税理士による 租税教室 大学生向け 日本税理士会連合会
「禾(のぎ)」⇒「のぎ」は稲穂を意味する。 「兌(だ)」 ⇒「だ」は一部を抜き取る。 兌 弥生時代 「兌(だ)」 ⇒「だ」は一部を抜き取る。 兌 かつて、税金はおカネではなく、穀物で納めていた。 弥生時代 弥生時代の租税については「魏志倭人伝」に「租賦(※)を収む。邸閣あり」とあり、弥生時代に既に税(食糧など)を集めて、収めていたことが記述されている。 租 : 収穫物の一部。穀物などを収めること。 賦 : 労役、労働力の提供。 「魏志倭人伝」には卑弥呼という女王が国を治め、種もみや絹織物が貢物として納められていたとあり、これが日本の税に関する最初の記述と言われている。 飛鳥時代 日本に統一的な税制が初めて確立したのは701年の「大宝律令」で、租・庸・調(現物納租税)という唐の均田法下にならった税の仕組みができてからになる。 班田収授法(はんでんしゅうじゅほう)により、人民には田を与える(口分田(くぶんでん))代わりに、租・庸・調という税のほか、雑徭(ぞうよう)という労役が課され、税制の仕組みが出来た。 租・庸・調は、中国の唐の制度を、日本独自の租税制度として確立したもの。 租 : 稲の物納(男女の農民に口分田の収穫の3%を課税) 。 庸 : 都に出て1年間に10日間働くか、または代わりに布で納めるというもの。 調 : 地方の特産物や海産物を都まで運んで納めた税。 雑徭 : 地元で1年間に60日間土木工事につくなど、働くことで納めた税。
奈良時代 奈良時代になると、税が都に集められて、壮大な平城京が建築され、都を中心に華やかな文化が栄えたが、奈良時代の中期になると、重い税の負担に耐えかねた農民が、口分田(くぶんでん)を捨てて逃亡する者も現れ、次第に荒れた田畑が増加していった。 ※この頃の税は飛鳥時代と同じ租・庸・調・雑徭(ぞうよう)。 そこで朝廷は、新しく農地を開いたものに永久的に土地の私有を認める「墾田永年私財法」(743年)を制定して、税制の立て直しを図ろうとした。 平安時代 11世紀になると、班田収授の法がくずれ、大きな寺社や貴族の領有地である荘園が各地にでき(公地公民の制度が崩れはじめる)。農民は荘園を管理する領主から年貢、公事(くじ)、夫役(ぶやく)という税が課された。 年貢 : 荘園領主・封建領主が農民に課した租税。原則として田の年貢は米、畑の年貢は 現物と金納。 公事 : 年貢・所当・官物と呼ばれた租税を除いた全ての雑税、例えば、糸・布・炭・野菜 などの手工業製品や特産品を納めること。 夫役 : 労働で納める税のことです。公事の中でも人的な賦課の部分を夫役と呼んで、 その他の公事(雑公事とも呼ばれる)と区別したもの。 鎌倉時代 守護や地頭、荘園領主などの保護の下で、経済が発達した時代で、 農民には、年貢のほかに公事と夫役が課せられた。 また、人々が集まる場所には市場が生まれ、それに伴い、商工業者が集まって「座(同業組合)」ができ生産や販売を独占する代りに「座役」(ざやく)という税を、製品や貨幣で荘園領主に納めていた。 座役 : 中世、販売の独占や関銭の免除などの特権を与えられる代わりに、本所である 幕府・領主・寺社などから座に課せられた労役奉仕や市座銭などの課役。
室町時代 室町時代は税の中心は相変わらず年貢でしたが、農民からの年貢のほか、商工業の発展とも関連して新たな税の誕生が見られ、地子(ぢし)、段銭(たんせん)、棟別銭(むねべっせん)、関銭(せきせん)・津料(つりょう)という新しい税が課された。 地子 : 日本の古代・中世から近世にかけて、領主が田地・畠地・山林・塩田・屋敷地など へ賦課した地代。 段銭 : 国家的行事や寺社の造営など、臨時の支出が必要な時に地域を限定(多くは国ごと) し、臨時に課する税。 棟別銭 : 家屋の棟数別に課税された税金。 関銭 : 関所を通過する人馬や船、荷物などに対して徴収した通行税。 