学校での学習内容と小型衛星 松村雅文(香川大学教育学部) 小型衛星の科学教育利用を考える会 2015年8月21~22日、@北海道大学.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
戦後中学校教科書の中の 惑星の記述の変遷 自然環境教育課程 地球環境プログラム 天文学専 攻 07553032 真鍋 未 来.
Advertisements

Copyright © AstroArts Inc 日食シミュレーションソフト・ エクリプスナビゲータでの 月周回衛星「かぐや」 LALT データの利用 H27 ( 2015 )年度宇宙科学情報解析シンポジウム 2016 年 2 月 12 日 株式会社アストロアーツ 門田健一.
1 若者の夢を育む工学教育 (財 ) 日本無線協会 参与 芝浦工大 非常勤講師 都立航空高専 元校長 島田 一雄
~ファーストスターを探 れ!~ 第 9 回きみっしょん A 班 相羽祇亮(高1) 栃木県立宇都宮高 校 飯田美幸(高2) 茨城県立竹園高校 栗原佑典(高2) 埼玉県立熊谷高校 小林千鶴(高2) 愛媛県立松山中央 高校 永井悠真(高2) 埼玉県立浦和北高 校 福本菜々美(高1) 私立済美高校.
中学校段階での 相関関係の指導 宮崎大学教育文化学部 藤井良宜. 概要 現在の学習指導要領における統計の扱い これまでの相関関係の指導 相関関係の指導のポイント 相関関係.
神戸大・理 2009 年度 地球および惑星大気科学実習 (2009/07/17) 資料をもとに作成.
宇宙の「気温」 1 億度から –270 度まで 平下 博之 ( 名古屋大学・理・物理 U 研 ).
COBE/DIRBE による近赤外線 宇宙背景放射の再測定 東京大学, JAXA/ISAS D1 佐野 圭 コービー ダービー.
専修大学情報科学センターのパソコンを 使ったグリッドコンピューティング ― SPACE計画 - 森正夫 1 、水崎高浩 1 、内藤豊昭 2 、中村友保 2 及び 専修大学情報科学センター 及び 専修大学情報科学センター 1 専修大学 法学部/自然科学研究所 1 専修大学 法学部/自然科学研究所 2 専修大学.
蓄電のひみつ 小学校6年 電気の利用 授業2ー 3. 電気はためることができる 手回し発電機を回す回数を増やすと、 ためられる電気の量は増える ためられる電気の量には限りがある 1学習のふりかえりと今日の授業 コンデンサーは どこで使用されているのか探ろ う (C) 一般社団法人 日本電機工業会 本資料の無断での引用・転載・複製を禁.
Copyright 立命館大学景観計画研究室
平成21年度小学校外国語活動中核教員研修 小学校外国語活動基本理念 ~新学習指導要領等について~
平成19年度 「長崎県国語力向上プラン」 地区別研修会
5 情報モラル教育 4.道徳や各教科等における  情報モラル.
小惑星の大きさ分布を求める 銀河学校2014A班 朴 敏娥(高2)【洗足学園高等学校】 森井 嘉穂(高2)【香川県立高松高等学校】
子ども達への科学実験教室の運営方法論 -環境NGO「サイエンスEネット」の活動事例をとおして- 川村 康文
国立天文台 太陽系外惑星探査プロジェクト室 成田憲保
「継続的な関心・意欲」と 「自己学習力」の育成を目指した 天文カリキュラム試案
筑波大学衛星と教育との関わり 筑波大学 保田敦司 「小型衛星の科学教育利用を考える会」 2015/08/22.
柏市立中原小学校 西田 光昭 教育におけるタブレット活用の             課題と展望 柏市立中原小学校 西田  光昭
5-1 おおさか環境科 おおさか環境科 大阪市 この絵はなんでしょう?
世界に発信!“京都”を伝えるムービー作成プロジェクト
日食直前講習会 ~太陽と月のコラボレーション~ 携帯電話のカメラで撮った月(ここの屋上の望遠鏡にて) 安全に、楽しく日食を見るために
第6回 制動放射 東京大学教養学部前期課程 2012年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
学校薬剤師紹介 L 中学・高校・一般 くすりの適正使用協議会 テーマL「学校薬剤師紹介」の概略 学校薬剤師の学校での職務を知っていますか?
全天モニターの ソフトウェア開発と データ活用の研究
科学概論 2004年12月9日
宇宙を感じる.
南極からの新赤外線天文学の創成 南極内陸は、ブリザードがなく、非常に穏やかな、地球上で最も星空の美しい場所です。この場所で私たちは新しい赤外線天文学を展開します 宇宙初期の広域銀河地図を作って、私たちの銀河系の生い立ちを解明します 137億年前 100億年前 宇宙の果て 最初の星が生まれ、銀河が成長した時代.
