CD売り上げ不振の背景と対策 2004・4/28 清水政宏
日本のCD売り上げの推移 アルバム、シングル共に続落傾向。特にシングルは大幅下落。 日本、アメリカ、イギリスは下落傾向 ドイツ、フランスはむしろ上昇傾向
売り上げ不振の理由 1.CD-Rへのコピー、MX等の共有ファイル 2.レンタルCD、中古販売、配信チャンネルの台頭 3.海賊版の横行 4.商品そのものの問題 以下検討。
1.CD-Rへのコピー、MX等の共有ファイル CD-R売り上げと個人録音の増加 インターネット普及に伴うP2P、ファイル交換の発達 →これらは本当にCDの売り上げ減少に関与しているのか?
1-1.CD-Rへのコピー CD-Rの2002年度需要予測は4億9200万枚 その48%である2億3600万枚が音楽複製用途 個人の不正なコピーが業界に悪影響を・・・ 対応策としてのCCCDの導入 とは言うものの・・・
1-1.CD-Rへのコピー ・ カセットからの変化の流れ ・ MDの方がインパクトが大きい ・ 普及率が低い? ・ カセットからの変化の流れ ・ MDの方がインパクトが大きい ・ 普及率が低い? →必ずしもCD-Rのみとは言い難い。 MD CD-R カセット 新品CD購入 50% 32 35 中古CD購入 63 36 37 レンタル 64 44 図書館 52 20 67 知人・友人 61 43
CCCD(コピーコントロールCD) 個人の不正なコピーを防ぐ目的 →音質の劣化 対応していないオーディオ機器の存在(初期) 対応していないオーディオ機器の存在(初期) ☆逆に音質にこだわるコアな層が離れていく
1-2、ファイル共有ソフト WINMX,winny,ナップスター(アメリカ)など 個人がパソコンを介してファイルを自由に交換する 近年著作権侵害とともにCD売り上げ低下の要因ではないかとされている。
1-2、ファイル共有ソフト 規模の問題 アメリカの論文(資料参照) →売り上げ減少の要因になっているとは考えにくい
2-1.レンタルCD、中古販売 ・ ここ数年店舗面積は増大(但し売り上げの推移は不明) ・ レンタルした後は購入しない傾向 ・ ここ数年店舗面積は増大(但し売り上げの推移は不明) ・ レンタルした後は購入しない傾向 →販売減少に繋がる可能性 ☆なぜレンタルに流れるか。
2-2,配信チャンネル ・ 規模としてさほど大きくないのでまだ影響は分からない。 ・ 規模としてさほど大きくないのでまだ影響は分からない。 ・ 結局著作権ビジネスの一環なのでレコード業界側は不利を受けない。 ・ 価格に関する示唆。
3.海賊版の横行 海賊版CDの年間被害額は中国、台湾、韓国、香港だけで年間1500億円、うち3割が邦楽 →これらは国内で流通しているわけではないので売り上げに殆ど関係しない 世界的な売り上げが落ちていることへの理由ならば妥当かもしれない。
4.商品そのものの問題 1~3のような外的要因ではなく、CD業界やCDそのものに問題があるのでは? 考えられるのは以下4つ 1.硬直的な価格 考えられるのは以下4つ 1.硬直的な価格 2.消費構造の変化(他のモノとの比較) 3.チャネル 4.中身(音だけでやっていけるか)
ここまでのまとめ どこで売り上げを逃しているか(仮説) 商品に問題があるのでは? レンタルやコピーももともとは商品から派生した問題 →買う必要を感じない なぜ?
4.商品そのものの問題(再) 1.硬直的な価格 2.消費構造の変化(他のモノとの比較) 3.チャネル(流通、プロモーション) 4.中身(音だけでやっていけるか) 以上4点に着目し、並行して売り上げ改善策も考える。 ※今回はプロモーションは省略。
1.硬直的な価格 →アルバム3000円の根拠 ・ 需要の価格弾力性(先行するクラシックの例) ・ デフレといわれる中、なぜ価格が変わらなかったか →アルバム3000円の根拠 ・ 需要の価格弾力性(先行するクラシックの例) ☆単に大幅値下げすれば良いということでもない!?
2.消費構造の変化 消費者の支出額の変化 DVD 、パソコン、携帯電話など他メディアの多様化による消費者の支出内容の変化 ☆少ないパイを競合で奪い合う →魅力がなければすぐに廃れるのは明白!
3.チャネル 1元的な流通・販売体制 一様な販売店 年齢、嗜好への対応
4.中身(音だけでやっていけるか) 以上を踏まえると、CDは今日、価格に見合った便益をもたらすものではないことが分かる。 しかし先で見たように、価格だけを動かせば売れるかといえばそうでもない。 →商品を変化させる必要性
商品のイメージ コア・コンセプトとしての音 CDはこれまでそこのみに集中しすぎていたのではないか。いつまでも「音」だけでやっていけるか。 ☆競合メディアに負けないような、周辺の充実が必要
まとめ 以上より、売り上げを伸ばすためには 1、商品に付加価値をつける 2、価格をフレキシブルにする 3、多様な販売チャネルの開発 →外的な要因のせいにせず、業界としての経営努力が必要!
参考 頭の使い方 1、モレ分析 どこで売り上げを逃したかを、情報規模の大小にとらわれずに考察。因果関係、背後の構造に着目 どこで売り上げを逃したかを、情報規模の大小にとらわれずに考察。因果関係、背後の構造に着目 2、ロジックツリー 例:利益(=売り上げ-コスト)について π=P×X-C =P×X-(FC+AC) ←固定費用と変動費用 以下P,X,AC,FCについて検討。事象を細かく割っていく方法。 3、4C 市場を自社(Company),他社(Competitor),Channel,顧客(Customer) の4つに分けて分析する方法。