津料 : 元来は津(港)の施設の管理・維持のための費用を調達するために賦課されたが、 後には寺社の修繕費などに充当するなどの様々な名目をつけて賦課されるように なった。船の大きさや積荷の種類・積載量を基準に賦課されたもの。 安土桃山時代 戦国時代を経て、天下を統一した豊臣秀吉は、1582年から7年間にわたり全国の田畑の広さを測る太閤検地を行い、それまでの農地の面積だけで年貢を決めるのではなく、土地の善し悪しや収穫高などを調べて農民に年貢を課した。 この検地の考え方及び手法は明治初期の税制である地租改正の導入の際にも踏襲されている。我が国の税制史に重要な変革をもたらした改革。 当時の税率は、2公1民で収穫の3分の2を納める高いものであったため、この頃から年貢は重くなり、農民一揆が 頻発するようになった。 太閤検地 : 全国の土地の善し悪しを調べて、年貢取り立ての基準。年貢を納めさせるために、 検地帳を作り、田畑ごとに面積や石高、耕作者などを村別に登録したもの。 「石高(こくだか)」という農地の生産力に応じて税を課した。
江戸時代 豊臣時代の検地の成果を引継いだ徳川時代になっても、田畑の収穫・石高に応じて農民に課税するシステムは、そのまま受け継がれ、この年貢が税収のほとんどを占めていた。 税率は、幕府が基準を決めていなかったので、大名ごとに異なっていて、4公6民とか5公5民といわれていた。「雑税」(ぞうぜい)といって各藩ごとにも税を課すようにもなった。 税は、田畑に課税される年貢の地租が中心で、 そのほか助郷役(すけごうやく)などの負担もあった。 清酒や醤油の製造、牛馬の売買などの商工業者に対する税も、免許税や営業税のような運上金(うんじょうきん)・冥加金(みょうがきん)といったかたちで課税されるようになったのも、江戸時代の特徴となっている。 5公5民 : 収穫物の半分を領主の税収入とし、残り半分は農民の収入とする税率。 助郷役 : 街道の宿駅に応援の人足や馬を提供する税。 運上金 : 一定の税率よる金納の営業税で、水上・市場・鉱山・問屋運上などさまざまな種類 があった。 冥加金 : 幕府や藩から営業を公認されたことに対する献金という性格のものだったが、次第に税の 一種となって率も定められ、毎年納めるようになった。 百姓一揆の頻発 江戸中期になると、農民が団結して、年貢の引き下げや不正代官の交代などを領主に要求する「百姓一揆」が多くなった。特に、大飢饉に見舞われた享保から天明年間に増え、村役人や富農の屋敷を破壊するような暴力的な一揆が増えた。 農民は、租税の減免や、専売制度の緩和・撤廃を要求したが、財政難の領主は農民の要求にほとんど応じなかった。この時代の百姓一揆は、一般農民を指導者として広範囲の農民が団結した大規模な一揆となった。多くの場合は指導者を厳罰に処し、武力で鎮圧したが、度重なる一揆によって、封建社会の基礎は大きくゆらいだ。
年貢は村を単位に課税する村請制で、米納を原則とした。 後に地租改正反対一揆が明治9(1876)年に起こり、翌年、税率は2.5%になった。 明治時代 明治政府は、明治6(1873)年に地租改正を実施し、地価の3%に課税した。年貢制度にかえて、地価に対して地租という税金を設定し、土地所有者に課税することにした。 年貢は村を単位に課税する村請制で、米納を原則とした。 後に地租改正反対一揆が明治9(1876)年に起こり、翌年、税率は2.5%になった。 その後、明治時代には、明治20(1887)年に所得税が、明治32(1899)年に法人税が導入された。 所得税は、所得金額300円以上の人のみを対象とし、納税者は当時の人口の約0.3%しかいなかったため、『名誉税』とも呼ばれていた。 「学問のすすめ」<明治5(1872)年・福澤諭吉著>に見る税の約束。 福澤諭吉:1835年~1901年 明治時代の啓蒙 思想家・教育家。慶應義塾大学創設者。 「政府は法令を設けて悪人を制し善人を保護す。 これ即ち政府の商売なり。