物理学Ⅰ - 第 4 回 - 前回の復習 力について ニュートンの三法則 ベクトル量 重力と電磁気力(→分子間力)が本質 遠隔力・・・重力 物理学Ⅰ - 第 4 回 - 前回の復習 力について ベクトル量 重力と電磁気力(→分子間力)が本質 遠隔力・・・重力 接触力・・・物質と物質の接触面には必ず力 ニュートンの三法則 第一法則と第二法則が見出されるところまで 物体は「動かしにくさ」を特徴付ける質量を持つ 力∝質量×加速度
今日の内容 先週の繰越分 第二法則と第三法則 重心の運動を理解する 第4章 ニュートンの法則の応用 1.応用のポイント 2.応用の具体例 第二法則と第三法則 重心の運動を理解する 物体を重心にある質点と見る 第4章 ニュートンの法則の応用 1.応用のポイント 2.応用の具体例 運動の様子から働く力を考察する 日常の現象で働く力と運動
§2 ニュートンの三法則 (続き) ☆ニュートンの第二法則(運動方程式) 力=質量×加速度 質量 :kg原器の質量を1kgと呼ぶ §2 ニュートンの三法則 (続き) ☆ニュートンの第二法則(運動方程式) 力=質量×加速度 の関係で力の大きさを定義する 質量 :kg原器の質量を1kgと呼ぶ 「動かしにくさ」の指標 加速度:メートル毎秒毎秒[m/s2] で測る ⇒質量1kgの物体を1[m/s2] で加速する 力の大きさ≡1[kg・m/s2] ・・・ 長いので1[N]と呼ぶ ニュートン
そうるすと、運動方程式は? 例:バネによる単振動 (円運動との関係) バネに取り付けられた球の運動 力が0の時の球の位置:原点(O) 球を引く⇒バネには元に戻ろうとする力(復元力)が生じる 球を押す⇒やはり元に戻ろうとする力 F = - k x + p x2 + q x3 + s x4 + ‥ (フックの法則) (様々な他の力:今は考えない) 復元力F :原点からの伸縮の長さxに比例 (∝kx、k:バネ定数 [N/m]) そうるすと、運動方程式は?
運動方程式 球に働く力: F = - k x 復元力がマイナスになっている点に注意 ⇒バネによる抵抗力なので運動を打ち消す方向 復元力がマイナスになっている点に注意 ⇒バネによる抵抗力なので運動を打ち消す方向 よく出る方程式 (機械、分子、光などなど) この方程式(微分方程式)はどのように解くか? ⇒ 球の位置x がt とともにどのように変化する?
運動方程式(微分方程式)を解く ω2 = k/m とすれば確かに解になっている。 周期的に振動する解 ⇒ sin, cos x = sin(ωt) を代入してみる (ω:角周波数、角速度) = -kx = -k sin(ωt) (復元力に等しい) ω2 = k/m とすれば確かに解になっている。
同様に B cosωt も解。そうすると、 A sinωt +B cosωt 円運動で記述可能! 単振動 角速度 振動現象は円運動の射影 性質:解の重ね合わせ (線型性) Θ=ωt+Φ :位相(phase) Φ:初期位相 ω:角速度(角周波数:rad/s) 円運動で記述可能! 角速度 単振動 振動現象は円運動の射影
☆ニュートンの第三法則(作用・反作用の法則) 経験則 物体を押すと 手は押し返される 大きさは等しく向きは逆 (反作用) ニュートンの第三法則(作用・反作用の法則) 物体Aが物体Bに力(作用) を及ぼすとき、 物体Bは物体Aに力(反作用) を及ぼす それまで認識されて いなかった偉大な発見 力は必ず対で生じる りんごは地球を引っ張る!
