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第3課 カラー 2005年11月7日 授業の内容は下のHPに掲載されます。 第3課  カラー                                     2005年11月7日 授業の内容は下のHPに掲載されます。 http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/STAFF/nakada/intro-j.html 輻射補正(Bolometric Correction) レーリー・ジーンズ近似(Rayleigh Jeans Approximation)

3.1. 黒体輻射の式 温度Tの熱平衡にある、大きさL3=Vの箱を考え、この箱の中の熱平衡輻射の強度 B(ν、T) を決めたい。Νは光子の振動数である。 n(ν, Ω)=周波数ν、進行方向Ωの光子の数密度、つまり、 n(ν, Ω)dνdΩdV=体積dV,周波数dν、方向dΩ(立体角)                の範囲にある光子の数とすると、 B(ν,T)=c・hν・n(ν, Ω) である。 光子密度 n は、量子状態の密度Dと各量子状態にある光子数s(p)の掛け算で決まる。   n(ν、Ω)dνdΩdV =D(ν、Ω)dνdΩdV・<s(p)>=光子数 以下では、まず<s(p)>、次にD(p、Ω)を調べる。 ΔP ΔX P フォトンの量子状態はΔp3Δx 3= h3 毎に2(偏光)である。 X

まず、 与えられた量子状態に存在する光子の数<s>を調べよう。 <s(p)> まず、 与えられた量子状態に存在する光子の数<s>を調べよう。 cp=hν : 運動量pの光子一つのエネルギー  Es=shν: 光子s個のエネルギー     Ps : その量子状態に光子がs個存在する確率 すると、<s>=∑s・Ps  熱平衡のギブス分布は、Ps∝ exp(-Es/kT)=exp (ーshν/kT)  となるので、ΣPn=1の規格化を課すと、

この式を計算するため、x=exp(-hν/kT) とおく。 exp(-nhν/kT)=xn なので、 (計算には下の二式を使った)

こうして、振動数νの光子の量子状態1つに存在する光子数の平均、  <s> = 1/ [ exp (hν/kT)-1] であることが分かった。 D(ν、Ω) 次に、大きさL3=Vの箱の中の光子の量子状態密度 D(p, Ω)を考えよう。 一辺Lの箱の中の定常波と考えると、量子状態はΔ(L/λx)(L/λy)(L/λz)=1 毎に2つ(光子の偏光があるため)存在する。  したがって、箱の中の量子状態の数は、 ΔN=2・Δ{(L/λx)(L/λy)(L/λz)}     =(2L3Δ{(1/λx)(1/λy)(1/λz)}     =(2V/c3)・Δ{(c/λx)(c/λy)(c/λz)}     =(2V/c3) (Δν)3= (2V/c3)ν2dΩdν D(ν、Ω)=ΔN/(V・Δν・ΔΩ)=2ν2/c3   

B(ν、T) D(ν、Ω)と<s(ν、T)>が求まったので、 B(ν、Ω、T)=c・hν・ n(ν、Ω、T) =c・hν・ D(ν、Ω)・ <s(ν、T)> を計算すると、 第1課 I(ν、Ω)のところでやったように、黒体輻射強度(Intensity)B(ν、T)は、温度Tの熱平衡輻射が、単位面積を通って、その法線方向に単位立体角、単位時間、単位振動数当たりに流れるエネルギー量という言い方もする。

3.2.黒体輻射の性質 dB=Bν(ν、T)dν=Bλ(λ、T)dλでBλ(λ、T)を定義する。 (dν/ν)= (dλ/λ) したがって、 Bν(ν、T)・ν= Bλ(λ、T)・λ Bλ(λ、T)=Bν(ν、T)・ν/λ=(c/λ2)Bν(ν、T) なので、

I(ν) I(λ) Io ν λ λI(λ) νI(ν) logλ logν I(ν)ν= I(λ)λ 表示の利点 = νとλが対称に扱える。  (BlackbodyB(ν,T)に限らず Intensity 一般に通用するのでIで話す) 例: I(ν)=Io=一定                   I(λ)=(c/λ2)Io I(ν) I(λ) Io ν λ I(ν)ν= I(λ)λ 表示では λI(λ) νI(ν) logλ logν

