢者権利擁護支援 2016年12月3日 発表者: アルヴィン タン, 局長代理/ 家族政策課
健康のとらえ方.
輝いて、自宅で ~終わりよければすべてよし~
安全管理体制とリスクマネジメント.
天理市第1号訪問事業 (短期集中予防サービスC)について
地域リハビリテーション -訪問リハビリテーションを中心に-
(C)2011女性にやさしい職場づくりナビ.
高齢慢性血液透析患者の 主観的幸福感について
生活支援 中央研修 H26.9.4(木)~5(金) 品川フロントビル会議室 H26.9.6(土)~7(日) JA共済ビルカンファレンスホール
認知症ケアパス 在宅生活 家族 地域資源 気づき 軽度 認知症の度合い 重度 終末期 介護・福祉・住まい・住民 地域住民 保健・医療・看護
今後めざすべき基本目標 ―「ケアの流れ」を変える―
重症心身障害児者等 コーディネーター育成研修 2 計画作成① 重症心身障害児者等の 意思決定支援
やまゆり居宅介護支援事業所 管理者 中束 奈津紀
学習目標 1.栄養代謝機能に影響を及ぼす要因について説明することができる. 2.栄養代謝機能の障害による影響を,身体,精神機能,社会活動の三側面から説明することができる. 3.栄養状態をアセスメントする視点を挙げることができる. 4.栄養状態の管理方法について説明することができる. SAMPLE 板書.
2.介護に必要な「時間」に置き換えて「要介護度」を判定します。 聞き取った「心身の状況(5項目の得点)」から直接、「要介護度」を求めることはできません。病気の重さと必要な介護量は必ずしも一致しないからです。 そこで、調査結果をコンピュータに入力し、その人の介助にどのくらいの「時間」が必要なのかを推計することで、介護の必要量の目安としています。この「要介護認定基準時間」を用いて要介護度を判定します。
SWOT分析 看護師 転職例 強み (Strengths) 弱み (Weaknesses) 機会 (Opportunities)
介護保険サービス基準設定の基本的考え方について
Ⅳ.生活支援コーディネーターが行うべきアセスメントと支援の視点
2015/11/08 俊和会 さつき訪問看護ステーション 玉井真由美
図15-1 教師になる人が学ぶべき知識 子どもについての知識 教授方法についての知識 教材内容についての知識.
文脈 テクノロジに関する知識 教科内容に関する知識 教育学 的知識
ビデオレビューによる 外来教育 北海道家庭医療学センター 草場鉄周.
大津市自立支援協議会人材育成部主催 大津合同中堅研修 「中堅さん!一緒に学ぼう!2018」 私の研修ネタ ~高齢者虐待防止研修の場合~
浜松医科大学附属病院・磐田市立総合病院 チャイルド・ライフ・スペシャリスト 山田 絵莉子
メンタルフレンドについて 福島大学総合教育研究センター   中野 明德.
Presentation transcript:

学習目標 1.高齢者に関する身体・精神・社会的な特徴について概要を説明できる. 2.高齢者を発達課題からとらえることができる. 3.高齢者に対するステレオタイプを抱くことの危険性が説明できる. 4.高齢者が社会全体の中でどのような状況に置かれているのか説明できる. 5.高齢者の人権が阻害されやすい理由を説明できる. 6.高齢者に対する虐待の実態とその背景を説明できる. 7.人権擁護のための制度について説明できる. SAMPLE 板書 学習目標 1.高齢者に関する身体・精神・社会的な特徴について概要を説明できる. 2.高齢者を発達課題からとらえることができる. 3.高齢者に対するステレオタイプを抱くことの危険性が説明できる. 4.高齢者が社会全体の中でどのような状況に置かれているのか説明できる. 5.高齢者の人権が阻害されやすい理由を説明できる. 6.高齢者に対する虐待の実態とその背景を説明できる. 7.人権擁護のための制度について説明できる. 1

SAMPLE 老年看護学に関連する諸理論 ・エリクソン 自我統合を確立することが老年期の適応課題 ・ハヴィガースト 老年期の発達課題を6項目挙げている. ・バトラー  エイジズム SAMPLE : ステレオタイプとして高齢者をみることを戒める. 板書 ○老年看護学に関連する諸理論 ・エリクソン 自我統合を確立することが老年期の適応課題 ・ハヴィガースト 老年期の発達課題を6項目挙げている. ・バトラー エイジズム:ステレオタイプとして高齢者をみることを戒める. 説明 ○エリクソン:自我統合とは身体的,精神的,社会的,スピリチュアル的に統合した自分を自覚し,人生を肯定的,積極的に受け入れる. ○ハヴィガースト:老年期発達課題の6項目とは, 1.肉体的な力と健康の衰退に適応する. 2.引退や収入の減少に適応する. 3.配偶者の死に適応する. 4.自分と同じ年ごろの人と明るい親密な関係を築く. 5.社会的・市民的義務を引き受ける. 6.肉体的な生活を満足に送ることができるように準備する. ○バトラー:エイジズムとは,高齢者への差別や偏見,高齢者を一つの型にはめ排除する.老化のパターンも1.健康と病弱,2.分別がある人ない人,3.活動的な人無関心な人とさまざまなパターンがある. ○老人の95%は自立した生活をしており,施設などに入居している人の割合はわずかである.さまざまな変化を受け止めている人々を 十把一絡 ( じっぱひとからげ ) に老人というグループとして扱うことは,高齢者を誤った見方でとらえる恐れがある. 2