光の作用・反作用 光マニピュレーション,光ピンセット 光:レーザー 微粒子 光の運動の変化: 光子(光の粒)と微粒子の 作用反作用 対物レンズ 微粒子 光の運動の変化: 光子(光の粒)と微粒子の 作用反作用
ニュートンの第三法則と重心の運動 二つの質点の運動 (→大きさがある物体) 質量 位置 質点の間に働く力(内力) 分子間力など 二つの質点の運動 (→大きさがある物体) 質量 位置 質点の間に働く力(内力) 分子間力など 第三法則(作用反作用) 質点1,2以外の力を全てひっくるめて外力とする 質点が外部から受ける力(外力) 重力など 運動方程式(第二法則)
二式の両辺を加えると内力が相殺 第三法則 全質量 の一つの物体と捉えられるか? 質量中心(重心)を導入 運動方程式 重心は重力に注目したときの表現 外力の合力 運動方程式 質量 、位置 で表される質点の運動方程式
大きさのある物体は無数の分子(質点)の集まり 多数の質点の系でも同様 個の場合 大きさのある物体は無数の分子(質点)の集まり 質量中心に注目すると質点の運動として扱える 質量中心は外力の合力で決まる運動をする M 1つの質量中心の運動 複数の質点
第4章 ニュートンの法則の応用 この章のポイント 1.運動に注目して働く力を考える 静止(加速度0)、等加速度運動、円運動 第4章 ニュートンの法則の応用 この章のポイント 1.運動に注目して働く力を考える 静止(加速度0)、等加速度運動、円運動 2.いろいろな力が働くときの運動を求める 摩擦力(抗力)、空気抵抗 3.みかけの力(慣性力)を理解する 加速度運動する人が物体の運動を観測する 運動方程式は釣り合いの関係を表す方程式 (どれだけ質点や力が増えても同じ) →詳しくは例題
§2 運動から力を考える(4-1、2、12、13) ☆力学的平衡状態(力のつりあい→運動方程式で表す) 「静止」も運動のひとつ §2 運動から力を考える(4-1、2、12、13) ☆力学的平衡状態(力のつりあい→運動方程式で表す) 「静止」も運動のひとつ 加速度0 ⇒ 物体が受ける合力は0 例 斜面に静止する物体(静止するという事は力が0) 垂直抗力 摩擦力 (平行) 合力0より力の大きさが求まる (重力、抗力、摩擦力のつり合い) 重力 運動から力の情報を得る
問2 体重50kgの人が20kgの台(滑車を含む)の上で 問2 体重50kgの人が20kgの台(滑車を含む)の上で 図のようにロープを引いて支えている(静止)。 この人が台の上で体重計に乗っているとすれば 体重計は何kgの目盛りを指すか 1. 2. 3. 4. 5. 50kg 70kg 120kg 140kg 200kg
問2 体重50kgの人が20kgの台(滑車を含む)の上で 問2 体重50kgの人が20kgの台(滑車を含む)の上で 図のようにロープを引いて支えている(静止)。 この人が台の上で体重計に乗っているとすれば 体重計は何kgの目盛りを指すか 人にかかる重力:mg 板にかかる重力:Mg 板からの抗力:N ロープの張力:F 静止状態にあるので、ma = Ma = 0 より 上向きを正方向とすると 0= -mg+N-F 0= -Mg-N+2F よって、板にかかる抗力:N=(2m+M)g
答 120kg 人 台 静止している物体の受ける合力は0
☆等加速度運動 近似的に等加速度運動として扱える場合は多い 空気抵抗が小さい場合の自由落下(鉛直、斜面上) 一定の力での乗り物などの加減速 教科書例題参照 問題解決のテクニック 複数の物体がある場合 ・一緒に動く(同じ速度・加速度)なら一体と考えてもよい 全質量と外力の合力で運動方程式を考える ・個別に考える場合は物体間に働く力には第三法則 それぞれの物体に働く力をしっかり捉える
