メンバー 香月望美・田平郁・中俣浪漫・山田歩実 アタリC班 ガイドライン発表 メンバー 香月望美・田平郁・中俣浪漫・山田歩実
アタリとは
アタリの基本的な意味 アタリには「当」と「辺」という二つの漢字がある。 「辺り」は「当たる」からきた語。 「当たる」はその対象のおよそのところとして漠然と示す気持ちがあ り、そこから名詞形「当たりをつける」つまり“見当をつける”といった 推量的気分も生まれる(「遠縁に当たる人」「西の方角に当たる」)。 「辺り」も話題とする事物をいつ、どこ、だれ、とはっきり断定せず、お よそのところとして漠然と示す。 ※基礎日本語辞典 森田良行著 平成元年
一般的な「当たり」 動詞「当たる」とその名詞形「当たり」 例「当たりくじを引く」 慣用句 例「当たり前」 平均を表す「当たり」 例「牛肉100グラム当たりの値段」
一般的な「辺り」 自分の周辺を示す「辺り」 例「辺りが暗くなってきた」 先行する語句の周辺を示す「辺り」 例「銀座のあたりは土地の値段が高い」 「私の住んでいる辺りにはまだ緑が残っている」 「来週あたりに荷物が届く」
ガイドライン案の変遷 ~反省と修正点~
⓪分類案の反省と①GL1での修正点 「日本語基本動詞用法辞典」(1989)にある接続詞的用法に対応して いない ⇒ガイドライン1でc2を追加。
①GL1の反省と②GL2での修正点 データシートCで問題(数が前接するが割合でないもの)発生 ⇒c7「概数」の追加 「基礎日本語辞典」(1989)における「根拠」の用法が浮上 ⇒既存の「事柄」に「論拠」としてのガイドを追加 「基礎日本語辞典」(同上)で人につくアタリが登場 ⇒「人名」登場
②GL2の反省と③GL3での修正点 ガイドラインの説明が混乱を招いた?(手合わせの結果から) ⇒ある程度読み手に意味判断を委託(チャート式の廃止・全体的な説 明のスマート化・例文の導入) ①までの「事柄」が宙に浮いた状態に(「論拠」の登場) ⇒「論拠」も含め全て「事柄」に 「場所」「人名」について内部からの意見 ⇒「例示・提案」の追加
ガイドライン案3
ガイドライン案3 ※「指示語+アタリ」の場合は、指示語が何を示すかを考えた上で分類をお願いします。 ※「説明」にそれぞれの分類の解説を、「分類のヒント」には主に文法的な解説を書いています。 ※別ファイルの例文集も参考にしてください。 分類 説明 分類のヒント c1<平均> 「当たり」(主に後接要素を前接要素で割った)平均を表す 数詞や数量の単位、「単位○○(面積など)」「単位」がアタリの直前に来る(助詞「の」をアタリの直前におかない) c2<概数> 数量を曖昧に表す 助詞「の」をアタリの直前におかない c3<典型的な名詞> 「辺り」「辺り一面」「辺り一帯」自分を基準として、自分の周囲・周辺を表す 修飾要素がないアタリ(修飾されない・指示語がつかない) c4<場所> おおよその範囲・位置を表す 地名+アタリ 地名+助詞「の」+アタリ 体の部位+アタリ 体の部位+助詞「の」+アタリ 動詞+アタリで場所を表す その他、具体的な領域を表すものがアタリの前にくる c5<例示・提案> 明確に決めつけず、曖昧に例示、提案する 人名・人を表す語句(役職など)+アタリ(助詞「の」をアタリの直前におかない) 名詞+アタリ(助詞「の」をアタリの直前におかない) c6<時期> 時間軸上のおおよその地点を表す アタリに修飾要素がある(年月日、時間、歴史的事象など) c7<事柄> 事象・事柄(文が前接する場合はその文)を名詞化する ― c8<接続詞的> 「~にあたり(、)」という形 c9<その他> 動詞「当たる」の活用形、「当たる」の名詞化、「当たり前」など。また、「アタリ」「アタル」という読みではない。熟語の一部など。
