反応性流体力学特論2009 第1講 (4/15) -燃焼工学入門-

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1 今後の予定 8 日目 11 月 17 日(金) 1 回目口頭報告課題答あわせ, 第 5 章 9 日目 12 月 1 日(金) 第 5 章の続き,第 6 章 10 日目 12 月 8 日(金) 第 6 章の続き 11 日目 12 月 15 日(金), 16 日(土) 2 回目口頭報告 12 日目 12.
内燃機関と外燃機関.
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医薬品素材学 I 1 物理量と単位 2 気体の性質 1-1 物理量と単位 1-2 SI 誘導単位の成り立ち 1-3 エネルギーの単位
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5.4 収集・運搬 収集・運搬機材の特性 1)バキュームカー
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常微分方程式と偏微分方程式 1.常微分方程式 独立変数が一個のもの 振動の運動方程式 2.偏微分方程式 独立変数が二個以上のもの
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やさしい地球環境に向けて アポロ興産株式会社 2012年7月
化学工学会インターンシップ成果報告 平成24年度 氏名 四宮 一平 所属 徳島大学大学院 学科 学年 先端技術科学教育部
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燃焼の流体力学 4/22 燃焼の熱力学 5/13 燃焼流れの数値解析 5/22
研究背景 電荷移行反応とは・・・ 核融合(重水素 + 三重水素→ヘリウム原子核+中性子) ・・・しかし、
22章以降 化学反応の速度 本章 ◎ 反応速度の定義とその測定方法の概観 ◎ 測定結果 ⇒ 反応速度は速度式という微分方程式で表現
小テスト(10月24日) 1.拡散係数について以下の問いに答えよ ①単位は? ②gas中、液中、固体中におけるオーダーは?
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◎ 本章  化学ポテンシャルの概念の拡張           ⇒ 化学反応の平衡組成の説明に応用   ・平衡組成       ギブズエネルギーを反応進行度に対してプロットしたときの極小に対応      この極小の位置の確定         ⇒ 平衡定数と標準反応ギブズエネルギーとの関係   ・熱力学的な式による記述.
今後の予定 (日程変更あり!) 5日目 10月21日(木) 小テスト 4日目までの内容 小テスト答え合わせ 質問への回答・前回の復習
モル(mol)は、原子・分子の世界と 日常世界(daily life)をむすぶ秤(はかり)
近代化学の始まり ダルトンの原子論 ゲイリュサックの気体反応の法則 アボガドロの分子論 原子の実在証明.
今後の予定 7日目 11月12日 レポート押印 1回目口頭報告についての説明 講義(4章~5章),班で討論
福井工業大学 原 道寛 学籍番号____ 氏名________
堆積炭塵爆発に対する大規模連成数値解析 研究背景 研究目的 計算対象および初期条件 燃焼波の様子(二次元解析) 今後の予定
4.燃焼と火炎性状(1).
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熱量 Q:熱量 [ cal ] or [J] m:質量 [g] or [kg] c:比熱 [cal/(g・K)] or [J/(kg・K)]
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PI補償器の出力を時変係数とする 定常発振制御系の安定性解析
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外部条件に対する平衡の応答 ◎ 平衡 圧力、温度、反応物と生成物の濃度に応じて変化する
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熱伝導方程式の導出 熱伝導:物質の移動を伴わずに高温側から低温側へ熱が伝わる現象 対流、輻射 フーリエの法則Fourier’s law:
固体→液体 液体→固体 ヒント P131  クラペイロンの式 左辺の微分式を有限値で近似すると?
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反応性流体力学特論2009 第1講 (4/15) -燃焼工学入門- 工学における燃焼流れ 燃焼流れシミュレーションの戦略

工学における燃焼流れ 燃焼装置 (制御された燃焼) 制御されない燃焼 燃焼と流れ 燃焼器/火炉/バーナ 燃費 騒音 燃焼装置 (制御された燃焼) 燃焼器/火炉/バーナ          燃費   騒音 内燃エンジン(ガソリン・ディーゼル)     排ガス  etc. 制御されない燃焼 火災・爆発     発火 消火 燃焼と流れ 物質(燃料・酸化剤)の輸送 温度の輸送 高温 燃焼 燃料 酸化剤 平成30年12月7日

工学における燃焼流れ 固体燃料 液体燃料 気体燃料 石炭 ~ 一般燃料、ボイラー用 (23~35 MJ/kg) 2次燃料(コークスなど)~製鉄  / ゴミ処理 液体燃料 ナフサ・ガソリン ~ジェット燃料、ガソリンエンジン (46 MJ/kg) 灯油・軽油 ~家庭用、ディーゼルエンジン (41 MJ/kg) 重油 ~ディーゼルエンジン、発電用 (37~41 MJ/kg) アルコール類 (バイオ燃料) 気体燃料 天然ガス(LNG) ~メタンガス  発電用 液化石油ガス(LPG) ~プロパンガス  都市ガス、タクシー 2次燃料(石炭・石油転換ガス、副生燃料ガスなど) 平成30年12月7日