SAMPLE 高齢者に対する発達的視点 1.時間感覚の変化 2.ライフサイクルの感覚 3.人生回顧への傾斜 4.償いと決意 5.慣れ親しんでいるものへの愛着 6.伝承のための保守主義 7.遺産を残したい欲望 8.権力の委譲 9.人生を全うしたという感覚 10.成長する能力 SAMPLE 板書 ○高齢者に対する発達的視点 1.時間感覚の変化 2.ライフサイクルの感覚 3.人生回顧への傾斜 4.償いと決意 5.慣れ親しんでいるものへの愛着 6.伝承ための保守主義 7.遺産を残したい欲望 8.権力の委譲 9.人生を全うしたという感覚 10.成長する能力 説明 ○板書内容と対応させながら説明する 1.現在の時間を量より質で考える. 2.心理的要素が働く(死に対する主観的自覚,世代間の歴史的なつながりの感覚,人間的な時間,人生経験の感覚,各時点で何を期待すべきかという知識の蓄積,すべての人が段階を経過する). 3.過去の経験を意識する. 4.罪悪感に責められて悔やまれたり,気持ちを整理したりする. 5.慣れ親しんだものは愛着,慰め,安心,満足感を与える. 6.後世に伝える機会 7.受け継いだものを次世代につなぐ. 8.引き際を知る. 9.自分の人生に満足感を得る. 10.性格や挙動の変化は死ぬ瞬間まで続く. 3

SAMPLE 老年観 高齢者への見方,老いを人々がどのように感じ,どのよう な意識をもつか. ⇒ 社会状況,教育,年代によっても影響を受ける 板書 ○老年観 高齢者への見方,老いを人々がどのように感じ,どのような意識をもつか. ⇒ 社会状況,教育,年代によっても影響を受ける. 説明 ○高齢者をどうみるかということは,その社会における高齢者の立場を反映したものととらえることができ,高齢者の自尊感情にも影響する. ○小中学生(肯定的),大学生(否定的),成人期(中庸),年をとるにつれまた肯定的となる. ○現代の日本では,高齢者を避けたり,邪魔にしたり,子ども扱いしたりし,介護問題や医療費の高騰をあたかも高齢者自身の問題としてしまっている傾向がある. ○高齢者蔑視は高齢者への理解不足ともいえるので,高齢者との接触が必要である. ○『老いることの意味』 1.個人としての意味 人生が有限であり,自分の人生を振り返りまとめあげる.自分の人生に責任をもつ. 2.社会における意味 老人が存在しなければ今の自分はありえない.人間らしさを全うすることは素晴らしい業績である. ○人間として範を示すことが高齢者の役割である.また高齢者にも自覚が必要である. 4

SAMPLE 高齢者が生活しやすい社会 日本は「年寄りを大切」にと言いながら,高齢者を無能扱 いする風潮にある. 板書 ○高齢者が生活しやすい社会 日本は「年寄りを大切」にと言いながら,高齢者を無能扱いする風潮にある. 説明 ○高齢者が暮らしやすい社会とは,高齢者が真に生きる意味を見いだせる. ○自立できる人は自立,自立できなければ家族の枠を超えて社会的に扶養するという原則を国民が認識し基盤を作る(医療制度・施設・年金などの社会保障). 5

SAMPLE 高齢者の意思を尊重するとは 家族が意思決定に関わることがあるので,高齢者本人の意 思の確認が必要である. 板書 ○高齢者の意思を尊重するとは 家族が意思決定に関わることがあるので,高齢者本人の意思の確認が必要である. 説明 ○高齢者の意思決定を大切にするといいながら,意思を確認しないまま道徳的判断や,周囲の条件のみで決めていないかを常に問いかけ行動していく. 1.家族の意思表示はあるが,高齢者の意思が家族と違うのではないかと思われるとき. 2.積極的治療をいつ止めるのか,あるいは施設入所などで積極的治療を目指すのに支障があるようなとき. 3.認知症などのために,高齢者の意思が明確でないとき. 4.老年看護の方法として,どれがよりよい方法なのかが明確でないとき. ○解決の原則 1.情報の正しい提供.相手の立場に立つ. 2.問題を整理し,多面的な検討をする. 3.高齢者や家族と順序だてて解決策を考える. 6