この商売をなすには莫大な費なれども、政府に米もなく金もなきゆえ、百姓町人より年貢運上を出して政府の勝手方を賄わんと、双方一致の上、相談を取極めたり。これ即ち政府と人民の約束なり。」 <二編抜粋> ≪訳≫ 「政府は法令を設けて悪人を取り締まり、善人を保護する。しかし、それを行うには多くの費用が必要になるが、政府自体にそのお金がないので、税金としてみんなに負担してもらう。これは政府と国民の双方が一致した約束である。」 「学問のすすめ」では、平等と政府と個人の関係について触れています。 「平等とは地位も収入も同じにすることではない。そこには当然個人差がある。」法律の範囲内で暮らしを良くするチャンスが同じだという話です。 「政府と個人の関係は、どちらが上ということはないが、ただし国民が無知だと自然と厳しい政府ができあがる。だから勉強をして、知識と道徳を身に付けなさい。」 という話になっています。 「大日本帝国憲法」<明治22(1889)年発布>に以下のように明記されました。 第2章 臣民権利義務 第21条 日本臣民ハ法律ノ定ムル所二従ヒ納税ノ義務ヲ有ス 第6章 会計 第62条 新ニ租税ヲ課シ及税率ヲ変更スルハ法律ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
大正時代 昭和時代 所得税と営業税を中心に税制整理が行われ、免税点の引き上げ、勤労所得控除などが新設。 明治時代に続き大正時代は、戦費調達のため、清涼飲料税、営業収益税、登録税、相続税などの新税も創設されるなど増税が続いた。一方で、現在ある税のしくみができ始めたのもこの頃。 昭和時代 ■ 昭和15(1940)年の税制改正では、所得税が分類所得税と総合所得税の二本立てとなり、分類所得税はその源泉種類に応じて①不動産②配当利子③事業④勤労⑤山林⑥退職の6種類に分けられた。 勤労所得に源泉徴収制度が導入された。法人所得税は、法人資本税と統合され法人税となった。また間接税は、酒税に関する税法が酒税法に一本化され、造石税と庫出税が併用された。 ■ 昭和17(1942)年、税理士法の前身である税務代理士法が制定された。 ■ 昭和21(1946)年に新憲法が公布され、教育、勤労に並ぶ三大義務の一つとして納税の義務がもうけられた。 また、租税をかける場合には、法律によらなければならないとする考え方『租税法律主義』が取り入れられた。 ■ 昭和22(1947)年には、納税者が自主的に自分の税額を計算して申告する申告納税制度が導入された。 ■ 昭和25(1950)年には、アメリカのカール・S・シャウプ博士の勧告に基づく税制改革が行われた。 この改革では、所得税の累進課税の推進等公平な税制の確立が図られ、さらに会社や個人などが記帳をもとに申告する青色申告制度も導入された。 ■ 昭和63 (1988)年には、抜本的税制改革が実施され、消費税が創設された。 また所得税の税率構造の簡素化、株式等の譲渡益の課税化、法人税の基本税率の引き下げと配当軽課税率の廃止、法人の受取配当金不算入制度の縮減、個別間接税の整理合理化、相続税の税率の緩和、控除引き上げ等による負担軽減が行われた。
昭和25(1950)年 シャウプ勧告による税制改革 現在の日本の税制の基礎は戦後間もない昭和25(1950)年に行われた税制改革によって確立されました。この改革を行ったのがアメリカの財政学者カール・S・シャウプ(Carl Sumner Shoup, 1902‐2000)です。 シャウプによる勧告書の基本原則は、昭和25(1950)年の税制改正に反映され、より現状に即した調整が加えられ、国税と地方税にわたる税制の合理化と負担の適正化が図られました。 所得税を税制の根幹に据え、基礎控除額を引き上げて負担の軽減を図ると同時に、その減収分は高額所得者へ富裕税として課税されました。 また、申告納税制度の水準の向上を図るための青色申告制度や、容易で確実な納付のための納税貯蓄組合制度も導入されるなど、シャウプ勧告は戦後の税制の基本となりました。 昭和24年 (1949) (福岡県福岡市) 商店主と税金について語るシャウプ博士 シャウプ勧告書 出典:国税庁、租税史料ライブラリー「シャウプ勧告と税制改正」
