安心・安全社会をめざす研究と開発-横浜国大の取り組み- 横浜国立大学 安心・安全の科学研究教育センター

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安心・安全社会をめざす研究と開発-横浜国大の取り組み- 横浜国立大学 安心・安全の科学研究教育センター (公財) 神奈川労務安全協会・火災爆発災害防止講習会 2015/07/17 安心・安全社会をめざす研究と開発-横浜国大の取り組み- 横浜国立大学 安心・安全の科学研究教育センター センター長 三宅 淳巳 1

横浜国立大学の組織 先端科学高等研究院 H26年10月設置 「リスク共生学」の 確立と推進 安全安心社会の 構築  確立と推進 安全安心社会の   構築 院 ・学部間の境界を跨いだ文理融合の全学組織 安心・安全の科学研究教育センター 2

横浜国立大学安心・安全の科学教育センターの沿革 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020 ▼1967 全国初の「安全工学科」設置(北川徹三教授により設立) ▼1973 全国初の「環境科学研究センター」設置 石油タンクの安全性 ▼1985 全国初の「安全工学科」博士課程 ▼2004 「安心・安全の科学研究教育センター」設置 人文社会科学系 自然科学系 ▼2006 環境リスクマネジメント専攻       セイフティマネジメントコース

爆発、火災、材料・システム安全、環境安全、事故分析・評価・防止技術、の研究と人材育成 化学物質リスク管理、生態系保全・管理の研究と人材育成 安心・安全分野の経緯とセンターでの研究活動 ○全学センター ⇒部局横断、文理融合による安心・安全・リスク管理等に関する研究・教育拠点と当該分野における本学の一層のプレゼンス向上 ○安全工学の歴史 ・昭和42年:全国初の「安全工学科」設置 ・昭和48年:「環境科学研究センター」設置 ・平成14年:大学院環境情報学府環境マネジメント専攻設置 ・平成16年:全学共通施設 安心・安全の科学研究教育センター設置 ・平成18年:大学院環境情報学府環境リスクマネジメント専攻に改組 「セイフティマネジメントコース」設置 爆発、火災、材料・システム安全、環境安全、事故分析・評価・防止技術、の研究と人材育成 化学物質リスク管理、生態系保全・管理の研究と人材育成 安心・安全センターの活動分野 1)社会基盤研究分野 2)環境安全研究分野 3)化学物質・プロセス安全研究分野 ・外部資金の獲得による   研究活動、大学院人材育成 ・社会人教育、情報発信 ・学内労働安全衛生と災害危機管理 4

上記に加えて「社会インフラの脆弱性評価と回生技術の開発」など 5

■安全・環境・リスク管理に関する研究と人材育成プロジェクト ■安全・環境・リスク管理に関する資産   昭和42年 全国唯一の安全工学科設置   昭和48年 全国大学初の環境科学研究センター設置   平成16年 安心・安全の科学研究教育センター設置   平成18年 環境情報学府環境リスクマネジメント専攻(生命環境/セイフティマネジメント)設置   平成14-18年度 21世紀COEプログラム「生物・生態環境リスクマネジメント」   平成19-23年度 グローバルCOEプログラム「アジア視点国際生態リスクマネジメント」   平成23年 ベトナム・ダナン大学と連携協定締結,現地に姉妹センター設置 ■安全・環境・リスク管理に関する研究と人材育成プロジェクト   平成16-20年度 JST「高度リスクマネジメント技術者育成ユニット」   平成17年度~  (独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC) 「石油タンクの先進的セイフティマネジメントのための基盤技術の創生」   平成19-21年度 特別研究経費(文科省概算要求) 「都市の災害リスクマネジメント-横浜・川崎をモデルとした実践的手法の構築-」     平成19-21年度 JST「事業者の化学物質リスク自主管理の情報基盤」   平成22-24年度 特別研究経費(文科省概算要求) 「社会インフラの脆弱性診断・回生技術確立と総合公共システム管理への展開」 他 ■現在実施中&実施予定のプロジェクト   平成25-27年度 JSPS 科研費「新エネルギーのリスク解析とリスクトレードオフに関する研究」   平成26-27年度 消防防災科学技術研究制度「水素スタンド併設給油取扱所の安全性評価」   平成26-30年度 内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)[エネルギーキャリア]     「エネルギーキャリアステーションのリスクマネジメント」   平成27-28年度 JSPS科研費「規制科学と政策科学による安全安心科学の創生」   平成27-29年度 経済産業省宇宙産業技術情報基盤整備研究開発事業「革新的固体推進薬の実用化」   平成27-31年度 文部科学省科研費新学術領域研究「科学技術社会共創学の創生」[申請予定] 他

