ナシのせん定・整枝
せん定・整枝とは 目的 樹の枝を切ること せん定 = せん定することによって、 樹形を整えること 整枝 = 整枝 = 目的 高品質の果実を毎年安定して能率的に生産するため
そのためには (1)どのような樹の形(樹形)にすればいいのか? (2)どの枝を残して、どの枝を切るのか ? (3)どうやって切ればいいのか?
ナシの樹形 仕立て方 樹形 = 自然の性質からみれば変則主幹形か 開心自然形などの立木仕立てが望ましい。 (1)どのような樹の形(樹形)にすればいいのか? ナシの樹形 樹形 = 仕立て方 自然の性質からみれば変則主幹形か 開心自然形などの立木仕立てが望ましい。
ナシの仕立て方 棚仕立てが一般的 水平棚仕立て ろう斗状棚仕立て 杯状棚仕立て 改良折衷式棚仕立て などがある。
なぜ棚仕立てなのか? ・ 枝が固定されるので台風被害(落果・枝折れ)が少なくなる。 ・ どの枝にも日光があたるようになるので収量や果実の品質がよくなる。 ・ ちょうどいい高さに実をならせることができるので収穫などの管理作業がしやすくなる。
水平棚仕立て 平地での栽培が多い関東地方で多く用いられてきた。 主枝が主幹からほとんど水平に曲げられているので、枝の先のほうの発育が悪く、主枝の分岐点の近くから徒長枝が発生しやすい欠点がある。
ろう斗状棚仕立て 傾斜地での栽培が多い関西地方で多く用いられてきた。 棚面に接した部分に徒長枝が発生し、枝先が下がりやすく、管理しにくいという欠点がある。
杯状棚仕立て 二十世紀を中心に、樹の自然の性質をいかした杯状形の仕立て方が用いられている。 管理作業の機械化(薬剤散布や草刈りなど)にともない、機械の通り道の確保の面から邪魔になる欠点がある。
写真の樹は棚付けされていません。
改良折衷式棚仕立て 「水平棚仕立て」と「ろう斗状棚仕立て」の中間的な折衷式棚仕立てが行われるようになった。 さらに改良して、主幹長を90~100cm程度にした「改良折衷式棚仕立て」が多くなっている。 90~100cm
いずれも主幹から分岐させる主枝を3~4本とし、これに亜主枝を配する方法が一般的である。 (最近では2本主枝の仕立て方もある。)
樹形を構成する枝 主幹からわかれる順に 主枝 亜主枝 側枝 に区別される。
4本主枝の場合 =主幹 =主枝 =亜主枝 主幹からわかれている枝が主枝 主枝からさらにわかれる枝が亜主枝 主枝・亜主枝には果実はならせない。
主枝・亜主枝から出る側枝に花芽をつけさせて、果実をならせる。 =側枝 主枝・亜主枝から出る側枝に花芽をつけさせて、果実をならせる。
主枝の出し方 (改良折衷式棚仕立て) 苗木は90~100cmの高さから3~4本の主枝を出すのに都合のよい位置で切る。 春先に新梢が伸び始めたら、支柱で主枝になる枝を誘引する。 2年目の冬には、主枝以外の枝は基部から切りとる。各主枝は新梢の1/2くらいを切りとる。 支柱に誘引しながら、太くまっすぐに伸ばす。
90~100cm 植え付け1年目
2年目
支柱による誘引
亜主枝の出し方 3、4年目から亜主枝を準備する。 若木時代は暫定亜主枝として、数年使用したら切りとってしまう。 6~10年目頃から亜主枝の決定を行う。
主枝の成長にあわせて、亜主枝を変えていく。
側枝の出し方 側枝は結実部の中心となる枝であり、主枝・亜主枝の両側に均等に出す。 主枝・亜主枝の上方から出すと強大になったり、作業に不便になったりするので、斜め下側から出すようにする。 × × ○ 主枝 亜主枝 ○
両側から側枝が出ている様子
側枝の種類 発育枝 結果枝 新しく伸び出した今年の枝で、葉芽だけしか着いていない枝 花芽が無いから、果実はならない。 花芽が着いている枝 花が咲き、果実をならせる。
葉芽と花芽 ナシの葉芽と花芽は外見で区別できる。 葉芽 花芽
大きさが全然違う。
結果枝の種類 花芽の着いた枝の長さによって・・・ 長果枝 中果枝 短果枝 に区別される。
ナシの長果枝 新しく伸び出した今年の枝に、 えき花芽を着けている枝 えき花芽
ナシの短果枝 2年目以降の枝で、頂花芽を着けている枝 頂花芽 この長さが短い
花束状短果枝 短果枝の集合体・・・
(2)どの枝を残して、どの枝を切るのか ? 枝の混雑の程度 結果枝の位置・発生部位 花芽の着いていない枝 = 果実はならない。 などを考えながら、せん定する枝を決める。 花芽の着いていない枝 注意 = 果実はならない。
せん定の手順 せん定が終わったら、予備枝以外の枝を棚に誘引・結束する。 (3)どうやって切ればいいのか? 1)全体をよく観察し、主枝や亜主枝の配置、枝の混雑の程度、結果枝の位置などを確認する。 2)主枝・亜主枝をせん定する。 3)側枝をせん定する。 せん定が終わったら、予備枝以外の枝を棚に誘引・結束する。
主枝・亜主枝のせん定 先端の延長枝を切り返して、主枝・亜主枝の先端を毎年強く成長させる。
側枝のせん定 1)古くなった結果枝の更新 2)結果枝の先端の切り返し 3)来年の長果枝を養成するため、予備枝をとる。 4)結果枝・予備枝以外の不要な枝は基部から切りとる。
1)古くなった結果枝の更新 3~4年以上使用した結果枝にはよい果実が付かないので、新しい枝に更新する。 側枝の利用年限 幸水 2,3年 豊水 3,4年
短果枝や長果枝の側枝は、先端の新梢が強く成長するように切り返す。 2)結果枝の先端の切り返し 短果枝や長果枝の側枝は、先端の新梢が強く成長するように切り返す。 短果枝 長果枝
3)来年の長果枝を養成するため、予備枝をとる 主枝・亜主枝の側面から出た落ち着いた1年生枝を 20~30cm程度に強く切って予備枝とし、翌年その 先端からえき花芽の着生した新梢が伸び、長果枝となる。 翌年
4)結果枝・予備枝以外の不要な枝は 基部から切りとる。 翌年、切り跡から枝が出やすいように切る。
せん定するとこの様になります。 側枝を誘引・結束して・・・
主枝 亜主枝 側枝(結果枝) 上から見るとこうなります。
予備枝 側枝(結果枝) 亜主枝 主枝 ちょっとアップにしてみると、
では、実際にナシ園に行ってみよう。 おわり