精神分析の未来地図 PDFは「精神分析的心理臨床セミナー」においてあります。      妙木 浩之.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
母親と言うものはないのだろう か? 東京国際大学妙木 浩之. 個人的体験から 傷つきやすさの活用という視点から ウィニコットの母親について、多くの証言が うつ病であったと語っている。姉たちは結婚 していない。 ウィニコットの母親について、多くの証言が うつ病であったと語っている。姉たちは結婚 していない。
Advertisements

キー・コンピテンシーと生きる 力 キー・コンピテンシー – 社会・文化的,技術的道具を相互作用的に活用する力 – 自律的に行動する力 – 社会的に異質な集団で交流する力 生きる力 – 基礎・基本を確実に身に付け,いかに社会が変化しようと, 自ら課題を見つけ,自ら学び,自ら考え, 主体的に判断 し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力.
社会システム論 第 1 回 システムとは何か 大野正英 経済学部准教授. この授業のねらい 現代社会をシステムという視点から捉 える。 社会の複雑さをシステムというツール を用いることによって、理解する。
教育と発達. 能力とは何か(まとめ) 能力=何かできること 教育との関連での条件 – 価値ある能力であること – 訓練で発達可能であること – 教えることが可能であること ふたつの階層性 – 価値的な階層 – 発達の規定性としての階層.
34-2 今 日 の ポ イ ン ト今 日 の ポ イ ン ト 現代社会とストレスと糖尿 病 1.1. ストレスによる 血糖コントロールへの影響 2.2. QOL障害によるストレ ス 3.3. 糖尿病とうつ 4.4. ひとことアドバイス 5.5.
第2章 なぜ発達心理学を学ぶのか? 道案内 1 準備 (0) 授業を始める前に * (1) 発達心理学とはどんな学問か? 2 知覚の発達 (3) 子供に世界はどう見えるか? 3 認知の発達 (4) 子どもはものごとをどう理解するか (5) 子どもは心をどう理解するか 4 感情の発達 (6) 子どもに愛情を注ぐこと.
カウンセリングナースによる 新しい治療システム -ストレスケア病棟での治療体験と カウンセリングナースの導入- 福岡県大牟田市 不知火病院 院長 徳永雄一郎.
第5章 子どもは心をどのように 理解するか? 道案内 (5) 子供は人の心をどう認識するか 1 準備 (0) 授業を始める前に (1) 発達心理学とはどんな学問か? (2) なぜ発達心理学を学ぶのか? 2 知覚の発達 (3) 子供に世界はどう見えるか 3 認知の発達 (4) 子供はものごとをどう認識するか.
クライン学派の継承 精神病理の深化.
発達障害と統合失調の類似性 原因を求めれば発達障害が増える
心理測定論 信号検出理論.
「ストレスに起因する成長」に関する文献的検討
治療構造と治療機序.
マンガ読解のプロセスモデル マンガリテラシーとマンガ読解力
神経症とは何か.
フロイトの精神病理学1 妙木 浩之.
催眠から転移.
スポーツ文化   第4回目 スポーツとは何だろうか? スポーツの定義.
(1)行動分析学の基礎 「実験する」ことの意味
転移のバラエティ.
教育心理学 学習と認知プロセス 伊藤 崇 北海道大学大学院教育学研究院.
対象関係論.
第8回 記憶研究とテレビ 1.集合的記憶とは 2.社会的出来事に関する集合的記憶 3.外国の社会的出来事に関する集合的記憶
