E-mail: susumu-nakamura@aist.go.jp 新しい定義に基づくpH測定  国際的に認証されうるpH値とするために    計測標準研究部門 無機分析科    無機標準研究室    中村 進    e-mail: susumu-nakamura@aist.go.jp.

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e-mail: susumu-nakamura@aist.go.jp 新しい定義に基づくpH測定  国際的に認証されうるpH値とするために    計測標準研究部門 無機分析科    無機標準研究室    中村 進    e-mail: susumu-nakamura@aist.go.jp

pH 1. 水溶液の最も重要な指標の1つ 2. 水道水などには、厳しい基準 3. 一次標準の測定法は、高い測定技術を要求

pH : Hydrogen ion activity 物理的、化学的な方法では測定不可能

CIPM(国際度量衡委員会)は、Harned cell を用いる方法を唯一のpHの一次標準測定法とした。 (IUPAC recommendations 2002)

pH 測定のトレーサビリティ (名目的な定義) 一次標準法 (Harned cell) pH 一次標準液 (NMIJ, ….) 二次標準法 (Glass electrode) pH 二次標準液

(Harned cell) Where E0 equals standard potential difference of the cell, R: gas constant, T: absolute temperature, F: Faraday constant, mo: standard molality, p0: standard pressure,

pH測定 1. E0(標準電極電位) 2. pa(酸関数) 3. Clイオン濃度0のpa値 4. Clイオンの活量係数 5. pH値

1. E0(標準電極電位)   正確に小数点以下6桁まで濃度の確定した塩酸 (e.g. 0.01 mol/kg) とその活量係数(gHCl) を用いてE0(標準電極電位)を求める。

2. pa(酸関数)

3. Clイオン濃度ゼロでの酸関数(pa) 少なくとも異なる3種以上の塩素イオン濃度から求める。

Extrapolation of pa to zero chloride molality

4. Clイオンの活量係数 (Bates-Guggenheim convention) 5. pH

NMIJ Harned cell To voltmeter H2 Reference silver – silver chloride electrode Hydrogen electrode: platinum plate coated by Pt (Pd) black Capillary tube between the compartments of electrodes Four fritted glass disk (porosity G1) Three pre-chamber

Illustration of measuring system Patm EMF T H2 HS 1502 A Keithley 2182 Thermostat bath “HS 7008” T  0.002 K Druck DPI 740

EMF, V 4 hours 2003/07/06 0.015 mol kg-1 NaCl Flow rate of H2 – 9 ml min-1 Typical curve of the EMF of AIST Harned cell during saturation of the hydrogen electrode

Definition of standard potentials E0 of reference Ag/AgCl electrodes t, C E0 (NMIJ), mV E0 (NBS)*, mV 15.000 25.000 37.000 *R.G. Bates, V.E.Bower//J. Res. NBS, 53, 283 (1954)

Comparison of the primary pH methods of NMIJ and PTB Phosphate buffer solution t, C pH (NMIJ/AIST) pH (PTB) pH 15.000 25.000 37.000

Phthalate buffer solution t, C pH (NMIJ/AIST) pH (PTB) pH 15.000 25.000 37.000

Tetraoxalate buffer solution t, C pH (NMIJ/AIST) pH (PTB) pH 15.000 25.000 37.000

Tetraborate buffer solution t, C pH (NMIJ/AIST) pH (PTB) pH 15.000 25.000 37.000

不確かさ 国際度量衡委員会(CIPM)物質量諮問委員会(CCQM)電気化学分析分科会では、Bates-Guggenheim conventionによる値の不確かさはゼロとすることで合意した。

ここで はClイオンが最小 (0.005 molkg-1)での不確かさである。

は直線による切片での不確かさを表す。 SR は以下の式による。

Table. Uncertainty budget of pH value for Harned cell

NMIJではpH標準として Harned cell 法による一次標準 2. 認証標準物質としての一次標準液