熊本市における行政と ボランティアの協働 ~殺処分0を目指して~

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高齢者の救急搬送に係る意見交換会 資料7-1 1  意見交換会開催に至る経緯  平成26年度    病院連絡会議にて,高齢者の救急搬送に関して,患者及び家族の延命治療 に関する意向確認ができているかという課題提起がなされた。  平成27年度   (1) 介護サービス事業者協議会主催研修会・施設ごとの講演会(救急課)                  
資料5 大阪がん患者団体協議会の対外事業活動 2018年度 公開シンポジウムの実施報告と今後
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○○研修会.
くいなく学び,最後までやりぬく,かしこい子ども ふれあいを大切にするやさしい子ども しっかりと寝て,食べて,のびていく子ども げん気
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熊本市における行政と ボランティアの協働 ~殺処分0を目指して~ 熊本市における行政と ボランティアの協働 ~殺処分0を目指して~ 熊本市動植物園 松本 充史

熊本市での現状 H13 保護収容頭数800頭 殺処分数500頭 大部屋での集団管理 譲渡マニュアルもなく仔犬のみの譲渡

市民協働の取り組み 人と動物が共生できる社会 殺処分しなくてはいけない現状をどう変えれば? 命を救うために行政として何をすれば “殺処分0を目指して” 譲渡事業、啓発、管理方法の改善 人と動物が共生できる社会 地域での活動、様々な分野の方の係わり 市民協働の取り組み

熊本市動物愛護推進協議会 平成14年1月設立 構成団体 熊本市獣医師会 動物愛護団体 動物取扱業者 熊本盲導犬使用者の会 熊本市 動物愛護推進員 25名

推進員養成講座 年3回の実施 やらされ感 講義形式 行政批判 法律、行政施策 推進員としての やりがいは? 活動は? 行政のイベントへの協力   法律、行政施策 活動は? 行政のイベントへの協力 各団体の特徴を生かした  活動を各自で行う やらされ感 行政批判 推進員としての やりがいは? 発足当初は、年間計画として年3回の養成講座を実施予定。推進員の具体的活動をその養成講座で考えていく。ただ、養成講座は講義形式で実施し、活動としては行政のイベント当への協力や各団体の特徴を生かした活動を各自で行うこととしていた。 第1回養成講座では動物愛護推進協議会ができた経緯や動物愛護センターの現状を講義形式で行った。 推進員の中にはなぜ必要なのか、何をやればよいのか、わからないという意見や 行政批判や提言に終始した感があった。 推進員としての目的ややりがいが分からない、行政もそのことを理解していなかった。 推進員にボランティア活動をさせようとしていたのではないだろうか? ボランティア活動を させようとしていたのでは

養成講座 当初の方針 法令講習を講義形式で実施する予定 推進員個々の自主性・やる気(QOL) が高まっていかない  法令講習を講義形式で実施する予定 推進員個々の自主性・やる気(QOL) が高まっていかない 第2回目の養成講座は講義形式で法令講習を実施する予定であったが、 知識やスキルを与えるだけの講義を行っていたのでは推進員個々のやる気が高まっていかないと考えた。 そこで・・・

推進員の目的の理解 自主性の高まり グループワーク 「動物愛護の理想」 「実際の問題点」 「今後の活動(理想を実現する  ために推進員として何ができるか)」 推進員の目的の理解 自主性の高まり 養成講座の前半1時間を用いて、「動物愛護の理想」「実際の問題点」「推進員として何ができそうか」ということに対して、自由に意見を出してもらった。 これにより活発な意見交換ができ、自分たちが何を問題と思い、何をしなくてはいけないのかということを理解し、自主性が高まっていった。

自主性が高まった(やりたいことが見えてきた)推進員に対し 法令講習を行うことでより知識の 吸収が高まる 講義形式 法令講習 自主性が高まった(やりたいことが見えてきた)推進員に対し 法令講習を行うことでより知識の 吸収が高まる 前半部で自主性の高まった推進員に法令講習を行うことでより知識の吸収が高まった。

「なぜ、推進員が活動を行わな ければならないのか」 「なぜ、推進員が活動を行わな  ければならないのか」 活発な意見交換 推進員及び協議会の活動の方向性 第2回目の養成講座で重要だったことは、このことについて推進員個々が自分の考えを形にして出せたということです。 自分が考えたことに対して、自ら行動する。そのための支援を行政は行っていく。その関係が大事。 こういった形で意見を出してもらう前の時点で行政内部で出てきた意見に対し最大限の支援を行う気持ちが必要。(時間など行政の負担増はあるが、行政の目的は“人と動物が共生できる社会づくり”そのための活動として協議会がやろうとすることに対しては全面的支援をしていこうという行政内部での話しはあった) 「自ら考え、自ら行動する!」

行政のスタンス 「推進員1人1人が自ら考え、 活動するための支援をする」 同じ方向性 「行政が考えていることをやらせる (法律に書いてあることをしてもらう)」 「推進員1人1人が自ら考え、  活動するための支援をする」 ただし、推進員の意見を聞くばかりでなく、行政がやりたいこと、行政担当者個々の意見もこの検討会の中では求められるようになり、行政、推進員が同じテーブルで考えを聴きあうことができるようになっていった。 愛護センターの施策 推進員の目指す活動 同じ方向性

「PIACK(熊本動物取扱業専門委員会」 具体的取組み 「アニマル・ハートフル」 (啓発イベント、犬の譲渡会) 「ニャンニャンフォーラム」 (地域における野良猫問題解決への取り組み) 「PIACK(熊本動物取扱業専門委員会」 (ペット業者による自主勉強会など) 「人と動物のふれあい事業」 (学校等を対象に命の大切さなどを伝える)

アニマル・ハートフル 啓発イベントの様子 譲渡前講習会 動物愛護推進員による 面接・審査の様子

推進員・ボランティアによる新聞掲載 17年度からセンター抑留犬に関して新聞広告を出させてほしいとの一般ボランティアからの打診等もあっていた。そういった方々とも十分な話し合いの上で許可をしている。これによって18年度の処分率が一気に低くなっていった。

市民協働とは? お互いの目的を明確にすること “してあげる”“してもらう”の関係からともに作り出す仲間へ 市民が自主性をもち活動を行うための支援をすること ともに考え目的を実現するための場をつくること(喜びを分かち合う) 市民に迎合するのではなく、意見を言い合える関係になること

動物保護施設の役割 行政区ごとに保護施設がある意義 動物を保護し救う場所 その場所を中心に、思いを持つ市民の活動の輪が広がるようコーディネートする場所 行政区ごとに保護施設がある意義

行政も変わる