1886年の学会発表 男性ヒステリーに関するフロイトの伝説 当然の前提であったが、シャルコー説からの離脱 歴史的経緯
実存主義-1 「はじめに」 (1) 実存主義とは (2) キルケゴール (3) ニーチェ.
      特別支援学校 高等部学習指導要領 聴覚障害教育について.
執筆者:市川伸一 授業者:寺尾 敦 atsushi [at] si.aoyama.ac.jp
場所1 空間分析批判と場所の概念化 政治地理学の理論と方法論 第4週.
「存在の肯定」を規範的視座とした作業療法理論の批判的検討と 作業療法・リハビリテーションの時代的意義 田島明子
1 受講方法の変更について 講義への直接参加 (オフライン) Youtubeでの視聴 (オンライン) 今まで通りの方法で進める
終結に向けて.
自己愛パーソナリティ障害 cat /index.html.
臨死体験 Near-Death Experience
脳性まひをもつ 子どもの発達 肢体不自由児の動作改善を目指して 障害児病理・保健学演習 プレゼンテーション資料 2000年2月24日
意見形成の場としての SNS、ブログ、ネット論壇
第6章 子どもを愛すること ー感情と愛着の発達ー
第4章 子供はものごとを どう理解するか?.
戦争の犠牲になった兵士 経済学部  石橋佑介.
第2章 なぜ発達心理学を学ぶのか?.
インフレはなぜ止まらないのか?.
ビデオ録画による心理療法 マスターセラピストから学ぶ 自我心理学的立場から
2007年10月14日 精神腫瘍学都道府県指導者研修会 家族ケア・遺族ケア 埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科 大西秀樹.
治療構造論2015.
心理学 武庫川女子大学文学部教育学科 北口勝也 http: //www. mukogawa-u.ac.jp/~kitaguti.
株式会社メディカルアーツ スタッフ研修 放課後等デイサービス ホップステップ 合同会社サンクスシェア 田中 さとる ホップステップスタディ
言語認知と消費者意識の測定 横山詔一(国立国語研究所)
治療構造論.
治療構造論2014.
作業療法の効果を目指す アセスメントと治療操作の考え方
ピアジェの発生的認識論 ジャン・ピアジェ( ) 人間の適応 日本広く普及する 認知の発達過程の理論
疫学概論 疾病の自然史と予後の測定 Lesson 6. 疾病の自然史と 予後の測定 S.Harano,MD,PhD,MPH.
初期デリダの思想 差延・痕跡.
臨床的にトラウマを取り扱う問題 =デブリーフィングの問題点 1. それは取り扱うことで悪くなる 2. 取り扱うこと自体が外傷的な反復
心理科学・保健医療行動科学の視点に基づく
高齢慢性血液透析患者の 主観的幸福感について
理論研究:言語文化研究 担当:細川英雄.
フロイト あるいは自我心理学を通して 妙木 浩之
児童治療における論争.
理論研究:言語文化研究 担当:細川英雄.
ヒューマン・インターフェースとしてのGIS —空間データ変換から地図表現へ—
臨床教育学 授業に関する説明.
第5章 性格とは何か?.
2011 行動分析学特論 (1)行動分析学と 対人援助(学)
教育と発達.
南魚沼市民病院 リハビリテーション科 大西康史
力動フォーミュレーション.
文脈 テクノロジに関する知識 教科内容に関する知識 教育学 的知識
感覚運動期(誕生~2歳) 第1段階 反射の修正(出生~約1ヶ月) 第2段階 第1次循環反応(約1ヶ月~4ヶ月)
2010応用行動分析(3) 対人援助の方法としての応用行動分析
Presentation transcript:

精神分析の未来地図 PDFは「精神分析的心理臨床セミナー」においてあります。      妙木 浩之

精神分析の理論的妥当性 フロイトは精神分析を「心理学」の科学と見なした =晩年まで変わらなかった発想。  精神分析の理論的妥当性 フロイトは精神分析を「心理学」の科学と見なした =晩年まで変わらなかった発想。 Evidenceのために心理学の理論に準拠するべきだ と考えた(Hartmann,Rappaportの発想)=米国 精神医学の伝統。 資格社会ドイツの影響⇒研究所=訓練と精神分析実 践による事例の深層の物語を通して、精神分析を独 自の領域とみなす(クライン学派から対象関係論) ⇒この二つは対立しつつ、拡張している。 ●私の立場⇒前者を物語と場の理論に拡張すること

方法としての精神分析1 ⇒読解方法が夢の解読から始まったこと =Convergentな方向とDivergentな方 向の分析が質的な分析を可能にした。 ・要素分析=GTAの切片化と連想による Divergentな拡張=拡張的想像法 ・反復主題によるConvergentな読解= カテゴリー関連図の作成 ・人生の反復と生活の反映を考える⇒主 題分析

フロイトの発見までの経緯① フロイト個人の問題=神経症 ニコチン中毒 偏頭痛 ヒステリー的神経症症状 電車に関する不安 Plus:幼児期の外傷⇒子どもたち の世話、経済的な庇護による困 窮が現実生活に影響を

 夢分析の発想 自分の神経症症状を解読するために、夢 を分析しようとしたこと1895年7月25日 「イルマの夢」をみて、記念碑的な着 想を得た。 連想主義と脳神経モデル、そして連 想の拡張から反復による主題分析の手法 を思いついた=個性、質的研究方法。 ⇒解明方法(この100年間ほとんど変わる ことなく続いている手法)

夢分析の手法(要素分析) 夢を記録する≒夢テキスト(顕在夢) そのテキストの部分(語、文)の、部分部分に対して連想を拡げる ≒連想テキスト  夢分析の手法(要素分析) 夢を記録する≒夢テキスト(顕在夢) そのテキストの部分(語、文)の、部分部分に対して連想を拡げる  ≒連想テキスト 連想テキスト、その要素のなかで反復している主題を見つける≒反復主題の発見 前日、あるいは最近の記憶と照合させる。 照合させた主題の自分自身の人生における意味を見出す。

フロイトの発見までの経緯② 外傷とコンプレックスという主題= 1896年 父親の死=深刻な対象喪失. →自己分析. 夢分析の例 年老いた紳士と駅にいる。老 人に尿瓶を出す。その老人の世話をす る。」 そして尿意で目を覚ます。 連想:幼児期の両親の寝室での話。 ライプチヒに向かう汽車のなかの母親の話.

フロイトの発見までの経緯③ 母親の裸体の出来事から数年後の想起= フロイトは怖い夢を見た。「 そこでは 母親が鳥の頭をした人に寝かされる。」 母親の裸体の出来事から数年後の想起= フロイトは怖い夢を見た。「 そこでは 母親が鳥の頭をした人に寝かされる。」 そして夢の解読の結果:父親への死の願 望と母親への性的な願望を発見する。 ⇒エディプス・コンプレックスの発見 質的な研究の生活への拡張: 個人的な発 見からコンプレックス

抵抗現象の発見 ブルクヘルツリにおけるビンスワンガー やユングの言語連想検査=ドンデルス以 後の反応時間論 ⇒フロイトとユングの出会い  抵抗現象の発見 ブルクヘルツリにおけるビンスワンガー やユングの言語連想検査=ドンデルス以 後の反応時間論    ⇒フロイトとユングの出会い 催眠における変性意識への抵抗 連想における停止=抵抗の現れとして分 析の対象にしはじめる。 ⇒テキストの穴=忘却、解離現象   方法としての読解⇒①に

連想による発見 抵抗 抑圧

治療的空間における転移 反復主題の発見は、治療的な空間の中に、 持ち込まれる「反復強迫」という考えに 結実する。 精神分析は転移抵抗と抑圧抵抗という二 つの抵抗の解除として定義される⇒転移 の重要性が抽出される。 治療空間の中では転移は逆転移を生み出 すというマトリックスへ拡張されるよう になっていった。

フロイトの晩年の理論の余波 フロイトは1920年代に自我心理学という 言葉によって大きな理論的な変更を加え たが、その前に自己愛と対象関係という 言葉を編み出した。その経緯は、私の臨 床実践では長く、遠い道のりだと感じる。 だがその理論的な変更がその後の精神分 析を決めた。 ⇒自我心理学 ⇒クライン学派⇒対象関係論 ⇒自己心理学(+対人関係論)⇒関係精神分析

自己愛と精神病理 発症 病前性格 メランコリー(躁うつ病) 自己愛的対象選択 自己愛的同一化  自己愛と精神病理 病前性格 発症 メランコリー(躁うつ病) 自己愛的対象選択 自己愛的同一化 対象喪失=自我喪失→見捨てた対象への怒り→自己批判→躁状態(対象との一体)とうつ(自我への自責)の繰り返し 統合失調症 (パラフレニー) 自己愛への退行素因 リビドーの外界からの関心の離反(陰性症状)→自我に向かう(誇大妄想)、→修復による幻覚妄想(陽性症状) 心気症 自己の身体への関心 特定の器官にリビドーの関心を向けることで、エネルギーの調整を行う