加速度aは、10[m/s]÷10[s]=1[m/s2] 運動方程式: Ma=T cos(30°)-f より 教科書例題 M=1[t]の物体が、10[s]後に速度10[m/s]となった。物体の摩擦力f を300[N]とし、等加速度で加速されたとして、力T[N]を求めよ。 M 30° f 加速度aは、10[m/s]÷10[s]=1[m/s2] 運動方程式: Ma=T cos(30°)-f より 1000[kg]×1[m/s2]=Tcos(30°)-300[N] よって、T=1300[N]÷cos(30°)〜1500[N]
教科書例題2 図のように連結された質量M, mのブロックが滑らかな床の上におかれている。質量Mのブロックを力Fを加えて加速したとき、質量mの受ける力を求めよ。 m M 滑らかな床なので摩擦は0 連結されているので、加速度aはブロックm,Mともに同じ ・Fに対する運動方程式: F=(M+m)a ・Tに対する運動方程式: T=ma よって、a=F/(M+m)より、T=mF/(M+m)となる
☆等速円運動 等速円運動の加速度 2章を 参照 (次ページ) スピードと角速度の関係 ←円弧の長さ s=rθより F 向心力 o F 向心力 等速円運動を起こす力の大きさ :円の中心を向く方向
2章☆等速円運動の加速度 と は一定 大きさ 円の中心を向く方向 ↓ ( ) 角速度(dθ/dt)一定より
例 カーブを曲がるには体を倒す 遠心力 抗力 (向心力) 体を倒すと地面から受ける力が向心力となる 等速円運動の一部と考えて近似 例 カーブを曲がるには体を倒す 遠心力 抗力 (向心力) 体を倒すと地面から受ける力が向心力となる 等速円運動の一部と考えて近似 急カーブを曲がるには大きな力が必要 (r→小:無理矢理曲げるための力)
教科書例題3 重量1500kgの車が半径20mのカーブを曲がる。道路とタイヤの静止摩擦係数μ=1として、滑らないでカーブを曲がれる最大速度を求めよ。 但し、最大静止摩擦力 fs = μN (Nは車の地面に対する抗力)(後述する) F v m r 向心力 静止摩擦力 F=fs が吹っ飛ばない最大の向心力なので、 よって、v=14[m/s]=50[km/h]
} 日常の現象で働く力と運動(4-3~6、8~11) 重力 鉛直下向きに 物体があれば常に働く 垂直抗力、張力 外力に対する反作用の力 外力に対して受動的に働く 摩擦力 } 抗力に起因した力(次ページ) 空気抵抗 ばねの力 11章で扱う 力のことが分かればあとは運動方程式を解くだけ 教科書の例題などを参照
☆摩擦力 ずれに対する抵抗力 μ:静止摩擦係数 静止摩擦力 最大静止摩擦力 物体を引く(押す)力 が 小さいときは静止摩擦力 が働き動かない 物体を引く(押す)力 が 小さいときは静止摩擦力 が働き動かない 最大静止摩擦力 静止摩擦力の大きさには限界 ⇒ 物体を引く(押す)力の大きさが 最大静止摩擦力の大きさ を越えると物体は動き出す
動摩擦力 最大静止摩擦力と動摩擦力の大きさ 面を押す力が増加 ⇒ ミクロの接触面積が増加 ⇒面を押す力の大きさに比例する 物体が動き始めると運動と反対向きに動摩擦力 が働く 大きさは一定 力や速さとは無関係 最大静止摩擦力と動摩擦力の大きさ 面を押す力が増加 ⇒ ミクロの接触面積が増加 真実接触面 ⇒面を押す力の大きさに比例する =反作用の垂直効力の大きさ :静止摩擦係数 :動摩擦係数 静止状態の方が「圧着」の効果が大きい
物体の置き方と摩擦力 単位面積にかかる力は2倍 押しつぶされて接触面積も2倍 接触面の分子間力も2倍 全面積は半分 合力は同じ 摩擦力は置き方に依らない 合力は同じ 注意 ゴムなど変形が大きい場合は当てはまらない
