下水試料中の女性ホルモン 測定法の課題 -LC/MS/MSとELISAの比較から- 建設省土木研究所 ○高橋明宏、小森行也、矢古宇靖子、 岡安祐司、斉藤正義、東谷忠、田中宏明
背景・目的 17βエストラジオールの内分泌攪乱作用大 下水の内分泌攪乱作用にしめる割合大 実態調査(下水道)はELISA法を使用 ELISA法は測定簡易 but 正・負の誤差 ↓ LC/MS/MSを用いた測定法の検討 ELISA法の測定値を確認
LC/MS/MS法の検討 GC/MS : 誘導体化が必要 抱合体の分解必要 形態別の把握が困難 LC/MS/MS: 誘導体化が不要 抱合体の分解必要 形態別の把握が困難 LC/MS/MS: 誘導体化が不要 抱合体の分解不要 形態別の把握が可能 使用装置 : FINNIGAN TSQ7000
条件検討① イオン化法と特定イオン
条件検討② MS/MS測定条件 イオン強度が減少、BGが低下、S/N比が10倍以上向上
測定条件 LC/MS/MS法 装 置:TSQ7000、HP1100 カラム:HP Zorbax Eclops XDB-C18、2.1×150mm 移動相:アセトニトリル/水(60:40)、0.2mL/min 注入量:10μL イオン化 :AP-ESI Negative、Collision Energy 40eV、 Argon 2.2-2.3 mTorr 測定質量数:271( Parent )、145( Daughter )
供試試料 (下水試料) 11年7,8,9月、スポット、流入と放流
試料調整 LC/MS/MS(抽出) 試料1000ml SS ろ過 ろ液 超音波抽出(アセトン) C18固相抽出 溶出(EtOAc/MeOH=1/5) 乾固 抽出物
未精製試料の測定 Standard Influent 17βEstradiol 17βEstradiol-d3 未精製試料の測定 Standard Influent 17βEstradiol m/z=271 17βEstradiol-d3 m/z=273 Ethnyl Estradiol m/z=295 4.6×150mm、MeCN/H2O=6/4、0.4ml/min
精製方法 TLC法 Silica Gel 60 (MERCK)、CHCl3/アセトン=9/1 回収率は60~70% 抱合体の精製は不十分
精製した試料の測定 (TLC) 精製後 精製前 17βEstradiol 17βEstradiol-d3 Ethnyl Estradiol m/z=271、145 17βEstradiol-d3 m/z=275、145 Ethnyl Estradiol m/z=295、145
精製方法 抽出法・カラム法 抽出法 : 親水性成分の除去 EtOAc、EtOEt、n-Hxに溶解、食塩水で抽出 精製方法 抽出法・カラム法 抽出法 : 親水性成分の除去 EtOAc、EtOEt、n-Hxに溶解、食塩水で抽出 n-Hx/食塩水の組み合わせが良好 カラム法 : 疎水性成分の除去 シリカゲル、シリカゲルDEA、フロリジルを比較 フロリジルカラムにより良好に精製
試料調整 LC/MS/MS(精製) 抽出物 Hex:塩水抽出(ボウ硝脱水) Hex/CH2Cl2=1/1 フロリジルカートリッジ EtOAc/ CH2Cl2=1/19 シリカゲルTLC(CHCl3/アセトン=9/1) Rf 0.35~0.55・MeOH 測定試料(MeOH・1000倍)
測定の精度 標準物質 2~18ng/Lの標準混合溶液 IS:17βE2-d3 *ng/L 標準偏差の3倍を検出下限とした、
添加回収試験 下水試料
実試料の測定結果 LC/MS/MS法
試料調整 ELISA法 試料1000ml ろ過 SS ろ液 C18固相抽出(MeOH溶出) 超音波抽出(MeOH) 乾固 測定試料(10000倍・DMSO)
測定方法 ELISA法 ①希釈試料(20% DMSO溶液) ②抗体結合マイクロプレート ↓←酵素標識E2、試料、E2抗体 測定方法 ELISA法 ①希釈試料(20% DMSO溶液) ②抗体結合マイクロプレート ↓←酵素標識E2、試料、E2抗体 ③抗原抗体反応(室温、2時間) ↓←洗浄、発色試薬 ④発色反応(室温、暗所、30分) ↓←反応停止薬 ⑤測定(プレートリーダー、450nm)
実試料の測定結果 ELISA
ELISAとLC/MS/MSの比較(流入)
ELISAとLC/MS/MSの比較(流入)
まとめ LC/MS/MS法の測定方法を検討 17βE2の誘導体、抱合体も検出可 試料の精製が必要(検出下限0.3ng/L) 5処理場の流入と放流を3回測定 ELISA、LC/MS/MSを比較すると 流入は2.0~8.3倍(平均4.7倍) 放流は1ppt以下(LC/MS/MS)
今後の予定 LC/MS/MS法の前処理法の検討 抱合体の測定検討 ELISA法の測定値が高い要因の検討 ELISA法の前処理法の検討 生物影響との関係把握