工学における燃焼流れ 燃焼に必要な酸素量と空気量 混合比と混合気濃度 量論(理論)酸素量、空気量 : 質量分率[kg/kg] 燃空比=1/空燃比   : 量論燃空費(空燃比)=(F/A)st 当量比 φ= (F/A)/(F/A)st      φ<1 希薄燃焼、 φ>1 過濃燃焼 元素 原子量 完全燃焼反応 酸素量 空気量 生成量 C 12.01 C+O2= CO2 2.66 11.48 3.66 H 1.01 H+1/4O2= 1/2H2O 7.94 34.21 8.94 S 32.06 S+O2= SO2 1.00 4.30 2.00 空気の成分 O2 N2 CO2 Ar H2 質量分率% 23.20 75.47 0.046 1.28 0.001 体積分率% 20.90 78.03 0.030 0.933 0.01 (標準乾き空気の組成) 平成30年12月7日

工学における燃焼流れ 発熱量と燃焼温度 熱効率 Tbt= Hl /(Gw・cpm)+T0 cpm :平均定圧比熱 高発熱量Hh(水蒸気の潜熱含む)⇔低発熱量Hl(含まない) 理論断熱燃焼温度         Gw:湿り燃焼ガス質量比    Tbt= Hl /(Gw・cpm)+T0      cpm :平均定圧比熱   予熱のある場合、           cpu :未燃混合気の平均定圧比熱     Tbt=[Hl+(Gw・cpu)( Tu -T0 ) ]/(Gw・cpm)+T0   熱損失Qのある場合、     Tbt=(Hl-Q) )/(Gw・cpm)+T0 熱効率  燃焼効率 ηt=Qc/Hl                 ⊿H=Qc-Hl :不完全燃焼損失  熱効率   ηt=Qe/ΣQi ~ Qe/Hl    ⊿H=Qe- ΣQi :熱損失              Qc :発生熱量、Qe :有効熱量、Qi :入力熱量 平成30年12月7日

ガスタービン全体シミュレーション 圧縮機 燃焼器 タービン翼列 次世代ガスタービンへの設計指針 希薄予混合燃焼 環境問題への対応 要素技術として 噴霧液滴の取り扱い Flamelet-LES乱流燃焼モデル 熱伝達計算との接合 材料計算との接合 詳細化学反応モデル 消炎モデル 輻射モデル 燃焼器 乱流燃焼解析 燃焼振動解析 非定常現象の予測  ・吹き消え  ・逆火 噴霧燃焼  ・蒸発予測 輻射 発熱,熱損失予測 タービン翼列 次世代ガスタービンへの設計指針 希薄予混合燃焼 環境問題への対応 非定常乱流解析 熱伝達解析  冷却システム 耐熱材料の選定指針 出力予測 平成30年12月7日

燃焼流れシミュレーションの戦略 ex. combustion flow modeling 103 1 /RANS /LES Turbulent mixing    Flame dynamics   Chemical reaction  Structural design Structural analysis ・Stress / vibration ・Thermal striping Sound analysis ・Noise / instability Turbulence model ・Swirl / Recirculation ・Heat / Mass flux Flame propagation ・Premix / Diffusion flame ・Emission / Blow out Reaction model ・Rarefied combustion ・Alternative fuels PDF approach /RANS 103 1 Flamelet approach /LES Detail of chemical element reaction Element reaction/DNS NO OH CO : 平成30年12月7日

解析条件(火炎近似モデル) 解析対象 三次元バーナ 総節点数 675,400 バーナ内径; 1D=9.4[mm] 流入条件 解析対象 三次元バーナ 総節点数 675,400 バーナ内径; 1D=9.4[mm] 流入条件  ・inlet1 C3H8 20.0 [m/s]  ・inlet2 Air 66.0 [m/s]  ・inlet3 Air 10.0 [m/s] 時間刻み 1.0×10-5 [sec/step] Time step 40,000[step] 空間離散化 ; 二次中心差分 (混合分率輸送方程式は一次風上差分) 時間積分 ; Crank-Nicolson法 計算時間; 8hour/10,000step    (HITACHI SR11000/K1 1node 16CPU) 初期条件;領域全体に主流方向速度1.0[m/s] 電気化学工業株式会社 提供 平成30年12月7日

解析条件 (詳細反応解析) 時間刻み ;1.0×10-7 [sec/step] Time step ; 15,000 [step] 計算時間 ; 23hour/10,000step (30反応式)  反応モデル ;拡大Zeldovich 機構を含む C3H8の30,113反応式 flamelet approach ・時間刻み ;1.0×10-5 [sec/step] ・Time step;40,000 [step] ・計算時間 ; 8hour/10,000step 拡大Zeldovich 機構 N2+O⇔NO+N O2+N⇔NO+O N+OH⇔NO+H ・生成速度は温度上昇により増加、燃焼反応に比べ遅い 平成30年12月7日

解析結果の比較 (温度分布) X=11D flamelet approach X=58D 30 equations 平成30年12月7日

実機燃焼器内の複合火炎の解析 解析対象燃焼器 解析条件 Reynolds数:17700 Outlet 解析格子:非構造6面体格子 Inlet 解析セル数:226万セル 標準Smagorinskyモデル   (Cs=0.1) Outlet 600mm Inlet Combustion chamber Swirl nozzle 解析結果 主流方向 平均速度 (x/D=3/8) 瞬時主流速度分布 主流方向 速度変動 (x/D=3/8) 平成30年12月7日

実機燃焼器内の複合火炎の解析 瞬時火炎面分布(G=G0) 瞬時温度分布 瞬時燃料濃度分布 x=118mm 平成30年12月7日