小惑星を探れ! 村仲 渉 (木曽高校)  杉本 寛 (上宮高校)  佐藤 駿 (オイスカ高校)  鈴木 寿弥 (磐田南高校) 池内 苑子 (大宮高校)  吉川 優衣 (広島国泰寺高校)  斎藤 杏奈 (洗足学園高校)  §1.はじめに ②太陽から小惑星までの距離 小惑星の軌道は円と仮定する。小惑星の軌道半径をaA、周期をTA、地球の軌道半径をaE、周期をTEとすると、時間tでの小惑星の移動距離dA、地球の移動距離dEは、
「大阪府南部と和歌山市の中学校・高等学校の地学(天文分野)に関する意識調査、 およびその考察」
『宇宙、教育』という  キーワードのコンテンツ   ~宇宙文明時代の到来~ 京都市立洛陽工業高校 有本 淳一.
謎の惑星スーパーアースを探れ! 国立天文台・成田憲保.
科学サークル ●2月17日(日) 会場:東京文京学習センター 3階 講義室14 「物理の勉強会」 10:00~
宇宙での重力波観測 (1) 宇宙での重力波観測 宇宙で観測するメリット : 他にはないサイエンスがある
全国学力・学習状況調査問題 に見る新しい教育の流れ
みさと8m電波望遠鏡の 性能評価 富田ゼミ 宮﨑 恵.
Astro-E2衛星搭載 XISの データ処理方法の最適化
愛媛大学 理学部物理学科 & 宇宙進化研究センター
山形発の資格制度「星のソムリエ」 と NPO法人小さな天文学者の会の活動 今後推進したい項目 #
多人数対応型地球温暖化 デモストレーション実験機
ーJapan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration-
Cute-1.7プロジェクト ミッションシナリオ ( 更新)
国立天文台 光赤外研究部 太陽系外惑星探査プロジェクト室 成田憲保
世界天文年2009事業企画書 自然科学研究機構 国立天文台
1.天体の見かけの動き どの星が近くて、どの星が遠いかわかりますか?.
神戸市  神戸市  震災タイムスリップウォーク 震災タイムスリップウォーク.
日本における3Dプリンタの教育現場への導入状況
【演習】 アクティブ・ラーニングの 視点を取り入れた 授業をデザインしよう
教育センターにおける エネルギー環境教育講座実施の実態 ( 川村先生)
パノラマ合成 電子制御工学科 4年 大久保卓也.
松本市学校司書研修 教育活動を支える学校図書館 ~選書とその視点~ 学校図書館の役割と限られた予算の中で
小型JASMINE計画の状況       矢野太平(国立天文台)       丹羽佳人(京大).
宇宙線研究室 X線グループ 今こそ、宇宙線研究室へ! NeXT
倉本研究室 宇宙理学専攻 修士1年 岡澤直也.
3 教科指導におけるICT活用 1.興味・関心を高める   ICT活用授業.
小型科学衛星LiteBIRD におけるスキャンの最適化
教育情報共有化促進モデル事業報告 中学校数学 平成16年1月31日 岐阜県 学習システム研究会「楽しく学ぶ数学部会」
ISSは真夜中に見えるか 国際宇宙ステーション 神奈川県立西湘高等学校 山本明利 2010年6月20日 YPC例会 慶應高校.
ようこそ Hot Universe へ Fes. 馬場 彩 Contents X線天文学とは?
pixel 読み出し型 μ-PIC による X線偏光検出器の開発
. . 5月21日朝は 金環日食を楽しもう 6月6日の 金星の太陽面通過 (約6.5時間続きます) 日食や、金星の太陽面通過を観察するには
Telescope Array ~Searching for the origin of the highest energy cosmic ray 私たちの研究の目的 宇宙線って何? 最高エネルギー宇宙線の数が、 理論による予想を大きく上回っていた! 現代物理学の主要な謎の1つ 宇宙空間を光に近い速度で飛び回っている非常に小さな粒子のことです。
CHANDRA衛星の観測結果による、 球状星団M4(NGC6121)のスペクトル解析
技術名称:マルチコプターによる2次元画像計測と3Dモデリング
地理的分野の学習内容と 場所イメージ.
教育学部 自然環境教育課程 天文ゼミ 菊池かおり
HT Casの測光観測と モデルによる物理量の推定2
甲南大学 理工学部物理学科 宇宙粒子研究室 学籍番号 氏名 上田武典
原始星からのX線発見と課題 (r-Ophの)T-Tauri星からX線放射とフレアーの発見
Presentation transcript:

