6: 失業とインフレーション/デフレーション

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IS-LM 分析 マクロ経済分析 畑農鋭矢. 貨幣の範囲 通貨対象 M1M2M3 広義流動性 現金通貨(日銀券 +補助通貨) 預金通貨 (普通預金・当座 預金など) 主要銀行・信 用金庫など ゆうちょ銀 行・信用組合 など 準通貨 (定期預金など) 主要銀行・信 金など ゆうちょ銀 行・信用組合 など.
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6: 失業とインフレーション/デフレーション
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7: 新古典派マクロ経済学 生産要素の完全雇用 ケインズ経済学の中心的な考え方(需要サイド,4章と5章のIS/LMモデル) ↑ ↓
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<労働需供の推移に影響する要因> 企業の人事制度は、その時々の経済情勢や社会情勢によって左右される。
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古典派モデル(1) 基本モデル 生産要素市場の均衡(労働市場,資本市場) 生産関数 消費関数,投資関数 財市場の均衡 政策の効果
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経済学(第7週) 前回のおさらい 前回学習したこと(テキストp.16,19) ◆ マクロ経済学における短期と長期 ◆ 完全雇用とはなにか ◆ 短期のマクロ経済モデルの背後にある考え方 (不況の経済学/有効需要原理) ◆ 民間部門はどのように消費や投資を決定するか ◆ ケインズ型消費関数とはなにか ◆
第6章 デフレの鍵は賃金 ー「なぜ日本だけが?」の答え
公共経済学 完全競争市場.
経済学入門 ミクロ経済学とマクロ経済学 ケインズ経済学と古典派マクロ経済学 経済学の特徴 経済学の基礎概念 部分均衡分析の応用.
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6: 失業とインフレーション/デフレーション 失業率 労働力(labor force):「働いている人・働きたいと思っている人」を指す。 失業(unemployment):就業する意思と能力がある人が生産活動に従事していないことを指す。 日本の就業状態の区分 ──────調査でのとらえ方────  ───────結果表の表し方──── ┌── 主に仕事    ──┐        ├通学のかたわらに仕事   ┼ 従業者 ┐ 調査期間 ├家事などのかたわらに仕事┘ │ 中に少し ┤          ├就業者┐ でも仕事 │ │ ├労働力人口┐ をしたか │   ┌仕事を休んでいた 休業者 ┘   │      │ 15歳以  │    ├仕事を探していた 完全失業者 ┘      ├ 上人口 │    │ │        └仕事をし ┼   通   学     ┐             │          なかった├   家   事      ┼ ・・・・・・・・・非労働力人口 ┘               └その他(高齢者など)┘ (2008年6月 単位:万人) 5424 120 6346 802 6451 105 6716 265 11049 689 4330 1683 1958 就業状態不詳 3 マクロ経済学(Ⅱ) 総務省統計局「労働力調査」:http://www.stat.go.jp/data/roudou/index.htm

6: 失業とインフレーション/デフレーション 失業率 労働力(labor force):「働いている人・働きたいと思っている人」を指す。 失業(unemployment):就業する意思と能力がある人が生産活動に従事していないことを指す。 失業率(unemployment rate):就職しておらず求職活動をしている人数の労働力人口に対する比率である。 (2008年6月の)失業率 = 完全失業者 265万人 / 労働人口 6716万人 = 3.9% マクロ経済学(Ⅱ)

6: 失業とインフレーション/デフレーション 失業率 失業率(unemployment rate):就職しておらず求職活動をしている人数の労働力人口に対する比率である。 失業統計はそれぞれの国で少しずつ異なった方法により集められ,厳密にいえば「失業率」の定義は国ごとに異なる。 それでも日本は1975~95年の間に低い水準にあった。これは日本的な終身雇用の慣行などによるものと考えられる。 マクロ経済学(Ⅱ) データ:LABORSTA http://laborsta.ilo.org/default.html など

