確率・統計Ⅰ 第3回 確率変数の独立性 / 確率変数の平均 ここです! 確率論とは 確率変数、確率分布 確率変数の独立性 / 確率変数の平均 確率変数の平均(続き)、確率変数の分散 確率変数の共分散、チェビシェフの不等式 ベルヌイ試行と二項分布 二項分布(続き)、幾何分布など 二項分布の近似、ポアソン分布、正規分布 正規分布とその性質 i.i.d.の和と大数の法則 中心極限定理 統計学の基礎1(母集団と標本、確率論との関係) 統計学の基礎2(正規分布を用いた推定・検定) ここです!
確率変数の独立性 / 確率変数の平均 2つの確率変数の同時分布 確率変数の独立性 確率変数の平均の定義 確率変数の平均の性質(1)(2)(3)
2つの確率変数の同時分布(離散型) P( X = xi , Y = yk ) = rik 同時分布 X Y ΣΣ r ik = 1
2つの確率変数の同時分布(離散型) P( X = xi ) = ai (Xだけの分布) P( Y = yi ) = bi (Yだけの分布) 周辺分布 P( Y = yi ) = bi (Yだけの分布) X Y Σ[i] r ik = a i , Σ[k] r ik = b k 1
連続確率変数の場合 同時分布密度 r(x, y) X の分布密度 f (x) (周辺分布) Y の分布密度 g (y) (周辺分布)
確率変数の独立性 / 確率変数の平均 2つの確率変数の同時分布 確率変数の独立性 確率変数の平均の定義 確率変数の平均の性質(1)(2)(3)
2つの確率変数の独立(離散型) 確率変数 X, Y が独立 とは P( X = xi , Y = yk ) = P( X = xi ) P( Y = yk ) rik = ai・ bk
2つの確率変数の独立(離散型) X と Y が独立 の場合の分布表 X Y たとえば、「表が出る確率が p の硬貨を2回投げたとき、表表の確率はp2」などとやっていたのは、このことを無意識に使っていたというか、この定義で「独立」になるようにモデルを作っていたのである。
(n個の確率変数の独立) 確率変数 X1, X2, …, Xn が独立 とは P( Xi = xi , Xj = xj , …, Xk = xk ) = P( Xi = xi ) P( Xj = xj ) … P( Xk = xk ) が 任意の m 個 (≦n) に対して成り立つこと
連続確率変数の場合 XとYが独立 ⇔同時分布密度 r(x, y) = f (x) g(y) (周辺分布)
× 独立試行と数学定義 数学 定理・結論 確率空間 P(A∩B)=P(A)P(B) 偶然現象 (硬貨投げなど) A(1回目が表)と 本質の抽出 偶然現象 (硬貨投げなど) A(1回目が表)と B(2回目が表)は無関係 (直観的事実) 表の出る確率は1/2 直観 × (偶然の中の法則性) 実験と比較 × 数学 定理・結論 確率空間 P(A∩B)=P(A)P(B) 証明 (数学モデル) (数学モデルにおける 「独立」の定義) (数学的結論)
確率変数の独立性 / 確率変数の平均 2つの確率変数の同時分布 確率変数の独立性 確率変数の平均の定義 確率変数の平均の性質(1)(2)(3)
離散型確率変数の平均 X の確率分布を P( X = xi ) = pi としよう。 X の平均 E(X) = 期待値の略 確率変数の「平均」は、重みつき平均の一種である。(高校まででは「期待値」と呼ぶ。) 「期待値」などというと期待に胸を躍らせているようだが、くじの販売業者(胴元)の立場から見れば、(くじを一本幾らで売るべきかという)単なる損益分岐点にすぎない。その意味でも、「平均」の呼び名にふさわしい。 期待値の略
離散型確率変数の平均 連続型確率変数の平均 X の平均 E(X) = E(X) = 確率密度 「平均」とは「期待値」のことで、「取る値×その確率」をすべての可能性について足し合わせたものである。 そしてΣを∫に、P( X=k ) を P( X∈dx ) に対応させて見れば、連続の場合も離散の場合と考え方は同じであることがわかるだろう。 E(X) = 確率密度
確率変数の独立性 / 確率変数の平均 2つの確率変数の同時分布 確率変数の独立性 確率変数の平均の定義 確率変数の平均の性質(1)(2)(3)
平均の性質(1) 特に、 X の一次式で与えられる確率変数の平均については、次の式が成り立つ: 証明してみよ。(離散でも連続でもほとんど同じ)
平均の性質(1)の証明 X の確率分布を P( X = xi ) = pi としよう。 E(aX+b) = Σ(axi+b) pi 連続型の場合も同様にして証明してみよ。(課題1) = aΣxi pi + bΣpi = aE(X) + b
平均の性質(1) 例: サイコロを1回投げ、(出た目の数×2)-3 を Y とする。 Y の平均 E(Y) を求めよ。 Y -1 1 3 5 7 9 確率 1/6 を使わなくても、出た目X の平均 E(X)=3.5 を用いて
平均の性質(2) 2つの確率変数 X と Y の和 X+Y の平均について、次の式が成り立つ: これは、性質(1)よりずっと難しい話である。Xの確率密度をf(x), Yの確率密度をg(x)とするとき、X+Yの確率密度は f(x)+g(x)ではない(積分しても1にならず2になってしまうことからもわかるだろう)。2つの異なる確率変数を同時に考えるためには、2変数関数を扱う必要があり、平均などの計算も二重積分を用いなければならない。
平均の性質(2) したがって、n個の確率変数 X1,…Xn の和 の平均については、
平均の性質(2) 例: サイコロを10回投げ、出た目の数の和 を Y とする。Y の平均 E(Y) を求めよ。 i 回目に出る目の値を Xi とすると、 E( Xi )=3.5 だから、
平均の性質(2)の証明 2つの確率変数を同時に考える場合でも、 E(X) は X の分布 ai からΣxi ai のように 計算してよい。 Y E(X) = ΣΣxi rik = Σxi Σrik = Σxi ai a1x1 a2x2
平均の性質(2)の証明 E(X+Y) = ΣΣ(xi+yk) rik = ΣΣxi rik + ΣΣyk rik 連続型の場合も同様にして証明してみよ。(課題2) = Σxi ai +Σyk bk = E(X) + E(Y)
平均の性質(3) E(XY) = E(X) E(Y) E(XY) = ΣΣ(xi yk) rik = ΣΣ xi yk ai bk 証明 E(XY) = ΣΣ(xi yk) rik 連続型の場合も同様にして証明してみよ。(課題3) = ΣΣ xi yk ai bk = Σxi ai Σyk bk = E(X) E(Y)
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