今後のスペース アストロメトリ計画 (月面を含む)

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スペース重力波アンテナ (DECIGO) WG 第3回ミーティング (2005 年 5 月 12 日 国立天文台, 東京 ) 1 光共振型 DECIGO の可能性 安東 正樹 東京大学 理学系研究科 物理学教室.
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JASMINE レーザー干渉計型高精度角度・長さ変動モニターの研究開発 計画のための
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HETE-2のバースト観測ネットワーク マウイ 副地上局 パラオ 副地上局 シンガポール 主・副地上局 赤道
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ーJapan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration-
ーJapan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration-
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南極からの新赤外線天文学の創成 南極内陸は、ブリザードがなく、非常に穏やかな、地球上で最も星空の美しい場所です。この場所で私たちは新しい赤外線天文学を展開します 宇宙初期の広域銀河地図を作って、私たちの銀河系の生い立ちを解明します 137億年前 100億年前 宇宙の果て 最初の星が生まれ、銀河が成長した時代.
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ティコ第2星表を用いた限界等級の測定 目的 内容 宇宙粒子研究室 竹川涼太
---Japan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration---
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トランジット法による低温度星まわりの地球型惑星探索と大気調査
ーJapan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration-
ーJapan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration-
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京大岡山 3.8m 望遠鏡 分割鏡制御に用いる アクチュエータの特性評価
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マイケルソン・モーレーの実験の検証 マイケルソン・モーレーの実験ではもう一つの往復光を垂直方向に分けて行った。
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ーJapan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration-
赤外スペースアストロメトリ(JASMINE)計画について
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第6回 高精度GPSの構築 位相測位の原理 通信システムの構築.
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トランジット惑星系におけるRossiter効果 I. HD209458での観測結果
地上分光観測による金星下層大気におけるH2Oの半球分布の導出
観測的宇宙論ジャーナルクラブ 2006年5月22日 成田 憲保 1
超高角度分解能X線望遠鏡 Xmas Project
(FMOS戦略枠観測で余ったファイバーによる) M型星まわりのトランジット地球型惑星探し
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今後のスペース アストロメトリ計画 (月面を含む) 山田良透 京都大学大学院理学研究科

全般 位置天文の精度とデータ解析 ミッション紹介

F. Mignard, Michelson Summer School, Caltech Jul 2005 JASMINE, GAIA,OBSS F. Mignard, Michelson Summer School, Caltech Jul 2005

スペース・月面アストロメトリ計画 10 μas級 100 μas級 1 mas級 現在 SIM GAIA OBSS 銀河の物理 VERA(地上) 銀河の物理 系外惑星系の物理 JASMINE FAME 日本 100 μas級 米国 近傍変光星 パスファインダー 欧州 DIVA 月の物理学 HIPPARCOS 失われた10年 MAPS 1 mas級 ILOM Nano-JASMINE 1990 2000 現在 2010 2015 2020

各計画の位置づけ VERA ⇒ 基本定数(R0, Θ0, ・・・) HIPPARCOSが明らかにした領域 GAIA, OBSS JASMINE ILOM 1μ秒への橋渡し

全般 位置天文の精度とデータ解析 ミッション紹介

アストロメトリの精度 精度=σ, 口径=D, 波長=λ, ミッション期間=t, ミッション領域=Ω, 視野面積=ΩFOV , 効率=ε σ2=(回折限界)2 / (光子数) 星像中心のみを観測 σ∝λ Ω1/2 / (D2 t1/2 ΩFOV1/2ε1/2) 大きな口径 長いミッション期間 広い視野 高い効率 狭いミッション領域 この他に、さまざまなシステムノイズを 除去する必要あり

精度向上の秘密 σ∝λ Ω1/2 / (D2 t1/2 ΩFOV1/2ε1/2) 口径を大きく GAIA JASMINE OBSS SIM 基線長を大きく ミッション領域を限定 ~0.6 並列 Nano-JASMINE MAPS ε~0.008 シーケンシャル HIPPARCOS 汎用 望遠鏡 スキャン 衛星 干渉計

データ解析手法とシステム誤差 運動則による星の位置 = 観測値を補正した星の位置 x0 + μ t + π sin t = (1+δ)ξ + a0 プレートの目盛ξ、プレートパラメータδ、a0 位置天文パラメータx0、μ、π 数千万個の星、数百万のプレート、数百億の観測 年周期および時間に対して線形のδ、a0の変動は解けない⇒バイアス

{ ビーム混合鏡と大円解析 衛星の回転は地球回転に比べ不安定 大円上の大角度離れた二視野の同時観測 視野連結による視野位置=衛星姿勢推定 視野連結の誤差蓄積を抑制 回転擾乱を分離 大角度相対角の高精度測定⇒絶対アストロメトリ 360°の利用 { 共通する星は不動 ★ ★ ★ ★ ★ ★ Basic angleは不動 ψ1,θ1,φ1,γ ψ2,θ2,φ2,γ www.jasmine-galaxy.org/

