開発金融論 第3章 銀行型システムか市場型システムか 開発金融論 第3章 銀行型システムか市場型システムか 2012/06/08 10ba211s 加島奈菜子
本の流れ 経済の発展 途上国 証券市場に先立ち 銀行が発達 証券市場の 必要性が高まる 先進国 銀行と証券市場の 双方を兼ね備える 外政的ショックと 政府の注力による 制度転換
銀行と証券市場 銀行 ・相対取引→特定の企業と密接な関係 ・生産された情報は銀行内に蓄積 ・貸付企業に対する支配力 →事実上の独占的資金供給者 ・スイッチングコストが高い →企業側による取引銀行の変更は困難
経済発展によって、銀行と証券市場はそれぞれどのように 発展していくのだろうか? 証券市場 ・証券の売買を通じ直接投資先に資金提供。 ・多角的関係 ・取引内容は明示的に開示 (=市場価格と取引量が公開されている) ・契約相手の変更が容易
銀行と証券市場 銀行が発達した国ほど 証券市場も発達 銀行国内資産が 増加 株式時価総額が 増加
経済発展が進むと 証券市場の比重が大きくなる 銀行と証券市場 銀行 証券市場 所得の上昇に伴って低下 =銀行に比べ証券市場が 銀行の国内総資産 株式時価総額 も 銀行の民間向け与信額 株式市場売買代金 も 所得の上昇に伴って低下 経済発展が進むと 証券市場の比重が大きくなる =銀行に比べ証券市場が 相対的に大きくなっていく
この状況を考慮に入れたうえで 銀行と証券会社を比較! 途上国の状況 *経済活動にかかわる法制度や会計 制度が整っていない 途上国における銀行の優位性 Ⅰ独占的資金供給者としての支配力行使 途上国の状況 *経済活動にかかわる法制度や会計 制度が整っていない *人材が不足している この状況を考慮に入れたうえで 銀行と証券会社を比較!
銀行 独占的資金供給者として 支配力行使 *企業の日常のキャッシュフロー観察 *自己の債権の保全 途上国における銀行の優位性 Ⅰ独占的資金供給者としての支配力行使 銀行 独占的資金供給者として 支配力行使 *企業の日常のキャッシュフロー観察 *自己の債権の保全
証券会社 銀行制度導入よりも多くの 人的物的資源が必要になるため 証券市場の整備は後回し 途上国において 証券市場が機能するのは困難 途上国における銀行の優位性 Ⅰ独占的資金供給者としての支配力行使 証券会社 銀行制度導入よりも多くの 人的物的資源が必要になるため 証券市場の整備は後回し 投資先企業に対する情報整備が必要 豊富な人材が必要となる! 途上国において 証券市場が機能するのは困難
市場よりも効率的 銀行が代理人となった場合 コスト削減効果がある 途上国における銀行の優位性 証券市場 投資家の人数:N 投資先の数:m 投資先1件ごとの費用:a Ⅱ情報コストの節約 証券市場 銀行
Aがコストをかけて得た情報をもとに株購入 B…費用をかけず株価の動きにだけ着目 途上国における銀行の優位性 Ⅲ途上国における情報の非対称性問題 ①フリーライダー 誰も情報生産コストを支払わなくなり 市場の情報生産量は低下 A…費用をかけて情報収集し投資先を探す B…費用をかけず株価の動きにだけ着目 Aがコストをかけて得た情報をもとに株購入 株価がわずかに上昇 それをみてBがAと同じ企業の株式を購入 Bはコスト負担をせずに 利益を得られる
誠実な企業は市場から退出し 不誠実な機関ばかりが残る 不誠実な機関のほうが 大きい利益を得てしまう 途上国における銀行の優位性 優良機関…費用をかけて顧客に有益な情報生産 不誠実機関…費用をかけず情報捏造 Ⅲ途上国における情報の非対称問題 ②レモン市場 顧客は優良機関が提供する情報と不誠実機関が提供する情報を実際に利用するまで判断できない 顧客はそれぞれの機関が提供する情報の 価値の平均に見合った金額を支払う 優良機関…費用をかけて顧客に有益な情報生産 不誠実機関…費用をかけず情報捏造 誠実な企業は市場から退出し 不誠実な機関ばかりが残る 不誠実な機関のほうが 大きい利益を得てしまう