平成時代 ■ 平成元(1989)年に、商品の販売やサービスの提供に対して3%の税金を納める消費税の導入や所得税の減税などを含む大幅な税制の改革が行われた。 ■ 平成4(1992)年には、法人特別税の創設(平成6年3月31日までの間に終了する事業年度)と過少資本税制が導入された。 ■ 平成5(1993)年には、青色申告特別控除制度が創設された。 ■ 平成9(1997)年には、消費税率が5%に改定された。 ■ 平成10年(1998年)には、たばこ特別税が創設された。 ■ 平成13(2001)年には、新住宅ローン減税制度が創設。また、認定NPO法人等の整備、贈与税の基礎控除額の引き上げ(60万円→110万円)が行われた。 ■ 平成14(2002)年には、連結納税制度が創設された。 ■ 平成16(2004)年には、消費税では総額表示が義務付けられた。インターネットを利用して申告や納税ができる「国税電子申告・納税システム(e-Tax)」が導入された。 ■ 平成19(2007)年には、e-Taxによる個人の所得課税の確定申告に対し、所得税額の特別控除(1回限り。平成19年~ 22年5,000円、23年は4,000円、24年は3,000円)が行われた。 ■ 平成20(2008)年には、住宅の省エネ改修促進税制が創設された。 ■ 平成21(2009)年には、自動車重量税免除及び軽減措置(エコカー減税)が実施された。 ■ 平成23(2011)年には、3月11日に発生した「東日本大震災」被災者等に対する税制上の措置が講じられた。 ■ 平成26(2014)年4月から消費税は8%(うち地方消費税1.7%)に改定された。 地方法人税(国税)が創設(10月1日開始事業年度から)。 ■ 平成31(2019)年10月から消費税は10%(うち地方消費税2.2%)に改定予定。
財政とは 国や地方公共団体の経済活動 財政の目的 市場メカニズムで解決できない問題を補うことにある
小さな政府から大きな政府へ 資本主義の発展とともに、貧富の差の拡大、恐慌、失業などが申告な社会問題となり、こうした問題にも財政が積極的に介入することが求められるようになりました。 20世紀になって、福祉国家の樹立が理想とされたこともあり、政府の役割はそれまでの「小さな政府」から「大きな政府」へと変わっています。
■ 「人為的」「裁量的」になされる≪フィスカル・ポリシー≫ ■ 自動的になされる≪ビルトイン・スタビライザー≫
平成30年度当初予算を見てみると、歳入の内訳は、租税・印紙収入が59兆790億円(60. 5%)、公債金収入が33兆6,922億円(34 平成30年度当初予算を見てみると、歳入の内訳は、租税・印紙収入が59兆790億円(60.5%)、公債金収入が33兆6,922億円(34.5%)、その他収入が4兆9,416億円(5.1%)で、歳入不足を補うために発行している公債金収入が総額の中で大きな比率を占めているのが分かります。
進む財政硬直化の進展 歳出のうち、国債費と地方交付税交付金は国にとっては右から左に出ていってしまうお金で義務的経費と呼ばれています。 歳出のうち、国債費と地方交付税交付金は国にとっては右から左に出ていってしまうお金で義務的経費と呼ばれています。 国が自由に使用できるのは、一般会計から国債費と地方交付税交付金を除いた一般歳出で、これは政策的経費と呼ばれています。 近年、国債費の増加とともに歳出総額に占める一般歳出の割合が小さくなっており、財政の硬直化が進んでいるのが分かります。
出典:財務省HPを基に作成
