–––– From Farm to Tableは鹿児島から始まる ––––

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● 食生活における不安をなくし、安全性についての自信を取り戻すためには、農場から食卓までの関係者すべての努力が必要とされている。
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Presentation transcript:

–––– From Farm to Tableは鹿児島から始まる –––– SQF(食の安全と品質認証)セミナー SQFと食の安心・安全の新展開 –––– From Farm to Tableは鹿児島から始まる –––– 主催: 食品安全性問題研究会 鹿児島大学地域共同研究センター 適正農業規範(GAP)の推進: 生産システムにおける安全管理体制の構築 鹿児島大学 岡本嘉六 ● 食生活における不安をなくし、安全性についての自信を取り戻すためには、農場から食卓までの関係者すべての努力が必要とされている。 ●  衛生対策の強化には、モノも労働も必要です。その経費を公正に負担する社会システムを皆で考え、作り上げよう。 ●  安全性についての正しい知識と理解を広げることが、何よりも大切である。

HACCP手法研修用教材 「基礎編」 社団法人 日本獣医師会 日 本 中 央 競 馬 会 特別振興資金助成事業 平成16年度 獣医師生涯研修事業 HACCP手法研修用教材 「基礎編」 企画・出版 社団法人 日本獣医師会

● 安全性についての正しい知識と理解を広げることが、何よりも大切である。 パート1 ●  安全性についての正しい知識と理解を広げることが、何よりも大切である。

食品の安全性の観点からより不安を感じているもの 内閣府食品安全委員会: 平成15年 食品安全モニター・アンケート調査 農薬 輸入食品 添加物 汚染物質 組換え食品 健康食品 微生物 飼料 プリオン 器具・容器包装 カビ毒・自然毒 ウイルス 放射線照射 新開発食品 動物用医薬品 肥料 異物混入 その他 10 20 30 40 50 60 70 80 % 食品の安全性の観点からより不安を感じているもの 内閣府食品安全委員会: 平成15年 食品安全モニター・アンケート調査 「食の安全性に関する意識調査」結果

1997年以降は、1名の場合も計上することになったため、見かけ上多くなっている 件 :細菌 2,500 :化学物質(10倍表示) :自然毒(10倍表示) 2,000 :動物性 :植物性 1,500 1377 123 1,000 79 500 44 9 1975 1980 1985 1990 1992 1993 1,994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 食中毒事故件数の推移 1997年以降は、1名の場合も計上することになったため、見かけ上多くなっている

食中毒患者数の推移 細菌 40,000 自然毒 35,000 化学物質 細菌 100 200 300 400 500 600 30,000 100 200 300 400 500 600 30,000 25,000 自然毒 20,000 15,000 化学物質 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 食中毒患者数の推移

原因物質別にみた食中毒による死者数の推移 20 :総数 18 :細菌 16 :自然毒 14 化学物質による死亡者はいない 年間死亡数 12 10 8 6 4 2 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 原因物質別にみた食中毒による死者数の推移

これらの事故の大半は、市販のものではなく、自分で採ってきたものを家庭で調理して起きた! 25 20 累積死亡者数 15 10 5 卵 フグ キノコ 貝類 不明 その他 野菜及び その加工品 複合調理食品 原因食品別にみた食中毒死亡者数 (1996~2002)

食事場所別にみた食中毒死亡者数 40 30 累積死亡者数 20 10 家庭 病院 学校 旅館 飲食店 事業所 その他 老人ホーム 家庭 病院 学校 旅館 飲食店 事業所 その他 老人ホーム 食事場所別にみた食中毒死亡者数 (1996~2002)

食中毒患者数および死者数の年齢別割合 死者数 人口 患者数 20 40 60 80 100% 50歳 70歳 15歳 :0~4 :5~9 20 40 60 80 100% 食中毒患者数および死者数の年齢別割合 :0~4 :5~9 :10~14 :15~19 :20~29 :30~39 :40~49 :50~59 :60~69 :70~

年齢・死亡原因物質別にみた死亡者数 累積死亡者数 年齢 (1996~2002) 4 2 0~4 5~9 10~14 15~19 20~29 0~4 5~9 10~14 15~19 20~29 累積死亡者数 ハイリスク者への特別対策 12 :動物性自然毒 :植物性自然毒 :大腸菌 :サルモネラ :ぶどう球菌 :腸炎ビブリオ 10 衛生教育 8 6 4 2 30~39 40~49 50~59 60~69 70~ 年齢 年齢・死亡原因物質別にみた死亡者数 (1996~2002)

米国の食品規格コード(Food Code ) 日本においても、ハイリスク集団(健康弱者)に関する法的根拠を設けることが重要である 1-201 用語の定義と適用範囲 (44)高感受性集団(Highly susceptible population)とは、次の理由で、一般集団の人より食品媒介性疾患に罹りやすい人をいう。 (i) 免疫低下者、就学前児童、老人 (ii) デイケア施設、腎臓透析センター、病院または療養所、看護付老人ホームなどの健康管理または補助生活を受けている人。 日本においても、ハイリスク集団(健康弱者)に関する法的根拠を設けることが重要である

日本における人口構成の変化 昭 和 25 年(1950) 平 成 12 年(2000) :女性 :男性 85~ 80~84 75~79 年齢 昭 和 25 年(1950) 総人口: 84,114,574 平 成 12 年(2000) 総人口: 126,925,843 :女性 :男性 85~ 80~84 75~79 70~74 65~69 60~64 55~59 50~54 45~49 40~44 35~39 30~34 25~29 20~24 15~19 10~14 5~9 0~4 600 400 200 200 400 600 万人 日本における人口構成の変化

化学物質の用量・反応関係 閾値がない 化学物質 栄養素 ▲ 閾値がある 化学物質 健康への悪影響 ● ● NOAEL LOAEL 無有害作用濃度 LOAEL 最小有害作用濃度 用量(摂取量) 化学物質の用量・反応関係 WHO: Hazardous chemicals in human and environmental health - A resource book for school, college and university students. 2000

一日摂取許容量と残留許容濃度(一般毒性) 一日摂取許容量(ADI )= 無有害作用濃度 100 食品中の残留許容濃度 生体反応の強度 致死量 無有害作用濃度 中毒量 閾値がある 化学物質 閾値 薬効 用量 一日摂取許容量と残留許容濃度(一般毒性)

