ブランド選択行動の多様性に関する 固定的要因と外部刺激の分析 湯浦克彦研究室 70810070 原野 朱加
ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と外部刺激の分析 目次 背景と目的 分析対象データ 分析方法 分析Ⅰ)消費多様性タイプ特性分析 分析Ⅱ)消費多様性タイプ遷移分析 統合的マーケティング・コミュニケーション方法の検討 展望と課題
ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と外部刺激の分析 1.背景と目的 【背景ーブランド選択行動ー】 複数のブランドを 買う人(多様性) 同じブランドを 買い続ける人 異なる属性や 消費価値観を持つ
ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と外部刺激の分析 1.背景と目的 【背景ーブランド選択行動ー】 【目的】 「複数のブランドを買う人」 をターゲットとする マーケティング方法の提案 複数のブランドを 買う人(多様性) 消費多様性行動をとる人々の傾向や、それを助長させる要因を分析することマーケティングターゲットを明確化
ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と外部刺激の分析 2.分析対象データ 本研究は野村総合研究所主催「マーケティング分析コンテスト2011」で提供していただいた野村総合研究所オリジナルのシングルソースデータを利用 【データ概要】 調査対象者3000人・調査期間2010年11月~12月 テレビCM出稿データ 雑誌・新聞出稿データ [広告出稿データ] [個人データ] TV番組 視聴データ 雑誌・新聞 閲読データ Webサイト アクセスログ ライフ スタイル 個人属性 購買意向 購入実態
ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と外部刺激の分析 3.研究のアプローチ 2ブランド購入型 1ブランド購入型 D A F 女性/PC好き 男性/車好き C 女性/車好き E B 男性/PC好き 男性/車好き 女性/PC好き 男性/車好きが多い 女性/PC好きが多い 分析Ⅰ) 消費多様性タイプ特性分析 共通因子はないのか?
ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と外部刺激の分析 3.研究のアプローチ 分析Ⅱ) 消費多様性タイプ遷移分析 2ブランド購入型 1ブランド購入型 D A 広告 Webサイト F 女性/PC好き 男性/車好き 遷移 11月→12月 C C 女性/車好き E B 男性/PC好き 男性/PC好き 男性/PC好き 男性/車好き 女性/PC好き 男性/車好きが多い 女性/PC好きが多い 分析Ⅰ) 消費多様性タイプ特性分析 共通因子はないのか?
ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と外部刺激の分析 【分析対象商品カテゴリ】 マクドナルド モスバーガー ケンタッキーフライドチキン ファーストフード(低関与商品) REGZA(東芝) VIERA(Panasonic) BRAVIA(SONY) AQUOS(SHARP) テレビ(高関与商品)
ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と外部刺激の分析 4.分析Ⅰ) 消費多様性タイプ特性分析 4.1 消費多様性タイプ設定 購入意向 購入実態 買いたい or 買いたくない 買った or 買っていない (反応ヒエラルキー・モデル) 認知段階 感情段階 行動段階 2つのパラメータを結合 複数購入型 複数候補型 単購買型
ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と外部刺激の分析 4.1 消費多様性タイプ設定 感情段階 行動段階 ブランドB ブランドA 買いたい 買った 複数購入型 ブランドB 買いたい 買った Sample:0101 ブランドA 買いたい 買っていない 複数候補型 ブランドB 買いたい 買った Sample:0102 ブランドA 買いたい 買った 単購買型 ブランドB 買いたくない 買っていない Sample:0103 ブランドA
ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と外部刺激の分析 4.2 消費多様性タイプグループ設定 (11月) 複数購入型 複数候補型 単購買型 グループ名 ・Group1 ・Group2 ・Group3 Group3 Group1 Group2 (12月) 複数購入型 複数候補型 単購買型 Group1 506 Group2 587 Group3 218 All sample 1311 Group1 85 Group2 300 Group3 578 All sample 963
ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と外部刺激の分析 4.3 有意変数の抽出 固定的要因となる可能性のある変数を選択し、多項ロジット分析を行う。有意水準を5%とし、それを満たさないものを除外する(減算法)。 【独立変数】 デモグラフィック属性 消費価値観 消費先進度 PC利用度 【従属変数】 Group1(複数購入) Group2(複数候補) Group3(単購買) 多項ロジット分析:減算法 ファーストフード 性別/年齢/CGM利用度/ 消費価値観(S10/S11/S19/S25/S26/S27) テレビ 性別/年齢/職業/CGM利用度/ 消費価値観(S10/S16/S17/S18/S24/S25/S28)
ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と外部刺激の分析 4.4 消費多様性タイプ特性分析 【ファーストフード】 有意水準:5% Group1(複数購買型) Group1 vs Group3 Group2(複数候補型) Group2 vs Group3 Fastfood 偏回帰係数 標準誤差 T値 P値 定数項 1.111302 1.066128 1.04237 0.29700 Sex(女性) 0.526396 0.184252 2.85694 0.00435 年収700万円以上 0.426066 0.189236 2.2515 0.86000 CGM利用度 0.096426 0.021775 4.42824 0.00001 S_10 0.640459 0.227886 2.81044 0.00503 S_11 -0.89778 0.434189 -2.06771 0.03890 S_27 -0.64765 0.253477 -2.55505 0.01070 消費先進度(laggards) -1.47777 0.431664 -3.42343 0.00064 Fastfood 偏回帰係数 標準誤差 T値 P値 定数項 1.783159 1.067311 1.6707 0.09510 Sex(女性) 0.031173 0.177166 0.17595 0.86000 年収700万円以上 0.261067 0.183011 1.42651 0.15400 CGM利用度 0.029587 0.021092 1.40276 0.16100 S_11 -0.91588 0.437395 -2.09395 0.03650 S_26 0.95669 0.283052 3.37991 0.00075 S_27 -0.61754 0.249172 -2.47837 0.01330 【テレビ】 Group1 vs Group3 Group2 vs Group3 変数名 偏回帰係数 標準誤差 T値 P値 定数項 -1.64057 0.765751 -2.14243 0.03240 Sex(女性) -0.41527 0.256826 -1.61693 0.10600 CGM利用度 0.022341 0.029552 0.756 0.45000 S_16 -0.4818 0.256312 -1.87973 0.06050 S_25 -0.58859 0.45353 -1.29779 0.19500 S_28 0.385785 0.29565 1.30487 0.19200 変数名 偏回帰係数 標準誤差 T値 P値 定数項 -0.10223 0.476077 -0.21474 0.83000 Sex(女性) -0.85529 0.160203 -5.3388 0.00000 CGM利用度 0.024134 0.018277 1.32045 0.18700 S_16 -0.55487 0.158207 -3.50725 0.00048 S_25 -0.72417 0.286857 -2.52449 0.01180 S_28 0.488181 0.182516 2.67473 0.00762
ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と外部刺激の分析 4.4 消費多様性タイプ特性分析 【ファーストフード】 Group1(複数購買型) Group2(複数候補型) 女性が多い Fastfood 偏回帰係数 標準誤差 T値 P値 定数項 1.111302 1.066128 1.04237 0.29700 Sex(女性) 0.526396 0.184252 2.85694 0.00435 年収700万円以上 0.426066 0.189236 2.2515 0.86000 CGM利用度 0.096426 0.021775 4.42824 0.00001 S_10 0.640459 0.227886 2.81044 0.00503 S_11 -0.89778 0.434189 -2.06771 0.03890 S_27 -0.64765 0.253477 -2.55505 0.01070 消費先進度(laggards) -1.47777 0.431664 -3.42343 0.00064 Fastfood 偏回帰係数 標準誤差 T値 P値 定数項 1.783159 1.067311 1.6707 0.09510 