高脂血症.

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メタボリックシンドロームの考え方. 危険因子の数と心臓病のリスク 軽症であっても「肥満(高 BMI )」、「高血圧」、「高血糖」、「高トリグリセリド(中性脂肪) 血症」、または「高コレステロール血症」の危険因子を2つ持つ人はまったく持たない人に比べ、
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サノフィと Regeneron 社は、脂質管理の重要性の認知 向上と LDL コレステロール治療におけるアンメット メディカルニーズの研究に寄与してまいります。 脂質管理におけるアンメットニーズ 2015 年 6 月作成 2016 年 5 月改訂 SAJP.ALI 監修 : 帝京大学医学部.
11-2 知っておくと役立つ、 糖尿病治療の関連用語 一次予防、二次予防、三次予 防 1.1. インスリン依存状態 インスリン非依存状態 2.2. インスリン分泌 3.3. 境界型 4.4. グルカゴン 5.5. ケトアシドーシス、ケトン体 6.6. 膵島、ランゲルハンス島 7.7. 糖代謝 8.8.
川口内科医院 健康教室(動脈硬化) 川口内科医院   院長   川口光彦.
1. ご高齢の糖尿病患者さんと 若い人との違いはなに? 2. ご高齢の糖尿病患者さんの 治療上の注意点 3.
三例の糖尿病性腎症導入例 仁和寺診療所 田中 貫一 仁和寺診療所.
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福山市民病院 内科 山陽病院 内科 辰川匡史 (武田製薬の資料を参考にしました )
LDL-C代謝機構の 新たなパスウェイ PCSK9 野原 淳 先生 監修: 金沢大学大学院 医薬保健学総合研究科 脂質研究講座 特任准教授
第4日目. 24で割って21余るグループ 21 宇都宮 真理子 69 西岡 舞 93 三好 琴子 45 白井 太一朗
脂質代謝.
背景 CABGを必要とする虚血性冠動脈疾患の背景には動脈硬化の影響があり、プラークの退縮効果が明らかにされているスタチンを投与することで予後を改善する効果が期待される CABGを行った患者に対しスタチンを投与することで予後を改善する効果を検証することが本研究の目的である 2015/2/17 第45回日本心臓血管外科学会.
脂質管理における アンメットニーズ 寺本 民生 先生 監修 : 帝京大学医学部 臨床研究センター センター長 2015年6月作成
体重減少 ◎食欲があるのに体重が減る ⇒糖尿病、甲状腺機能亢進症、吸収不良症候群などを疑う ◎食欲がなくて体重が減る ⇒その他の疾患を疑う
CHA2DS2-VAScスコア別 RE-LY®サブグループ解析結果の考察 小川 久雄 熊本大学大学院 生命科学研究部 循環器病態学
体重増加 短期間で 急に太った いつもと同じ食生活をしているのに… 定期的に運動をしているのに…
Association of Major and Minor ECG Abnormalities With Coronary Heart Disease Events 心電図異常と 心血管イベントの関係 谷川 徹也 JAMA, April 11, 2012—Vol 307, No
全身倦怠感 全身倦怠感はさまざまな病気にみられます 疲れやすい… だるい…
職員健診;判定基準変更 ~血圧・脂質・尿酸等の疫学、 診療ガイドラインを背景として~ 高血圧症/脂質異常症合併患者の疫学と治療実態 1.
EWTOPIA75 高LDLコレステロール血症を有するハイリスク高齢患者 (75歳以上)に対するエゼチミブの脳心血管イベント発症
胸痛をもたらす疾患の頻度と重大性.
狭心症と心筋梗塞 大橋壮樹 大垣徳洲会病院.
最近の脂質検査と治療 ーー動脈硬化性疾患を中心にーー 自治医科大学大宮医療センター 櫻林郁之介
研究テーマ 福山大学 薬学部 生化学研究室 1) 脂質代謝を調節するメカニズムに関する研究 2) がん細胞の特徴と
糖尿病とは インスリン作用不足による 慢性の高血糖状態を主徴とする 代謝疾患群 まず糖尿病とはどんな病気か知ってしますか?
2型糖尿病患者におけるナテグリニドと メトホルミン併用療法の有効性と安全性の検討
生活習慣病について 船橋市医師会ホームページ掲載用.
メタボリック症候群(MetS)の有無と、成人以降の体重増加とCKDの関連
歯の健康と歯科健診の受診について 〈6月4日は「虫歯予防デー」です〉 2012年6月 出光興産健康保険組合.
CHA2DS2-VAScスコア別 RE-LY®サブグループ解析結果の考察 小川 久雄 熊本大学大学院 生命科学研究部 循環器病態学
高LDLコレステロール血症患者の栄養指導上の問題点について
