村山祐司 mura1@sakura.cc.tsukuba.ac.jp 2011-4-20 序章 地理情報科学概論 2. 基本的な用語の定義 村山祐司 mura1@sakura.cc.tsukuba.ac.jp.

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村山祐司 mura1@sakura.cc.tsukuba.ac.jp 2011-4-20 序章 地理情報科学概論 2. 基本的な用語の定義 村山祐司 mura1@sakura.cc.tsukuba.ac.jp

ここで学ぶこと GISはツールとしての地理情報システム(Geographical Information Systems)からサイエンスとしての地理情報科学(Geographical Information Science) へと進化を遂げつつある.この章では,地理情報科学に関する基本的な用語およびその定義について学習する.

地理情報とは 地理情報という用語はGeographical (Geographic) Informationの日本語訳である. 私たちは,地名や住所,緯度・経度などによって場所や空間上の位置を特定している.その位置に付随する情報を一般に地理情報と呼ぶ.

地理情報 地点や地域が有する社会的,経済的,文化的属性や自然環境,さらには地域間の相互作用など,人間活動の舞台である地表面で生起する諸現象を示す場合に使われる.

空間情報とは 空間情報という用語はSpatial Informationの日本語訳である. 空間情報という用語は地理情報より広義に用いられている.

空間情報 地表面(接地層)から離れた領域,すなわち境界層,自由大気や宇宙などで起こる現象は,一般に地理情報の範疇には含めない.月面の地形や人間の活動が介在しない地球内部の現象も同様である.通常,これらには空間情報という用語があてがわれる.また,敷地内における施設の配置,あるいは施設の内部の小スペースなどの表示も,空間情報という用語を使うのが一般的である.このような表示は3次元で示されることが多い(たとえば,マンションや一戸建住宅の階数や高さ,部屋構成など).

地理空間情報 地理情報と空間情報は,ニュアンスの違いはあるものの,厳密に区別されずに使われることも多い. 最近では,両概念を包摂した地理空間情報(Geospatial Information)という用語もよく使われる.もともと,欧米の情報系,測量系の技術者たちが用いてきた言葉であるが,2007年5月に「地理空間情報活用推進基本法」が国会を通過して法律用語となったこともあり,日本でもこの用語がしだいに社会に定着化しつつある.

地理(空間)データ データとは,情報を符号や数値で明示化したもの. 私たちは,地名や住所,緯度・経度などによって場所や空間上の位置を特定している.したがって,地理(空間)データは,その位置に付随する情報をコンピュータが記録・処理できる形式で構成されている.

地理(空間)スキーマ 地物が有する空間的特徴を記述する枠組み.幾何的特性(位置,形状,向きなど)と位相的特性(接続,包含関係)で構成される. 出典:国土地理院地理情報標準第2版(JSGI2.0)の解説

地理(空間)オブジェクトとは 地物の空間特性を表現するのに用いるオブジェクト([地理情報標準第2版-空間スキーマ]による) 幾何オブジェクト(点,線,面など)と位相オブジェクト(ノード,エッジ,フェイスなど)およびそれらの複体で成り立つ.

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地理情報科学 データ収集,データベースの構築,空間分析,可視化,情報伝達にかかわる汎用的な方法を研究する学際的な分野. 自然・社会・経済・文化などに関する属性データと図形データを一体的に扱って,地理情報を管理/分析/伝達する手法を確立するとともに,その有効性を実社会とのかかわりの中で探究する. GISのSはSystemからScienceへ移行しつつある.

地理情報科学を推進するには 地理学,都市工学,測量学,情報科学,地図学,認知科学など隣接諸科学が相互に協力し,連携することが不可欠. 自然科学にも人文・社会科学にも精通し,総合的かつ体系的に空間現象を捉える多専門的な見方・思考が必要.

参考文献 村山祐司編(2005)『地理情報システム』,朝倉書店,209頁. 村山祐司・柴崎亮介編(2008)『GISの理論』,朝倉書店,188頁. 国土地理院地理情報標準第2版(JSGI2.0)の解説(http://www.gsi.go.jp/GIS/stdind/jsgi_kaisetsu.html)