c1<平均> c1<平均> 「当たり」。(主に後接要素を前接要素で割った)平均を表す。 「当たり」。(主に後接要素を前接要素で割った)平均を表す。 数詞や数量の単位、「単位○○(面積など)」「単位」がアタリの直前 に来る。 助詞「の」をアタリの直前におかない。 ex) 平均すれば日本人は一人あたり一千万円ぐらいの蓄財がある。 トウモロコシの単位面積当たりの生産量は、 百~百二十五 kg/mu であ る。
c2<概数> c2<概数> 数量を曖昧に表す。 助詞「の」をアタリの直前におかない。 ex) その年は開花が遅く、 数量を曖昧に表す。 助詞「の」をアタリの直前におかない。 ex) その年は開花が遅く、 桜は麓の下千本あたりが咲いているだけである。
c3<典型的な名詞> c3<典型的な名詞> 「辺り」「辺り一面」「辺り一帯」。自分を基準として、 自分の周囲・周辺を表す。 「辺り」「辺り一面」「辺り一帯」。自分を基準として、 自分の周囲・周辺を表す。 修飾要素がないアタリ(修飾されない・指示語がつかない)。 ex) 辺りを見回しても、相変わらず誰も通らない。
c4<場所> c4<場所> アタリに先行する具体的な場所について、おおよその範囲・位置を表す。 地名+アタリ、地名+助詞「の」+アタリ、 地名+アタリ、地名+助詞「の」+アタリ、 体の部位+アタリ、体の部位+助詞「の」+アタリ、 動詞+アタリで場所を表す、など。 ex) 箱崎のあたりはいつも賑わっている。 胸のあたりに手をあてる。 六千メートルあたりまで登る。 私の住んでいる辺りにはまだ緑が残っている。
c5<例示・提案> c5<例示・提案> 明確に決めつけず、曖昧に例示、提案する。 助詞「の」をアタリの直前におかない。 名詞+アタリ。 明確に決めつけず、曖昧に例示、提案する。 助詞「の」をアタリの直前におかない。 名詞+アタリ。 人名・人を表す語句(役職など)+アタリ。 ex) 熱海あたりはどうでしょう。 飲み物を買ってくるなら、コカ・コーラあたりはどう? 委員長には田中君あたりが適任だ。
c6<時期> c6<時期> 時間軸上のおおよその地点を表す。 アタリに修飾要素がある(年月日、時間、歴史的事象など)。 時間軸上のおおよその地点を表す。 アタリに修飾要素がある(年月日、時間、歴史的事象など)。 ex) 中世後期あたりから信仰が始まった。 レーガン政権あたりから、大統領周辺で 様々なイベントが執り行われるようになった。
c7<事柄> c7<事柄> 事象・事柄(文が前接する場合はその文)を名詞化する。 ex) 設備をどうするかというあたりも、まだこれから決めていきます。 二十八歳にして委員長の席を占めるあたりは相当なものだ。 ドアの内側から鍵が掛けてあったあたりに、 事件解決の糸口がありそうだ。
c8<接続詞的> c8<接続的> 「~にあたり(、)」という形。 格式ばった表現が多い。 ex) 出発にあたり、見送りの人に挨拶する。 「~にあたり(、)」という形。 格式ばった表現が多い。 ex) 出発にあたり、見送りの人に挨拶する。 卒業するにあたって、世話になった先生へ挨拶にいく。 学長を退官するにあたり、記念に何かされるのですか?
c9<その他> c9<その他> 四文字熟語の中のアタリ ex) 一騎当選、応急手当 「当たり前」 ex) あたり前田のクラッカー 触感などを表す (人あたり、手ざわり、食感) ex) 足への当りも優しい 「ばちが当たる」
問題点 分類する人の主観や文脈に頼ってしまう部分が多い。 ex. ◎「指示語+アタリ」の場合 ◎<c4場所>と<c5例示・提案>の分類 アタリの本来の意味(ぼやかす)を考えると、 どれも本当は一緒の意味なのでは…?