フリーライダー レモン市場 途上国は情報の非対称性が大きいため 先進国よりもこれらの問題が深刻 途上国における銀行の優位性 Ⅲ途上国における情報の非対称性問題 フリーライダー レモン市場 途上国は情報の非対称性が大きいため 先進国よりもこれらの問題が深刻
銀行は証券会社よりも 経営不振企業への再交渉を 行いやすい! 証券会社 銀行 利害調整に 大きなコスト 利害調整にかかるコストが小さい 途上国における銀行の優位性 Ⅳ再交渉問題 証券会社 銀行 銀行は証券会社よりも 経営不振企業への再交渉を 行いやすい! 多数の投資家と取引 関係者の数が 限定的 利害調整に 大きなコスト 利害調整にかかるコストが小さい
生涯が十分に長い場合 銀行の場合も証券市場の場合も 所得を平準化する役割がある 生涯が十分に 長い場合 途上国における銀行の優位性 銀行 Ⅴ流動性リスク管理機能 生涯が十分に 長い場合 生涯が十分に長い場合 銀行の場合も証券市場の場合も 所得を平準化する役割がある 銀行 好況期に貯蓄 不況期に取り崩す 証券市場 不況時に証券発行による 借り入れ 好況時に債務を返済 好況不況の両方を 経験できる
異時点間で発生するリスクを 銀行型システムの方が 途上国における銀行の優位性 Ⅴ流動性リスク管理機能 銀行 好況時には貯蓄 不況時には取り崩し →生涯が長い場合と 同じ状況を作り出す 生涯所得は 高くなる 生涯が短い場合 異時点間で発生するリスクを 平準化する機能は 銀行型システムの方が 優れているといえる 生涯が短い場合 銀行は所得平準化の役割を持つが 証券市場の場合は持たない 証券市場 好況期世代から 不況期世代への 資源移転が必要 →非現実的 生涯所得は 低くなる 好況か不況かの どちらかしか 体験できない
①市場に対する銀行の情報生産と 再交渉機能における優位性の低下 情報開示機能 社債や株式への の整備 需要増大 大企業の増加 各経済主体から見た証券市場の必要性 企業にとっての必要性 ①市場に対する銀行の情報生産と 再交渉機能における優位性の低下 情報開示機能 の整備 大企業の増加 社債や株式への 需要増大
②銀行の代理人機能の低下 銀行よりも 市場が優位に 各経済主体から見た証券市場の必要性 情報コスト節約 <投資判断の不一致 銀行の投資決定と 企業にとっての必要性 ②銀行の代理人機能の低下 銀行の投資決定と 預金者の意向の 不一致 情報コスト節約 <投資判断の不一致 銀行よりも 市場が優位に
各経済主体から見た証券市場の必要性 BIS規制 明確な経営戦略が必要に 最適なリスク資産ポートフォリオを構築するため 金融システムにとっての必要性 BIS規制 明確な経営戦略が必要に 最適なリスク資産ポートフォリオを構築するため 多様な金融資産が取引されている債券市場が必要
各経済主体から見た証券市場の必要性 リスクを許容して収益性の資産保有を望む ①経済発展が進むにつれて豊かな家計が生まれる 家計にとっての必要性 ①経済発展が進むにつれて豊かな家計が生まれる リスクを許容して収益性の資産保有を望む 銀行預金だけでは家計の資産需要に対応することに 限界がくるため、市場が必要になる
家計に代わって運用する機関投資家の重要性が高まり 各経済主体から見た証券市場の必要性 家計にとっての必要性 ②中間所得層が増加し 家計の投資行動が活発化 家計に代わって運用する機関投資家の重要性が高まり 間接的な金融市場の整備が重要となる
①金融制度の変化は外政的ショックを きっかけとして引き起こされる ②金融システム転換には政府による 積極的なコーディネーションが不可欠 金融システムの選択と転換についての留意点 ①金融制度の変化は外政的ショックを きっかけとして引き起こされる 銀行優位な中で転換するには既存の制度に 大きなダメージを与える必要性 ②金融システム転換には政府による 積極的なコーディネーションが不可欠 証券市場の発達には制度整備や専門的人材の育成 証券会社や機関投資家の発達が必要
途上国の株式市場発展に伴 う 売買方式の選択について 論点 途上国の株式市場発展に伴 う 売買方式の選択について