国内でのe-sportsの現状、問題の改善

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国内でのe-sportsの現状、問題の改善 21211141 小山 将太郎

e-sportsとは何か?  e-sports(electronic sports)とはコンピューターゲーム又はビデオゲームで行われる対戦をスポーツや競技として捉える際に使われる名称である。 ただの遊びというだけではなく、競技性があり、海外で高額な賞金が掛けられる大会も開かれる。企業と契約しているプロも存在し、e-sportsのみで生計をたてる者もいる。  日本では格闘ゲームが主流で、有名なタイトルを上げれば「ストリートファイターシリーズ」や「鉄拳シリーズ」、「スマッシュブラザーズ」などが挙げられる。

国内でのe-sportsの問題点 社会的地位の低さ。知名度の低さ。本来あるはずの価値が認められていないこと。 <本来あるはずの価値> 競技で勝つためには様々な要素を必要とする。コミュ二ケーション能力は勿論のこと、シュミレーション能力、実践するためのトレーニングによる忍耐力、日々変わる戦術に対応するための対応力、情報収集能力、また自分で戦術を開拓する発想力も必要だ。こういった要素は普通のスポーツでも必要であり、その有用性は実際に社会に出たスポーツ経験者が証明している。

本来あるはずの価値、補足 普通のスポーツと比べ、e-sportsが優れている点  先ほど述べた理由であればサッカーや野球などの一般的なスポーツをやれば良いのではないかという疑問に当たる。その方が体の健康も保たれ、社会的体裁も保たれる。  しかし私はこのビデオゲームという遊びから競技に至る経緯がこれほどわかりやすい点を評価してもらいたい。  これは現時点での話だが、誰もゲームをプロになって食べていきたいから始めるという人はいない。ビデオゲームが楽しくて、突き詰めていった先にスポンサーが付きプロという道があるのが今のe-sportsなのだ。  昨今スポーツ業界では「スポーツの本来のあり方」など問題定義がなされているが、現状のe-sportsはその問題と無縁でいられる。何故なら誰もが遊びで始め、遊びで続け、結果的にプロになるからだ。今のスポーツは遊びで始めても、そこからは教育だ。プロになるための教育が成され、なるべくして成るのが今のスポーツである。それは仕方がないことで、経済規模が大きくなればe-sportsであってもそうなるだろう(実際に韓国ではそういったプロセスが出来つつある)。しかし現状、プロという職業がありながらもその問題と無縁でいられる。それは短期的であっても大きな強みと言えるのではないだろうかと思う。

本来あるはずの価値、補足2 普通のスポーツと比べ、e-sportsが優れている点  e-sportsは現状、両手があれば最高のパフォーマンスをすることが可能な競技だ。そのため、障害者が健常者と互角の条件で競える競技でもある。ボードゲームもその類だがボードゲームと違うところは、(CCG;コンピューターカードゲームを除き)パターンや定石に沿うことよりも、1秒の間に考え、操作する直感的な行動が必要であるということである。それにも勿論定石はあるが、それに完璧に準じているだけでは良い結果はでない。何故なら短い時間に一定の操作が必要な以上、すべてを完璧に出来るということはないからからだ。それ故、難易度を下げた妥協が必要であり、妥協した際の次の行動を考えるということをゲーム中何度も行うとすると、とても事前に知り得る情報だけでは足りない。  考え方はスポーツに等しい。体を動かさず、スポーツ的な考えを楽しめる。それもe-sportsの優れた点である。