摩擦係数の例 面上の物体 静止摩擦係数 動摩擦係数 鋼鉄上の鋼鉄 0.74 0.57 鋼鉄上の銅 0.53 0.36 コンクリート上のゴム 1.0 0.8 木上の木 0.25-0.5 0.2 金属上の金属(潤滑油塗布) 0.15 0.06 氷上の氷 0.1 0.03 人の関節 0.01 0.003
図のように質量mの物体に床からの角度θの方向に力を加え、一定の速度で引く。動摩擦係数をμとし、このとき、最小の張力となる角度を求めよ。 教科書例題4 m θ N mg fk 力の釣り合いを考える 鉛直方向: 、水平方向: Nを消去すると、 Tが極小になるには、分母が極大になれば良いので、 → μ=tanθとなる角度
☆空気抵抗 (流体の抗力) 2種類の抗力 圧力抵抗(慣性抵抗) 物体のスピードの2乗と断面積に比例 粘性抵抗(摩擦抵抗) ☆空気抵抗 (流体の抗力) 物体の運動方向とは反対向きに働くブレーキ 2種類の抗力 圧力抵抗(慣性抵抗) 物体のスピードの2乗と断面積に比例 粘性抵抗(摩擦抵抗) 物体のスピードと周長に比例
圧力抵抗 -流体を押しのけて進むのに必要な力、 圧力抵抗 -流体を押しのけて進むのに必要な力、 スピードの2乗に比例する 高速の物体で大きな効果 密度 断面積 流体を「押しのけ」ながら進む (A・v:単位時間に押しのける体積) ⇒ 反作用の力を受ける 押しのける流体の質量 押しのける勢い 「衝突」の反作用の大きさ ⇒ 流線型(A→小)にすると比例係数が小さくなる
摩擦で流体がまとわりつく ー 流体をひきずる 粘性抵抗力 - 流体の粘性により発生 第10章 速さに比例 低速の小さな物体、粘性の大きな流体で効果大 側面積 長さ 摩擦で流体がまとわりつく ー 流体をひきずる ひきずる流体の量 ひきずって動かす力の反作用を受ける 流体をひきずる速さ 流体の速さのひずみ ⇒ 流体は粘性で引きずられる部分を止めようとする ⇒
空気抵抗下での運動 圧力抵抗が無視できる場合 ↓粘性抵抗 成分に分けて解くことができる 速度を求めてから積分する 粘性抵抗が無視できる場合 ↓圧力抵抗 圧力抵抗の方程式は難しい 成分ごとの方程式にならない
簡単な場合 鉛直方向の落下 下方を正に取る 圧力抵抗が無視できる場合 粘性抵抗が無視できる場合 ⇒ 微分方程式を解く問題 簡単な場合 鉛直方向の落下 下方を正に取る 圧力抵抗が無視できる場合 粘性抵抗が無視できる場合 ⇒ 微分方程式を解く問題 意欲ある人は自習 いずれの場合もスピードが上がると加速度0 (右辺が0になる) その時の速度を という 最終速度
グラフで見ると似たような振る舞い 速度 粘性抵抗のみ (初速度≠0) 時間 圧力抵抗のみ 速度 (初速度=0) 時間 比較するには初速度をそろえるべきだが・・・ 圧力抵抗のみ 速度 (初速度=0) 速度が小さいときはブレーキが効かない 時間
物体の地表での速さは秒速100m程になる。 地表付近での雨粒の実際の速さは? 問5 大気がない場合、500mの高さから落下した 物体の地表での速さは秒速100m程になる。 地表付近での雨粒の実際の速さは? 1. 2. 3. 4. 秒速70~90m 秒速40~50m 秒速7~9m 秒速2~3m
答 空気抵抗は非常に大きい ⇒10m程加速した後は一定の速度で落下 演習問題参照
今日のまとめ ニュートンの第二法則 ニュートンの第三法則 ニュートンの法則の応用 運動方程式には3つの役割 運動方程式には3つの役割 ニュートンの第三法則 物体間に互いに及ぼしあう力が作用・反作用の関係 物体を重心にある質点と見るのが最適 ニュートンの法則の応用 運動の原因を考える場合 力によりどのような運動が起こるかを考える場合 日常の現象で働く力として摩擦力と空気抵抗の例
復習内容 例題 3-2〜3-13、4-1、4-3〜4-9、4-14-15 上記例題を自分で確認しておく事 講義で省略した部分は自習する 余力があれば章末の演習も