財政をめぐる問題点 国債は国の借金なので、償還期限(借金を返済する約束の日)がきたら国債を利子をつけて国が買い戻さなければなりません。 出典:財務省HPを基に作成 国債は国の借金なので、償還期限(借金を返済する約束の日)がきたら国債を利子をつけて国が買い戻さなければなりません。 そこで、国債を買い戻すためにさらに国債を発行するという悪循環が続き残高が増えてきました。このようにして膨大になった国債残高が我が国の財政を圧迫し、国民1人あたりで計算すると、約700万円にもなっており、将来の世代に大きな負担を残すこととなります。
国民負担率は、国民が租税(税金)や社会保障(年金・健康保険料など)を年間どのくらい負担したかという度合いを示す指標。 図を見てみると、スウェーデンは負担率の高く、アメリカは低い状況にあります。また租税で負担しているか社会保障で負担しているかについて見てみると、ドイツのように租税と社会保障が半々に近い国もあればアメリカのように社会保障負担が少ない国もあります。
国や地方が抱えている借金の残高を国内総生産(GDP)と比較して考える指標を債務残高対GDP比といい、経済規模に対する国・地方の債務の大きさを図る指標として、財政の健全化を図る上で重要視されている。国及び地方の債務残高をGDPと比べてみると、日本を除く主要先進国は、着実に財政の健全化を進めた結果、横ばい又は減少する傾向にあるが、日本は急速に悪化しており、主要先進国中最悪の水準になっている。
今後さらに高齢化が進んで社会保障費が増えていくことが見込まれる 我が国の国民負担率 国際的に比較すると低い水準 今後さらに高齢化が進んで社会保障費が増えていくことが見込まれる 国の財政は国債費の償還資金などで圧迫され、改善の見通しも立たない 国民にも税金や社会保険料の負担と受益の関係 つまり「高福祉・高負担」か「低福祉・低負担」かの選択が必要 この選択については、国民の代表である国会を通して、国民が決めていくことですが、問題は負担と福祉のバランスにあります。 必要な福祉が効果的に得られるように、歳出や税制もふくめて、そのあり方を考える必要がある
我が国は、21世紀初頭には最も高い水準となることが予想されており、50年後には国民の2 我が国は、21世紀初頭には最も高い水準となることが予想されており、50年後には国民の2.5人に1人が65歳以上の高齢者という、群を抜いた超高齢社会となることが見込まれています。 主要国の65歳以上人口比率の推移と予測 出典:国立社会保障・人口問題研究所 「人口資料集2018」を基に作成
■「教育を受けさせる義務」(第26条) ■「勤労の義務」(第27条) ■「納税の義務」(第30条) 昭和21(1946)年 日本国憲法公布 三大義務 ■「教育を受けさせる義務」(第26条) ■「勤労の義務」(第27条) ■「納税の義務」(第30条) 《租税法律主義の内容》 (1)課税要件法定主義 課税要件のすべてと租税の賦課・徴収の手続きは法律によって規定されなければならない。 (2)課税要件明確主義 課税要件および租税の賦課・徴収の手続に関する定めを為す場合に、その定めはなるべく 一義的で明確でなければならない。 (3)合法性の原則 課税要件が充足されている限り、租税行政庁には租税の減免の自由は無く、また租税を徴収 しない自由もなく、法律で定めたとおりの税額を徴収しなければならない。 (4)手続的保障原則 租税の賦課・徴収は公権力の行使であるから、それは適正な手続で行われなければならない。
税負担は各人の担税力に応じて配分されるべきである。 ※担税力の基準は次の三つ 【 所得・財産(資産)及び消費 】 で判定する。 担税力に即した課税 税負担は各人の担税力に応じて配分されるべきである。 ※担税力の基準は次の三つ 【 所得・財産(資産)及び消費 】 で判定する。 ⇒水平的公平と垂直的公平 ①水平的公平… 等しい負担能力のある人には等しい負担を求める ②垂直的公平… 負担能力の大きい人にはより大きな負担をしてもらう ※ 税負担は、所得税を中心にしながら、これに財産税及び消費税を適度に組み合わせ(タックス・ ミックス)、バランスのとれた税制の構築が望ましい。
