2008年8月8日 社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC) 総務本部副本部長 北田 暢也

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2008年8月8日 社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC) 総務本部副本部長 北田 暢也 愛媛大学法文学部法学特講「現代社会と著作権」 音楽著作権管理の実務 2008年8月8日 社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC) 総務本部副本部長 北田 暢也

音楽の流通と権利処理

レコード会社/プロダクション/音楽出版社 CDの製作における権利関係 作詞・作曲(著作者) [著作権] 音楽出版社、著作権管理事業者 歌唱・演奏(実演家) [著作隣接権] プロダクション 原盤制作(レコード製作者) [著作隣接権] レコード会社/プロダクション/音楽出版社

音楽出版者の役割 著作権の管理 原盤制作 楽曲のプロモーション 楽譜出版 著作権譲渡契約・SP契約の締結と管理 著作権管理事業者への管理委託と使用料の再分配 (管理事業者を通さない)許諾業務 翻案権、編曲権の許諾業務 原盤制作 楽曲のプロモーション 楽譜出版

JASRACの組織と業務

著作権の集中管理の歴史 1851年 フランスでSACEM設立 1899年(明治32年) 1931年(昭和6年) ~ 1939年(昭和14年)  著作権の集中管理の歴史 1851年 フランスでSACEM設立 1899年(明治32年) 著作権法(旧法)の制定 「ベルヌ条約」加盟 1931年(昭和6年)  ~ プラーゲ旋風 (ウィルヘルム・プラーゲ博士) 1939年(昭和14年) 「著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律」施行 大日本音楽著作権協会の設立 1970年(昭和45年) 著作権法の全面改正 2000年(平成12年) 著作権等管理事業法制定

著作権等管理事業者 登録事業者全37社 音楽の分野を管理する事業者 (株)イーライセンス (株)ジャパン・ライツクリアランス(JRC)  著作権等管理事業者 登録事業者全37社 音楽の分野を管理する事業者   (株)イーライセンス   (株)ジャパン・ライツクリアランス(JRC)   ダイキサウンド(株)     等12社              (2008年4月30日現在)

JASRACの組織 設立 1939(昭和14)年11月 会員・信託者 約14,600者 (作詞・作曲:約12200、音楽出版者:2400) 設立 1939(昭和14)年11月 会員・信託者  約14,600者                      (作詞・作曲:約12200、音楽出版者:2400) 職員 497人 (2008年3月1日現在) 本部及び全国21か所に支部を置く 使用料等徴収額 1,156億7千万円 使用料等分配額 1,120億円             (徴収・分配ともに2007年度実績)  

JASRACの業務 著作権管理事業 国際関係事業 私的録音録画補償金の受領と分配 公益的文化事業 利用者への情報提供 違法利用の監視・撲滅        利用許諾、使用料の徴収・分配       利用者への情報提供       違法利用の監視・撲滅 国際関係事業        外国管理団体との相互管理契約に基づく管理(82カ国4地域、112団体)       外国管理団体への支援       国際団体(CISAC、BIEM)への加盟 私的録音録画補償金の受領と分配        私的録音補償金管理協会(sarah)       私的録画補償金管理協会(SARVH) 公益的文化事業        著作権に対する理解の促進と音楽文化の振興

JASRACへの入会 著作権信託契約を締結するには 会員になるには ・ 「公表実績」があること ・ 信託契約申込金      ・ 音楽の著作物の著作権者(作詞者、作曲者、音楽出版者)     ・ 「公表実績」があること     ・ 信託契約申込金     ・ 管理を委託する権利の範囲を選択することができる 会員になるには      ・ 著作権信託契約の締結     ・ JASRACの事業目的に賛同し、事業の運営に寄与する意思のあること     ・ 入会金、年会費        ・ 会員の種別         正会員と準会員     ・ 会員の権利と義務

JASRACの管理する権利の範囲 公表権 氏名表示権 著作者人格権 同一性保持権 著作者の権利 (著作権) 複製権 上演権・演奏権 上映権 (人格的な権利 =譲渡できない) (名誉声望保持権) 著作者の権利 (著作権) 複製権 上演権・演奏権 上映権 公衆送信権等 頒布権 譲渡権 貸与権 二次的著作物の利用に関する権利 翻訳権・翻案権等 JASRACの 管理範囲 著作権(財産権) (財産的権利 =譲渡できる)

JASRAC JASRACの著作権管理システム概念図 著作者等 利用者 音楽出版者 約2,400社 外国音楽出版者 外国管理団体 契約関係   JASRACの著作権管理システム概念図 利用申請 著作者等 作詞・作曲者 約 12,000名 信託契約 JASRAC 利用者  コンサート  カラオケ  CD,録音テープ  音楽配信  着信音配信  ビデオグラム  ゲームソフト  映画  放送  有線放送  通信カラオケ  CD・ビデオレンタル  出版  その他 利用許諾 分 配 使用料支払 使 用 料 再 分 配 音楽出版契約 相互管理契約 信託契約 分  配 音楽出版者 約2,400社 外国管理団体 82ヶ国4地域 112団体  送  金  SP‐OP契約 契約関係 お金の流れ 外国音楽出版者

音楽著作物の管理

音楽著作物の利用と許諾 演奏 放送・有線放送 録音録画 出版 音楽配信 貸与 コンサート、レストラン、クラブ、カラオケ歌唱、BGM等    テレビ、ラジオ、CATV、有線音楽放送等 録音録画    CD、DVD、ゲームソフト、メロディICチップ等 出版    曲集、歌詞集、書籍、雑誌、新聞、ポスター、歌碑等 音楽配信    着メロ、着うた、音楽ダウンロード配信 貸与    レンタルCD、レンタルビデオ