6: 失業とインフレーション/デフレーション 失業率 失業(unemployment):就業する意思と能力がある人が生産活動に従事していないことを指す。 日本の失業率が低くなるもう一つの理由 失業率(unemployment rate):就職しておらず求職活動をしている人数の労働力人口に対する比率である。 失業した人が失業プールに留まらず,就職の希望を持ちながらも職探しをしてもどうせ「適当な仕事がありそうもない」とあきらめた人たちが,非労働力人口化され,その結果,就職者数が減少したとき,労働人口も減少するので,統計された失業率の上昇は抑えられることになった。 就職の希望を持ちながらも職探しをあきらめ,非労働人口化している人口が経済成長率とは逆相関をしている。 マクロ経済学(Ⅱ)

6: 失業とインフレーション/デフレーション 「摩擦的失業」・「自然失業」と「完全雇用」 労働市場における「均衡」をどのように定義するにせよ,「均衡」におけて失業率がゼロになると考える経済学者はいない。 その理由は,労働市場は地域,職種,労働者の年齢・性別・教育水準など様々な要因によって分断され,情報が著しく不完全だからである。分断された労働市場においては,超過供給と超過需要が恒常的に共存している。 ベバリッジ曲線 u v u-v曲線(ベバリッジ曲線) u: 「失業率」,超過供給を表す指標 v: 「欠員率」,超過需要を表す指標 vが低いときに,uは高くなり,逆にvが高いとにはuが低くなるという傾向を持ちながらも,一般的にu,vが共存している。 労働市場の分断,そして個々の市場の異質,さらに情報の不完全になるほど,ベバリッジ曲線は右上方向に移る。 マクロ経済学(Ⅱ)

6: 失業とインフレーション/デフレーション 「摩擦的失業」・「自然失業」と「完全雇用」 地域,職種,労働者の年齢・性別・教育水準などのミスマッチによって生じる失業を摩擦的失業(frictional unemployment)という。 「摩擦的失業」は,労働市場がマクロ的な意味で均衡しているときにも,即ち完全雇用状態においても存在する失業である。 摩擦的失業の計測 ベバリッジ曲線上で,失業率uと欠員率vが等しくなるようなuを「摩擦的失業率」と定義する。 u v u-v曲線(ベバリッジ曲線) ベバリッジ曲線が東北方向にシフトする場合に, uとvが共に上昇し,摩擦的失業が増大する。 u* マクロ経済学(Ⅱ)

6: 失業とインフレーション/デフレーション 「摩擦的失業」・「自然失業」と「完全雇用」 地域,職種,労働者の年齢・性別・教育水準などのミスマッチによって生じる失業を摩擦的失業(frictional unemployment)という。 「摩擦的失業」は,労働市場がマクロ的な意味で均衡しているときにも,即ち完全雇用状態においても存在する失業である。 摩擦的失業の計測 ベバリッジ曲線上で,失業率uと欠員率vが等しくなるようなuを「摩擦的失業率」と定義する。 u v u-v曲線(ベバリッジ曲線) ベバリッジ曲線が東北方向にシフトする場合に, uとvが共に上昇し,摩擦的失業が増大する。 1つのベバリッジ曲線上で, u > v ⇒ 需要不足による失業 1990年代後半の日本の失業率上昇の主因は,ミスマッチというより需要不足にあったと見られる(教科書p.166の図6-5参照)。 u* マクロ経済学(Ⅱ)

6: 失業とインフレーション/デフレーション 「摩擦的失業」・「自然失業」と「完全雇用」 フリードマンの考え方 労働者にとって「職探しは一種の「投資」である。失業者はそれがどれだけ不本意な職であるにせよ,ともかくいま職に就けば得られるであろう「収入」(非金銭的な要素も含む広い意味での「収入」)犠牲にして,将来よりよい「収入」を得るころを目指し職探しを行っている。こうした就職活動は,労働の部門間再分配が不完全な情報の下で行われる以上,必要不可欠な「投資」である。「収入」の限界生産に等しい限り,この「投資」は労働者本人によって望ましいだけではなく,限界生産の高い部門(あるいは職)に労働が移動するという意味で,社会的にも望ましい「投資」になる。 Milton Friedman 1912~2006 フリードマン氏は世界各国の経済政策に多大な影響を与えた米国の代表的な経済学者である。財政ではなく,金融政策を経済政策の中で最も重視する「マネタリズム」を提唱した。金融理論などへの功績で,1976年にノーベル経済学賞を受賞した。著書は『選択の自由』,『資本主義と自由』などがある。 マクロ経済学(Ⅱ)

