2009年5月28日 熱流体力学 第7回 担当教員: 北川輝彦.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
課題 1 課題提出時にはグラフを添付すること. この反応が1次であることを示すためには、 ln ([N 2 O 5 ] 0 / [N 2 O 5 ]) vs. t のプロットが原点を通る直線となることを示せばよい。 与えられたデータから、 t [s] ln ([N.
Advertisements

熱流体力学 第4章 番外編 熱力学的系 状態方程式 熱力学で扱う偏微分公式 熱力学の第一法則(工学系と物理系)
計測情報処理論(4) レンズの基礎.
内燃機関と外燃機関.
2009年6月25日 熱流体力学 第11回 担当教員: 北川輝彦.
気体の熱的挙動 KANO 気体の挙動.
今後の予定 7日目 11月 4日 口頭報告レポート押印 前回押印したレポートの回収 口頭報告の進め方についての説明 講義(4章),班で討論
熱と仕事.
第 4 章 : 一般回路の定理 4.5 可逆の理 可逆の理 キーワード : 可逆の理を理解する. 学習目標 :
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
建築環境工学・建築設備工学入門 <空気調和設備編> <換気設備> 換気設備 演習問題
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
医薬品素材学 I 1 物理量と単位 2 気体の性質 1-1 物理量と単位 1-2 SI 誘導単位の成り立ち 1-3 エネルギーの単位
反応ギブズエネルギー  ΔrxnG (p. 128).
医薬品素材学 I 3 熱力学 3-1 エネルギー 3-2 熱化学 3-3 エントロピー 3-4 ギブズエネルギー 平成28年5月13日.
熱力学Ⅰ 第1回「熱力学とは」 機械工学科 佐藤智明.
大気の熱力学 乾燥大気 湿潤大気.
2009年4月23日 熱流体力学 第3回 担当教員: 北川輝彦.
2009年8月27日 熱流体力学 第14回 担当教員: 北川輝彦.
x: 質量モル濃度を mol kg-1 単位で   表した時の数値部分 上の式は実験(近似)式であり、 ½乗に物理的な意味はない。
高等学校(工業) 国際単位系(SI).
医薬品素材学 I 4 物質の状態 4-1 溶液の蒸気圧 4-2 溶液の束一的性質 平成28年5月20日.
薬学物理化学Ⅲ 平成28年 4月15日~.
課題 1.
電気基礎実験 <<グラフ処理>>
一成分、二相共存系での平衡 一成分 固液共存系    氷-水.
反応性流体力学特論  -燃焼流れの力学- 燃焼の流体力学 4/22,13 燃焼の熱力学 5/13.
需要の価格弾力性 価格の変化率と需要の変化率の比.
輻射圧駆動風の臨界点ついて 非相対論的領域 Radiatively Driven Spherical Wind Critical Points and Curves Nonrelativistic Regime 福江 純@大阪教育大学.
回帰分析の結果、直線の傾きは ×104 と求められ、 EA = -(傾き)×R = (2.71×104)×8.31
気体の熱的挙動 KANO 気体の挙動.
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved
計算力学技術者2級 (熱流体力学分野の解析技術者) 認定試験対策講習会 - 3章・1 熱力学・伝熱学の基礎 -
2009年5月21日 熱流体力学 第6回 担当教員: 北川輝彦.
ディジタル信号処理 Digital Signal Processing
燃焼の流体力学 4/22 燃焼の熱力学 5/13 燃焼流れの数値解析 5/22
課題 1.
(d) ギブズ - デュエムの式 2成分混合物の全ギブスエネルギー: 化学ポテンシャルは組成に依存
シリカガラスの熱的性質 I 粘度,特性温度,熱膨張,比熱,熱伝導 福井大学工学部 葛生 伸.
(昨年度のオープンコースウェア) 10/17 組み合わせと確率 10/24 確率変数と確率分布 10/31 代表的な確率分布
電子物性第1 第9回 ー粒子の統計ー 電子物性第1スライド9-1 目次 2 はじめに 3 圧力 4 温度はエネルギー 5 分子の速度
課題 熱力学関数 U, H, S, A, G の名称と定義を書け dS, dGの意味を書け ⊿U, ⊿H, ⊿G の意味を書け.
課題 熱力学関数 U, H, S, A, G の名称と定義を書け dS, dGの意味を書け ⊿U, ⊿H, ⊿G の意味を書け.
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
連続体とは 連続体(continuum) 密度*が連続関数として定義できる場合
2009年4月23日 熱流体力学 第3回 担当教員: 北川輝彦.
2009年7月9日 熱流体力学 第13回 担当教員: 北川輝彦.
サーマルプローブを用いたイオン温度計測の新しいアプローチ
© Yukiko Abe 2015 All rights reserved
(d) ギブズ - デュエムの式 2成分混合物の全ギブスエネルギー: 化学ポテンシャルは組成に依存
2009年7月2日 熱流体力学 第12回 担当教員: 北川輝彦.
低温物体が得た熱 高温物体が失った熱 = 得熱量=失熱量 これもエネルギー保存の法則.
物質機能化学1および演習 注意事項 1. 成績は全て、小テスト、中間テスト、期末テストの点数で決定する。
◎ 本章  化学ポテンシャルの概念の拡張           ⇒ 化学反応の平衡組成の説明に応用   ・平衡組成       ギブズエネルギーを反応進行度に対してプロットしたときの極小に対応      この極小の位置の確定         ⇒ 平衡定数と標準反応ギブズエネルギーとの関係   ・熱力学的な式による記述.
これらの原稿は、原子物理学の講義を受講している
今後の予定 8日目 11月13日 口頭報告答あわせ,講義(5章) 9日目 11月27日 3・4章についての小テスト,講義(5章続き)
今後の予定 7日目 11月12日 レポート押印 1回目口頭報告についての説明 講義(4章~5章),班で討論
熱量 Q:熱量 [ cal ] or [J] m:質量 [g] or [kg] c:比熱 [cal/(g・K)] or [J/(kg・K)]
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
2009年5月14日 熱流体力学 第5回 担当教員: 北川輝彦.
2009年6月18日 熱流体力学 第10回 担当教員: 北川輝彦.
線形符号(10章).
無向グラフが与えられたとき、最大位数の完全部分グラフを求める問題
外部条件に対する平衡の応答 ◎ 平衡 圧力、温度、反応物と生成物の濃度に応じて変化する
課題 1.
熱伝導方程式の導出 熱伝導:物質の移動を伴わずに高温側から低温側へ熱が伝わる現象 対流、輻射 フーリエの法則Fourier’s law:
固体→液体 液体→固体 ヒント P131  クラペイロンの式 左辺の微分式を有限値で近似すると?
Presentation transcript:

2009年5月28日 熱流体力学 第7回 担当教員: 北川輝彦

p:圧力、v:比容積、R:ガス定数、T:絶対温度 4.7.1状態変化を考えるための基礎 1)完全ガスの状態方程式 pv = RT p:圧力、v:比容積、R:ガス定数、T:絶対温度 pdv + vdp = RdT (上式の全微分式) (1.6) (4.16)

4.7.1状態変化を考えるための基礎 2)熱力学の第1法則 dq = du + dw dq = du + pdv dq = dh - vdp (dw = pdvを考慮した式, du:比内部エネルギ) dq = dh - vdp (比エンタルピを用いた式,h:比エンタルピ; h = u + pv) (4.4) (4.10) (4.15)

4.7.1状態変化を考えるための基礎 3)補助関係式 dh = CpdT ; du =CvdT dw = pdv (w:系が外部になした仕事) h = u + pv (h:比エンタルピ) dh = du + pdv + vdp = du + RdT dh = CpdT ; du =CvdT Cp:等圧比熱 Cv:等積比熱 (4.9) (4.13) (4.17) (4.18)

∴Cp = Cv + R (Cp > Cvの証明) 4.7.1状態変化を考えるための基礎 Cp と Cv を ガス乗数Rと比熱比κで表す Cp:等圧比熱 Cv:等積比熱 dh = du + pdv + vdp = du + RdT dh = CpdT ; du =CvdT CpdT = CvdT + RdT ∴Cp = Cv + R (Cp > Cvの証明)