ネットワーク上での音楽利用の許諾 ○ 複製権、公衆送信権 ○ 商用配信 ○ 非商用配信 着信音専用データ配信(45秒以内、他の端末への複製不可)      着メロ、着うた、着ムービー ダウンロード形式音楽配信      iTunes、MORA、着うたフル ストリーム形式音楽配信      インターネットCM 新たな利用形態      有期限型ダウンロード配信、音声番組(ポッドキャスティング)、   サブスクリプション型ダウンロード配信 ○ 非商用配信

ネットワーク上における音楽著作物利用のJASRAC管理システム インタラクティブ配信の管理システム ネットワーク上における音楽著作物利用のJASRAC管理システム J-MUSE 監視 J-WID 楽曲DB J-TAKT 許諾受付 J-CLEF 許諾マーク発行 J-NOTES 利用報告受付・請求計算

放送 JASRACの許諾・請求・分配のしくみ 包括請求 音 楽 利 用 曲別請求 全曲報告 曲ごとの分配額を計算 包括許諾 曲 別 分 配 音  楽  利  用 包括請求 全曲報告 曲ごとの分配額を計算 曲  別  分  配  包括許諾 放送 サンプリング 報告 など 全曲報告 曲別請求 インタラクティブ配信 (ダウンロード) 包括許諾 など 全曲報告 曲別許諾 録音 ビデオグラム 出版 など

放送使用料が分配されるまで 包括契約締結 権利者宛分配 分配明細書と共に 使用料は年4回 曲ごとの分配額を計算 包括使用料の請求 全曲報告     権利者宛分配    分配明細書と共に     使用料は年4回 著作者 曲ごとの分配額を計算 包括契約締結 前年度放送事業収入に基づく 包括使用料の請求 全曲報告 生演奏・映画放映分 すべての放送局 CD・レコードを放送した分 音楽出版者   NHK・民放の一部 サンプリング 報告 CD・レコードを放送した分 民放のうちまだ全曲報告に対応していない放送局 外国団体 サンプリング報告って? ◇民放180社を以下のルールで割当て 13 週 ご と に 繰 り 返 し 計 180 社 各社としては13週のうち1週分の全曲報告。各週、13~14社が利用した全曲を報告

これからの放送の利用曲目報告はこのようになります フィンガープリント技術など新しい技術を活用するなどして、CD・レコードの放送分の全曲を電子的に報告できる体制が整いつつあります。 CD・レコードに収録された楽曲をパターン(指紋)化した上で、データベースに登録し、放送されている楽曲のパターンと照合し特定する技術 従 来 2008年7月以降順次 将来 全曲報告 (NHK、全曲報告対応の民放) 全曲報告 全曲報告 サンプリング報告 サンプリング報告

違法利用への対応 著作権制度の理解促進に向けた活動 税関との協力による海賊版の輸入阻止 インターネット上での違法利用の監視システム サービスプロバイダへの違法ファイルの削除要請 YouTubeをはじめとする動画投稿サイトにおける違法利用に関するサイト運営各社との協議 法的措置の実施

法的措置 クラブキャッツアイ事件 (1988(S63)年 最高裁判決) 魅留来事件 (1997(H9)年 大阪高裁判決) MYUTA事件 (2007(H19)年 東京地裁判決)

当面する課題

個人的または家庭内のような限られた範囲内での使用を目的とした 私的録音録画補償金 私的な範囲内で行われる「録音」「録画」についての制度 個人的または家庭内のような限られた範囲内での使用を目的とした 複製は、自由にできる 録音録画技術の発達で家庭内の複製が大量化 デジタル方式の録音録画機器の登場 <1992年著作権法改正> 私的使用であっても、デジタル方式の機器及び記録媒体(テープ、ディスク等)で録音録画を行う人は権利者に補償金を支払わなければならない  「私的録音録画補償金制度」の確立

私的録音録画補償金制度の概要 sarah/SARVH 共通目的事業 消費者 ■ 作詞家 / 作曲家 録音録画機器・ ■ 脚本・シナリオ作家 分配 ■ 作詞家 / 作曲家 ■ 脚本・シナリオ作家 ■ 実演家 / レコード製作者 ■ 放送事業者   など 補償金支払い 録音録画機器・ 記録媒体メーカー 製品を販売 購入時に 補償金支払い sarah/SARVH 共通目的事業 20%を支出 消費者 ・普及、教育活動 ・著作権調査研究 など

著作権保護期間の現状 (国際比較) 著作権の保護 一般の著作物 映 画 日本 死後50年 公表後70年 イギリス 死後70年 映 画 日本 死後50年 公表後70年 イギリス 死後70年 最後の著作者の死後70年 フランス ドイツ イタリア ロシア アメリカ 公表後95年 オーストラリア シンガポール 公表後50年 イスラエル インド 死後60年 公表後60年 (区分等) (国 名) (注)「映画」において「最後の著作者の死後」とは、「監督、台本の著作者又は台詞の著作者、映画のために特別に創作され使用される音楽の作曲者のうち最後まで 生存した者の死後」を示す。 <参考>その他の国の保護期間(一般の著作物の場合) ○著作者の死後100年:メキシコ ○著作者の死後 99年:コートジボワール ○著作者の死後 80年:コロンビア ○著作者の死後 75年:グァテマラ、ホンジュラス、セントビンセント・グレナディーン ○著作者の死後 70年:スイス、スペイン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、ベルギー、ルーマニア、ハンガリー、トルコ、ナイジェリア、 ルクセンブルク、ブラジル、ペルーなど上表の国を含み64か国 ○著作者の死後 60年:ベネズエラ