自我の理論と対象の理論 自我の理論を構成したのは、フロイトのナルシシズム 論であった。そこには中核となる部分をナルシスズム と内在化=同一化において、理論構成を行った。主 たる病理は、統合失調症(自己愛精神障害)と躁うつ 病(自己愛神経症)で、前者は自我障害、後者は対 象喪失を中核としている。 対象関係の理論は、メラニー・クラインによる発展によ って受け継がれた。対象喪失ではなく、対象そのもの が部分対象化するメカニズムについての理論構成は 1934年にはじまる「抑うつポジション」の理論から構成 されるようになった。

米国と英国での精神分析 1934年に起きた地殻変動:  米国と英国での精神分析 1934年に起きた地殻変動: ・ウィーンにいたAnna Freudに発達ラインの発想が芽生え る⇒ハムステッドの仕事『児童期の正常と異常』(1965) ・英国にいたKleinが「抑うつポジション」の概念化⇒クラ イン学派の形成とその後の対象関係論の発展(50年代) ・ステルバの「自我の乖離」論文と観察自我から自我機能論  ⇒臨床的な意味での自我の能力に関する研究へ 亡命の世界史:『亡命の現代史』にあるように、40年代 から60年代ユダヤ知識人がアメリカで成功して、米国の科学 と人文科学の領域に大きな変革が起きた⇒精神分析では第一 世代がハルトマン世代、第二世代以後の精神分析は、①発達 心理学②精神病理学、③臨床理論に新しい学問を生み出した。

 R.Sterba(1898年-1989) シュテルバ、リカルド=リ チャード・ステルバ。フロ イト周辺の非ユダヤ人のな かでもっとも優秀な分析家 と見なされて、ナチの政権 奪取とともに亡命して、デ トロイトで米国精神分析を 広める努力をした。 (1934), Das Schicksal des Ichs im therapeutischen Verfahren. In: Internationale Zeitschrift für Psychoanalyse 20, S. 66-73. .

Sterba,Rの論考 1934 精神分析における自我の運命 多くの人を教育分析した。 転移と同一化のメカニズム 自我の乖離⇒  観察自我論へ

1950年代のパラダイムチェンジ Paul Heimann(1950)が「逆転移」の論考 を描き、Kleinとの離別がはっきりとす る。 Betty Joseph(1962)がセミナーを開い て、投影同一化の技法を開発し始める。 Loewald(1960)に「治療行為」の相互 作用についての論考を描く。 ⇒コフートの自己心理学につながる発想 が生み出される。

転移と逆転移の新しい理解 転移は過去の反復ではなく、今ここでの 実演である。 逆転移は患者からの投影を引き受ける Heimannとの離別(1950)→技法論   1.過程である。解釈への反応を良く見る  2.転移を解釈することの中心性  3.乳児水準の機能にしっかりと根ざす  4.破壊性という全面的に広がる恐ろしい ものは、愛情ある人物とバランスをとっ て焦点を当てる。 Paula Heimann

ジョセフ,B 1917-2015 戦後、バリントらの近くでケースワークを していたが、戦後、バリントのすすめで、 ビックとともに、クラインに分析を受け始 める。1962年よりワークショップを開き、 クライン派の指導的な立場になる。 クライン亡き後、70年代になると、自分の 技法を確立。 1970年代より倒錯などの重症の人々との分 析を通して、心的な変化を発見、解釈する 技法を確立していく。 1989年『心的平衡と心的変化』

投影同一化の臨床的可能性を広げた。 →瞬時の介入―反応のなかで転移と解釈を行う技 法を導入した。 全体状況のなかで、変化をとらえる。 「抑うつポジションに向かい、抑うつポジション の中へと到る動きの観点から、また自己のより 大きな統合と対象とのより全体的で現実的な関 係の観点から、長期の変化を考える」 だが→心的平衡 Psychic equilibrium =ある種の均衡に到達して変化しない。 結果として臨床像として 到達不能な患者 difficult to reachがいる

2010年代のパラダイム 転移逆転移論⇒ 自己心理学から関係論 クライン学派の精神病理学(自閉として の自己愛と対象関係の混乱)  2010年代のパラダイム 転移逆転移論⇒ 自己心理学から関係論 クライン学派の精神病理学(自閉として の自己愛と対象関係の混乱) 自己愛から自我心理学、そして発達心理 学の拡張 フランス精神分析の心身症と心気症の理 論

