放射線の計算や測定における統計誤差 「平均の誤差」とその応用(1H) 2項分布、ポアソン分布、ガウス分布(1H) 最小二乗法(1H)

Slides:



Advertisements
Similar presentations
母平均の区間推定 ケース2 ・・・ 母分散 σ 2 が未知 の場合 母集団(平均 μ 、分散 σ 2) からの N 個の無作為標本から平均値 が得られてい る 標本平均は平均 μ 、分散 σ 2 /Nの正規分布に近似的に従 う 信頼水準1- α で区間推定 95 %信頼水準 α= % 信頼水準.
Advertisements

5 章 標本と統計量の分布 湯浅 直弘. 5-1 母集団と標本 ■ 母集合 今までは確率的なこと これからは,確率や割合がわかっていないとき に, 推定することが目標. 個体:実験や観測を行う 1 つの対象 母集団:個体全部の集合  ・有限な場合:有限母集合 → 1つの箱に入っているねじ.  ・無限な場合:無限母集合.
ホーエル『初等統計学』 第7章4節~5節 推定 (2) 寺尾 敦 青山学院大学社会情報学部 atsushi [at] si.aoyama.ac.jp 青山学院大学社会情報学部 「統計入門」第 12 回.
1 変量データの記述 (度数分布表とヒストグラム) 経済データ解析 2009 年度後 期. あるクラスのテストの点数が次のように なっていたとする。 このように出席番号と点数が並んでいるものだけでは、 このクラスの特徴がわかりづらい。 → このクラスの特徴がわかるような工夫が必要 → このクラスの特徴がわかるような工夫が必要.
土木計画学 第3回:10月19日 調査データの統計処理と分析2 担当:榊原 弘之. 標本調査において,母集団の平均や分散などを直接知ることは できない. 母集団の平均値(母平均) 母集団の分散(母分散) 母集団中のある値の比率(母比率) p Sample 標本平均 標本分散(不偏分散) 標本中の比率.
統計学 西山. 標本分布と推定 標準誤差 【例題】 ○○ 率の推 定 ある人気ドラマをみたかどうかを、 100 人のサンプルに対して質問したところ、 40 人の人が「みた」と答えた。社会全体 では、何%程度の人がこのドラマを見た だろうか。 信頼係数は95%で答えてください。
数理統計学 西 山. 前回の問題 ある高校の 1 年生からランダムに 5 名を選 んで 50 メートル走の記録をとると、 、 、 、 、 だった。学年全体の平均を推定しなさい. 信頼係数は90%とする。 当分、 は元の分散と一致 していると仮定する.
放射線の計算や測定における統計誤 差 「平均の誤差」とその応用( 1H) 2 項分布、ポアソン分布、ガウス分布 ( 1H ) 最小二乗法( 1H )
放射線の計算や測定における統計誤 差 「平均の誤差」とその応用( 1H) 2 項分布、ポアソン分布、ガウス分布 ( 1H ) 最小二乗法( 1H )
●母集団と標本 母集団 標本 母数 母平均、母分散 無作為抽出 標本データの分析(記述統計学) 母集団における状態の推測(推測統計学)
第4回 関連2群と一標本t検定 問題例1 6人の高血圧の患者に降圧剤(A薬)を投与し、前後の収縮期血圧 を測定した結果である。
第1回 確率変数、確率分布 確率・統計Ⅰ ここです! 確率変数と確率分布 確率変数の同時分布、独立性 確率変数の平均 確率変数の分散
『基礎理論』 (C)Copyright, Toshiomi KOBAYASHI,
経済統計学 第2回 4/24 Business Statistics
確率と統計 平成23年12月8日 (徐々に統計へ戻ります).
確率・統計Ⅰ 第12回 統計学の基礎1 ここです! 確率論とは 確率変数、確率分布 確率変数の独立性 / 確率変数の平均
電子情報工学科5年(前期) 7回目(21/5/2015) 担当:古山彰一
多変量解析 -重回帰分析- 発表者:時田 陽一 発表日:11月20日.
確率・統計Ⅰ 第11回 i.i.d.の和と大数の法則 ここです! 確率論とは 確率変数、確率分布 確率変数の独立性 / 確率変数の平均
統計学 11/13(月) 担当:鈴木智也.
第1回 担当: 西山 統計学.
統計解析 第9回 第9章 正規分布、第11章 理論分布.
寺尾 敦 青山学院大学社会情報学部 atsushi [at] si.aoyama.ac.jp
統計的仮説検定の考え方 (1)母集団におけるパラメータに仮説を設定する → 帰無仮説 (2)仮説を前提とした時の、標本統計量の分布を考える
疫学概論 母集団と標本集団 Lesson 10. 標本抽出 §A. 母集団と標本集団 S.Harano,MD,PhD,MPH.
Effect sizeの計算方法 標準偏差が正確に求められるほど症例数が十分ないときは、測定しえた症例の中で、最大値と最小値の値の差を4で割り算した値を代用することが出来る。この場合には正規分布に従うことを仮定することになる。