本来あるはずの価値、補足3  e-sportsは普通のスポーツと比べ敷居が低い。それは普通のスポーツと比べて難易度が低いという意味ではなく、ゲーム機と時間があればどこであっても出来るという意味だ。  また、普通のスポーツと違い、何十年も昔からあるタイトルが主流ということはなく、常に新しいタイトルで競い合う場が設けられる。それはスポーツで起こり得るスタート地点の差が極端に少なくなることを意味する。  勿論、他のタイトルで培ってきた経験は違うタイトルであっても活かせることは多い。しかし、それはサッカー経験者がバスケットを始め、効率的な足運びや相手の振り払い方、チーム行動の上手さなどが生かされる程度であり、シュートの仕方や、ドリブルの技術は一から覚えなければならないのと同等に、タイトルごとに新たな技術が求められるのは変わらない。故に、初めてe-sportsをしたという人であっても、本気で取り組めばe-sports経験者との間で経験の差に悩ませられることは比較的少なくなるのだ。そういった意味でも、e-sportsは敷居が低く、誰であっても、いつ初めても、上級者と競い合うことができる競技であると言える。

海外でのe-sportsの現状 そもそもe-sportsがどれだけの人に好まれているか、どれほどの盛り上がりを見せているのかという点がわからなければ、実感しづらいと思うので紹介したいと思う。 例として世界中で最も多くのプレイヤーが存在する 「League of Legends」、通称LOLというゲームを紹介したいと思う。 ジャンルとしてRTS(Real time strategy)と呼ばれるもので、囲碁や将棋と違い、リアルタイムで進行していく状況に対応してキャラクターに命令し行動するゲームである。このゲームはe-sportsでも最も盛り上がりを見せるタイトルで、総アカウント数7500万人(比較:テニスの世界人口は1億人)、最大同時接続数750万人と凄まじい数字を誇るゲームである。

 このゲームの市場規模は凄まじく、2014年にあった世界大会の賞金総額は200万ドルを超え、優勝賞金は100万ドルと破格の賞金額を提示されている。プロの数も多く、去年の2013年にはe-sports初のプロアスリートビザが米国選手に発行された。  e-sportsの発展した国、特に韓国では大流行し、2014年に韓国で行われたWCS(world champion ship)という世界大会では、 ・15日間行われたWorld Championship 2014は40の放送局、19の言語で放送され、累計放送時間は100時間超。 ・台北からソウルまでのユニークインプレッションの数の累計は2億8800万人。 ・累計視聴時間は1億7900万時間で、7000万時間だった前年の2倍上。 ・今年のSamusung White(韓国のチーム名)とRoyal Club(中国のチーム名)の決勝の最大同時視聴者数は1120万人、前年の870万人から増加。 ・ファンの平均時間は去年の42分から67分へと増加。 ・決勝の会場となったソウルワールドカップスタジアムには4万人ものファンが詰めかけた。  と、凄まじい盛り上がりを見せた。    

参考画像 WCS2014  

ビックタイトルの可能性 LOLはまだ生まれて5年しか経っておらず、言語対応などしていない国が多い。潜在的な顧客数はまだ十分にあると予測される。  その中で、日本は時期は未定であるがようやく日本語版のサービスが開始されることが明言された。ゲームのシステム上、ライト層から顧客を獲得することは難しいだろうが、ゲームを少しでもやり込める人であれば存分に楽しめるタイトルである。そして、FPS(ファースト・パーソン・シューター)と並び、e-sportsのもう一つの花形と言えるRTSというジャンルのゲームが広がれば次第にe-sportsの興味へ変わることが期待できる。

問題の原因、背景の考察 日本ではゲームに対して間違った認識を持つ人が多い。 日本の企業は現在の市場価値が重要であり、成長段階で尚且つ日本では社会性が保証されていないe-sportsにリスクを背負ってまで投資をしてくれる企業が少ない。

