第5回 5/9 組織構造の変化とその目的 経営情報論A 2-3-1 組織横断的な活動(p.37) プロジェクトチーム 特定の任務を遂行するために 組織横断的 なグループを編成することが 必要な際には、「プロジェクトチーム」が結成される。 プロジェクトチームは、 製品開発 やコスト削減などの特定任務を果たす ために設けられる。必要な分野の専門家が幅広く集められ、一時的に、チー ムを組んで任務を遂行する。 歴史上、最も有名なプロジェクトチームはアメリカ航空宇宙局(NASA)が行っ た アポロ計画 (Apollo Program)である 。 ※アポロ計画は、人類を月に送るために1961年に決定され、1972年まで続いた。1969年 に有人宇宙船のアポロ11号が月への着陸に成功した。 ※有人の宇宙船を月に着陸させるために、当時の最先端の技術を多様な方面から収集。 プロジェクトチームは、当初の任務を遂行あるいは断念した時点で、 解散 となる。企業のように組織内から集められた人員は、その任務の完遂後には、 それぞれの事業部(部署)に戻る。
マトリクス組織 プロジェクトチーム以外にも、組織横断的な活動を意図した組織 として、「マトリクス組織」という組織形態がある。マトリクス組織は、 プロジェクトチームと違って、 恒常的 な組織形態である。マト リクス組織の構造は下図のような形状をしている。 縦割り状態の組織に対して、 職能という 横串 を通す ことによって、トップの意向を 各事業部に反映させること や事業部間の バランス を採ることなどを期待する ものである。 ※縦と横の長のどちらの指示に 従いますか?
2-3-2 細分化した部門の統合(p.39) 社内分社(カンパニー)制 今日、事業の多角化が進んだ巨大企業が多数存在。事業部の数が 増え 過ぎた場合、マトリクス組織のように、職能による横串によっ ても、各事業部をコントロールすることが困難となる。 ※なぜなら、一人の人間が管理可能な人数と同様に、事業部の数に関しても管 理限界が存在すると考えられるからである。さらに、多様な事業を 画一 的 にコントロールしようとした場合、新たな無理や無駄が生まれる。 しかし、社内の資源が事業部ごとに細分化されている状態では、社 内の資源を最大限活用することはできない。そこで、仮想的に会社を 複数に区分する社内分社( カンパニー )制が登場。 「社内分社(カンパニー)制」は、多数の事業部の中から、比較的類 似している事業部を集約して一つの 会社 のように扱うものである。
社内分社制のメリット 類似の事業部を集約することによって、各事業部に細分化されてい た人材や技術などの資源をある程度 組織 として活用することが できるようになる。 これによって、単独の事業部で行うには荷が重かった新製品の 開発 や 市場開拓 などにも取り組めるようになる。 例えば、「消費者向け事業」 「産業用事業」で区分する 社内カンパニーが多い。 他には、どのような基準が考えられる? ※類似の事業の間での情報交換や連携が進みやすくなるメリットがある。
2-3-3外部組織の活用(p.40):組織の一部を別組織に変更する要因 ①組織の 合理化 あるいは 独立採算の徹底 巨大な組織の一部が非効率であった場合には、そこから出された欠損は補 填(内部補助)される。それによって、当該部門に対して効率化への 動機づけ が十分に行われないことがある。 それに対して、非効率部門を別組織に変更した場合には、甘えが無くなり、 改革 や改善が行い易くなり、合理化を徹底することできるようになる。 ②管理上の負担軽減 巨大組織を管理するには莫大な労力と多大な管理費用が必要となる。特に、 事業領域あるいは文化が大きく異なっている事業部間では、水と油のように 調和しないこともあり、 画一的 な管理では無理が生じる。 ③組織内部で 蓄積 した知識やノウハウおよび 保有 する資源を外部で 活用するために、組織の枠を超えて、活動できるようにすることを目的と して別組織に変更されることもある。
特定部門を別会社(子会社)に変更した場合の変化 下図の左側のC部門が赤字だとしても、他のA部門とB部門から損失の 補てん を受けられ、存続することができる。しかし、別会社に変更され た場合には、 倒産の危機 が生じ、抜本的な改革や徹底した改善努 力を誘発し易くなる。 別会社になる前には、会社全体のルールが制約となってできなかったこと も果敢に挑戦できるようになる。さらに、 会社 の枠を超えた取引を自 由に行えることにより、新規の顧客の獲得や経費の削減が進むことも考 えられる。 別会社にした場合、情報共有は進展・後退する?
グループ経営管理 グループ経営管理とは、グループとして力を最大限発揮するため に、 資本 において親子(親会社-子会社)関係にある複数の会 社を統制・管理することである 。 グループ経営の中心となる会社(本社)は、連結決算書類の作成 だけでなく、 グループ全体 の企画・戦略立案と各企業間の 調整 などを行う役割を有する。 特に、本社の総資産に対して、子会社の株式の取得価額が過半 となっている場合には、そのような本社は 持株会社 と呼ばれ る 。持株会社は保有する資産の状況から、株式の所有を通して 子会社を 支配 することを目的とする会社とみなされる 。
2-3-5 会社組織の変遷(p.44) 会社組織構造の変遷について、整理したものが下図である。 下図では、会社組織の形態を 事業 の幅と 管理 のタイプの2軸から各組織の位置を捉え直している。 横軸の事業の幅は保有する 事業 の数や多様性を意味している。会社が成長するとともに、事業の幅が多様になる傾向がある。 事業の幅が多様化するのに伴って、 中央集権 と 分権 のバランスがどのように維持されてきているのかを示している。