DNA 障害性物質の安全性基準 10-6 一生の間に100万人に1人以下でしか起きない確率 発癌率 低濃度直線性 用量 実質的安全量 日常的に暴露されているリスク、避けることのできないリスクより十分に低いことをもって安全とする。 一生の間に100万人に1人以下でしか起きない確率 発癌率 閾値がない 化学物質 10-6 低濃度直線性 用量 実質的安全量 DNA 障害性物質の安全性基準

● 食生活における不安をなくし、安全性についての自信を取り戻すためには、農場から食卓までの関係者すべての努力が必要とされている。 パート2 ● 食生活における不安をなくし、安全性についての自信を取り戻すためには、農場から食卓までの関係者すべての努力が必要とされている。

食肉の安全性に関わる社会システム(1) リスクが減るのは2箇所だけ リスク・レベルのモデル 農場 食肉センター 流通過程 消費過程 素畜 調理時の加熱は細菌を殺滅する。 しかし、食材や料理を室温での放置すれば、菌は増殖する。 輸送距離が延びるにつれ、細菌増殖に必要な時間も長くなる。 温度管理等の法的基準もない。 病気 動物薬残留 食中毒菌 薬剤耐性菌 と畜検査員による法律に基づく検査 農場 食肉センター 流通過程 消費過程 素畜 飼料・飲水 畜舎環境 動物薬 食肉検査 食肉検査 解体 カット 出荷 輸送 市場 問屋 小売店 調理 調理 保存 喫食 食肉の安全性に関わる社会システム(1)

? ? 食肉の安全性に関わる社会システム(2) リスク・レベルのモデル GAP QAP HACCP リスクは 残る! 農場 食肉センター 農場における 適正な衛生管理 病原体低減/HACCP Pathogen Reduction / HACCP リスク・レベルのモデル 解体処理工程など 食肉センターの 衛生管理 GAP QAP 消費者は ? ? HACCP リスクは 残る! 流通過程が 変わらなければ 農場 食肉センター 流通過程 消費過程 素畜 飼料・飲水 畜舎環境 動物薬 食肉検査 解体 カット 出荷 輸送 市場 問屋 小売店 調理 保存 喫食 食肉の安全性に関わる社会システム(2)

? ? 食肉の安全性に関わる社会システム(3) 食品輸送衛生法 (米国、1990) Sanitary Food Transportation Act GHP: Good Handling Practice 流通業における適正取り扱い規範 リスク・レベルのモデル GAP QAP 消費者 教育 流通過程の 衛生基準 ? ? HACCP 農場 食肉センター 流通過程 消費過程 「農場から食卓まで」の、全ての段階で安全性確保対策を実施することによって、初めてリスクが小さくなる。 素畜 飼料・飲水 畜舎環境 動物薬 食肉検査 解体 カット 出荷 輸送 市場 問屋 小売店 調理 保存 喫食 食肉の安全性に関わる社会システム(3)

The Sanitary Food Transportation Act of 1990 米国で「食品輸送衛生法」を制定した理由 The Sanitary Food Transportation Act of 1990 Sec. 5701. Findings (法制定の根拠となった)事実認定 米国民は、輸送作業によって安全性が損なわれることなく、食品  やその他の消費物資を受取る権利を有する。 (1) the United States public is entitled to receive food and other consumer products that are not made unsafe because of certain transportation practices; (2)米国民は、食品やその他の消費物資を輸送するトラックや貨車における、消費者に対して潜在的に有害性をもった製品の輸送による脅威に直面している。 (2) the United States public is threatened by the transportation of products potentially harmful to consumers in motor vehicles and rail vehicles that are used to transport food and other consumer products; and (3)そのような輸送作業による消費者のリスクは、余計なものであり、それらの作業行為は終わらせなければならない。 (3) the risks to consumers by those transportation practices are unnecessary and those practices must be ended. Products Potentially Harmful : 潜在的に有害性をもった製品 Potentially Hazardous Food: 潜在的危害性食品

「農場から食卓まで」を通したリスクの変動 A: 細菌、ウイルス、寄生虫、害虫などの 生物学的危害因子 B: 重金属やカビ毒などの 加熱によっても失活しない危害因子 A B リスク・レベルのモデル 衛生検査 加熱調理 生産過程 処理・加工過程 流通過程 消費過程 危害因子の種類による 「農場から食卓まで」を通したリスクの変動

リスク・アナリシスとHACCPとの関連性(残留農薬) 食品による健康障害の現状 食品Ⅱ~X リスクの低減目標 リスク・アナリシス 農薬A 食品Ⅰ リスクの低減目標 農薬B~X 第三者による監視(モニタリング) リスクレベル 現状 改善後 生産段階 加工段階 流通段階 消費段階 処理段階 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 リスク・アナリシスとHACCPとの関連性(残留農薬)

リスク・アナリシスとHACCPとの関連性(細菌) 食品による健康障害の現状 食品Ⅱ~X リスクの低減目標 リスク・アナリシス 危害因子A 食品Ⅰ リスクの低減目標 第三者による監視(モニタリング) 危害因子B~X リスクレベル 現状 改善後 生産段階 加工段階 流通段階 消費段階 処理段階 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 リスク・アナリシスとHACCPとの関連性(細菌)

食中毒事故の際に、遡及調査を可能にした。  21CFR Part 110 Transportation and Storage Requirements for Potentially Hazardous Foods 潜在的危害性食品の輸送および保蔵の要件 細菌の発育に好適な 水分活性、pH、蛋白質を備えている食肉、食鳥肉、卵、卵製品、魚、海産物、乳製品 記録 重要管理点 輸送・保管を含む全ての取扱者に、2年間の記録の保管と閲覧提示義務を課した。 1.積込み前のトレーラーの検査 2.積込み製品の温度の確認 3.適正な積み方 4.積込み中の温度管理 5.輸送中の温度管理 6.荷降し中の温度管理 積み過ぎが交叉汚染の原因となり、保冷効果をなくする 責 任 運転手および授受者が記録を確認する。 食中毒事故の際に、遡及調査を可能にした。 これが トレーサビリティー (過失責任の所在確認)