学校での学習内容と小型衛星 松村雅文(香川大学教育学部) 小型衛星の科学教育利用を考える会 2015年8月21~22日、@北海道大学

自己紹介 所属: 香川大学教育学部 理科教育講座 (そもそもの)専門: 衛星との接点: 天文、星間塵粒子 光散乱の理論、観測等 所属: 香川大学教育学部 理科教育講座 (そもそもの)専門:  天文、星間塵粒子 光散乱の理論、観測等 衛星との接点: IUE,IRAS のデータ  最近は、Planckのデータ 広告:来月の天文学会で報告→

香川での衛星開発 (1) STARSプロジェクト: 能見研究室 1号機: STARS(KUKAI)  2009年1月23日打ち上げ、 運用中  H-IIA、GOSAT衛星相乗り 2号機:STARS-II(GENNAI)  2014年2月28日打ち上げ H-IIA, GPM衛星相乗り 2014年4月26日大気圏再突入 → テザー(ワイヤ)の伸展、テザーに繋がれたロボットの制御、親子衛星の協調制御、テザー電流の発生、の実験等

香川での衛星開発 (2) STARSプロジェクト→ 静岡大学へ 香川の状況 能見 & 松村 科研費 挑戦的萌芽研究 能見さん 静岡大学に移動(2014年4月) 3号機: STARS-C  2016年打ち上げ  予定 香川の状況 STARS、STARS-II:香川大学外の技術者の貢献:大 “香川宇宙開発利用コンソーシアム” (当面は任意団体)  STARS-C 支援(搭載カメラ等) 及び 将来の“香川衛星” 能見 & 松村 科研費 挑戦的萌芽研究 “超小型天体観測衛星による教育目的の宇宙撮影” 平成26年度~28年度 基本カメラシステム → STARS-C で実証する予定(科研費の期間内) “理科教育衛星” cube-sat (10cm)3 の打ち上げ: 期間終了後?

能見 & 松村 科研費 教育の観点から、衛星軌道からの画像を用いるメリットは何だろうか? 新たにどのような貢献が可能だろうか? 能見 & 松村 科研費 教育の観点から、衛星軌道からの画像を用いるメリットは何だろうか? 新たにどのような貢献が可能だろうか? → 小、中、高の理科教科書で用いられている大気圏外の画像や、関連する画像を調べ、方向性を考察した。 用いた教科書: 小学校 : 『新しい理科』 小3~6 2010年、東京書籍 中学校: 『新しい科学』 中1~3 2011年、東京書籍 高等学校:   地学基礎: 数研(2013)、啓林館(2011)、実教(2014)、第一(2014)、 東京書籍(2012) 地学:    数研(2013年)、啓林館(2013年) # 「第28回天文教育研究会集録」 2014, pp.213-216

小学校(1) 6年: かぐや から見た 月と地球

小学校(2) 探査機ガリレオ からみた月と地球 (6年、発展) 環境問題に関して         (6年) 

中学校 (1) 気象の単元(2年)で、対流圏の薄さが強調されている。

中学校 (2) 日食の説明(3年) → 大気のようす(2年)

高校:地学基礎 衛星写真ではないが、熱圏の説明で、オーロラが紹介される。

高校:地学基礎・地学 夜光雲のISSからの写真 (上、 第一教科書 地学基礎) 衛星写真ではないが、 極成層圏雲(夜光雲)と、 極中間圏雲。   (上、 第一教科書 地学基礎)  衛星写真ではないが、  極成層圏雲(夜光雲)と、  極中間圏雲。     (右、啓林館 地学)

夜の地球:小学校・高等学校 小学校6年、東京書籍、6年(上) 高校 地学、 数研 (右) 高校 地学、 数研 (右) どちらも、日本を含めた先進国の夜が明るいことを示している。

その他 (1) 小学校3年理科での 校庭の影の様子 → 太陽光が平行なことを認識する (→ 太陽は遠い ことの認識へ) より高度が高い衛星 小学校3年理科での 校庭の影の様子     → 太陽光が平行なことを認識する        (→ 太陽は遠い ことの認識へ) より高度が高い衛星  からの雲の影の様子の  認識も可能では?

その他 (2) 小学校 社会科について 小3・4年の社会科:学習指導要領解説: → 高いところからの展望、観察が奨励 その他 (2) 小学校 社会科について 小3・4年の社会科:学習指導要領解説: “自分たちが住んでいる身近な地域や市について”の学習 →  “例えば、屋上や小高い山など高いところから身近な地域の景観を展望、観察したり、…(略)…” → 高いところからの展望、観察が奨励 → 衛星軌道からの眺望を、社会科の学習にも生かせるのでは?

教科書の衛星画像に関する まとめ 新たな可能性?: 学校種ごとの特徴的な画像: 小学校: 地球と月 「地球の外から月や太陽を見る見方については、中学校第3学年第2分野「(6)地球と宇宙」で扱う。(『小学校学習指導要領解説 理科編』) 中学校: 大気圏、日食 高校:   オーロラ・夜光雲・極成層圏雲等     ・・・ 意外に、衛星軌道からの天体の画像は少ない。        視点の移動を生かした、地球の画像が多い。 地球環境(大気圏の薄さ、夜の地球など)に関連して   衛星からの画像が使われている場合が目立った。 新たな可能性?: 小学校3年理科: 太陽の影 小学校 3・4年の社会科: 地図の学習

最後に … Once a photograph of the Earth, taken from outside, is available ... a new idea as powerful as any in history will be let loose. FRED HOYLE, 1948 "Blue Marble in Empty Space" (video) , astroEDU, IAU http://astroedu.iau.org/activities/blue-marble-floating-empty-space/ https://vimeo.com/55073825