有限要素解析 Carl R. Schultheis.

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有限要素解析 Carl R. Schultheis

プレゼンテーション 橋梁概要と崩壊 崩壊時の橋梁上の工事状況 ガセットプレート不適切性 有限要素解析 設計と検証手順 橋梁許容荷重評価と許容荷重解析 橋梁点検 ガセットプレート点検

概要 有限要素解析アプローチ モデル化および入力条件 事故時のU10ガセットプレートの荷重 崩壊開始メカニズム 崩壊の原因とならなかった要因

有限要素法解析 解析モデル 単純な要素で結合 変形と応力の 計算結果

有限要素解析の適用 崩壊構造を物理的観点からモデル化 有限要素解析の利用目的 U10とL11節点に着目 橋梁上の荷重による影響を評価 応力度を把握し、崩壊機構を調査 物理的観点から導かれる所見の評価とその補強 新所見の提供 U10とL11節点に着目

有限要素解析チーム FHWAターナー-フェアバンク道路研究所 橋梁全体系をモデル化 U10とL11節点は詳細なモデル化 ストーニーブルックニューヨーク州立大学(SUNY)とSimulia(ABAQUSソフトウェア開発者) U10とL11節点の詳細なモデル化 複数関係者による照査と入力 サンディア国立研究所による照査

橋梁全体系モデル トラス部材は接点間を直線で連結 ガセットプレート無し

FHWA全体系モデル 各種の荷重条件における部材力を計算 U10とL11の詳細なモデル化のため,作用荷重とトラスの変形状況を解析 橋梁設計(ガセットプレート以外の)結果は,AASHO仕様に整合していた

詳細なモデル U10西 L11西

詳細なモデル ガセットプレートの応力度と変形を直接的に算定 全体系モデルによる解析で、トラス構造における荷重と変形状況を正確に定義する 解析では,詳細モデルから全体形モデルへのフィードバックを考慮する 崩壊開始機構を正確に把握するためには,このようなフィードバックを繰り返す必要がある。

コンピューターモデルへの入力 設計図面と製作図面 鋼の重量 コンクリート重量 当初設計 1977年の床版増厚分 1998年の凍結防止機構の重量 2007年の南行車線での床版撤去分 橋梁の荷重履歴に従って順序に載荷

コンピューター・モデルへの入力 降伏応力を越える材料特性入力ため,U10ガセットプレートから供試体を作成して引張試験 U10とU10’近傍の主構トラス,および床トラス10からの供試体による引張試験 U10ガセットプレートCharpy V-ノッチ試験 U10ガセットプレート破壊耐久性試験 U10とL11ガセットプレート硬度試験 試験結果より,材料特性には,注目すべき欠陥は,認められなかった

コンピューター・モデルへの入力 1999のひずみゲージデータにより,調整した支承条件 U10ガセットプレートの屈曲変形 L11ガセットプレートの腐食による断面欠損 通行車両および建設資材と建設機械の重量と位置 周辺温度 東から西へ変化する温度分布

コンピューターモデルからの結果 橋梁履歴を上回る荷重載荷 U10Wのガセットプレートの応力状況 損傷開始メカニズム U10WとU10Eの比較検証

U10Wガセットプレートにおける荷重増加 崩壊時の 総荷重 U10Wガセットプレートの最大荷重 建設資材と車両 交通 1998年の凍結防止改修 1977年の床版増厚 (切削無し) U10Wガセットプレートの最大荷重 当初設計の死荷重

AASHO準拠設計におけるガセットプレート耐力 U10Wガセットプレートの荷重増加 AASHO準拠設計におけるガセットプレート耐力 適切な設計における余剰耐力の喪失 建設資材と車両 崩壊の総荷重 交通 1998年の凍結防止改修 1977年の床版増厚 (切削無し) U10Wガセットプレートの最大荷重 当初設計の死荷重

崩壊荷重へ到達 崩壊時 崩壊 レベル 限界荷重 荷重の上界 荷重の変動 荷重の下界 時間 2007年改修 1998年改修 1977年改修 当初設計 限界荷重 荷重の上界 荷重の変動 荷重の下界 時間 17

荷重変動の要因 事故時における変動要因 交通 気候 建設工事 量 風 量 位置 温度 位置 運動 運動 荷重の上限 荷重変動 荷重の下限 18

当初設計(1967年)における死荷重 オレンジ,赤色:  降伏点を超えた箇所 応力 降伏点 許容値 引張 斜材 圧縮 斜材

1977年,1998年の改修後 オレンジ,赤色: 降伏点を超える箇所 応力 降伏点 許容値 引張 斜材 圧縮 斜材

事故発生時の荷重 オレンジと赤色: 降伏点を超える箇所 応力 降伏点 許容値 引張 斜材 圧縮 斜材

ガセットプレート1インチ厚の場合(事故時荷重) 応力 降伏点 許容値 引張 斜材 圧縮 斜材 22

事故時の荷重 オレンジと赤色: 降伏点を超えた箇所 応力 降伏点 許容値 引張 斜材 圧縮 斜材 23

シミュレーション-損傷開始 斜方向 断面方向 引張 斜材 圧縮 斜材

10ガセットプレートの局部座屈 2003年の写真 コンピューター・モデル

ガセットプレートの局部座屈 不安定性の引き金となった余剰耐力の減少 圧縮斜材上端部の面外方向への変形, 残骸調査結果と整合 U10ガセットプレートの耐力不足の状況 局部座屈のような変形が,確認,評価されるべきである。 27

端補剛材はガセットプレートの降伏防止には寄与しない U10ガセットプレートの端補剛材 補剛材を設ける部分 端補剛材はガセットプレートの降伏防止には寄与しない

U10西とU10東の比較 U10東 応力 U10西 事故時点でより高い応力が発生している U10西まち プレートはそうした 降伏点 許容値 U10西まち プレートはそうした より大きなストレス U10西 事故時点でより高い応力が発生している

崩壊要因から排除された事項 L11節点のガセットプレートの腐食 事故当日の外気温変動による温度応力

腐食したL11のモデル化 腐食部分

L11Wの腐食部分-事故時の荷重条件 応力 降伏点 U10に比べ降伏域が少ない

L11ガセットプレートの腐食 U10西の荷重には,影響しない U10西の不安定性の起因となるような荷重ではなかった

温度の影響 外気温が華氏73度から華氏92度に上昇 主構トラス内で異なる温度分布 均一な温度上昇あるいは不均一な温度上昇における熱膨張 東側トラスは,外気よりおよそ華氏1度高い 西側トラスは,外気よりおよそ華氏11度高い 均一な温度上昇あるいは不均一な温度上昇における熱膨張 不安定性が発生したU10W圧縮斜材の作用力が減少 評価:構造的熱膨張は,崩壊における主要因ではない。

まとめ 節点U10Wにおける高応力状態のガセットプレートが,高荷重が作用する圧縮斜材上端の横方向の移動を抑止できなくなった時点で,節点U10Wから崩壊が始まった。 AASHO仕様を満たすガセットプレートであれば,事故時の荷重に対しても,安全であった。 局部座屈したガセットプレートにより,部材耐力が低下し,主構面外への変形が発生した。このことは,残骸調査結果とも整合していた。

まとめ-崩壊要因とはならなかった要素 L11節点のガセットプレートの腐食は,崩壊の原因とならなかった。 均一な温度変化あるいは不均一な温度変化による熱膨張は,崩壊で重要な要因ではなかった。