国税に関する法律には2種類あり、租税法律関係に関する基本的事項及び各国税に共通の事項について定めている法律の「国税通則法」、「国税徴収法」、「国税犯則取締法」とそれぞれの国税に関する法律の「所得税法」、「法人税法」、「消費税法」などがあります。 国税に関する法律 施行規則(省令) 施行令(政令) <直接税>所得税法、法人税法、 <間接税>消費税、個別間接税法 相続税法、租税特別措置法他 (酒税法、たばこ税法など) <通則>国税通則法、国税徴収法、国税犯則取締法 他
租税の種類 租税は、種々の観点から分類され、約50種類あります。 それぞれの税が他の税の短所を補い、補完し合いながら体系をなしています。
・地方税 … 地方公共団体が賦課・徴収する租税で、都道府県税と市町村民税に分かれる。 1.国税と地方税 ・国 税 … 国が賦課・徴収する租税。 ・地方税 … 地方公共団体が賦課・徴収する租税で、都道府県税と市町村民税に分かれる。 そのほか、国が賦課・徴収した租税を、財政力の均等化ないし補強のために 地方公共団 体に交付ないし譲与する地方交付税(所得税・酒税・法人税・たば こ税の一部)と地方贈与税(地方道路税の一部)などがある。 2.内国税と関税 ・内国税 … 国税のうち、関税、とん税、特別とん税以外のもの。 ・関 税 … 外国からの輸入貨物に課されるもの。 ※主な有税品の関税率(平成30年4月版) ・洋酒類・ワインは45円/ 1L~ 182円/ 1L ・飲料・茶葉(ウーロン茶・紅茶)は3%~ 17% ※無税品 洋酒類(ビール、ウイスキー、ブランデー)、スポーツ用品・レジャー用品(乗用自動車、 オートバイ、モーターボート、 ヨット、カヌー、スキー用品、ゴルフクラブ)、カメラ、CD、 書籍、雑誌、時計、飛行機など。
・直接税… 所得や財産などの担税力を直接の標識(表現)と考えられるものを対象として課さ れる租税。累進的といえます。 3.直接税と間接税 ・直接税… 所得や財産などの担税力を直接の標識(表現)と考えられるものを対象として課さ れる租税。累進的といえます。 ・間接税… 消費や取引など担税力を間接的に推定させる事実を対象として課される租税。 比例的ないし逆進的といえます。 ■我が国における直接税と間接税の割合 以前は、国税、地方税ともに直接税が中心となっていましたが、近年、直間税と間接税の割合は均衡(きんこう)しつつあります。 直接税と間接税の割合を「直間比率」といいます。直接税中心主義は、脱税の誘因になりやすいですが、間接税は低所得者にとって、収入に対する負担の割合が高くなるという「逆進性」の問題があります。
4.収得税・財産税・消費税・流通税 ①収得税 … 収入(貨幣またはそれに代わる経済価値の取得)を得ている事実に着目して 課される租税で、以下の二つに分けられる。 ・所得税 … 所得を直接に対象 ・収益税 … 所有する精算要素 ②財産税 … 財産の所有という事実に着目して課される租税で、以下の二つに分かれる。 ・一般財産税 … 財産の全体または純資産を対象。 ・個別財産税 … 特定種類財産を対象。 ③消費税…物品またはサービスを購入・消費するという事実に着目して課される租税。 ・直接消費税 … 消費行為そのものを直接対象。 ・間接消費税 … 製造業者や小売人によって納付された租税が価格に含められ消費者に 転嫁していくことが予定されている。 ・個別消費税 … 物品・サービスの範囲によって、特定の物品・サービスのみを対象 ・一般消費税 … すべての物品・サービスを対象〈消費税(付加価値税) ④ 流通税 … 権利の取得・移転をはじめ取引に関する各種の事実的ないし法律的行為を 対象とする租税。 5.普通税と目的税 ・普通税 … 使途を特定せず一般経費に充てる目的で課される租税 ・目的税 … 最初から特定の経費に充てる目的で課される租税
