経済学と空間 筑波大学社会工学系 吉田あつし 2003/2/21

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筑波大学社会工学系 吉田あつし ayoshida@sk.tsukuba.ac.jp 経済学と空間 筑波大学社会工学系 吉田あつし ayoshida@sk.tsukuba.ac.jp 2003/2/21 Presented at CSIS Workshop for Spatial Analysis

Presented at CSIS Workshop for Spatial Analysis 空間を扱う経済学のOverview 空間経済学 Hotelling’s Lemma: Maximun or minimum differentiation Spatial Clustering, Segregation and Neighborhood Spillover Effects Tiebout Hypothesis: Voting with individuals’ feet Econometrics Methods 2003/2/21 Presented at CSIS Workshop for Spatial Analysis

Presented at CSIS Workshop for Spatial Analysis 空間経済学 なぜ都市が形成され発展していくのか、何がどこで生産されるのか、地域間の交易パターンを決定する要因は何か、などを分析するための基本的なモデルを提案。 Keyword: 収穫逓増経済(集積の経済)、取引(輸送)費用、First Nature and Second Nature 藤田・クルーグマン・ベナブルズ著「空間経済学」 地域(State or County) の生産性と産業の集積に関する実証研究は多数 Ciccone, A. and R. E. Hall (1996): Productivity and the density of economic activity, American Economic Review, 86, 54-70 Ellison, G. and Glaeser, E. (1997): Geographic Concentration in U.S.manufacturing industries: A dartboard approach, Journal of Political Economy, 105, 889-927 2003/2/21 Presented at CSIS Workshop for Spatial Analysis

Hotelling’s Lemma: Maximum or Minimum Differentiation d’Aspremont, et al. (1979): price-location 競争。第1段階で立地を選択し第2段階で価格についてナッシュ均衡が成立するような複占市場において、限界費用が一定で両者等しく、交通費が二次関数であれば、両者は両端に分かれて立地する。 Anderson and Neven (1991): quantity-location 競争のときには、集中立地が均衡になる場合がある。 d’Aspremont, C. ,Gabszewicz, J. J. and Thisse, J. –F. (1979): On Hotelling’s ‘Stability in Competition’, Econometrica, 47, 1145-1150. Anderson, S. P. and Neven, D. J. (1991): Cournot competition yields spatial agglomeration, International Economic Review, 32, 793-808. 2003/2/21 Presented at CSIS Workshop for Spatial Analysis

Presented at CSIS Workshop for Spatial Analysis Empirical Studies Netz and Taylor(2002):ロサンゼルスのガソリンスタンドの分布パターンを分析し、近隣のガソリンスタンドが増えて競争が厳しくなるほど、より空間的にdifferentiate することを発見している。用いているのはAnselin タイプのSpatial model。 Pinske, Slade and Brett (2002) :ガソリンの卸売業社の立地とoil priceデータを用いて他社の価格に対するresponse function を推定している。競争が極めてlocalであることを確認している。 Anselin タイプのSpatial modelのWeighting matrix を距離に関するunknown function としてnonparametric に推定している。 Netz, J. S. and B. A. Taylor (2002): Maximum or Minimum differentiation? Location and Patterns of Retail Outlets, Review of Economics and Statistics, 84, 162-175. Pinske, J., Slade, M.E. and C. Brett (2002): Spatial Price competition: A Semiparametric Approach, Econometrica, 70, 1111-1154. 2003/2/21 Presented at CSIS Workshop for Spatial Analysis

Spatial Clustering, Segregation and Neighborhood Spillover Effects Neighborhood effects はBenabou (1993,1996,1997) によるpersistent income inequality についての一連の理論的研究(個人が人的資本を蓄積しようとするかどうかはその個人の属する community のメンバーの属性、行動に依存するという仮説)から注目されるようになった。特に初等中等教育がどのようにfinance されるべきか、について議論し、public spending を増やしてheterogeneity を小さくすることが成長につながるとしている。 Aaronson (2001):70年、80年、90年のcensus tract and block numbering area (平均4000人)の家計所得、人種構成、住宅の資産価値のデータをVARモデルで推定し、これらがpersistent であること、近隣地区のspillover effects が存在することを示した。 Ioannides (2002): American Housing Survey のデータを用いて近隣の住民の住宅改修投資がある住民の住宅改修投資に大きな影響を及ぼすことを発見した。 Benabou, R. (1996): Equity and Efficiency in Human Capital Investment: The Local Connection, Review of Economic Studies, 63, 237-264. Aaronson, D. (2001): Neighborhood Dynamics, Journal of Urban Economics, 49, 1-31. Ioannides, Y. M. (2002): Residential Neighborhood Effects, Regional Science and Urban Economics, 32, 145-165. 2003/2/21 Presented at CSIS Workshop for Spatial Analysis

Tiebout Hypothesis: Voting with individuals’ feet Tiebout 仮説は地方自治体が分権的に税率と公共財(教育、社会福祉等)のレベルを決定することにより、「足による投票」を通じて公共財の free-rider 問題は解決される、とするもの。 Hoyt and Rosentahl (1996) はAmerican Housing Survey を用いてhedonic regression を行い同一地域の住民が同じ選好を持っているわけではないことを示した。 Barrow, L (2002)は90年国勢調査のWashington, D.C. への転入者のデータを用いて、White については学校の質が住宅地の選択に影響を与えていると主張。 Hoyt, W. and S., Rosentahl (1997): Household Location and Tiebout: Do Families Sort According to Preferences for Locational Amenities?, Journal of Urban Economics, 42, 159-178. Barrow, L. (2002): School Choice through relocation: Evidence from the Washington, D.C. Area, Journal of Public Economics, 86, 155-189. 2003/2/21 Presented at CSIS Workshop for Spatial Analysis

Presented at CSIS Workshop for Spatial Analysis Econometrics Methods Spatial data に関するeconometrics のpaper は少ない。 Pinske and Slade (1998):Probit model で誤差項にARタイプの空間的相関がある場合のLM (Score) 検定を提案している。 Brock and Durlauf (2001): Neighborhood effects の経済モデルと整合的な econometrics models を提案している。Empirical applications はまだ無いようである。 Pinske, J., Slade, M.E. and C. Brett (2002): Spatial Price competition: A Semiparametric Approach, Econometrica, 70, 1111-1154. Brock, W. A. and Durlauf, S. N. (2001): Interactions-Based Models, in Handbook of Econometrics vol. 5, eds. J. J. Heckman and E. Leamer, North Holland, Amsterdam. 2003/2/21 Presented at CSIS Workshop for Spatial Analysis

Presented at CSIS Workshop for Spatial Analysis 経済学における空間研究の方向 理論から実証へ:経済的な空間データの整備 「空間経済モデル」の検証には、SMEA単位での経済変数の集計データや、SMEA間の財の交易データが必要。 Spatial competition models は立地データ以外に価格(または売り上げ)のデータが利用できれば実証可能である。例えば、GSの立地-価格戦略。 Segregation、Neighborhood effects については小地域で集計された国勢調査、医療保健統計調査などが必要。 Tiebout Hypothesis は地方分権が推進されると、教育、医療、介護などで検証すべきテーマのひとつになる。地域の教育、医療を支えてきた国庫支出金は地方交付金(一般補助金)にされる可能性。老人介護については、先進市町村への老人の移住が問題になる。 Econometrics Methods については、小地域統計の分野で発展する可能性がある。また、interaction-based model も研究が進められるであろう。 2003/2/21 Presented at CSIS Workshop for Spatial Analysis