SAMPLE 高齢者虐待の類型 (1)身体的暴力 (2)情緒的・心理的暴力 (3)金銭的・物質的搾取 (4)性的暴力 (5)介護拒否・放任 板書 ○高齢者虐待の類型 1.身体的暴力 2.情緒的・心理的暴力 3.金銭的・物質的搾取 4.性的暴力 5.介護拒否・ 説明 ○欧米では1970年代から研究報告されているが,日本では1990年代になって少しずつ調査されるようになった. ○認知症の症状のある人への虐待について 1.身体的暴力:暴力,火傷 2.情緒的・心理的暴力:自尊心を傷つける,脅かし,言葉の暴力など 3.金銭的・物質的搾取:財産・貯金を盗んだり,金銭管理を怠る. 4.性的暴力:性的行為の強要 5.介護拒否・放任:意図的に監禁したり拘束したりする. この他,適切な看護をしないことも看護職としては虐待となる. ○この問題の背景 介護疲れ,若い頃からの関係(共依存) ○看護師の役割 体の傷,出血,火傷,衣服の汚れ,おびえるような行動,表情などを外来,訪問看護時,通所リハビリテーション時に観察する. ○解決策 チームでの対処を行い,両者の立場で考える. 7

SAMPLE 身体拘束とは 身体を保護するため緊急やむをえない場合に行う方法であ る. 板書 ○身体拘束とは 身体を保護するため緊急やむをえない場合に行う方法である. 説明 ○従来,意識障害や認知障害があり,医療行為を安全に行うことができないと予測される場合,高齢者が身体に障害があり,車椅子から転倒したり,一人で立ち上がったりして転倒の危険があり,危険が生じる場合に身体を拘束してきた.しかし,認知症の患者などは拘束することで,より症状が悪化することがあり.また何よりも人権の侵害,人間らしさを奪う行為という認識に立ち,身体の抑制を最小限にするように厚生(労働)省から厚生省令(1999年3月)として,拘束行為の廃止は推し進められている. ○看護者の問題では,病院組織の考え方で抑制が患者のためであるという誤った認識を取り除くことが必要である.人の目がない夜間の看護は非常に危険な状況になるなどの問題もあるが,抑制しないことでむしろ反対に患者に目を向けることができ,濃厚な看護ができるチャンスとしてとらえ,拘束廃止に取り組む施設も増えている. ○緊急で行う場合は,切迫性,非代替性,一時性という点での検討が必要ある. 8

SAMPLE 支援システム 高齢者,認知症の高齢者など ↓ 財産管理,保健,医療,福祉サービスが 受けられない恐れがあり 支援システム 板書 ○支援システム 高齢者,認知症の高齢者など ↓ 財産管理,保健,医療,福祉サービスが受けられない恐れがあり 支援システム 説明 ○自分で正しい判断ができず,また保護してくれる関係者がいない高齢者の人権が尊重され,財産管理や適切な医療や福祉サービスが受けられるようなシステム作りがなされている.その背景には,判断能力がなくなった高齢者に対しての犯罪の増加や,何よりも高齢者の不安拡大などがある. 9

SAMPLE 日常生活自立支援事業 1991(平成3)年:東京都社会福祉協議会にて『権利擁護ス テップ』として開設. 目的 : 認知症高齢者,知的障害者,精神障害者などの判断不十分な人が自立した福祉サービスの利用援助を受けられるように,当事者の権利擁護に資することを目的としている. SAMPLE 内容 : 福祉サービスの利用援助,日常的金銭管理サービス,書類預かりサービス,利用者とサービス実施機関との契約など 板書 ○日常生活自立支援事業 1991(平成3)年:東京都社会福祉協議会にて『権利擁護ステップ』として開設. 目的:認知症高齢者,知的障害者,精神障害者などの判断不十分な人が自立した福祉サービスの利用援助を受けられるように,当事者の権利擁護に資することを目的としている. 内容:福祉サービスの利用援助,日常的金銭管理サービス,書類預かりサービス,利用者とサービス実施機関との契約など 説明 ○東京都社会福祉協議会での『権利擁護ステップ』にて,知的障害や認知症高齢者の相談を受けている.大阪市でも実施され介護保険制度が始まり全国的に広がり,日常生活自立支援事業として実施されている. ○事業内容:福祉サービスの利用援助,日常的金銭管理サービス,書類などの預かりサービス 10

資料映像:日常生活自立支援事業 SAMPLE

SAMPLE 成年後見制度とは 判断力が不十分な認知症高齢者の財産管理や,介護,施設 入所などが必要な人の権利を擁護する. 板書 ○成年後見制度とは 判断力が不十分な認知症高齢者の財産管理や,介護,施設入所などが必要な人の権利を擁護する制度であり,民法で定められている. 説明 ○民法にあった禁治産や準禁治産制度の廃止に伴い(2004年),保護者を高齢者が判断能力のあるうちに前もって後見人として決めることができる制度である.軽度の障害がある場合にも対応される. ○自己決定と本人の保護を重視している. ○成年後見制度とは判断能力が不十分な認知症高齢者,知的障害者や精神障害者などの保護(財産管理,身上監護)を,代理権や同意権・取消権が与えられた成年後見人等が行う制度である. ○家庭裁判所が成年後見人等を選任するが,『法廷後見』とあらかじめ本人が選ぶ任意後見とがある.法廷後見には判断能力に応じて後見,保佐,補助の3種類があり,任意後見とは本人の判断能力が不十分になった時に備えるものである. 12