パート3 ● 適正農業規範(GAP)の推進: 生産システムにおける 安全管理体制の構築

HACCPに基づく食肉検査モデル事業(HIMP)の歴史: 米国 Pathogen Reduction and Hazard Analysis and Critical Control Point (HACCP) Systems  (PR/HACCP) (Federal Register、1996) 1996年 食肉センターへHACCPシステムを導入  (連邦公報、1996) 「病原体低減とHACCPシステム」 PR/HACCP 1997年 HIMP事業のスタート  HACCP Based Inspection Models Project 「HACCPに基づく食肉および食鳥肉検査の概念」 (連邦公報、1997) The HIMP project was initiated in July 10, 1997 Federal Register Notice, "HACCP-Based Meat and Poultry Inspection Concepts". 1. maintain and enhance the food safety and other consumer protection benefits of the current carcass inspection system; 2. effectively and efficiently oversee, evaluate, and verify industry implementation of the PR/HACCP regulations. 1.現在の≪と畜検査システム≫における「安全性」および「その他の消費者保護」の利点を維持し強化する 2. PR/HACCP規則について、効果的かつ効率よく監視し、評価し、施設の実行を検証する。 HACCPに基づく食肉検査モデル事業は、2つの過程を踏みます (1) 基準作成期と、(2)モデル試行期 The HACCP-Based Inspection Models Project is composed of two phases: (1) the Baseline Phase; and (2) the Models Phase. During the Baseline phase the Research Triangle Institute (RTI), an independent consulting firm, collects organoleptic and microbial data, which indicates the accomplishments of the plant’s current traditional inspection system. 基準作成期には、 第三者としてのコンサルト企業でもあるTriangle研究所が、従来の伝統的検査システムで稼動している施設における肉眼的、微生物学的データを集めます。 The Models phase consists of a Transition period and a second data collection period. モデル試行期は、新システムへの移行期間と第二のデータ収集期からなります。 FSIS: The HACCP Based Inspection Models Project. January 2002 FSIS: An Overview of the HACCP-Based Inspection Models Project. June 2002

日本獣医師会 獣医師研修体制整備推進事業 「HACCP手法研修用教材 」  生産段階においてはHACCPの考え方に基づいてGAPを確立することが現時点の最重要課題である。それでは、適正規範とは何か? 「適正」や「規範」という日本語から「良心的」というニュアンスを連想する懸念が生まれている。製薬会社等でGMPやGLPの作成に当った方なら経験しているが、「規則に則る」ことが「適正」の意味であり、その規則は法令、規格、基準などの公的なものから、業界団体や自社で定めた自主的ものまで全てが整合性をもった文書とされなくてはならない。そうした文書化された工程管理規定が遵守されたことを示す点検記録も必要となる。  これらの作業は、「良心」とは一切関わりがない。善人しかできないことなら僧院か教会でやるしかないのであり、善悪兼ね備えた一般社会人が遵守すべき事項を定めたものが規則である。

安全性向上に関するGAP管理基準の仕組み 米国の家禽向上国家計画(NPIP)のような法令でGAPを定めた場合にあっても、それへの参加は自由意志に委ねられている。自主的取組みとすることで、衛生対策費を非参加商品に上積みする道が開ける。 GAP管理基準作成  産業界のそれぞれの部分において、自主管理基準を検討・合意する。獣医界はその基礎となる法令等に基づく基準を整理する。  GAPシステムを構築することが先決であり、とくに、認証組織と検査を含む検証体制(公的試験機関)をどうするかが大きな課題である。 生産過程における HACCPシステムの構築 GAP認証による付加価値 自主衛生管理項目 食品衛生法等に基づく 畜産物の安全性確保に関する義務規定 家畜伝染病予防法等に基づく 家畜伝染病に関する衛生管理基準 安全性向上に関するGAP管理基準の仕組み

「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」 「家畜伝染病予防法」 「家畜伝染病」と「届出伝染病」 「飼養衛生管理基準」平成16年9月 「食品衛生法」 第九条: 「病畜は食わず」という原則 「と畜場法」 「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」 「食鳥検査法」 これらの法的基準は、一括して示されておらず、農家は判らない。これらを整理して農家の具体的作業に生かすことがGAP推進の先決問題である。 「循環型社会形成推進基本法」 「産業動物の飼養及び保管に関する基準」 (昭和62年10月9日総理府告示) 「薬事法」 「動物用医薬品の使用の規制に関する省令」 「動物用医薬品等取締規則」 「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」 「飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令」 「飼料の有害物質の指導基準」

HACCP方式の考え方に基づく衛生管理体制: 生産段階における実施体制モデル(農水省審議会) 家畜保健衛生所 ・危害因子等の定期的なモニタリング調査 ・食肉衛生検査所等における検査成績の分析 情報の収集 食肉衛生検査所 モニタリング体制等構築の指導 検査 衛生管理方法の改善指導 畜産農家(農場部門) HACCP方式による衛生管理 (日常の点検、確認、記録の実施) ・素畜・飼料・資材の適切な取扱い ・家畜の健康管理、適切な運搬 ・施設の保守管理、点検 ・従事者の衛生、教育等の一般的衛生管理の徹底 生産者団体等 (組合、農協) (管理部門) 実施状況 チェック HACCP方式の考え方に基づく衛生管理体制: 生産段階における実施体制モデル(農水省審議会)

家畜の衛生管理の方法に関し遵守すべき最低限の基準 衛生管理の方法に関する既存の指導・通知等 飼養衛生管理基準 家畜の衛生管理の方法に関し遵守すべき最低限の基準 衛生管理の向上 都道府県知事(家畜衛生保健所等) 家畜の所有者 伝染病の発生予防 遵守 指導・助言 勧告 命令 罰則 衛生管理の改善のための具体的な方策 衛生管理の方法に関する既存の指導・通知等 家畜防疫対策要綱 指導 家畜防疫を総合的に推進するための指針 衛生管理マニュアル   ・・・・・・・・・・・・    家畜伝染病に関する衛生管理基準の仕組み

これは法令にまでなっていないがGAPの参考とすべき 鶏卵生産システムに関係する法令等 「ふ卵場等養鶏施設における衛生対策指針」 家畜伝染病予防法に基づく「家畜防疫対策要綱 」 「採卵養鶏場におけるサルモネラ衛生対策指針」 (平成5年9月10日畜産局衛生課長通知) 「食品衛生法施行規則」  第二十一条 賞味期限 「卵によるサルモネラ食中毒の発生防止について 」 厚生省 平成10年7月22日 「最近のサルモネラ等による食中毒に関する分析及び評価について」 厚生大臣への意見具申 食品衛生調査会 殻付き卵の衛生対策について 生産段階における衛生対策 卵選別包装施設の衛生管理要領 これは法令にまでなっていないがGAPの参考とすべき