νIν λIλ logν logλ I(ν)ν= I(λ)λ 表示の利点 (2) 総輻射強度(total intensity)の計算 I(ν)ν= I(λ)λ 表示の利点 (2)    総輻射強度(total intensity)の計算 dI= Iνdν= Iνν(dν/ν)=2.30 [Iνν] dlogν = 2.30 [Iλλ] dlogλ νIν λIλ logν logλ 総輻射強度(total intensity)を概算する際には、 νIν =λIλ のピーク値にピーク幅を掛ければよい、 Δlogλ[λIλ]max 、 ので便利。

B(T)=∫Bν(T,ν)dν= ∫Bλ(T,λ)dλ σ = 2π5k4/15h3c2   =5.6696 10 ー8 W/m2/K4 = ステファンボルツマン係数 全輻射強度B(T)を黒体表面からの全輻射フラックスと混同しないように。 Intensity = (σ/π)T4 Flux = σT4

黒体輻射の数値表現 h=6.626×10-34 Js,   k=1.381×10-23 J/K,   c=2.998×10^8 m/s

B(T,ν)ν= B(T,λ)λ もよく使われる。

黒体輻射のピーク位置は、表現法で変わる。 B(ν)= [B(λ)λ/ν]= [B(λ)λ2/c]なので、 黒体輻射のピーク 図に見えるように、ピーク位置波長はB(ν)が一番長い。 B(λ)が短く、B(λ)λが中間。 B(ν) B(λ)   B(λ)λ =[B(ν)ν] ピーク波長を求めるため、輻射強度を x=hν/kT で表す。 logλ

の極大に対応する。 数値的に極値を探した結果は以下のようになる。 ピーク波長(振動数)は、 (n=3,4,5) の極大に対応する。 数値的に極値を探した結果は以下のようになる。 4 3 2 1 の解がピーク位置を与える 0 0 1 2 3 4 5 X               B(T,λ)      νB(T,ν) = B(λ)λ       B(T,ν)    Fn(x)   x5/[exp(x)-1]   x4/[exp(x)-1]    x3/[exp(x)-1]   x       4.965       3.92               2.82 T4λμ     0.290      0.367              0.510  

レーリー・ジーンズ近似 (hν/kT<<1) ウイーン近似  (hν/kT>>1)

黒体輻射強度のグラフ表示 黒体輻射は同じ形 log B(T,ν)=3・logT+F(logν-logT) の形をしているので、 logT+Δ logTのBν(ν、T)のグラフは右図のように左図の曲線を平行移動したものである。 Bν(ν、T)のグラフが左図のようであるとき log Bν 3Δ logT log Bν Δ logT logν logν

黒体輻射のエネルギー密度 U = ( 4 σ /c)T4 =a T4 エネルギー密度Uは、U=∬ε(ν)n(Ω、ν)dνdΩから、 U=4πB/c   = ( 4π/c)(σ/π)T4  = ( 4 σ /c)T4  =a T4 a=8π5k4/15c3h3=radiation density constant =7.5659 10-16 J/m3/K4

有効温度 I=B(T) θ L=∫σT4dS 黒体の壁からのフラックス = ∫B(T)cosθdΩ = πB(T) = σT4

3.3.カラー フラックス⇒等級 フラックスの勾配⇒カラー F 勾配を指定する方法は幾つも考えられる:  フラックス⇒等級 F フラックスの勾配⇒カラー 勾配を指定する方法は幾つも考えられる: 単純にはdF( λ )/dλ、dF( ν )/dν 近接した2波長λ1 、λ2でのフラックスの比、 F( λ1 )/ F( λ2 )を用いてもよい。 λ1 λ2 天文では等級の差、すなわちフラックス比の対数表示(カラー)を採用している。 カラー( λ1 、λ2 )=m(λ1)-m(λ2)            =-2.5 log[F( λ1 )/ F( λ2 )]+2.5 log[Fo( λ1 )/ Fo( λ2 )]

カラーの表現 約束 カラー m(λ1)-m(λ2) では、λ1<λ2 カラー m(λ1)-m(λ2) では、λ1<λ2  天文でよく使われるバンド:  B=m(0.44μm)    V=m(0.55、μm)                     Fo(B)=4063Jy   Fo(V)=3636Jy                    1Jy=10-26W/m2/Hz               フラックス  天体        F(B  )    F(V)              (Jy)     (Jy)  シリウス   1.493 ×104  1.356 ×104  太陽      1.102×1014 1.804×1014 ベテルギウス  663       2380       バンド    カラー B    V    B-V   温度   色 -1.43  -1.44  0.01  9400 白 -26.10 -26.75  0.65  5780 黄 1.95   0.45 1.50  3370 赤       一般に、天体の温度が高いと   (1) 短波長側のフラックスが大きい。   (2) 短波長の等級が小さい。     (3) カラーが小さい

