自動車産業:補足 2002年度企業論
二つの技術転換 新しい動力源 燃料電池が最有力 ITS
自動車という商品の大転換 ガソリン・エンジンをベースとしたスタンドアローン型の商品 ↓ ↓ 新たな動力源を用い、外部のインフラストラクチュアと通信、電子技術でつながったオープン型の商品
新たな時代の自動車をめぐる競争 動力源とITSの技術標準をめぐる競争 (さらに広がって)↓ ビジネス・モデルの構築をめぐる競争
規模に関する収穫逓増 技術的な効率性向上(規模の経済Ⅰ) 生産物あたり固定費の低減(規模の経済Ⅱ) 範囲の経済 学習効果 ネットワーク経済性 複数の財・サービスを別々に製造するより同一生産者が製造するほうがコストが低い場合 学習効果 ネットワーク経済性
当面の競争 小型車を中心とするグローバル競争 モジュール化
巨大化の優位性? 規模の経済Ⅰ、範囲の経済、学習曲線では妥当しない。 規模の経済Ⅱ(固定費削減)についても戦略的提携という選択もある。
新領域・新市場への進出 アジアへの進出 小型車と高級車の補完関係 組立メーカーに対する影響力 部品メーカーに対する影響力 ルノー→日産、ダイムラー=クライスラー→三菱、GM→スズキ、大宇 部品メーカーに対する影響力 ルノーのオプティマサプライヤー選別、欧米メーカーの韓国メーカーへの資本参加 小型車と高級車の補完関係 ダイムラー=クライスラー
技術標準をめぐる競争――自社規格の先行普及がカギ 燃料電池搭載自動車をめぐる補完性 燃料供給インフラ(エタノール、水素吸収合金では必要) 整備サービス体制 次世代自動車向けサプライヤー
合併か戦略的提携か 技術囲い込み→寡占化→寡占利潤 技術オープン戦略→ネットワーク化→市場拡大とライセンス収入
結論 規模によって静態的・動態的・社会的効率が達成されるかどうかは疑わしい 合併や提携は、寡占化による経済力集中と効率低下にもつながるが、それだけの問題ではない 注目すべき点 生産システムや開発システムの合理化 新しい技術標準とビジネスモデルをめぐる競争
資料情報補足 自動車の製造工程 製品開発=シミュレーション説 自動車開発リードタイムの日米比較 山本潔『日本における職場の技術・労働史1854~1990年』東京大学出版会、1994年、287頁。 製品開発=シミュレーション説 藤本隆宏/キム・B・クラーク『製品開発力』ダイヤモンド社、1993年、45頁。 自動車開発リードタイムの日米比較 藤本隆宏『生産システムの進化論』有斐閣、1997年、278頁。