*:洗卵、乾燥、検卵、重量選別、包装、出荷 インテグレーション(略称インテ): 飼料工場ならびに種鶏農場から鶏卵生産農場までを自社組織として保有する企業体。 育種用基礎系統群、系統造成群、 海外に依存 原原種鶏農場(GGP) 飼料工場 原種鶏農場(GP) 種鶏農場(PS) 穀類 (大半は輸入) 動物性 蛋白質原料 孵化場 育雛場 食品工場 割卵工場 インライン方式* 鶏卵生産農場 (コマーシャル鶏) 飲食店 卵問屋 オフライン方式* 消費者 小売店 GPセンター *:洗卵、乾燥、検卵、重量選別、包装、出荷 鶏卵生産農場がGAPを実施するには、その上流にある種鶏場や孵化場、飼料工場が品質保証を出せる体制作りが先行しなくてはならない 鶏卵の安全性と関わる養鶏産業システム

飼養規模別にみた成鶏雌の飼養戸数・羽数の割合 *:(雛のみ飼養320戸)、平成13年「畜産統計」 飼養規模(羽数) 戸数(割合) 羽数(割合) 1,000 ~ 4,999 5,000 ~ 9,999 10,000 ~ 49,999 50,000 ~ 99,999 100,000以上 計 1,260 750 1,660 340 4,350 4,660 (27.0) (16.1) (35.6) (7.3) (93.3) (100.0) 3,025 5,250 38,125 23,522 69,207 139,129 (2.2) (3.8) (27.4) (16.9) (49.7) (100.0) * *:(雛のみ飼養320戸)、平成13年「畜産統計」

都道府県については、餌付け羽数4000羽以上をリストアップした。 採卵用雌の餌付け羽数と地方別割合 (2002年) 地方別 餌付け羽数 割合 県別 餌付け羽数 割合 県別 割合 北海道 東北 北陸 関東・東山 東海 近畿 中国 四国 九州 沖縄 5 040 14 556 6 718 28 240 14 722 6 506 9 799 7 030 18 005 907 4.52 13.05 6.02 25.32 13.20 5.83 8.79 6.30 16.14 0.81 埼玉 千葉 鹿児島 愛知 青森 北海道 新潟 兵庫 広島 群馬 8 358 7 215 6 470 6 129 5 608 5 040 4 943 4 977 4 609 4 513 7.49 6.47 5.80 5.50 5.03 4.52 4.43 4.46 4.13 4.05 餌付け羽数 3000~4000 宮崎 茨城 岐阜 福岡 福島 香川 三重 岡山 3.50 3.54 3.39 3.06 3.02 2.94 2.89 2.75 都道府県については、餌付け羽数4000羽以上をリストアップした。

食品の安全性に関わる社会システム:食品工場 健康弱者 (ハイリスク集団) HACCP (食肉処理場・食品工場) 農場でのQAP 一般的衛生管理 一般衛生基準 (PP;Prerequisite Program) 適性製造規範 (GMP;Good Manufacturing Practice) 衛生標準作業手順 (SSOP;Sanitation Standard Operation Procedure) 自主衛生管理 免疫低下者(HIV、糖尿病、 癌、重度の疾患など) 子供、老人、妊婦、病弱者 に対する特別措置 高度の安全性 = 付加価値 第三者認証 HACCP (食肉処理場・食品工場) 一般的衛生管理 一般健康成人 法律による規制 食品衛生法 衛生基準 営業許可 営業停止 衛生教育 食品の安全性に関わる社会システム:食品工場

生産管理手順に、法令に定められた衛生基準を組み込む作業 法令に基づく適正規範(GMP、GAP) 衛生標準作業手順 (SSOP;Sanitation Standard Operation Procedure)  生産管理手順に、法令に定められた衛生基準を組み込む作業 一般的衛生管理プログラム (PP;Prerequisite Program) 標準作業手順 (SOP;Standard Operation Procedure) 法令に基づく適正規範(GMP、GAP)

HACCPと衛生水準 永続的改善システム 再吟味 検証 記録 重要管理点 危害分析 再吟味 検証 記録 重要管理点 危害分析 衛生標準作業手順 SSOP 再吟味 検証 記録 重要管理点 危害分析 衛生標準作業手順 SSOP 再吟味 検証 記録 重要管理点 危害分析 衛生標準作業手順 SSOP  HACCPは定まった衛生水準を規定するものではなく、衛生水準を向上させる永続的システムであり、そのシステムの可否を認証するものである。 標準作業手順 SOP 一般的衛生管理 PP HACCPと衛生水準

適正農業規範(GAP)とHACCPシステム リスク・アナリシス (Risk Analysis) 重要管理点 (CCP;Critical Control Point) HACCP 生産過程で制御すべき 危害の特定 危害分析 (HA;Hazard Analysis) 衛生標準作業手順 (SSOP;Sanitation Standard Operation Procedure) GAP  家畜の飼養管理に関する管理記録簿(標準作業手順)に、家畜伝染病予防、と畜場法、飼料安全法などの法に定められた衛生基準を盛り込む作業 一般的衛生管理プログラム (PP;Prerequisite Program) 標準作業手順 (SOP;Standard Operation Procedure) 適正農業規範(GAP)とHACCPシステム

食品の安全性制御プログラムに対するリスク・アナリシスの適用 Food Quality and Safe System. Annex 2. FAO 1998  1.食品の健康危害についての関心が増大  2.食品の世界流通の急激な発展と重要性  3.安全な食品供給についての消費者の要求 食品と関連するリスクの解析が以前より重要になった 危害(hazard): 健康に悪影響をもたらす可能性がある食品中の物質または状態 危険性(risk): 危害に曝された集団における健康障害の確率と重篤度の推定値 Understanding the association between a reduction in hazards that may be associated with a food and the reduction in the risk of adverse health effects to consumers is of particular importance in development of appropriate food safety controls. Unfortunately, there is no such thing as "zero risk" for food (or for anything else).  危害を減らすこととリスクを減らすことの関係を理解することは、適切な食品の安全性制御を発展させる上でとくに重要である。 不幸なことに、食品について「ゼロ・リスク」のような事態はありえない(その他の何についても言えることだが) 。 リスク・アナリシス(危険性解析)は、三つの独立かつ統合した要素からなる リスク査定(risk assessment) リスク管理(risk management) リスク情報交換(risk communication) 「危害分析」と混同され、あたかも「ゼロ・リスク」可能であるかのような錯覚が広まっている。

