心理学Ⅰ 5月16日 感覚と知覚①
感覚と知覚 感覚と知覚の区別は難しい ほとんど同じ意味と考えておいて差し支えない
感覚の分類 視覚 聴覚 嗅覚 触覚 味覚 筋感覚・身体感覚 内臓感覚 平衡感覚 (時間感覚) いわゆる五感 その他
本講では視覚を取り上げる 理由 視覚の研究が分量的に最も多いから ヒトは視覚優位の動物だから (例)テレビや映画のスピーカー 電車の誘導運動 時間がないから (例)テレビや映画のスピーカー 電車の誘導運動
視覚研究のテーマ 私たちの目に世界はどのように見えているのか (現象記述) どうしてそのように見えるのか (説明) (1)生理的基盤の解明 私たちの目に世界はどのように見えているのか (現象記述) どうしてそのように見えるのか (説明) (1)生理的基盤の解明 (2)環境条件の解明
視覚研究の古典的テーマ 奥行き(三次元) 形 色 明るさ 運動 もちろん、これらだけでは現実のいきいきとした視覚世界の姿はとらえきれないという批判もある。 →心理学では、ギブソンの生態学的知覚論など →哲学・文学では、現象学や実存主義などが関係
ヒトの視覚の特徴 自動性(少なくともあるものは) 恒常性(安定性) 順応 補完 遠感覚(定位および分化?) 動き(変化)への敏感さ
講義予定(3回ぶんぐらい) 眼のしくみ (と、それに関わる視覚の現象) 奥行きの手がかり 錯視 色 特異知覚 眼のしくみ (と、それに関わる視覚の現象) 奥行きの手がかり 錯視 色 特異知覚 近視・遠視、盲点、中心視と周辺視、暗所視 エイムズの部屋、ステレオグラム ミューラー・リエル錯視、ポンゾ錯視、その他 混色、補色 幻覚、盲視、共感覚、強い私的事象
眼のしくみ 心理学者からみて主要な部分は、 瞳孔(虹彩に囲まれた穴) 水晶体 網膜 ・視細胞(錐体、かん体の2種類) ・その他の細胞
眼はカメラに似ている 瞳孔 ⇔ しぼり 水晶体 ⇔ レンズ 網膜 ⇔ フィルム
カメラと違うところ 焦点調節は、水晶体の厚みを変えることによって行なう フィルムは一度像が焼き付けられるとずっとそのままだが、網膜の視細胞は、光を吸収して電気信号を発信したあと、すぐに元に戻って、連続的に信号を発信し続ける
錐体と桿体 錐体(すいたい) 中心窩に集中的に分布。 感度低、視力高、色覚豊富 桿体(かんたい) 中心窩以外に広く分布 網膜には二種類の視細胞(光受容器)がある 錐体(すいたい) 中心窩に集中的に分布。 感度低、視力高、色覚豊富 桿体(かんたい) 中心窩以外に広く分布 感度高、視力低、色覚貧弱
網膜以後の神経伝達 視交差 →外側膝状体(視床の一部) →視覚野(大脳新皮質の一部) →皮質の腹側経路 →皮質の背側経路 →上丘経路(脳幹) →外側膝状体(視床の一部) →視覚野(大脳新皮質の一部) →皮質の腹側経路 →皮質の背側経路 →上丘経路(脳幹) これらの複数の経路の存在は、盲視などの解明にヒントを与えると考えられている
眼のしくみから説明できる視覚現象 近視、遠視 ・・・水晶体の調節不全 盲点・・・視神経の束の出口。ただし視野補完は中枢でか 中心視、周辺視 ・・・錐体、かん体の分布による 暗順応、暗所視 ・・・かん体の性質による 夜盲症 ・・・視細胞中の視物質の不足による 動体視力 ・・・動きの検出、中心視。たぶん脳幹も関与。
眼のしくみが関わる現象 瞳孔の大きさの心理的反応 興奮/興味/好感 → 拡大 退屈/嫌悪 → 収縮
余談:媚薬ベラドンナ 拡大した瞳孔は好意を、縮小した瞳孔は敵意を伝えやすい? そのため拡大した瞳孔は相手にとっても嬉しいものであり、魅力的らしい? 古い時代のヨーロッパ社交界で、魔法の媚薬として一部の女性が使用したベラドンナ。 実は毒薬。毒の作用で瞳孔が拡大する。それが魅力を高めたらしい?
余談:座頭市 時代劇「座頭市」「武士の一分」 盲目の剣士 皮質系の異常により視覚を失ったものの、網膜や脳幹系の視覚経路が無事であるならば、視覚刺激に反応することは可能かもしれない??(「見た」という意識はなくとも) ヒトでは普通こちらの経路は退化?していると言われているが・・・
余談・続き 漫画などでよく出てくる奥義「心を無にする」にも通じる?? ※あくまでも余談であり、現段階では科学的に立証されたわけではありません