表現文化論入門 (坂井 孝一) 守屋 三千代 大野 久美 渋谷 明子 寒河江 光徳 山中 正樹

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表現文化論入門 (坂井 孝一) 守屋 三千代 大野 久美 渋谷 明子 寒河江 光徳 山中 正樹      表現文化論入門                (坂井 孝一)                       守屋 三千代                       大野 久美                       渋谷 明子                       寒河江 光徳                        山中 正樹                       「表現文化論入門」第1回講義 ガイダンス

授業概要  (シラバス参照。以下同じ。) 授業計画・内容   到達目標 評価・試験方法 科目全般の問い合わせ:   山中正樹 教授まで (AW1123研究室)    mail to : yamanaka ※ soka.ac.jp (※は@)

担当教員の所属と研究テーマ (学部web siteより) ☆坂井 孝一教授 (歴史学M) ※1(御著書)  「鎌倉初期政治史・鎌倉期文化史・室町期芸能史」  ☆守屋三千代教授 (異文化コミュニケーション〈日本語〉M) ※2    「認知言語学・現代日本語文法・認知類型論・文化記号論」      ☆大野 久美教授 (表現文化M)  ※3  「ユージン・オニール研究・20世紀アメリカ演劇研究・演劇理論」      ☆渋谷 明子准教授 (社会学M)      「メディアと社会心理」  ※4 ☆寒河江光徳准教授  ※5  (表現文化M/ユーラシア地域研究M/異文化コミュニケーション〈ロシア語〉M)       「文芸批評と創作への応用・ロシア文学・文芸学」   ☆山中 正樹教授 (表現文化M)  ※6     「近代日本文学・文学理論・現代思想・国語教育」 

外部講師による特別講義 ☆いままで担当された講師 村上政彦氏 (作家)※a 本名陽子氏 (声優・女優・歌手)※b  宮島達男氏 (現代美術家)※c  岡崎満義氏 (文芸春秋社 元取締役)※d  木根尚登氏 〈TMネットワーク Gt. / Vo.〉 ※e (音楽家・小説家・童話作家・ 音楽プロデューサー)  松本茂雄氏(歴史家・著述家)※f   上田正樹氏(音楽家)

☆ 〈表現文化〉とはなにか? 「芸術作品のように、ある媒体を用いて、いまここには存在しないものを再現 ☆ 〈表現文化〉とはなにか?  表現 ≒ 表象(representation) 「芸術作品のように、ある媒体を用いて、いまここには存在しないものを再現  (represent)することである。」   ※記号(論)的意味  (川口喬一/岡本靖正 [編]    『最新文学批評用語辞典』     研究社出版、1998年8月10日)

〈記号〉とは何か? ☆「記号」(sign) 或る情報を他者に伝達したいと思っている人がまずなさなくてはならないことは、そのままでは影も形もない情報に形を与えて、相手にも感じとって貰えるようにするーつまり「表現」する(表に現す)―ことである。「表現」は二つの性質を備えていなければならない。一つは、情報の内容を表していること、もう一つは、相手によって知覚されうるということである。[中略]それが一般に「記号」(sign)と呼ばれるものである。記号に備わっている二つの面は、それぞれ「記号内容」( signifié )と「記号表現」( signifiant )と呼ばれる。 〈池上嘉彦ほか『文化記号論への招待』1983 有斐閣〉

★言語コミュニケーションの6要素 <言語活動の六機能> ★言語コミュニケーションの6要素       〈 R・ヤーコブソン『一般言語学』1973 みすず書房〉    コンテクスト(context 文脈)    メッセージ (message 伝達される情報) 発信者 ―――――――――――――― 受信者 コンタクト (contact 接触)   コード   (code 規則) 

→ 言語・法律・ゲームの規則・貨幣・看板etc. ◇コードとは何か?  ☆コード(code)  「伝達行動で、伝達内容(メッセージ)が相手に伝わるように、記号を組み合わせる際に用いられる規則もしくは慣習(約束事)のこと。発信者と受信者の双方が共有すると考えられるもの。」     (『最新文学批評用語辞典』より) → 言語・法律・ゲームの規則・貨幣・看板etc.  ※人間の活動およそすべての事物と関わる。   

◇コード化と脱コード化 「構造主義を通過したコミュニケーション理論において情報伝達の典型的モデルは情報発信者による情報のコード化(encoding)と、その受け手による脱コード化もしくはコード解釈(decoding)というものである。コード化と脱コード化が適切に行われるためには、共有されたコード体系を必要とする。」(河野真太郎)  大橋洋一編『現代批評理論のすべて』            (新書館、2006年3月25日)   ※コード解釈とコンテクスト・コノテーション

☆〈コード化〉と〈脱コード化〉  構造主義を通過したコミュニケーション理論において、情報伝達の典型的モデルは情報発信者による情報のコード化(encoding)と、その受け手による脱コード化もしくはコード解釈(decoding)というものである。コード化と脱コード化が適切に行われるためには、共有されたコード体系を必要とする。 ※著作権の関係で、三点の写真を消去しました。

◇脱コード化(コード解釈)の実例 ☆フェルメール「ヴァージナルの前の二人」 ※著作権の関係で、写真を消去しました。

◇脱コード化(コード解釈)の実例 ※著作権の関係で、三点の写真を消去しました。 ☆フェルメール「ヴァージナルの前の二人」  「ここでは、「あいまいさ」という言葉を、「同一のカンバス上に一の真実ではなく複数の同等に有効な真実を同時に表現する能力」という意味で用いる。この絵画では、男性と女性の関係をめぐり複数の真実が同時に存在している。〔中略〕この絵画の中ではこれらのシナリオすべてが同じ程度に有効であり、このようにし同時に複数の理想(イデア)を満たすことが出来るのである。」(セミール・ゼキ2002 PP.66-69)  ※著作権の関係で、三点の写真を消去しました。

参考文献 ☆本日使用したもの 池上嘉彦他著『文化記号論への招待 ことばのコードと文化のコード』(1983 有斐閣) 川口喬一/岡本安正[編]『最新 文学批評用語辞典』 (1998 研究社出版) ☆参考図書 池上嘉彦『記号論への招待』(1984 岩波新書) 中山元『高校生のための批評文キーワード100』 (2005 ちくま新書) セミール・ゼキ、河内十郎監訳 『脳は美をいかに感じるか』(2002年2月 日本経済新聞社)