[B-V]BB=-2.5 log[B(T,B )/ B(T,V )] +2.5 log[Fo(B ) /Fo(V)] (黒体輻射の)カラーと温度 このBはBバンドのB 黒体輻射のカラー  [B-V]BB=-2.5 log[B(T,B )/ B(T,V )] +2.5 log[Fo(B ) /Fo(V)] このBはB等級のB このBは黒体の輻射強度(プランク関数) Fo,B を ν表示で計算すると、  Fo(ν=B )=4063Jy,Fo(ν=V)=3636Jy  B(T, ν)=1.3338 10 7 T(K) 3 [ X3 / (expX- 1) ] Jy       X=1.4388/λ(μ)/T4   λ(B) =0.44 λ(V) =0.55   T4 =T/10,000    

したがって、 [B-V]BB=-2.5 log[f(XB)/f(XV)]+2.5 log(4063/3636)  f(X)=X3/[exp(X)-1]、 XB=1.4388/ 0.44 /T4、  XV=1.4388/ 0.55 /T4 [B-V]BB=-0.83+ 2.5 log{[exp(3.270/T4)- 1] / [exp(2.616/T4)- 1]} Uバンド(λ=0.36μm)では、    Fo(ν=U )=1790Jy、 XU=1.4388/ 0.36 /T4 [U-B]BB=ー2.5 log[f(XU)/f(XB)]+2.5 log(4063/1790)       =0.890+ 2.5 log{[exp(3.997/T4)- 1] / [exp(3.270/T4)- 1]} T→∞では、 Bν2kT(ν/c)2=2kT/λ2 なので、(レーリージーンズ近似) [B-V]BB=-2.5log10(0.55/0.44)2+2.5log10(4063/3636)=-0.484+0.121=-0.363 [U-B]BB= -2.5log10(0.44/0.36)2+2.5log10(1790/4063)=-0.436-0.890=-1.326     このように、高温極限ではカラーはー∞ではなく、有限の値でとまる。 T→0では、 Bν (2hν3/c2)exp(-hν/kT) なので、(ウイーン近似)   [B-V]BB=-2.5log10(0.55/0.44)3-2.5log10[-0.654/T4]+2.5log10(4063/3636)     [U-B]BB=-2.5log10(0.44/0.36)3-2.5log10[-0.727/T4]+2.5log10(1790/4063) [B-V]BBも[U-B]BBも∞に発散する。

二色図 (Two Color Diagram) 二色図 (Two Color Diagram) 二つのカラーを縦軸、横軸にしたグラフを二色図と呼ぶ。その大きな特徴は、減光が無いとき、2色図は距離に依らないことである。 [U-B]対[B-V]二色図 B0V 左図ではU-Bの上がマイナスになっている。天文の習慣の1つである。 B-Vは黒体輻射と似て、温度が下がると大きくなる。 U-Bは1000Kから7000Kの間は温度が下がるとマイナス方向に小さくなる。 30,000 -1 U-B 1 10,000 6,000 A0V G0V 4,000 黒体輻射 主系列星 M0V 3,000 0 B-V 1 2

モデル t=107 yr Z=0.02 (Bertelli 1994)              AQ 2002 主系列星 K-M型主系列星 K-M型赤色巨星

3.4.色等級図 (color magnitude diagram) 縦軸に等級、横軸にカラーのグラフを色等級図と呼ぶ。 縦軸:log(L/Lo), logF 横軸:有効温度Te、log[F(ν1)/F(ν2)] などをとる場合も多い。 等級 HR図と呼ぶこともある。 カラー HR図と呼ぶこともある。 縦軸が示量性、横軸が示強性なので、天体の大きさ(R,L,M、Vなど)と 強度(T,ρ、vなど)を論じるには都合がよい。 二色図が示強性のカラーだけの図でしたがって距離に依存しないのに対し、 色等級図は縦軸が示量性で距離に依存する点に注意。

色等級図の例 (1) 最初の色等級図   縦軸=絶対等級   横軸=スペクトル型

(2) ヒッパルコス衛星が    観測した太陽近傍星 右下から斜めに延びるのが主系列。主系列の中ほどから上に赤色巨星枝が立ち上がっている。 この赤色巨星枝は老齢の小質量星であることが分かる。枝分かれ点がターンオフである。M=-1、V-I=1付近の塊が ターンオフの先に主系列が伸びているのは星形成が継続して続いた証拠である。