心理統計学 II 第7回 (11/13) 授業の学習目標 相関係数のまとめと具体的な計算例の復習 相関係数の実習.
大数の法則 平均 m の母集団から n 個のデータ xi をサンプリングする n 個のデータの平均 <x>
流れ(3時間分) 1 ちらばりは必要か? 2 分散・標準偏差の意味 3 計算演習(例題と問題) 4 実験1(きれいな山型の性質を知ろう)
第2章補足Ⅱ 2項分布と正規分布についての補足
統計学 11/19(月) 担当:鈴木智也.
第3章 重回帰分析 ー 計量経済学 ー.
第3章 重回帰分析 ー 計量経済学 ー.
統計学 12/13(木).
確率・統計輪講資料 6-5 適合度と独立性の検定 6-6 最小2乗法と相関係数の推定・検定 M1 西澤.
統計解析 第10回 12章 標本抽出、13章 標本分布.
計測工学 -測定の誤差と精度2- 計測工学 2009年5月17日 Ⅰ限目.
1変量データの記述 経済データ解析 2006年度.
母集団と標本調査の関係 母集団 標本抽出 標本 推定 標本調査   (誤差あり)査 全数調査   (誤差なし)査.
母集団と標本:基本概念 母集団パラメーターと標本統計量 標本比率の標本分布
第3回 確率変数の平均 確率・統計Ⅰ ここです! 確率変数と確率分布 確率変数の同時分布、独立性 確率変数の平均 確率変数の分散
1.標本平均の特性値 2.母分散既知の標本平均の分布 3.大数法則と中心極限定理
確率・統計Ⅰ 第3回 確率変数の独立性 / 確率変数の平均 ここです! 確率論とは 確率変数、確率分布 確率変数の独立性 / 確率変数の平均
第8回授業(5/29日)の学習目標 検定と推定は、1つの関係式の見方の違いであることを学ぶ。 第3章のWEB宿題の説明
代表値とは 散布度とは 分布のパラメータ 母集団とサンプル
確率論の基礎 「ロジスティクス工学」 第3章 鞭効果 第4章 確率的在庫モデル 補助資料
第3章 統計的推定 (その1) 統計学 2006年度.
1.標本平均の特性値 2.母分散既知の標本平均の分布 3.大数法則と中心極限定理
標本分散の標本分布 標本分散の統計量   の定義    の性質 分布表の使い方    分布の信頼区間 
超幾何分布とポアソン分布 超幾何分布 ポアソン分布.
計測工学 -誤差、演習問題 計測工学(第6回) 2009年5月26日 Ⅱ限目.
市場調査の手順 問題の設定 調査方法の決定 データ収集方法の決定 データ収集の実行 データ分析と解釈 報告書の作成 標本デザイン、データ収集
東北大学 大学院情報科学研究科 応用情報科学専攻 田中 和之(Kazuyuki Tanaka)
早稲田大学大学院商学研究科 2014年12月10日 大塚忠義
第3章 線形回帰モデル 修士1年 山田 孝太郎.
ベイズ最適化 Bayesian Optimization BO
経営学研究科 M1年 学籍番号 speedster
母集団と標本抽出の関係 母集団 標本 母平均μ サイズn 母分散σ2 平均m 母標準偏差σ 分散s2 母比率p 標準偏差s : 比率p :
最尤推定・最尤法 明治大学 理工学部 応用化学科 データ化学工学研究室 金子 弘昌.
第5回 確率変数の共分散 確率・統計Ⅰ ここです! 確率変数と確率分布 確率変数の同時分布、独立性 確率変数の平均 確率変数の分散
プログラミング入門2 第13回、14回 総合演習 情報工学科 篠埜 功.
統計学  第9回 西 山.
度数分布表における平均・分散 (第1章 記述統計の復習 補足)
数理統計学 西 山.
情報の集約 記述統計 記述統計とは、収集したデータの分布を明らかにする事により、データの示す傾向や性質を要約することです。データを収集してもそこから情報を読み取らなければ意味はありません。特に膨大な量のデータになれば読みやすい形にまとめて要約する必要があります。
小標本に関する平均の推定と検定 標本が小さい場合,標本分散から母分散を推定するときの不確実さを加味したt分布を用いて,推定や検定を行う
確率と統計2007(最終回) 平成20年1月17日(木) 東京工科大学 亀田弘之.
1変量データの記述 (度数分布表とヒストグラム)
第3章 統計的推定 (その2) 統計学 2006年度 <修正・補足版>.
統計現象 高嶋 隆一 6/26/2019.
Presentation transcript:

放射線の計算や測定における統計誤差 「平均の誤差」とその応用(1H) 2項分布、ポアソン分布、ガウス分布(1H) 最小二乗法(1H) PDFを170%拡大表示すると0.5ページ+αが画面に表示される。これをAdobe readerのツール→スナップショットツールで選択し、順次pptに貼り付けていく。 同様の機能は、Acrobatにもあるものの、Adobe readerに比べて解像度が低いため使用しない方がよい。2011-1-1715:45 最終改訂

