事前準備 『現在価値、正味現在価値、IRR』 (別添1) 地方銀行協会第89回金融業務講座 「プロジェクトファイナンス基礎講座」 事前準備 『現在価値、正味現在価値、IRR』 2017年6月 株式会社日本格付研究所 PV,NPV,IRRについて、基礎を解説する資料です。ご存知の方は飛ばしていただいて結構です。不慣れな方はEXCELで実際に動かしてみてください。 不許複製
内容 基礎的な概念の確認 (1)PV、NPV、IRR について (2)エクセルの操作 不許複製
現在価値とは ~実務上のポイントは、割引率にどのような値を用いるか 現在価値とは ~実務上のポイントは、割引率にどのような値を用いるか 将来のキャッシュフローを現時点の価値に換算したもの。 (例)PV=C1/(1+r1) PV:Present Value, C1:1年後のCF ,r1:1年の割引率 (設例1)現在1億円をある債券(格付「AAA」)に投資して1年後に額面とクーポン(5%)を受け取る。現在の1億円と1年後に受け取る1億5百万円は等価である。厳密には、税前で等価。投資にかかるリスク(信用リスク)は無視できるくらい小さいのでほぼリスクフリーという前提である。 100百万円 = 105百万円÷(1+0.05) (設例2)現在1億円をある債券(格付「AAA」、残存期間3年)に投資して1年~3年後にクーポン(5%)、3年後に額面を受け取る。現在の1億円と向こう3年間に受け取る1億5百万円は等価である。 PV=C1/(1+r)+C2/(1+r)^2+C3/(1+r)^3 100百円=5/(1+0.05)+5/(1+0.05)^2+105/(1+0.05)^3 (便宜的に、乗数をエクセル操作と同じく、 ^で示す。) 不許複製
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PV(present value):現在価値 J年後に発生するある1つのキャッシュフローの現在価値 PV=Cj/(1+rj)^j n年間に発生する複数のキャッシュフローの現在価値 PV=ΣCn/(1+r)^n=C1/(1+r)+C2/(1+r)^2+・・・・+Cn/(1+r)^n *割引率rは期間を問わず、一定と仮定。 不許複製
NPV(Net present value):正味現在価値 NPV= ―投資額 + PV = ―Co+ PV=―Co+ΣCn/(1+r)^n (ただし、Coが初期投資、nは1年後~n年後の間に生じるCF。nは1~nの値をとる。) :投資対象から生じるCFを現在価値に還元したものから投資額の現在価値を差し引いたもの。 スライド3 設例1. NPV=-100+105/1.05=-100+100=0 スライド3 設例2. NPV=-100+5/(1+0.05)+5/(1+0.05)^2+105/(1+0.05)^3=-100+100=0 設例3.初期投資100、1年後の受取CFは10、2年後の受取CF108。割引率は5%を想定。 NPV=-100+10/(1+0.05)+108/(1+0.05)^2=-100+107=7 (NPV>0) 設例4.初期投資100、1年後の受取CFは10、2年後の受取CF108。割引率は10%を想定。 NPV=-100+10/(1+0.10)+108/(1+0.10)^2=-100+98= -2 (NPV<0) 不許複製
7年の投資プロジェクトの例 (注意) エクセルでNPVを計算する際には、NPV関数で将来のCFの現在価値を求め、さらに、初期投資の現在価値CF0を控除する。 エクセルのNPV関数は最初の投資が期初に発生する想定ではない。 不許複製
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IRR : Internal Rate of Return 、内部収益率 ~IRRはNPV=0となる割引率 不許複製
エクセルの操作 ~日付を読み込むには、XIRR関数、XNPV関数 XIRR 関数、XNPV 関数が、もし、動かない時(#NUM表示)は、エクセルのオプションを開き、設定を変更すれば利用可能になります。は 不許複製
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例題1. :資本コストが異なるα社とβ社 ソフト開発会社 α社は新しいソフトの開発と投資をすべきか否か、検討していた。このソフト開発には初期投資70百万円が必要で、寿命は2年間、1年あたり(期末に)50百万円のCFを生むことが見込まれる。また、本件の投資に見合う割引率は25%と計算されている。 NPV=-70+50/(1+25%)+50/(1+25%)^2=2 ソフト開発会社 β社は新しいソフトの開発と投資をすべきか否か、検討していた。このソフト開発には初期投資70百万円が必要で、寿命は2年間、1年あたり(期末に)50百万円のCFを生むことが見込まれる。また、本件の投資に見合う割引率は15%と計算されている。 NPV=-0+50/(1+15%)+50/(1+15%)^2=11.3 不許複製
例題2-① 製品の導入・販売プロジェクトについて 例題2-① 製品の導入・販売プロジェクトについて 製品Ωは米国で普及しつつある人気商品である。米国から導入して製造・販売するプロジェクトには初期投資800(期初にライセンス料支払)が必要で、さらに製造ライン設置に追加投資1000(1年後の期末に一括支払)が必要となる。CFは初年度800、その後毎年5%の成長で伸び、3年経過したところで他社の参入が予想され、保守的にみて売上はなくなると予想される。このプロジェクトの適切な割引率が10%のとき、投資すべきか?。また、IRRはいくらか。 不許複製
例題2-② 製品の導入・販売プロジェクトについて 例題2-② 製品の導入・販売プロジェクトについて 製品Ωは米国で普及しだした人気商品である。米国から導入して製造・販売するプロジェクトには初期投資800(期初にライセンス料支払)が必要で、さらに製造ライン設置に追加投資1000(1年後の期末に一括支払)が必要となる。CFは初年度800、その後毎年5%の成長で伸び、3年経過したところで他社の参入が予想され、保守的にみて売上はなくなると予想している。なお、製造停止後、設備廃棄に100の費用が生じる。このプロジェクトの適切な割引率が10%のとき、投資すべきか?。また、IRRはいくらか。 不許複製
課題 下の3つのプロジェクトのIRR、NPVをそれぞれ求め、比較してください。 不許複製
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