問題の原因、背景(補足) 日本で広まったビデオゲーム対する誤った認識が原因である。 なぜ日本では誤った認識をされているか。そのためにはまず、日本と海外のゲームに対する認識の差について話す必要がある。 日本ではゲームは子供がやる遊びだと思われているのに対し、意外にも海外ではゲームは大人の遊びだと認識されている。勿論海外の子供もゲームを好きだ。しかし、それ以上に大人がゲームを真剣にやり、それを見て笑うものが少ない。そういった背景が国内と海外の普及度の差を作っているのだと思われる。 もともと日本はマイノリティに不寛容な面がある。所謂懐古的な嗜好に囚われがちな人が多く、それが日本のゲーム業界に多大な影響を及ぼしたのは想像に難くない。ぽっと出てきたゲームを受け入れられる世代が子供ばかりだったのだろう。その結果、ゲームは子供がやるものと切り捨てられ、その認識が今に至るまで引き継がれたのが現状あり、その状態ではいくらe-sportsの競技性や副次効果を主張したところで、「ゲーム」と一括りにされて相手にしてもらえないのだと考えられる。 そして、そもそもゲームの認識を改め、e-sportsの価値が認められたとしても、生まれたばかり故に経済的な価値が不明である以上、e-sportsに投資してくれる企業は少ないだろう。大きな大会など日本で開ければ別だろうが、風営法などがある以上、それもままならない。 また、日本のゲーム事情は海外と少しずれており、ガラパゴス化が進んでいる。PCゲームがe-sportsの中心なのだが、日本のゲーム利用者は殆どがライト層で、ライト層はPCゲームをやらないのが現状だ。やはり「暇つぶし」としての認識が広まっており、またその使い方を好んでいる。そういった事情がe-sportsの普及を妨げているのだと私は思う。

解決方法の模索 第一に知名度の低さが問題であると考えられる。よくある「聞いたことはあるが、どういったものかは知らない」ということすらないというのは、興味を持たれる以前の問題だ。普通に生活していてe-sportsという単語を聞く機会がないのが現状である以上、まずはe-sportsというものがあるということを知ってもらうのが一番だろう。 それともう一つ、並行して日本国内でのゲームの認識を改める必要があるだろう。変に知名度を高めたところで、その情報が正しく伝わっていなければ意味がない。国内でのゲームの認識が「子供の遊び」だけであり、尚且つ良いものと思われていないのであれば、その先入観が邪魔をして、e-sportsに対して良い感情を持つような情報を素直に受け取れるとは思えない。知名度を上げるためにも、ゲーム全体の認識を少しずつでも変えていく必要がある。

現在行われている宣伝活動 現在行われていて、尚且つ効果が出ているものといえば、第一に「eスポールMax」というテレビ番組が挙げられる。これは毎週金曜日の18時からTOKYO MX2で放送されている番組で、e-sportsを全く知らないという層を意識して作られているのか、広く浅く各ジャンルのゲームや、それをプレイしているプレイヤー、大会等を紹介している。今必要なのは潜在的な顧客をフォローすることなので、非常に有効な宣伝番組と私は思う。 これは宣伝活動と言っていいのかはわからないが、結果的に宣伝になっているのはSNSを利用した交流だ。ネット上で対戦することがほとんどのe-sportsではSNSを使って対戦相手を見つけたり、個人で運営する大会などが頻繁に行われる。一つ一つは小規模だが、それがプレイヤーの半数が行っているとなれば、そのプレイヤーを通してe-sportsの存在を知る人も決して少ないとは言えないはずだ。惜しむべきは、SNSを利用しているプレイヤーでも身内で固まってしまうことが多く、新規を取り入れる姿勢を持ち合わせている者が少ない点だろう。

・プレイヤー間の交流、アクティブ性の向上 まとめ  日本ではまずe-sportsを認知してもらうことから始めなければならないので、具体的な改善策は思い浮かばない。  しかし必要なことをまとめると ・潜在的な顧客へのフォロー ・プレイヤー間の交流、アクティブ性の向上 の二つが上がると思われる。  顧客へのフォローは主にe-sportsに関わる企業の問題で、プレイヤー間の交流、アクティブ性の向上は主にプレイヤーの問題だ。この二つが改善されれば、日本でのe-sportsの価値も自ずと上がってくるだろう。