Faculty Development in the U.S.

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Faculty Development in the U.S. Ichiro Suzuki University of Wisconsin-Milwaukee

Outline of Talk About me Tenure system in the U.S. Research Teaching Service 授業支援システムD2L Suggestions (?) to young people

About Me 1978年大阪大学基礎工学部情報工学科卒(嵩教授) 1979年修士2年のときに Univ. of Illinois at Chicago (村田教授)に留学,1年半後帰国,阪大に戻り博士課程 1982年博士課程中退,情報処理教育センター助手 (現阪大総長宮原先生が助教授をしておられた) 1983年博士 1984年渡米 Texas Tech University, Assistant Professor 1987年 Univ. of Wisconsin-Milwaukee, Assistant Professor  現在 Professor

About Me 研究課題 学部,修士時代 Formal Specification, Petri Net 博士時代 Distributed Systems 渡米後 Robotics, Computational Geometry 講義担当 Algorithms, Formal Languages and Automata, Discrete Mathematics, Distributed Systems, Computational Geometry, Computer Graphics

Tenure System in the US Tenure = 大学をクビにならない保障 Fresh Ph.D.が Assistant Professor として採用された時点では tenure なし.単に “tenure track”. 通常6年目に審査 取れれば同時に Associate Professor に昇格 取れなければ大学をやめるしかない Assistant Professor Tenure なし Tenure あり Associate Professor Full Professor

Tenure Evaluation Research (最重要) Teaching (これもおろそかにはできない) Service (全然ないと困る)

Research 量と質の総合評価 論文 研究費の獲得 大学院生の指導 外部の専門家による評価 研究者としてひとり立ちしたか?

研究者としてひとり立ち? 日本の研究室 - 教授,助教授,助手,大学院生,学部生 チームで仕事をこなす 毎年大学院生(卒研の学部生)が通過する アメリカでは各教官が独立営業 Assistant Professor も単独で講義を受け持つ 各自がそれぞれ自分の研究テーマを追う 論文執筆,研究費の獲得 大学院生獲得も本人次第

論文 論文数,まず Journal paper の数,次に Conference paper の数 Journal, Conference のランク, 難易度 質,外部の専門家のコメント(後述) Citation index 各論文への貢献度,どれだけ自分で書いたか? Ph.D. 指導教官との共著がいつまでも続く…? 単独名または学生だけとの共著がない…? 一方,著名な研究者との共著が多いことは良いことでもあるので,多面的な評価が必要

研究費の獲得 政府機関 NSF (National Science Foundation), NIH (National Institute of Health) 軍関係 ONR (Office of Naval research), Air Force, DARPA (Defense Advances Research Projects Agency) 企業 「金は金」だが… やはり政府機関からの金は研究者として認知されたことの証,とみなされる

大学院生の指導 修士論文指導 博士論文指導 学生は自分で見つける 専門分野の講義をとった学生が,「興味ある」と言ってくる ホームページを見て… 講義がまずい(?)と学生が来ない 研究費があれば学生を Research Assistant としてやとえる

外部の専門家による評価 少なくとも8人 そのうち3人までは候補者が選べる 候補者と同じ分野の著名な研究者に頼む(過去の共同研究者等はさける) 論文のリプリントを送る 候補者の知名度 論文の質,量,インパクト,分野への貢献度 具体的なコメントがほしい

Tenure Evaluation Research (最重要) Teaching (これもおろそかにはできない) Service (全然ないと困る)

Teaching 通常各学期に1,2科目を担当 新しい科目の開発(特に専門分野の) 古い講義内容の刷新 講義のうまいへた 講義のうまいへた  Peer Evaluation 年1回程度,他の教官が参観してコメント Student Evaluation 学期の終わりに学生アンケート 最初はへたでも,だんだんうまくなってきたか?

Student Evaluation をどう使う? UWMでは...(規則により) アンケートの「得点」を集計して,昇給,昇進の参考に 定義: 「良い教師」=高得点 本当にそうなのか? 確かに,いつも低得点_教師に問題あり,というケースはある 弊害1: 高得点を取るための教え方がある? 弊害2: あるエピソード...

Student Evaluation をどう使う? TTUの学科主任いわく「得点集計はしない.教官の良い悪いは,それとなく伝わってくる」 得点を鵜呑みにしない(?) 各教官個人の反省材料 長期間の進歩の度合いの指標

Tenure Evaluation Research (最重要) Teaching (これもおろそかにはできない) Service   (全然ないと困る)

Service 学科,学部,大学内の各種委員会 種々の活動のコーディネータ 若い人はこれらに時間を使いすぎないように 学会関係の仕事,論文査読,Program Committee これは研究者としての評価の指標になる

Tenure Evaluation Research (最重要) Teaching (これもおろそかにはできない) Service  (全然ないと困る)

講義の話の続き... UWMで使う授業支援システム D2L (Desire to Learn, desire2learn.com)

D2Lに関してまとめると 確かに便利 講義資料配布,プログラム提出 得点集計 選択問題クイズの自動採点 掲示板,Eメール 学生の学習効率(理解度)向上とは無関係 かえって弊害?  講義ノートのオンライン配布_ノート取り減少_単に聞くだけ_わかったつもりでわかっていない?

学生にとって,講義をとりたくなる教師 行きたくなる大学とは アメリカでは昔から Student Evaluation があった 阪大時代を思い出すと...先生を評価するなんて 授業料に見合った教育内容を提供しているか? 学生は将来への投資だと思っている(学資ローン) 各教官の授業努力 多様な分野の専門家がいる 教官陣の研究者としてのすばらしさの宣伝 阪大時代(嵩先生,谷口先生,都倉先生,鳥居先生,相磯先生,野崎先生,...)

私事ですが... 息子 U. of Wisconsin-Madison, Computer Science 娘 Iowa State University, 建築学科希望 UW-Madison: 昔の国立大のような感じ Iowa State: 積極的に学生をリクルート 電話,Eメール,オリエンテーション,奨学金 UWMにも建築はあるけれど...送ってきたのは請求書だけ 学生獲得は大学の死活問題

若い人に...(?) 研究者として早くひとり立ち 博士論文指導教官から研究面で自立する たとえば海外で2,3年ポスドク (Post Doctoral)として武者修行 研究に集中できる,新しい問題,新しい仲間,人脈 研究(と野球)に国境はない,世界の土俵で勝負しよう 論文は必ず英語で書く 世界中誰にでも手に入る雑誌,誰でも知っている会議に投稿する 海外の人にとって,読めないもの,手に入らないものは存在しないのと同じ かわいい弟子には旅をさせよう