安心・安全に関する主な研究課題と概要 1.材料・構造物の非破壊検査と社会基盤のリスク管理 ・橋梁の脆弱性診断・回生技術確立と公共システム管理  ・橋梁の脆弱性診断・回生技術確立と公共システム管理  ・陸上タンク開放検査周期の合理化に関する調査・研究 2.化学物質およびプロセスの安全性に関する研究 3.有害化学物質のリスク評価と管理 4.安心・安全な水環境創成に関する研究 5.その他    資源循環、極限環境下での疲労度、汚染修復、他 7

エネルギー物質およびプロセスの安全性に関する研究 ■エネルギー物質安全研究 新規反応性化学物質の合成とハザード解析 爆発テロ対策のためのエネルギー物質の爆轟特性解析 分子設計に基づく新規エネルギー物質の開発と評価 次世代ロケット推進薬,高信頼性エアバッグ用ガス発生剤の開発と評価 難燃化プラスチックの燃焼特性解析とリスク評価 ■プロセス安全研究 医薬品,感光材等 機能性物質合成プロセスのリスク解析 廃棄物処理/リサイクル,バイオマスプロセスのリスク解析 新エネルギーインフラのリスク解析(水素,CNG,DME etc.) 化学/エネルギープラントのリスクベース設計手法の開発(海外LNG 等) ■リスクマネジメント,安全システム研究 化学物質フィジカルリスク評価システム開発 危険物/放射性物質の道路輸送リスクアセスメント 事故調査と事例解析(DB開発,教育研究現場の事故) 化学/原子力 E-Learning システム開発,化学物質安全情報プラットフォーム構築 8

9

ベネフィット-リスク-コスト連関解析と合意形成 対象での便益評価、ハザード特定とリスク解析、コスト評価 注目事象:機能・サービスの提供等 Stakeholder 利害関係者 コストC評価 ・便益を得るコスト ・リスク低減のコスト ベネフィットB リスクR評価 ハザードの特定 リスクの解析 理解と合意促進 効果・影響(BRC)に対する個人・社会の選好性等把握 (preference) リスク&コスト  低減対策 ・適切な方策の選択 ・低減効果の評価 ISO・下水試験法において採用 OECD・環境庁のガイドラインとして採用 判断・決定D 施策(規制・基準)他

「コンビナート・エネルギー安全」 研究ユニット 主任研究者 三宅 淳巳 安心・安全の科学研究教育センター長 主任研究者 三宅 淳巳 安心・安全の科学研究教育センター長 環境情報研究院 環境リスクマネジメント専攻 教授 日本学術振興会 学術システム研究センター 専門研究員 我が国の産業基盤である石油化学コンビナートやエネルギー関連施設の安全性高度化のため,プロセスプラントおよび機械システム等の有するハザード,リスクの評価を行い,技術システムのリスク管理研究を推進し,もってリスク共生社会の創生に資する安全安心科学の学理構築と社会実装実現のための研究を展開する。

安全 許容されないリスクから解放された状態 安心= 社会実装への道筋 安全 許容されないリスクから解放された状態         (ISO/IEC Guide 51,73) 安心=                          安全 x 信頼 x 受容性 確率x影響xHF 補償と慣れ 国民のリテラシー  根底にあるのは,議論のプロセスの透明性,            判断の客観性と合理性

安全性評価手法・評価指標のスタンダード化 世界の技術システムの安全診断技術と安全評価基準は 国内外の連携と今後の展開 先端科学高等研究院(YNU-IAS) 「リスク共生の科学」の先端研究 国連工業開発機関(UNIDO) 工業開発の国際連携 連携協定締結の公的機関(一例) コンビナート・エネルギー安全ユニット    デルフト工大=Texas A&M大  =YNUの化学災害リスク国際連携 [1]化学プラント,コンビナートの   リスク評価と管理 [2]化学災害の定量的影響評価 [3]エネルギーキャリアの安全評価 -招聘- 研究者 技術者 チェコ・オストラバ大学:   安全工学部を有し現場での活動実績 学内PI 国際テスト・ベッド連携 産業界/地域社会 国際社会 社会実装 国内PI 安全性評価手法・評価指標のスタンダード化 実装:国内、海外へ 海外PI 実装アウトカム ・IEA Task37,消防法,高圧ガス保安法  等の技術基準策定への反映 ・プラント安全性評価指標の提案 ・事業者の自主保安管理体制の確立支援 国連工業開発機関 UNIDO  Dr.T.Miyake デルフト工大リスクセンター  Prof. van Gelder  Prof. G.Reniers Texas A&M大プロセス安全  センター  Prof. H.J.Pasman オストラバ工科大学  Prof. A.Dudacek  Prof. P.Danihelka カールスルーエ工科大学 ダナン大学  他 世界の技術システムの安全診断技術と安全評価基準は YNUから! 2015/03/26 プロセス安全国際シンポジウム@横浜

Thank you for your kind attention! 安心・安全の科学研究教育センター http://www.anshin.ynu.ac.jp/ 先端科学高等研究院 http://ias.ynu.ac.jp/