所得税の速算表 東日本大震災からの復興のための施策の財源確保のため、平成25年から平成49年まで「復興特別所得税」(税率2.1%)が別途、徴収されている。
給与所得者で確定申告が必要な人
法人税の税率
国内取引の納税義務者は事業者(個人事業者と法人)です。 また、輸入取引の場合の納税義務者は外国貨物を保税地域から引き取る者となる。
消費税の税率
申告納税方式 納税者が自分でその所得金額や納付すべき税額を正しく計算し、それに基づいて申告し納付するという制度です。 これは、自分の所得の状況を最もよく知っている納税者が、自らの責任において申告し納税することから、民主的な制度といえます。戦前は賦課課税制度が採られていましたが、昭和22年の税制改正で、申告納税制度が所得税、法人税及び相続税に導入され、現在では、主な国税のほとんどについてこの制度が採用されています。 また、地方税でも、法人の住民税、法人の事業税、自動車取得税などは申告納税制度によっています。 賦課課税方式 税務官庁によって、納付すべき税額が決定される制度です。 現在の我が国の国税のうち、この制度が採用されているのは、加算税が課される場合など例外的な場合だけですが、地方税では、個人の事業税、固定資産税、不動産取得税、自動車税などに賦課課税制度が採用されている。
税理士制度 日本税理士会連合会 昭和17(1942)年に税理士法の前身である「税務代理士法」が制定された。 昭和26(1951)年に新たに「税理士法」が制定され、今日に至っている。 税理士法にその使命が規定されており、その仕事のほとんどが法律によって決まっている。 日本税理士会連合会
(参考)~マイナンバー制度への対応について~ ○ マイナンバー制度は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下「番号法」という。)に基づき、社会保障・税・災害対策の分野における行政運営の効率化を図り、国民にとって利便性の高い、公平・公正な社会を実現するための社会基盤の整備を図ること等を目的として導入された制度であり、住民票に記載されている者に対し『個人番号』、法人等に対し『法人番号』がそれぞれ付番されます。 ○ マイナンバー制度の導入により、①行政手続の無駄を排除し、 行政運営の効率化を実現すること、②行政手続の簡素化により 国民の負担を軽減し、利便性の向上を図ること、③より正確な 所得把握を実現し、国民の社会保障を受ける権利を守ること等の 実現が期待されています。 ○ また、複数の機関に存在する個人情報が同一人の情報であることの確認を行うことにより、制度の効率性・透明性を高め、国民にとって利便性の高い、公平・公正な社会を実現するための社会基盤を整備することが期待されています。
○ 個人番号の利用対象範囲は、社会保障・税・災害対策に関する事務に限定されています。 ○ 個人番号は、住民票所在地の市区町村長から平成27年10月より順次「通知カード」が送付され、その後、平成28年1月1日より、申請により『個人番号カード』(以下「マイナンバーカード」という。)が交付されています。 ○ 「通知カード」には、氏名、住所、生年月日、性別及び個人番号が記載されており、マイナンバーカードの交付の際に返納することとなります。 ○ マイナンバーカードは、住民基本台帳カードと同様、IC チップの付いたカードで、表面に氏名、住所、生年月日、性別(基本4情報)と顔写真、裏面に個人番号が記載されています。 一枚で本人確認のための身分証明書として使用できるほか、地方公共団体が条例で定めるサービス(例:図書館カード、印鑑登録証等)に利用でき、またe-Tax をはじめとする電子申告等が行える電子証明書も標準搭載されていますので、マイナンバーカードを取得することをお勧めします。 ○ 法人番号は、平成27年10月より順次通知・公表され、国税庁の法人番号公表サイトに掲載されています。 ○ 個人番号・法人番号は、平成28年1月1日以降、手続ごとに順次利用が開始されています。