この症例(仮名・新堂さん)の必要栄養量・栄養素を計算してみる。

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裏面に新たな認定基準の一覧を掲載していますので、ご参照ください。
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学習目標 【疾患を治療するための食事】 1.消化器系疾患の栄養・食事療法と各々の病態に適応する栄養素成分のコントロールを説明できる. 2.内分泌,代謝疾患の栄養・食事療法と各々の病態に適応する栄養素成分のコントロールを説明できる. 3.循環器系疾患の栄養・食事療法と各々の病態に適応する栄養素成分のコントロールを説明できる.
モデル体型ダイエット塾® ワンデーセミナー (社)日本栄養バランスダイエット協会.
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この症例(仮名・新堂さん)の必要栄養量・栄養素を計算してみる。 第2回阪神病態栄養研究会 (平成17年11月24日) この症例(仮名・新堂さん)の必要栄養量・栄養素を計算してみる。 兵庫医科大学 救命救急センター 小谷穣治

兵庫医大NSTにおける栄養管理計画の流れ 主観的包括的栄養評価(SGA) 客観的栄養評価(ODA) 栄養療法のゴールを決める。 Harris-Bennedictの式に基づく栄養必要量の計算 必要タンパク量の決定 投与脂質量の決定 投与炭水化物(糖質)の決定 (具体的な栄養剤・投与法の選択に続く)

主観的包括的評価(SGA)-A. 患者の記録 1. 体重の変化 過去6ヶ月間の合計体重減少:   Kg 減少率 (%)   過去2週間の変化:□増加 □変化なし □減少 (2 kg) √ (嚥下困難) 3 食道癌術後 2. 食物摂取量の変化 (平常時との比較) □変化なし □変化あり 変化の期間:  週 食べられるもの:□固形食  □完全液体食         □水分   □食べられな 3. 消化器症状 (2週間以上の持続) □なし □悪心 □嘔吐 □下痢 □食欲不振 その他:                  4. 機能状態(活動性) 機能障害:□なし □あり 持続期間:   週 タイプ:□日常生活可能 □歩行可能 □寝たきり 5. 疾患および疾患と栄養必要量の関係 初期診断:                 代謝需要(ストレス):□なし □軽度 □中等度 □高度

主観的包括的評価(SGA)- 主観的包括的評価 主観的包括的評価(SGA)- B. 身体症状 皮下脂肪の減少(三頭筋、胸部)            筋肉消失(四頭筋、三角筋)              下腿浮腫                       仙骨部浮腫                      腹水                         +1 なし √ 主観的包括的評価(SGA)- 主観的包括的評価 □栄養状態良好 □中等度の栄養不良 □高度の栄養不良

客観的栄養評価(ODA) - A. 身体アセスメントデータ 異常値を示す項目をチェックする。 やや貧血 炎症所見 栄養障害 √

客観的栄養評価(ODA) - B.身体測定値と主な栄養指標 異常値のチェック 項目 測定結果 基準値または備考 身体計測 157.1 cm 身長 現体重 53 kg %健常時体重 (%UBW) 53/55kg=96% 53/54.2kg=97.8% 21.5 IBW= 54.2kg [身長(m)]2×22 手術前の体重は55kg %理想体重 (%IBW) BMI (現体重(kg)÷[身長(m)]2) 18.5~25 アルブミン 3.4 3.8~5.3 血液 生化学 √ 総コレステロール 記載なし 120~219 免疫能 総リンパ球 844 ≥1,200 BMI: body mass index IBW: ideal body weight UBW: usual body weight 栄養障害と免疫能の低下

SGAとODAのまとめ ー新堂さんの重要なアセスメントデーター 食事摂取状態 血液生化学的所見 身体所見と身体症状 臨床所見 とろみ食が出されているが上あごにくっついて食べにくい。 補助食品として経腸栄養剤が投与されている。 TPNや経腸栄養チューブは既に使用されていない。 貧血、栄養障害、軽度の炎症 術後3週間目で、大きな合併症はない。 炎症所見があり、代謝は軽度亢進していると思われる。

新堂さんの栄養療法のゴール設定 適切な栄養療法を実施し、術後侵襲(炎症)からの離脱を早める。 嚥下障害の病態を解明し、適切な栄養投与内容を検討する。 嚥下・咀嚼訓練により経口摂取のみによる栄養投与を実現する。