4.7.1状態変化を考えるための基礎 ∴ Cv = R / ( κ-1 ), Cp = κR / (κ – 1) Cp と Cv を ガス乗数Rと比熱比κで表す Cp:等圧比熱 Cv:等積比熱 比熱比:κ = Cp / Cv と定義 Cp = Cv + R へ代入、整理 ∴ Cv = R / ( κ-1 ), Cp = κR / (κ – 1)

4.7.3 各種状態変化の計算方法 1) 等圧変化 2) 等温変化 3) 等積変化 4) 断熱変化 5) ポリトロープ変化

4.7.3 各種状態変化の計算方法 1) 等圧変化 2) 等温変化 3) 等積変化 4) 断熱変化 5) ポリトロープ変化

3) 等積変化(仕事) 図4.12に示すように、点aからbへの状態変化がv = 一定 (dv = 0)に保たれる変化 等積変化では、系が成す仕事wabは ∫dw a b b =∫pdv = 0 wab = a

3) 等積変化(熱量) ∫dq 一方、この変化を実現するために系に加えるべき熱量qabはdv = 0であることを考慮して、 3) 等積変化(熱量) 一方、この変化を実現するために系に加えるべき熱量qabはdv = 0であることを考慮して、 ∫dq a b =∫(du + pdv) a b qab = =∫du a b =∫CvdT a b = ub - ua = Cv(Tb - Ta) R κ - 1 = (Tb - Ta)

4.7.3 各種状態変化の計算方法 1) 等圧変化 2) 等温変化 3) 等積変化 4) 断熱変化 5) ポリトロープ変化

4) 断熱変化 [ ] 図4.13に示すように、点aからbへの状態変化を断熱状態で行う、q = 一定 (dq = 0)に保たれる変化 4) 断熱変化 図4.13に示すように、点aからbへの状態変化を断熱状態で行う、q = 一定 (dq = 0)に保たれる変化 次の式で表される変化 pvκ = C (C:定数) pavaκ = pbvbκ = C κ pa pb vb va [ ] =

4) 断熱変化(仕事) ∫dw 点aからbへの断熱変化で系が成す仕事wabは、圧力pがp = C/vκで与えられることを考慮すると、 4) 断熱変化(仕事) 点aからbへの断熱変化で系が成す仕事wabは、圧力pがp = C/vκで与えられることを考慮すると、 ∫dw a b =∫pdv a b =∫ a b C wab = dv vκ b = [v1-κ] C 1 - κ = C∫ b v-κdv a a

4) 断熱変化(仕事) ここで定数Cは、pavaκ = pbvbκ = Cで与えられることを考慮して 1 4) 断熱変化(仕事) ここで定数Cは、pavaκ = pbvbκ = Cで与えられることを考慮して 1 1 - κ wab = (pbvbκvb1-κ- pavaκva1-κ) 1 κ-1 = (pava - pbvb) R κ-1 = (Ta - Tb) = Cv(Ta - Tb)

4) 断熱変化(熱量) 断熱変化を実現するために系に加えるべき熱量qabは当然、0である。 qab = 0

断熱変化 断熱変化の状態方程式が下記の式で記述されることを熱力学の第一法則、比熱比κ、比エンタルピなどを用いて証明せよ pvκ = C

4.7.3 各種状態変化の計算方法 1) 等圧変化 2) 等温変化 3) 等積変化 4) 断熱変化 5) ポリトロープ変化

5) ポリトロープ変化 圧力pと比容積vが以下の指数関係で結ばれる変化をいう(可逆変化) pvn = C 指数n:ポリトロープ指数 5) ポリトロープ変化 圧力pと比容積vが以下の指数関係で結ばれる変化をいう(可逆変化) pvn = C 指数n:ポリトロープ指数 1)~4)の状態変化はこのポリトロープ指数 の値によって一般化できる

5) ポリトロープ変化 ポリトロープ指数の値をそれぞれ以下のように設定すると、 pvn = C n = 0 : p = C ⇒ 等圧変化 5) ポリトロープ変化 ポリトロープ指数の値をそれぞれ以下のように設定すると、 pvn = C n = 0 : p = C ⇒ 等圧変化 n = 1 : pv = C ⇒ 等温変化 n = κ : pvκ = C ⇒ 断熱変化 n = ∞ : v = C ⇒ 等積変化