「卵および卵製品におけるサルモネラ(SE)のリスクア・セスメント」(米国モデル、1997) 農場から食卓までを通した 「卵および卵製品におけるサルモネラ(SE)のリスクア・セスメント」(米国モデル、1997)  5つのコンパートメントに分けて、それぞれについて全国的実態調査を実施し、それらの検査結果に基づいて危害緩和策(衛生基準と管理基準)を提言した。 殻付き卵 処理/流通 公衆衛生上の 影響 卵生産 調理と摂取 卵製品 加工/流通

鶏卵の生産過程におけるサルモネラ汚染の査定 感染若雌 殻付き卵の SE汚染率 SEの毒性の程度 0~60% 1万個に1個 採卵鶏群の 保菌率 汚染環境 卵の汚染率 5~70% 30%~ 10万 1 1~70% 汚染飼料・水 強制換羽の 有無 卵製品の SE汚染率 0~40%  危害緩和策としては、 サルモネラ検査実施済みの雛、飼料を購入すること、鶏群の定期的なサルモネラ検査の実施などを定めた「家禽向上国家計画(NPIP)」が策定された。種鶏業者、孵化業者、飼料製造工場などの衛生管理基準が次々と法律で規制された。

食肉センターにおけるサルモネラ汚染: 米国の基準 陽性サンプル数の上限 サンプル数 陽性率 子牛 肉牛 挽肉 豚 豚ソーセージ ブロイラー 1.0 2.7 7.5 10.9 NA 23.6 82 58 53 55 NA 51 1 2 5 6 NA 12 55 6 51 12 NA :基準策定のため調査中であり、将来設定する。 食鳥センターの基準は別の法律であるが、ここでは併記した。 これは、食肉センターにHACCPを適用する法律を作成するための事前調査に基づいて策定された基準である。

大規模施設における豚と体のサルモネラ陽性率 陽性率(%) 施設数 割合(%) 規制によって廃棄する割合が高くなれば、価格が高騰するだけでなく、絶対量が不足する可能性がある。 安全性に絶対(100%)はあり得ない。「どの程度の安全性をどの程度の価格で」が問題なのである。 71 18 6 100 0.0 – 5.0 5.1 – 8.7 8.8 – 11 11.1 – 15 15.1 – 20 45.0 – 50 全体 12 3 1 17 11%( 55頭中6頭)の基準を定める根拠となった1998-1999の調査

米国におけるHACCP実施に伴うサルモネラ陽性率の推移 大規模施設 HACCP 実施前調査 1998-1999 1998-2000 豚 牛挽肉 ブロイラー 七面鳥挽肉 8.7 7.5 20.0 49.9 6.5 4.8 10.9 36.4 (1532) (1184) (5697) (748) * 4.4 5.8 10.3 34.6 (2475) (1696) (9639) (1537) 8.7 6.5 4.4 *:汚染%(検査施設数)  着実に減少し、基準以下であるが、日本で流布している 「ハサップ(HACCP)神話」 からすると信じられない!?

HACCPに基づく食肉検査モデル事業(HIMP)での豚肉の基準: 米国 カテゴリー 食品安全 1 食品安全 2 食品安全 3 OCP 1 OCP 2 OCP 3 内容 感染症 消化管内容物汚染 解体後検査 と体の病変 内臓病変 その他 例示 敗血症/毒血症、膿血症、嚢虫症 糞便、腸内容物、乳 神経症状、瀕死状態、発熱、嗜眠 関節炎、削痩、丹毒、局所膿瘍、 乳房炎、鳥結核、腫瘍、心外膜炎、 気嚢炎、肺炎、尿毒症 嚢胞腎、腸炎/胃炎、内臓の糞便汚染、腎炎/腎盂腎炎、嚢虫以外の寄生虫、腹膜炎 貧血/むれ肉、付着した胆汁、挫傷、 水腫、外部断節、骨折、黄疸、臭気、 皮膚病変、痂皮、毛玉、趾爪 基準 ゼロ 4.1% 7.2% 20.5% Other Consumer Protection その他の消費者保護 出典: Federal Register(連邦公報) November 2, 2000 [Docket No. 00-042N] HACCP-Based Inspection Models Project (HIMP): Performance Standards for Young Turkey, Young Chicken, and Market Hog HIMP Plants.

HACCP手法に基づく一般的衛生管理の認証基準 全国的に統一された 適性農業基準(GAP) 農畜水産物の安全性向上のための社会システム ○○地域における 適性農業基準(GAP) ●●地域における 適性農業基準(GAP) HACCP手法に基づく一般的衛生管理の認証基準 ○○県食品安全推進会議 ●●県食品安全推進会議 全国的に統一された 適性農業基準(GAP) 生産者、消費者、流通業者ならびに専門家が参加する 全国食品安全推進会議 品質保証計画(QAP) 第三者としての民間の認定機関・試験機関

チェックリストの概要  「家畜の生産段階における 衛生管理ガイドライン」を基に、気象条件や疾病の発生状況などの地域特性を考慮し、実際に農場で点検することにより、実務に即した重要項目を選び出したものがチェックリストです。安全性を高めるだけでなく、その基礎となる生産性の向上・安定にも役立つもので、以下の大項目からなっています。 Ⅰ.素畜・飼料・飲水: 受入れ、検疫、保管、衛生管理 Ⅱ.施設の設計等の要件・保守・衛生管理: 洗浄・消毒、保守管理、衛生動物 Ⅲ.家畜の取扱い: 健康管理、ワクチン、薬物、病畜、淘汰 Ⅳ.家畜・畜産物の出荷: 集荷、出荷、生産管理情報 Ⅴ.作業員の衛生・教育・訓練: 健康管理、作業内容、衛生教育 ガイドラインには多くの誤り、問題点がある。実態調査に基づいて、適正なものに修正する必要がある。業界の知恵を出し合って、適正な管理項目と管理基準を作っていこう!  ガイドラインの衛生管理マニュアルに沿って作業記録が作成されますが、従来の生産管理記録と組合せることで、衛生管理と生産性の関連が明確化されるでしょう。