新堂さんの必要エネルギー量の計算 ーHarris-Bennedictの公式(HBE)を用いてー 1. 基礎代謝量の計算 See Formula Sheet! HBE(男性) = 66.47+[13.75×体重(kg)]+[5.00×身長(cm)]-[6.76×年齢(歳)]      = 66.47+[13.75×53(kg)]+[5.00×157.1(cm)]-[6.76×67(歳)]      = 66.47+ 728.75+785.5-452.92      = 1127.8 kcal/日 (HBE(女性) = 655.10+[9.56×体重(kg)]+[1.85×身長(cm)]-[4.68×年齢(歳)]) 手術後(合併症なし)  1.0 腸管骨骨折        1.15-1.30 癌/COPD 1.10-1.30 腹膜炎/敗血症 1.10-1.30 重症感染症/多発外傷  1.20-1.40 多臓器不全症候群  1.20-2.00 熱傷       1.20-2.00 (割といい加減) 2. 活動係数 寝たきり:1.2、ベッド以外での活動あり:1.3 3. ストレス係数 手術後で合併症なし(軽度の炎症あり):1.1くらい? 4. エネルギー必要量 1127.8×1.3×1.1=1612.8 ( kcal/日)

胃癌による胃全摘出術後のエネルギー消費量 TPN群;7例 TPN+EN群 ;4例 80 90 100 110 120 %REE POD1 POD2 POD3 POD4 POD5 術前 術直後 手術後でも せいぜいBEEの110% ストレス係数はもっと低めでいいかもしれない

新堂さんの蛋白必要量の計算 新堂さんの蛋白必要量=1.0〜1.2(g/kg/日)×53 (kg) =53〜63.6 (g/日) See Formula Sheet! 基準値 0.6〜1.0 (g/kg/日) 侵襲あり 軽度 1.0〜1.2、      中等度:1.2〜1.5      高度:1.5〜2.0 (g/kg/日) エネルギー投与量に対する比率:通常は15〜20% タンパク質の熱量:4 (kcal/g) *肥満、浮腫を認める症例等は理想体重を使用する。 新堂さんの蛋白必要量=1.0〜1.2(g/kg/日)×53 (kg)           =53〜63.6 (g/日)           =212〜254.4 (kcal/日)

新堂さんの脂質投与量の計算 新堂さんの脂質投与量 =エネルギー必要(1612.8 kcal/)×25~30% See Formula Sheet! 基準値 エネルギー投与量の20−30%     一般的にはエネルギー投与量の25−30% COPD エネルギー投与量の35〜55%まで強化 脂質の熱量:9 (kcal/g) [中鎖脂肪酸:8.3 (kcal/g)] 静脈栄養の場合には、1 (g/kg/日)未満に制限 新堂さんの脂質投与量    =エネルギー必要(1612.8 kcal/)×25~30%    =403.2〜483.84(kcal/日)    =44.8〜53.76(g/日)

新堂さんの炭水化物投与量の計算 新堂さんの炭水化物投与量 See Formula Sheet! 基準値   エネルギー投与量の50~60%   一般的にはエネルギー投与量からタンパク質と脂質の投与量を引いた値 炭水化物の熱量:4 (kcal/g) 1日の最大投与量=7 (g)×理想体重 (kg) 最大投与速度=5 (mg/kg/min) …..(静脈栄養の投与速度) 新堂さんの炭水化物投与量 =エネルギー必要(1612.8 kcal/日)ー脂質投与量(403.2〜483.84 kcal/日) =1209.6〜1128.96 (kcal/日) = 282.24 〜 302.4 (g/日)

新堂さんの水分投与量の計算 1法=30 (mL)×現体重* (kg) 2法=1 (ml)×エネルギー投与量 See Formula Sheet! 1法=30 (mL)×現体重* (kg) 2法=1 (ml)×エネルギー投与量 3法=1,500 (ml)×体表面積 (m2) * *肥満を認める場合には理想体重を使用する。 *体表面積(BSA) = W0.425 x H0.725 x 0.007184 新堂さんの水分投与量= 30 (ml)×現体重 (53 kg)          =1590 (ml) 1 (ml)×エネルギー投与量(1612.8 kcal/日) =1612.8 (ml) 1,500 (ml)×体表面積(1.5192 m2) =2278.8 (ml)

新堂さんの栄養管理目標のまとめ 投与量 (/日) エネルギー比率 エネルギー投与量 (kcal/日) タンパク質 53~64 13~16% 212~254 脂質 45~54 25~30% 403~484 炭水化物 282~302 13~19% 212~254 エネルギー投与量 1612.8 水分投与量 1612.8 (ml)