ガウス平面から見た精神身体 負の領域         身体領域 X i

フロイトの発見:情動-不安 情動が構成する要素は、認知的、身体的そ して運動衝動的なものである。それらの構 成要素それぞれを、言葉で表現できるもの であると考えておく。 〈情動の構成要素〉 認知的=「私は悲しい」 身体的=のどが締め付けられ、胸が重い 運動衝動=「泣いているように感じる」

 身体地図を活用する 情動はそれぞれの情緒や不安を表現する場があ り、その場所を理解することで、防衛されてい る情動を発見して、洞察に結びつけることがで きる(文化相対的) 「腹が立つ」「肩の荷が重い」などの身体言語が 参考になる。 怒り=頭、首、あご、肩、腕、手 悲しみや哀しみ=胸、重い感覚、痛み、疼痛 愛や喜び=胸-軽くて開いて、広がっている 恐怖=お腹 性的願望=性器

心身両義性 (北山) 身体語を用いることで、心身的な体験を比喩として用いることができる。

身体を使う:短期力動療法の一技法 横紋筋の緊張症状全般には注目して、そこがどこ で、知覚によってどのような反応をするか、それ について固定する。 固定された身体部位と感じる感情を特定して、そ れがどういった防衛によって、抑えられているか についての抵抗の発見をする。 身体部位の変化について、本人が情動を意識して いるときには聞く、スキャンする。 身体的な変化(脱緊張)が情動の変化と連動して 変化する姿を観察しながら、情動と防衛とを取り 扱っていく。

Davanloo-Malanの三角形 D 防衛 A不安 C(現在の葛藤) (治療者/転移)T I/F(衝動/感情) P(患者の過去) 【葛藤の三角形】 【人の三角形】

グリーンの「生き生きとした談話」 情動と表象との関係を、事物表象と言 語表象との間に、フロイトの自我とエ スの発展的理解として取り入れた。  グリーンの「生き生きとした談話」 情動と表象との関係を、事物表象と言 語表象との間に、フロイトの自我とエ スの発展的理解として取り入れた。 ビオンの名前のない恐怖、原初の不安 ⇒移行対象⇒figurativityを通して表 象のほうに向かう(象形文字的な世界 =認知言語学的なイメージ) 情動affectを中心とした理論の再編成

ネガティブな精神病(空白の冷たい精神病) Negative hallucinationなど陽性陰性の症状をも たない精神病が人格に親和した形で、本当のうつ 病と連続して存在している。 それはフロイトの自己愛の研究を身体に広げると 見えてくる(P.Martyの仕事) Negativeな領域 その領域は「空虚さ」「死んでいること」そして 「負」と関連した静かな本能衝動の領域である。  Martyの本質的うつの精神病  ⇒可能性空間の欠損による、死んだ世界

空白からみた精神病理学 負の領域 うつ病           身体領域 X 精神病 心気症 i

AulagnierのPictgram ⇒BotellaらのFigurativity 負の領域               身体領域 対象 Mapping 1 X i

抵抗⇒防衛解除⇒転移抵抗 D 防衛 A不安 C(現在の葛藤) (治療者/転移)T I/F(衝動/感情) P(患者の過去) 【葛藤の三角形】 【人の三角形】 長い時間=再現re-presence=表象representation

転移の展開⇒転移-逆転移 C(現在の葛藤) (治療者/転移)T S自己 O他者 P(患者の過去) Affect情動 【人の三角形】 【自他の三角形】 presence=表象representation⇒対人関係

まとめ 現代の精神分析の基本的な方法論が、質的研究方法 であったことが最も大きな原因だろう。 障害をより治療的な方法論として再設定したことが、 障害が治療の道具になったという側面を持っている。 抵抗、転移、そして逆転移、さらには行動化をどれ も治療的な道具に変形させてきた。 現代の精神分析は転移と逆転移、さらには行動化の 問題を、関係性のエナクトメントとして捉えなおし ている。 精神分析が方法論としての質的な研究方法を出発点 とする限り、臨床の基本的な道具であり続けるだろ う。