新しいカタログの出版 Hipparcos, the new reduction of the raw data , van Leeuwen, F.(Dordrecht: Springer, 2007) 星が静止 星像中心の解析 大円に沿った座標導出 姿勢再構築 星が静止 姿勢再構築 Rights and wrongs fo the Hipparcos data – A critical quality assessment of the Hipparcos catalogue, van Leeuwen, F. A&A 439 805-822(2005) A new reduction of the raw Hipparcos data, van Leeuwen, F. and Fantino, E., A&A 439 791-803(2005) Varidation of the new Hipparcos reduction, van Leeuwen, F. A&A (2007) 大円を結合し位置天文パラメータ導出

擾乱管理 抑える 測定する:高精度・高安定な物差し 解く 太陽方位角を変えない、高安定素材 絶対変わらないものを物差しにする(1周=360°) QSO⇒「動かない」という事実は使える 解く 縮退しない擾乱については解ける 地球(月)回転モデル 詳細な衛星モデル(HIPPARCOS再解析) 詳細なプレートモデル(HST)

汎用望遠鏡による位置天文 手法 実績 計画 視野内の星が多ければ、ビーム混合鏡に頼らなくても 精度よくパノラマ写真が合成できる 地上 過去のプレートをCCDに読み込んでデジタル処理⇒100年 スパンの固有運動計測(IAU commission 8でもWG) HUBBLE⇒クラスター周辺 計画 JASMINE⇒バルジ MAPS ★ ★ ★ ★ ★ ★ ψ1,θ1,φ1,γ ψ2,θ2,φ2,γ

高密度領域は部分観測を可能にするか? 高星密度(バルジなど)⇒高精度で視野結合 ⇒Ωを小さくできる 高星密度(バルジなど)⇒高精度で視野結合 ⇒Ωを小さくできる 時間的に不変な基準:Calibrationが困難 HIPPARCOSは一周360度の事実を利用 不動点(QSO)の利用 大角度離れた相対距離が測定されない 不動点を使わず絶対アストロメトリを行うには、数 倍から1桁高精度の観測が必要 太陽方位角一定の観測ができない HIPPARCOS・GAIAのscan 則は太陽方位角一定

全般 位置天文の精度とデータ解析 ミッション紹介

GAIA —スキャン型衛星— Sun-Earth L2点 2011年12月 launch ESA V<20 15~20μas@V=15 2030kg、ソユーズ ESA 2006/3/20 Phase B2/C/D移行 V<20 15~20μas@V=15 全天サーベイ www.ari.uni-heidelberg.de/gaia/Vorlesung/vorl02-einfuehrung2.ppt

制御系 熱 通信 FEEP(イオンエンジン) による姿勢制御 一体型総SiCの光学 ベンチ 太陽方位角一定scan Phased array anthenna

位置天文 スペクトル 中帯域測光 1.4×0.5m主鏡×2 M4ビーム混合鏡、 99.5° 10億星 50万のQSO(V<20) reference frame スペクトル 847-874nm 中帯域測光 320-1000nm

OBSS-3視野同時観測- ad.usno.navy.mil/OBSS/presentations/OBSS_wide_field_surveys_f.ppt

技術実証衛星Nano-JASMINE 15:25~菅沼さん 構造系 内部構造・機器配置

Space interferometry mission 干渉計—SIM Planet quest— σ∝λ Ω1/2 / (D2 t1/2 ΩFOV1/2) 地球追跡軌道 SST⇒デルタロケット 干渉計、9m基線長 無期延期 1~4μas@V=20 Systematic error < 0.1μas 約1万星(V<20) 1000個のGrid Starをもとに 0.3m主鏡 5年半~10年 http://planetquest.jpl.nasa.gov/SIM/sim_index.cfm

位置天文専用望遠鏡— PZT — ILOM: Insitu lunar orientation measurements 15:40~ 花田さん 月の回転パラメータを1mas精度で測定 写真天頂筒 水銀を鏡に使い水平面を得る PZT (Photographic Zenith Tube) for ILOM An artist’s impression of ILOM SPIE 2006 T. Yano

Japan Astrometric Mission for infrared exploration JASMINE—汎用望遠鏡— σ∝λ Ω1/2 / (D2 t1/2 ΩFOV1/2) ミッション領域を制限して、高精度を実現 プレート張り合わせ法(=stareモード) バルジの σ/π<0.1の星の数100万個(GAIAは 400個) 15:05~矢野さん

MAPS

まとめ σ∝λ Ω1/2 / (D2 t1/2 ΩFOV1/2ε1/2) 今後の高精度アストロメトリ これからやるべきこと 10μ秒角⇒われわれの銀河に手が届く スペース計画に期待(日・米・欧) これからやるべきこと 10μ秒角のもたらすサイエンス より具体的に評価することで、プロジェクトを後押し 解析手法 まだやるべきことが残っている 部分観測⇒今後の高精度アストロメトリにつながる 衛星・月のダイナミクスのモデル化 位置天文で地球回転・大陸移動・・・