第2回栄養セミナー 川崎医科大学 糖尿病内分泌内科 衛藤 雅昭 生活習慣病(肥満,糖尿病,高脂血症)の 食事療法
高血圧 診断・治療の流れ 診断と治療の流れ 問診・身体診察 二次性高血圧を除外 合併症 臓器障害 を評価 危険因子 生活習慣の改善
第1章:ATIS(アテローム血栓症)とは? atherothrombosis
EWTOPIA75 高LDLコレステロール血症を有するハイリスク高齢患者 (75歳以上)に対するエゼチミブの脳心血管イベント発症
糖尿病 診断・治療の流れ 診断と治療の流れ 問診・身体診察 検査 診断 治療
Hironori Kitaoka.
生活習慣を変え、内臓脂肪を減らすことで生活習慣病の危険因子が改善されます
1. 痛風・高尿酸血症とは 2. 糖尿病・糖尿病予備群と 痛風・高尿酸血症の関係 3. 高尿酸血症の治療は 3ステップで 4.
血管と理学療法 担当:萩原 悠太  勉強会.
日本糖尿病学会のアクションプラン2010(DREAMS)
ヒトインスリン混合製剤30から 二相性インスリン アスパルト30/70への 切り替え時における食後高血糖および 動脈硬化の改善
1. 糖尿病の患者さんは、脳梗塞や 心筋梗塞に注意が必要です 2. 脳梗塞と心筋梗塞の原因は どちらも動脈硬化です 3.
メタボリックシンドロームはなぜ重要か A-5 不健康な生活習慣 内臓脂肪の蓄積 高血糖 脂質異常 高血圧 血管変化の進行 動脈硬化
メタボリック シンドローム.
脂質異常症.
コレステロール その生合成の調節について 家政学部 通信教育課程 食物学科 4年 大橋 万里子 佐藤 由美子 鷲見 由紀子 堀田 晴 子
「糖尿病」ってどんな病気?? ★キーワードは・・・「インスリン」!!!
・尿酸 ・血清尿素窒素 ・クレアチニン ・GOT(AST) GPT(ALT) ・γ-GTP ・C反応性たんぱく
高脂血症の恐怖 胃 基礎細胞生物学 第14回(1/22) 2. 胃酸の分泌 1. 胃 3. 消化管(小腸)上皮細胞の更新
資料 1.「指導対象者群分析」のグループ分けの見方 特定健康診査及びレセプトデータによる指導対象者群分析 【フロー説明】
喫煙者は糖尿病に なりやすい!! 保険者機能を推進する会 たばこ対策研究会 003_サードハンドスモーク(3).pptx.
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4.生活習慣病と日常の生活行動 PET/CT検査の画像 素材集-生活習慣病 「がん治療の総合情報センターAMIY」 PET/CT検査の画像
小児に特異的な疾患における 一酸化窒素代謝産物の測定 東京慈恵会医科大学小児科学講座 浦島 崇 埼玉県立小児医療センター 小川 潔、鬼本博文.
健診におけるLDLコレステロールと HDLコレステロールの測定意義について~高感度CRP値との関係からの再考察~
第2回 市民公開講座 糖尿病を知って その合併症を防ぎましょう
福島県立医科大学 医学部4年 実習●班 〇〇、〇〇、〇〇、〇〇、〇〇、〇〇
災害時の循環器リスクスコア - AFHCHDC7 Score
目的 オメガ3脂肪酸エチルは,エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)を含む魚由来の製剤で,中性脂肪低下作用を持ち,抗動脈硬化作用を持つとされている. 現在までに心血管系イベントの抑制効果についての報告がなされているが,慢性腎臓病(CKD)に対する効果ははっきりしない. このため,当院でのCKD患者にオメガ3脂肪酸エチルを投与した結果について,各種疾患やCKDステージとの関連を含めて検討した.
1. 糖尿病の自覚症状は あてにならない 2. 主な検査の種類 3. 検査値の意味と 基準値・コントロール目標 4.
脂質異常症 7月 疾患別研修.
A-2 男性用 健診結果から今の自分の体を知る 内臓脂肪の蓄積 ~今の段階と将来の見通し~ 氏名 ( )歳 摂取エネルギーの収支
目黒区CKD対策ネットワーク 連携ガイド このような患者さんをご紹介下さい 専門病院リスト(外来枠順) 再紹介基準
高槻市医師会地域連携クリティカルパス(患者様用)
異所性妊娠卵管破裂に対する緊急手術中の輸血により輸血関連急性肺障害(TRALI)を発症した1例
院長コラム~グレープフルーツと薬物の相互作用~
心電図 二次チェック 非ST上昇心筋梗塞 ST上昇心筋梗塞 ー不安定狭心症 予防的治療: (禁忌でなければ): βブロッカー、ACE阻害薬
A-3 女性用 健診結果から今の自分の体を知る 内臓脂肪の蓄積 ~今の段階と将来の見通し~ 氏名 ( )歳 摂取エネルギーの収支
吹田研究(2009年発表分) (対象:4694人、期間11.9年)
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高脂血症