D.家禽の取り扱い  一般生産農家にとって最も重要な日常管理の要件である。GAPとしてどのような管理基準を設けるかは、日常作業に直接関わることであり、一般生産農場についての実態調査を実施し、その結果について農家を交えて十分に検討し、鶏卵の安全性向上に必要でかつ実施可能な項目を整理し、管理基準を定める必要がある。ガイドラインはこうした経緯を経ておらず、地域の安全推進会議で検討するための素案を提示しているに過ぎない。とくに、SE汚染で重要な要素である強制換羽に関する項目がないことは、ガイドライン作成時に委員の合意ができなかったためと思われる。  強制換羽を行わない鶏群はわずか1年しか産卵しないとし、NPIPで強制換羽自体を禁止した訳ではない。農務省統計局(USDA-NASS)の統計では、採卵鶏群の22%が、年間のどの時点でも、強制換羽を受けている」という記載にあるように、米国における強制換羽の実施率は年間を通して2割以上とかなり高い。それでも、強制換羽を禁止した訳ではない。非汚染農場で強制換羽を実施してもSE陽性卵を産むようになることはなく、重要なのは非汚染農場か汚染農場かの区別である。SEに汚染されていない農場を増やすことが肝心である。

 ガイドラインでは、下記の4項目を管理基準に上げている。 1 適切な飼料設計について決定されていること。 2 農場で飼料添加物を追加する場合は、飼料内に均一に混和すること。 3 飼料等添加物等は用法・用量どおりに給与されていること。 4 入雛後、1週間間隔で体重測定を実施すること。  家畜の取扱いにおける飼料の衛生管理項目として、第2、3項目は不適当である。飼料そのものの安全性に関しては、飼料安全法に基づいて飼料工場で確保されており、一般生産農場で抗菌性飼料添加物を飼料に混合する場合は飼料メーカー同様にGMPを整備しなければならない。ビタミン、ミネラル等の「飼料添加物を追加」する場合においても、プレミックスを飼料に均一に混合する設備を所有する一般生産農場は稀であり、そうした飼料攪拌機を備えた所は、飼料工場と同様に飼料安全法に準拠した基準を適用すべきである。付加価値を高めるために化学物質を飼料に添加する場合に、その化学物質に不純物が含まれている可能性もあり、カネミ油症を想起すれば明らかなように、濫りに化学物質を添加すべきではない。

各工程の危害要因の制御手順書と作業記録書の作成 衛生標準作業手順 SSOPの作成 生産管理マニュアルにしたがった生産管理記録 衛生管理マニュアル 各工程の危害要因の制御手順書と作業記録書の作成 各工程の作業手順書と作業記録書の作成 A.衛生管理総括表 作業工程 危害要因 防止措置 管理基準 モニタリング 改善措置 記録 B.記録簿のフォーマット 日常作業の重要点検項目、日常的な農場重要点検項目 素畜搬入時検査、 飼料/資材受領と検査、畜舎間移動、薬物/ワクチン使用、疾病発生と死亡・淘汰、畜舎清掃消毒、使用水消毒、鼠族駆除、機材保守管理、来訪者・車両、化学薬品在庫、従業員研修、試験室テスト C.検証方法と検証記録 農場内のHACCPチームによる検証から始め、第三者認証組織による検証に移行する。

安全推進会議でチェックリストを作成する手順 1. 法令に定められた基準およびガイドラインの大項目に含まれる項目について、当該地域の農場における実施状況を調査する。 2.調査結果の解析による重要項目の選定 (1) 実施率が100%または0%の項目はリスト外。 (2) 実施率20%未満または80%以上の項目については、衛生管理上の重要性が高くないと判断されればリスト外。ここでリスト内とした項目は、評価点を高くする。 (3) 実施率20~80%の項目について、評価点を検討する。 3. 大項目毎に実施した解析の結果出された重要項目と評価点について、全体のバランスをとる。 4. 原案を安全推進鍵で審議する。  適正農業基準は誰かが決めて一夜でできるものではない。定めた基準の実施率を高める工夫がないと、「絵に描いた餅」になる。生産段階に競争の原理を導入すると同時に、消費者の安心を獲得する。

(GAP;Good Agricultural Practice) 適性農業基準とは (GAP;Good Agricultural Practice) HACCP手法に基づく一般的衛生管理の認証基準例 チェックリスト 評価点 衛生管理コスト 認証マーク 非参加農場 50点未満 50点以上 60点以上 70点以上 80点以上 90点以上 無印 ★ ☆ ☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ 安心価格で 自分に見合った 安全性を購入できる 市場価格 10%上乗せ 20%上乗せ 30%上乗せ 40%上乗せ 50%上乗せ

● 衛生対策の強化には、モノも労働も必要です。その経費を公正に負担する社会システムを皆で考え、作り上げよう。 パート4 ●  衛生対策の強化には、モノも労働も必要です。その経費を公正に負担する社会システムを皆で考え、作り上げよう。

日本における鶏卵生産量の推移 年間生産量 (万t) 300 250 200 生産量 (億個) 67.4 95.6 186.3 416.3 1955 1960 1965 2000 9008 9430 9921 1,2693 人口 (万人) 一人当たり 年間摂取個数 75 101 188 328 年 150 (万t) 100 50 1966 1972 1978 1984 1990 1996 2002 日本における鶏卵生産量の推移

主要国の鶏卵消費量の推移 日本 年間1人当たり消費個数 200 250 300 350 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 年間1人当たり消費個数 日本 アメリカ フランス ドイツ イギリス 日本でもSE問題で消費が若干落込んだが、米英に比べると軽度であった。SE食中毒は米英ほど多発せず、世界で唯一の生食文化を支える日本の鶏卵が安全である証である。問題はそれを消費者に説明する安全システムがないことにある。GAP推進はそのシステムを作ることにある。産官学連携によって、認証システムを作ろう! 150 主要国の鶏卵消費量の推移

成鶏雌の飼養状況の推移 調査対象: 300羽以上 ⇒ 1000羽以上 飼養羽数(●) 15 一戸当り飼養羽数(●) 30 10 25 10 調査対象: 300羽以上 ⇒  1000羽以上 (1000万羽) 飼養羽数(●) 15 千羽 一戸当り飼養羽数(●) 30 ● 10 25 (千戸) 10 農産物貿易の自由化による国際競争の中で、小規模経営農家は廃業せざるを得なかった。日本農業の競争力を維持発展させる環境整備の一つとして、GAPを推進しよう! 20 ◆ 飼養戸数( ◆ ) 8 15 6 4 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 成鶏雌の飼養状況の推移

鶏卵卸売価格の変動(全農東京M規格): 養鶏協会資料 円/Kg 250 213 ● 197 200 179 166 171 163 157 150 140 141 144 183 127 100 安全性を巡る需要の激減と価格の暴落は、養鶏産業全体に深刻な打撃を与える。そうした風評被害を防ぐGAPを推進しよう! 95 50 高病原性 鳥インフルエンザ 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 2002 2003 2004 鶏卵卸売価格の変動(全農東京M規格): 養鶏協会資料