6: 失業とインフレーション/デフレーション 「摩擦的失業」・「自然失業」と「完全雇用」 フリードマンの考え方 労働者にとって「職探しは一種の「投資」である。失業者はそれがどれだけ不本意な職であるにせよ,ともかくいま職に就けば得られるであろう「収入」(非金銭的な要素も含む広い意味での「収入」)犠牲にして,将来よりよい「収入」を得るころを目指し職探しを行っている。こうした就職活動は,労働の部門間再分配が不完全な情報の下で行われる以上,必要不可欠な「投資」である。「収入」の限界生産に等しい限り,この「投資」は労働者本人によって望ましいだけではなく,限界生産の高い部門(あるいは職)に労働が移動するという意味で,社会的にも望ましい「投資」になる。 労働者が「合理的」に就職活動を行う結果生じる失業を「自然失業(natural unemployment)」,その場合の失業率を自然失業率と名づけられる。 失業率が「自然失業率」より低くなることは,労働という生産要素の効率的配分という観点からみて望ましくない。「自然失業率」は,資源の最適配分を実現する失業率なのである。 マクロ経済学(Ⅱ)

6: 失業とインフレーション/デフレーション 「摩擦的失業」・「自然失業」と「完全雇用」 「自然失業率」の水準の依存要因: 自然失業率の 労働市場の分断 分断された労働市場間の移動コスト 情報の完全性 労働の移動を必要とならしめる「ミクロ的」な技術・需要の変化の頻繁度 ジョブ・サーチ・コスト 例えば: 失業保険の給付条件の緩和 → ジョブ・サーチ・コスト低下 → 求職期間長期化する → 失業率上昇 若年ないし女性労働者の移動コストが低い → 転職率が高い → 労働人口に占める若年・女性労働者の比率が高くなると「自然失業率」は上昇する。 「自然失業率」を低くする政策: 失業保険制度の改革,労働者の転職を容易にする(職業訓練),労働市場に関する情報システムの整備など。 マクロ経済学(Ⅱ)

6: 失業とインフレーション/デフレーション 「摩擦的失業」・「自然失業」と「完全雇用」 失業率の変動について 失業率は,景気がよく経済成長率が高いときに低くなり,「摩擦的失業率」ないし「自然失業率」に近づくが,不況により成長率が低いときに,「自然失業率」をはるかに上回る水準に達する。(以下簡単化のために,「摩擦的失業率」・「自然失業率」をゼロと仮定して説明する。) IS/LMモデル i Y IS/LMモデル IS LM Y 労働供給 (労働力人口) Y* Y=f(L) L 求職をあきらめる Ls 生産関数 Y L 失業率 u Y=f(L) u=(Ls-L)/Ls 失業は財・サービスに対する「需要不足」を原因とするものである。 マクロ経済学(Ⅱ) L*

6: 失業とインフレーション/デフレーション セーフティー・ネットとしての失業保険制度 失業は,失業した人が経済的損失を被り,家族を含めて高いストレスを感じることになる。失業者のそうした困難を緩和するために,多くの国で失業保険制度が整備されている。 失業保険制度は,人々が安心して経済活動を行うことができるようにするための一種の社会的セーフティー・ネット(安全網)である。 日本の制度: 雇用保険法(詳細は厚生労働省のホームページを参照) 一定の条件の下で,離職前賃金の60~80%が90~360日間支給される。 雇用保険法のほかに,ミスマッチを解消するための「労働移動支援助成金」などの助成金制度もある。(詳細はここを参照) 出典: 「平成20版 労働白書」厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/index.html マクロ経済学(Ⅱ)

6: 失業とインフレーション/デフレーション セーフティー・ネットとしての失業保険制度 失業保険制度は国によって異なる。 先進主要国の制度については,厚生労働省の「海外情勢報告」などの比較報告がある。 マクロ経済学(Ⅱ) 出典: 「2005~2006年 海外情勢報告」厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/index.html