(3) バーデの窓(Baade’s Window)と太陽近傍星のレッドクランプ星 縦軸は絶対等級 MI 縦軸は見かけ等級 I バーデの窓のレッドクランプは太陽近傍よりも赤い。これは平均メタル量が高いためと考えられる。両者の等級差が距離指標(Distance Modulus)である。 Paczynski/Stanek 1998 ApJ 494, L219-222

(4) 銀極(左)と銀河中心(右)の2方向での赤外色等級図 銀極J-K=0.4で垂直に立ち上がるのはTHICK DISKに属する色々な距離のレッドクランプ星。 銀河中心方向の色等級図は解釈が難しい。

3.5. 輻射補正 logλF(λ) 1 F= ∫F(λ)dλ=共通 B型 暗い A型 やや明るい F型 F型 明るい M型 M型 暗い 3.5. 輻射補正  F= ∫F(λ)dλ=共通 Vバンド logλF(λ) 1 B型 A型  B型   暗い  A型 やや明るい F型  F型   明るい M型  M型   暗い -1 -0.5 V 0 logλ(μ) 同じ総フラックス同士でV等級をくらべると、F3V型星が最も明るい。 そこで、V=0のF3V星の輻射等級mBOL=0と定めた。 すると、V=0の星のmBOLは全て0より小となる。mBOL(V=0)=BCと呼ぶ。

輻射補正BC (Bolometric Correction)は、下式で定義される。 mBOL = mV+BC ここに、   mBOL=見かけ輻射等級 Apparent Bolometric Magnitude =-2.5log[∫F(λ)dλ/FoBOL]=-2.5log(F/FoBOL)   mV=見かけV等級 Apparent V Magnitude FoBOL : mV=0のF3Vの星の全フラックス=2.5 10-8 W/m2 BCは、mV とカラー[B-V](か温度T程度)の情報しかない天体の全フラックスを推定するために使用される。 黒体輻射に対する輻射補正BC mBOL=mv+BC      mBOL=-2.5log[∫F(ν) dν/FoBOL]、 mv= -2.5log[Fv(ν) /FoV] ただし、  F(ν) =BB(ν、T)  ∫F(ν) dν =(σ/π)T4               Fv(ν) =3636Jy、 FoBOL =2.5 10-8 W/m2

BC=mBOL-mv    = -2.5log [∫F(ν) dν/FoBOL] + 2.5 log [Fv(ν) /FoV]  Fv(ν) =3636Jy、 FoBOL =2.5 10-8 W/m2 を代入して、

矮星のTeを上式に代入して求めたBC(BB)を加えた表は以下のようになる。 Sp     O5  B0 A0 F0 G0 K0 M0 M5 Te    42,000 30,000 9,790 7,300 5,940 5,150 3,840 3,170 BC (star) -4.4 -3.16 -0.30 -0.09 -0.18 -0.31 -1.38 -2.73  BC(BB)  -3.68 -2.73 -0.34 -0.12 -0.14 -0.26 -0.89 -1.64 M型、O型で 黒体輻射より大きい補正が必要とされるのは、それぞれのスペクトルピーク付近(M型では近赤外、O型では紫外領域)でBBより大きいフラックスを持つことを示唆している。

大マゼラン雲(LMC)方向の近赤外色等級図を示す。破線領域の縦に伸びた指は、銀河系内の星、A-B-C-D の系列はLMCの赤色巨星枝である。 問題3 2005年11月7日           提出 3Aまたは3B 11月14日         大マゼラン雲(LMC)方向の近赤外色等級図を示す。破線領域の縦に伸びた指は、銀河系内の星、A-B-C-D の系列はLMCの赤色巨星枝である。 星は黒体輻射と仮定する。  点   J-Ks   Ks  A    0.8  14.0  B    1.2  11.1  C    1.9  10.2  D    3.7  11.2  バンド 波長(μm) Fo(Jy)    J   1.215  1630    Ks  2.157   667 LMCまでの距離は80Kpc C D B A

3A. 黒体輻射のカラー [J-Ks] が、温度Tの関数として下の式で表わされることを     示し、グラフとして図示せよ。     その図と全ページの [J-Ks] から A、B,C,D の温度 T(K) を推定せよ。 (J-Ks) 3B. A,B,C,Dの見かけ輻射等級mBOLと、星間減光=0としたときの光度L/Lo     を求めよ。