採卵用雌雛の餌付け羽数と鶏卵の小売価格の年間変動 10500 ●:餌付け羽数 1998-2003年平均 左目盛り(万羽) 10000 350 9500 300 9000 1㎏当たり 8500 250 ▲:鶏卵の小売価格 2002年、東京 右目盛り(円) 8000 200 1パック当り (白色卵、Lサイズ、10個入り) 150 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 採卵用雌雛の餌付け羽数と鶏卵の小売価格の年間変動

Prevention of foodborne illness Protection of reputation Objectives of application of the HACCP system HACCP システムを 適用する目的 食品媒介性疾患の防止 Prevention of foodborne illness More efficient quality assurance system より効果的な 品質保証システム Reduction of costs of food analyses 食品検査に要する 費用の削減 製品回収による 損失の削減 Reduction of losses due to product recall 企業の評判を守る Protection of reputation WHO 「HACCPシステムの必要性」 の 1枚

国際食品微生物規格委員会(ICMSF)による 食品の微生物学的危害因子 危害因子 危害特性 食品例 乳幼児、高齢者、虚弱者または免疫力の低下したヒトのために作られた製品 A B 微生物の増殖を支持する成分を含む 生の魚介類や食肉 調理パン、ケーキ、惣菜 C 製造過程に管理された殺菌工程がない 加工後包装までに再汚染される可能性がある 弁当、カットハム、 カット野菜 D 輸送や消費者の誤った取り扱いで増殖する可能性がある 生の魚介類、食肉、卵。調理パン、惣菜 E 包装以降、最終消費の際に加熱工程がない F 生の魚介類や食肉

国際食品微生物規格委員会(ICMSF)による 日本においても、ハイリスク集団(健康弱者)に関する 食品の微生物学的危険度分類 カテゴリー 食品の性状と危害特性 食品例 Ⅵ 危害因子 A 乳児食、老人食、特定の病人食 刺身、幕の内弁当、洋菓子、生野菜サラダ Ⅴ B~Fの危害因子を 5個 Ⅳ B~Fの危害因子を 4個 握り飯、ポテトサラダ、惣菜 Ⅲ B~Fの危害因子を 3個 ハム、ソーセージ、無包装蒲鉾 Ⅱ B~Fの危害因子を 2個 スライスハム、調理パン、 Ⅰ B~Fの危害因子を 1個 食パン、包装蒲鉾、乾燥麺 日本においても、ハイリスク集団(健康弱者)に関する 法的根拠を設けることが重要である インスタントコーヒー、煎餅、乾し海苔、調味料 0 危害発生の恐れがない

リスク管理と経費負担のモデル 衛生教育に掛かる費用 低 リスク・レベル 高 商品価格 衛生検査と監視に使われる税金 個人衛生 自主衛生管理 低  リスク・レベル   高 衛生教育に掛かる費用 自主衛生管理 商品価格 HACCP等の費用 法的規制 衛生検査と監視に使われる税金 一般健康成人 ハイリスク集団 リスク管理と経費負担のモデル

法的規制 リスク管理と経費負担のモデル 衛生教育に掛かる費用 低 リスク・レベル 高 商品価格 国民経済として 無駄な経費 個人衛生 低  リスク・レベル   高 衛生教育に掛かる費用  法的規制の水準を上げると、その分、衛生対策費と監視業務の経費を税金で賄わねばならない。赤字国債が問題となっている現状で、実行できますか? 法的規制 自主衛生管理 商品価格 HACCP等の費用 国民経済として 無駄な経費 法的規制 衛生検査と監視に使われる税金 一般健康成人 ハイリスク集団 リスク管理と経費負担のモデル

ハイリスク者により高度の安全性を確保した食品を届ける流通システムが必要とされています。  ハイリスク者により高度の安全性を確保した食品を届ける流通システムが必要とされています。  より高度の安全性を確保するには、様々な衛生対策費が発生します。生産段階でも、通常の衛生管理では防げない家畜の健康保菌を制御する工夫が必要です。餌や素畜について、汚染がないことを確認するだけでも大変です。それらの経費を上乗せしたら、消費者は買うでしょうか?  一般健康成人は、買わないし、買う必要を感じていないでしょう。問題は、ハイリスク者が死亡を含む重大な健康障害を起こしていることです。  より高度の安全性を付加価値として価格に上乗せすることが、HACCP普及の鍵です。ハイリスク者の負担について、税金の補助があっても良いのでは? ⇒ 流通システムの工夫が待たれる!

GAP推進検討会 作物別部会 本検討会は、次の事項について検討を行う。 ア.わが国におけるGAPの確立・普及に関する基本的事項 イ.個別作物別のGAPの策定・普及 ウ.国内外のGAPの取組に関する情報の収集・分析 エ.その他必要な事項 穀類GAP部会 果樹GAP部会 きのこGAP部会 野菜GAP部会 作物別部会 講習会 農協(生産基準) 乾燥調製施設・倉庫 事業者の取引基準 消費者の認識 アンケート方式による実態調査 調査票配布とりまとめ 海外実態調査

GAPの導入・確立 生鮮農産物安全性確保対策事業 (GAPの導入・確立) 衛生管理措置と衛生管理基準の設定 作業手順の設定と記録 農林水産省 消費・安全局 農産安全管理課 生鮮野菜衛生管理ガイドライン GAPの導入・確立 Good Agricultural Practice 適正農業規範 GAP構築のための ● 調査研究 ● 指導者養成 農薬使用基準・適正施肥基準 コーデックス委員会基準 米国・EUの衛生プログラム 監査システム 第三者認証 実 施 検査・認証 システムの検討 効果の確認 経費の負担 各工程の危害分析による衛生対策方針の策定 <協議会の作業> 衛生管理措置と衛生管理基準の設定 施設・設備、生産環境・水、農薬・資材、 鼠族昆虫、従業員の衛生教育・訓練、 危機管理体制整備、記録文書 <農家の作業> 作業手順の設定と記録 生産工程のフローチャート作成、 各工程の作業手順の文書化 生産管理記録簿の整備、 ● 協議会設置 ● 実態調査に基づく方針決定 ● 農家の講習会 ● GAP導入経費の負担方法 ⇒価格への転化とそれに必要な認証 危害の種類 微生物 化学物質

安全性向上には、経費が掛からないのか? あたかも、 タダでできることを、怠けている 儲けるために、必要なことを省いている やるべきことを、やらないでいる といった「生産者のモラル」を汚す主張が氾濫しているように思えるが・・・ そうした主張は、事実誤認の悪意によるものです。 家を掃除するにも、掃除機を買わねばならない 食器を洗うにも、洗剤を買わねばならない 衛生対策を強化するには、モノも労働も必要です。 その経費を、誰が負担するかを決めないと、先に進まないのではないでしょうか?