Sex(女性) 0.031173 0.177166 0.17595 0.86000 年収700万円以上 0.261067 0.183011 1.42651 0.15400 CGM利用度 0.029587 0.021092 1.40276 0.16100 S_11 -0.91588 0.437395 -2.09395 0.03650 S_26 0.95669 0.283052 3.37991 0.00075 S_27 -0.61754 0.249172 -2.47837 0.01330 CGM利用度が高い 消費先進度が低くない S10:評判が気になる(+) S11:流行にこだわる(-) S27:現金や貯金がなくても クレジットカードで買ってしまう(-) S26:情報をよく人に教える方である(+) 複数候補型は情報発信者である 評判が気になりやすい 流行にはこだわらない 無計画に購買をしない 因子に該当するほど、 複数購買型に分類される
ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と外部刺激の分析 4.5 消費多様性タイプ特性分析結果 【商材別分析結果】 ファーストフード テレビ 女性が多い CGM利用度が高い 消費先進度が高い 評判が気になる 流行にはこだわらない 計画的に購買する傾向あり 男性が多い 耐久性は気にしない 好きなものは高くても買いたい 情報は無料で手に入れたい ⇒インターネット利用率が高い 【消費多様性タイプ分析結果】 複数購入型:情報利用型 複数候補型:情報発信型 単購買と複数購買には大きな差がある
ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と外部刺激の分析 5.分析Ⅱ) 消費多様性タイプ遷移分析 5.1 消費多様性タイプ遷移パラメータ設定 (11月) 複数購入型 複数候補型 単購買型 遷移パラメータ名 ・Change1 ・Change2 ・Change3 Change1 Change2 Change3 (12月) 複数購入型 複数候補型 単購買型 5.2 外部刺激要因の選択 企業プロモーション接触回数 -CM視聴回数/雑誌新聞広告閲覧回数 企業公式HP閲覧回数 その他Webサイト閲覧回数 -ブログ/CGM/グルメ関連サイト/電化製品ショッピングサイト
5.3 消費多様性タイプ遷移分析 【独立変数】 固定的要因 + 外部刺激要因 【従属変数】 Change1 Change2 Change3 ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と外部刺激の分析 5.3 消費多様性タイプ遷移分析 分析Ⅰより抽出された固定的要因と先に挙げた外部刺激要因を独立変数とし、二値ロジット分析を行う。同じく減算法を用いて変数を絞る。 【独立変数】 固定的要因 + 外部刺激要因 【従属変数】 Change1 Change2 Change3 二値ロジット分析:減算法 公式HP閲覧/CGMサイト閲覧/CGM利用度 インターネット利用/利用率が 消費多様性行動に影響(特に高関与商品) 固定的要因の影響度は安定しない 有意な結果が出ない因子も多かった ファーストフード 年収/消費先進度/公式HP閲覧 回数/CGMサイト閲覧回数/ 消費価値観(S10/S26/S27)など テレビ 性別/CGM利用度/ CGMサイト閲覧回数/ グルメ関連サイト閲覧回数など
ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と外部刺激の分析 6.統合的マーケティング・コミュニケーション方法の検討 固定的要因 外部刺激要因 ファーストフード: 情報重視な女性 テレビ:こだわり購買派の男性 興味本位ではなく熟考・調査型 ネット利用率の高い情報強者 (情報利用者・情報発信者) インターネットが消費多様性行動に影響を及ぼす可能性が高い(特に高関与商品) 新規に消費多様性行動をとるには、外部刺激要因が影響
ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と外部刺激の分析 6.統合的マーケティング・コミュニケーション方法の検討 リアルタイム情報の発信 ファーストフード ターゲットは「今」一番お得であるブランドを購買する ⇒ネットコンテンツで「限定クーポン」など販促情報を発信 紙面広告の影響度低い⇔CGM利用率高い ⇒CGMを利用したコミュニケーションの実施 ネットからリアルへ顧客を動かす テレビ インターネット利用率がきわめて高い ⇒ネット上で製品情報を詳細に発信する 口コミサイトへの参加 ネット情報+リアル接触⇒購買 キャンペーンイベントなどをネット窓口で企画し、 ネットからリアル接触への導線を引く
ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と外部刺激の分析 7.展望と課題 外部刺激要因分析の再検討 長期データへの応用 インターネット利用データとの組み合わせ
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