pHとは・・・ pHとは、水溶液の性質をあらわす単位にすぎません。ちょうど長さをあらわすのにm(メートル)という単位があるように、水溶液の性質を知るために必要な単位です。 では、pHは水溶液のどのような性質をあらわす単位なのでしょう。 水溶液の性質(酸と塩基) 1746年にW.Lewis(英)がまとめた考え。 酸性 中性 塩基性 酸性・・・酸味がある。炭酸アルカリと作用して気泡を発する。アルカリと反応して塩を作る。花の色素を変色させる(スミレの花の色を青から赤に変える。) 塩基性・・・にが味がある。ぬるぬるする。酸と反応して塩を作る。花の色素を変色させる(スミレの花の色を赤から青に変える。)
定性的なもの 定量的なものへ 電離説 HCl H+ + Cl- NaOH Na+ + OH- 酸性 中性 塩基性 1884年にS.A.Arrhenius(スゥエーデン)が唱えた考え。 酸とは・・・水溶液中で電離して水素イオン(H+)となる水素原子 を持つ化合物 HCl H+ + Cl- 塩基とは・・・水溶液中で電離して水酸化物イオン(OH-)となる OH基を持つ化合物 NaOH Na+ + OH-
H2O H+ + OH- 水溶液において酸の特性を示すものはH+であり、塩基の特性はOH-によって与えられる。 水は、ごくわずかに電離している。 H2O H+ + OH- このとき、水素イオンの濃度{H+}と水酸化物イオンの濃度{OH-}の積は一定となり、常温で10-14となる Kw= {H+} ・{OH-}= 10-14 (水のイオン積) 水溶液の酸性、塩基性の度合いを示すのに{H+} か{OH-}のいずれか一方を指定すれば十分である。通常は{H+}が用いられている。
pHという概念 イオン濃度なので a×10-bの形で表されるので、面倒で間違い易いことから・・・・・ 1 Sorensen(デンマーク)がまとめた考え。 ・・ さらに研究が進み水素イオン濃度ではなく、水素イオン活量が関係していることがわかった。→次回へ 1 pH=-log {H+} = log {H+} {H+}=1×10-7 mol/l pH 7・・・中性 {H+}=1×10-7 mol/l = 0.0000001 mol/l 僅かな量 0 pH7 14 酸性 中性 塩基性
pH測定の方法 (A)指示薬法 ~指示薬によるpH測定法~ 水槽の水質チェックに 尿検査 この方法には、緩衝液などを用いて、種々のpHに対応する標準色をつくっておき、この色と被検液中の指示薬の色とを比べる方法と、紙に指示薬を浸み込ませたpH試験紙をつくっておいて、この紙を被検液に浸して、発色を標準色と比べる方法があります。簡便ですが、種々の誤差があり、たいした精度は期待できません。 *誤差の種類としては 被検液中の高濃度塩類による誤差、被検液中の温度による誤差、被検液中の有機物による誤差などがあります。 水槽の水質チェックに 尿検査
(金属電極法には、水素電極法、キンヒドロン電極法、 アンチモン電極法があります。) (B) 金属電極法 (金属電極法には、水素電極法、キンヒドロン電極法、 アンチモン電極法があります。) 水素電極とは、白金線あるいは白金板に白金黒をつけたものを、被検液に浸し、その溶液と白金黒とに水素ガスを飽和させる電極をいいます。 水素電極法は、種々のpH測定方法の基準ともなるべきものであって、他の方法によるpH測定は、水素電極法による値と一致することによって、はじめて信用がおけるものとされています。しかし、水素ガスは取扱いが不便であり、また、この方法には、酸化性あるいは還元性のつよい物質による影響が大きく、測定には大変な手間がかかることから、日常用いるには、適当とは言えません。 白金黒・・・白金の上に白金をめっきしたもので、表面が黒く見えます。 キンヒドロン電極法(被検液のpHが8ないし9以上の場合に用いることができない)、アンチモン電極法(電極のみがき方によって指示が変わることや、再現性が悪いことなどから)は現在では、特定の分野を除き、ほとんど使われていないそうです。
(C)ガラス電極法 血液ガス測定装置 ヒトpH正常値(動脈血) pH 7.35~7.45 電位の平衡時間が早く、再現性がよいこと、また、酸化剤や還元性の影響を受けることが少なく、いろいろの溶液について測ることができますので、pH測定では最も多く用いられている測定法です。 そして、工業分野だけでなく、あらゆる分野でひろく行なわれています。JISでも、“pHの一般的測定方法”の項で、「pHの工業的測定に対しては、定義に記載されたような水素電極による測定方法が必ずしも適当ではないので、ガラス電極による測定方法が推奨される。・・・・」としています。 血液ガス測定装置 ガラス電極法が用いられている。 ヒトpH正常値(動脈血) pH 7.35~7.45
ガラス電極法 ガラス電極法とは、ガラス電極と比較電極の2本の電極を用い、この2つの電極の間に生じた電圧(電位差)を知ることで、ある溶液のpHを測定する方法です。 ガラスの薄膜の内・外側にpHの異なる溶液があると、薄膜部分に、pHの差に比例した起電力が生じます。この薄膜を電極膜といいます。電極膜に生じた起電力を測定すれば、被検液、つまりpHを求めたい溶液のpH値がわかります。 同温度の2種類の水溶液:被検液X及びpH既知液SのそれぞれのpHを、pH(X)及びpH(S)で表わすと、それらのpHの差は、下の式で定義されます。 Ex:被検液X中で、ガラス電極と比較電極とを組み合わせた電池の起電力。 Es:pH既知液S中で、ガラス電極と比較電極とを組み合わせた電池の起電力。 R:ガス定数 8.3144J/℃・mol T:絶対温度 t℃+273.15 F:ファラデー定数 96495C/g-equiv Ex-Es pH(X)-pH(S)= 2.3026RT/F ある1種類の水溶液のpHを定めることによって、他のすべての水溶液のpHが定まることを意味している
pH値のいろいろ
青インキは何故、強酸性を示すのか? レシピは・・・ 余談ですが・・・ 硫酸第一鉄,タンニン酸,3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸,アニリンブルー,アラビアゴムなど。 万年筆用に作られたブルー・ブラックは、第一鉄イオン(Fe2+)が酸化して第二鉄イオン(Fe3+)になることを利用して作られている。つまり、ほぼ無色透明の第一鉄イオン溶液を万年筆に入れて文字を書くと、書いたときには透明だが、しばらくすると酸化作用によって黒く文字が浮き上がってくるのである。しかし、それでは不便なので青い色を染料として付けたものであるという。色合いが染料の青と化学作用によって作られた黒が混ざってブルー・ブラックという色になっている。だから理論的には、書いた時点では青と黒の間のような色合いであるが、時が経つと黒だけが残る。そして、この黒は水にも強く、消えないという。これが本来のブルー・ブラックの組成だそうだ。この製法で作られているブルーブラックはモンブラン、ペリカンなどで、他メーカーは色インクと同じ製法で作られているらしい。