一部の不祥事から全体を判断する誤り 何時の世も、善人もいれば悪人もいます。 善人とは、悪人とは、もって生まれた性分か? 100%の善人と、100%の悪人がいるのか? 大多数のヒトは、四分六ではないでしょうか?  腐った大根を食材として売りつけるような犯罪人はごく一部であり、大多数はまじめに働いています。 それでも食中毒事故は起きるのです。  誰かの悪意によって食中毒が起きているのではないのです。  気付いていない作業に、危害が発生することが多いのです。  作業手順のちょっとしたミス、それが原因となるのです。 そのミスは、「農場から食卓まで」の全てのヒトが起しうるのです。食べるヒトのミスによる死亡事故(フグ中毒)が、実は最も多いのです。誰かを攻め立てる快感に酔いしれている限り、食中毒事故はなくなりません。

(GAP;Good Agricultural Practice) 適性農業基準とは (GAP;Good Agricultural Practice) HACCP手法に基づく一般的衛生管理の認証基準例 チェックリスト 評価点 衛生管理コスト 認証マーク 非参加農場 50点未満 50点以上 60点以上 70点以上 80点以上 90点以上 無印 ★ ☆ ☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ 市場価格 10%上乗せ 20%上乗せ 30%上乗せ 40%上乗せ 50%上乗せ 安心価格で 自分に見合った 安全性を購入できる

チェックリストによる評価システム Q1: チェックリストは誰が作成したのですか?  ○○県食品安全推進会議が、生産者、消費者、流通業者ならびに専門家を加えた委員会を設け、農場の生産工程を詳細に調べ上げ、危害が発生しやすい作業工程を探しだし、管理措置と管理基準を設定したものです。この方法は、HACCP手法に基づいており、透明性が高いものです。 Q2: チェックリストはどのようにして作成されたのですか?  農林水産省が専門家に委嘱して「家畜の生産段階における 衛生管理ガイドライン」を2002年に刊行しました。素畜、飼料、畜舎、家畜の取扱い、作業員の健康と作業内容、出荷など、農場内の全ての要因について衛生管理マニュアルが示されています。これに基づいて、全国的に「生産衛生管理体制整備事業」が展開されています。  ガイドラインの内容を、実際に農場で点検することにより、実務に即した重要項目を選び出したものです。

Q3: チェックリストは地域によって違うのですか?  基本的にはガイドラインに沿っておりますが、寒冷地と温暖地では家畜の飼養形態や気候によるストレスも異なり、疾病の発生状況が若干違います。こうした地域特性をガイドラインに付け加える作業を行っているためです。将来的には、全国統一のチェックリストを作成する予定です。 Q4: 衛生管理コストとして消費者が余分の負担をするのですか?  食中毒菌に対する抵抗力は、一般健康成人でも一人毎に異なります。体調を崩している時もあるでしょう。安全性を高めるには費用がかかります。全てのヒトに健康障害が起きないようにするには、全ての生産物に安全性のコストを掛けなくてはなりません。それを補助金で賄えば、税金が重くなります。  税金として一律に負担するよりも、体調不順の時に多少の負担を払った方が、総体として低コストで健康障害を防ぐことができます。現状でも一般健康成人が食中毒に罹る頻度は高くはありません。罹っても、下痢・腹痛程度で、死亡等の重大な障害はありません。一律負担で増税するより、合理的なシステムです。

Q5: 衛生管理コストは誰が決めたのですか?  食品安全推進会議が、経営経済学の専門家に依頼して、これまで実施してきた一般的な衛生対策に新たな対策を付け加えるために必要な費用を集計してもらいました。その結果を、推進会議で検討し、妥当であると合意したものです。 Q6: 衛生管理コストの内容はどんなものですか?  素畜、飼料、畜舎、家畜の取扱い、作業員の健康と作業内容、出荷など、農場内の全ての要因について衛生管理マニュアルに従って実施するために必要となる費用です。畜舎の補修・改善には費用がかかります。畜舎の洗浄・消毒を徹底するには、消毒薬の使用量が増え、作業時間が長くなります。畜舎への出入りの際、着衣や履物を交換するなど、ガイドラインを忠実に実施するには、作業効率が落ちることもあります。作業員が衛生的に家畜を取扱うには、教育時間を設けて学習することも必要になります。これも賃金として支払われます。  こうした費用を専門家が積算して衛生管理コストを算定し、推進会議でも妥当と判断したものです。

Q7: 品質保証計画(QAP)とは?  工業製品では「品質保証」が付いていますが、農業分野では、工場のように管理された空間で製造されるものではないため、一定の品質を確保することは容易ではありません。そのため、品質規格を設定し、それを保証する取組みが遅れていました。  特定の危害要因に絞って、生産過程の危害発生要因を分析し、さらに試験検査によって具体的に発生状況を調べ、最も効果的にリスクを下げる工程を定め、定期検査することによって、リスクが極めて低いことを「品質保証」するものです。  これを実行するには、第三者としての民間の認定機関・試験機関を育成する必要があります。 Q8: 適正農業基準( GAP)と品質保証計画(QAP)の関連は?  適正農業基準が充足された段階でしか品質保証計画は実施できません。安定した生産性が保たれなければ、検査の度にデータがバラつき、解析できません。検査に耐えられる高い生産性を確保することが先決です。  生産環境がほぼ完全に制御された水耕栽培野菜などでの実施が先行するものと思われます。

食生活における不安をなくし、安全性についての自信を取り戻すためには、農場から食卓までの関係者すべての努力が必要とされています。  食生活における不安をなくし、安全性についての自信を取り戻すためには、農場から食卓までの関係者すべての努力が必要とされています。  衛生対策の強化には、モノも労働も必要です。その経費を公正に負担する社会システムを皆で考え、作り上げましょう。  安全性についての正しい知識と理解を広げることが、何よりも大切です。 <その他の視聴覚資料> 1.「基礎編」 HACCP手法研修用教材(日本獣医師会 ) 2. 「危害の紹介: 調理、摂食、ならびに汚染拡大の要因」 Robert博士(米国CDC、病原体低減に関する科学的意見交換会、2002 )