1.1 分散と標準偏差 ある量xをn回だけ繰り返し測定・計算し、i番目のxの値をxiとする。 平均は cm, cGy (単位の例) 分散s2:1個1個のxのばらつきの程度を表す。 個々のxの値の平均xavからの差の2乗の平均 cm2, cGy2 標準偏差s:分散の平方根。 xと同じ次元であるので、xのばらつきを表すのに多用される。 cm, cGy

合計の誤差と平均の誤差の直感的な説明 100 cpmを1分間測定 100±10 100 cpmを1分測定、4回繰り返し 400±20 N=100 x 1 min =100, σ=1001/2=10 100 cpmを1分測定、4回繰り返し 400±20 N=100 cpm x 1 min x 4 =400, σ=4001/2 = 20 この”20”は10 x 41/2でも計算ができる。 n個のxiの合計の誤差syは、xiの誤差のn1/2倍である。 上記を4 で除して1分当たりに戻す 100±5 この”5”は、10/41/2でも計算できる。 n個のxiの平均の誤差sx_barは、xiの誤差の1/n1/2である。

n個のxiの合計の誤差syは、xiの誤差のn1/2倍である。 yの分散は、xiの偏差Δxiを用いて次式で計算される。(誤差の伝搬) ここで、偏微分の式を書く都合上、yの分散sy2をΔy2と書いた。 yの標準偏差syはyの分散sy2の平方根である。 n個のxiの合計の誤差syは、xiの誤差のn1/2倍である。

n個のxiの平均の誤差sx_barは、xiの誤差の1/n1/2である。 1.3 xiの平均xavの誤差 xavの分散は、xiの偏差Δxiを用いて次式で計算される。(誤差の伝搬) ここで、偏微分の式を書く都合上、xavの分散sxav2をΔxav2と書いた。 xavの標準偏差sxavはxavの分散sxav2の平方根である。 n個のxiの平均の誤差sx_barは、xiの誤差の1/n1/2である。

中心極限定理 分布がどのようなものであっても、平均μ、分散σ2をもつ母集団からとられた大きさnの標本の平均値xavの分布は、nが大きくなるとき正規分布N(μ、σ2/n)に近づく。 宮川公男、「基本統計学」 モンテカルロ法の数学的裏付け

図4 xの標準偏差 図5 合計yの誤差sy

本当かな?→s2を数値計算

分散s2の数値計算 ExcelのRAND()関数:(0,1)の乱数を発生 10個の乱数の平均と分散s2を計算。 乱数の数n=9 ~ n=1に変えて繰り返す。

s2のエクセルでの計算結果 確かに、nに依存してs2が変化した!

サンプル数nに依存しない分散s2 平均の期待値μ(=0.5)との差の2乗和の平均 エクセルでの数値計算 10個の乱数の分散s2を計算。 n=9 ~ n=1に変えて繰り返す。 s2 ↓

s2のエクセルでの計算結果 確かに、s2はnに依存しない。 μは通常、未知数なので、s2は分散の計算に使用できない →困った!

とりあえず、s2の期待値は? s2の期待値は? E(s2)=E(s2) x (n-1)/n

サンプル数nに依存しない分散(2) s2の1/nを1/(n-1)に変更した次式で、サンプル数nに依存しない分散を求める。 これを、標本分散あるいは分散の不偏推定値と呼ぶ教科書もある。 図1 分散の値の比較

データ数に依存しない分散の証明 μに対する分散 xavに対する分散 xavの分散 = + 平均の期待値μに対する分散の式を変形する 期待値に書き直す μに対する分散 xavに対する分散 xavの分散 = +

1章「平均の誤差」のまとめ データ数に依存しない分散(*) 分散の定義 平均の分散 N±N1/2の誤差と等価(*) *平均の誤差から導出

「標本平均の標準誤差」の表記の省略の組み合わせ表 標本 平均(値)の 標準誤差 (省略) 標準偏差 誤差 不確かさ 付録B.1 「平均値の誤差」の表記について ・初等統計学:平均の標準誤差 ・放射線計測の理論と演習:平均値の標準誤差 ・放射線計測ハンドブック:記述なし ・放射線計測(プライス):記述なし ・総務省統計局HP:標本誤差 ・Wikipedia : 標準誤差 ・カレイダグラフ:標準誤差 「標本平均の標準誤差」の表記の省略の組み合わせ表 標本 平均(値)の 標準誤差 (省略) 標準偏差 誤差 不確かさ

「平均値の誤差」と同じ意味でありそうな言語の検索結果

2章 2項分布、ポアソン分布、ガウス分布 分布の概要 合計、平均、分散 相互の関連 PDFを170%拡大表示すると0.5ページ+αが画面に表示される。これをAdobe readerのツール→スナップショットツールで選択し、順次pptに貼り付けていく。 同様の機能は、Acrobatにもあるものの、Adobe readerに比べて解像度が低いため使用しない方がよい。2010-10-12最終改訂

図8 2項分布とポアソン分布の比較

図9 2項分布とポアソン分布のガウス分布による近似

第3章 最小二乗法 最小2乗法の概念:d12+d22+d32の最小値を求める。(図10)