治療方針

患者カテゴリー(A~C)

高脂血症の食事療法

HMG-CoA 還元酵素阻害薬(スタチン) 現在、日本では以下の5種類が使用可能。全高脂血症薬のシェアの90%を占める。 プラバスタチン(メバロチン)、シンバスタチン(リポバス) フルバスタチン(ローコール)、アトルバスタチン(リピトール) ピタスタチン(リバロ) HMG-CoA 還元酵素阻害薬(スタチン)はLDLを強力に低下させる。 機序  ①コレステロールの合成抑制  ② LDL受容体の発現活性化  ③血中からのLDL取り込み促進 ・25%~40%のLDL低下作用 ・2%~7%のHDL上昇作用 ・5%~20%のTG低下作用 ・動脈硬化抑制作用   (血管内皮細胞、血液凝固系、抗炎症作用・プラークの安定化)

HMG-CoA 還元酵素阻害薬(スタチン)の特徴 性質 LDL      低下率 TC        低下率 特徴 適応 プラバスタチン (メバロチン) 水溶性 20~25% 15~20% 高い水溶性により副作用少ない。エビデンス多い。 高齢者、腎機能低下などハイリスク例。軽症例 シンバスタチン (リポバス) 脂溶性 25~30% 3番目に強い効果。 軽~中等症例 フルバスタチン (ローコール) 20% 抗酸化作用あり 糖尿病、              腎疾患例 アトルバスタチン (リピトール) 40% 30% 強力なLDL低下作用。エビデンス出てきている。 重症例、            家族性高コレステロール血症 ピタバスタチン (リバロ) 28% 強力なLDL低下とHDL上昇作用。薬物相互作用の可能性が少ない。 重症例、高齢者 コレステロールの生合成は夜間亢進すると考えられるので夕投与のほうがよい

虚血性心疾患例での高脂血症治療 HMG-CoA 還元酵素阻害薬(スタチン)やフィブラート系による治療で、虚血性心疾患の二次予防が明らかになった。 LDLを20%以上低下させる事で冠動脈病変の進展抑制を生じ、             心血管イベントの再発率、死亡率を低下させる。 虚血性心疾患の二次予防のためのスタチンによる治療では              脳卒中の予防効果も示されている。 目標のLDL値としては、LDLは下げれば下げるほど冠動脈疾患の再発予防に効果的であるが、125mg/dℓ以上の場合にのみ抑制作用が見られる。 虚血性心疾患の予防のためには、高脂血症治療だけではダメ! 非糖尿病患者では、血糖値が110~144mg/dℓを超えると 心筋梗塞による死亡率が3.9倍となる    Lancet 355:773 2000

大規模臨床介入試験では、 Wos study 冠血管イベント抑制効果はLDL低下以外の要素が関連していることが判明。 LIPID(Long term Intervention with Pravastatin In Ischemic Disease)           CHD既往患者で平均的TC値患者でも、スタチン投与により、CHD関連死亡、総死亡率、非致死性心筋梗塞、脳卒中が有意に抑制。                       CARE(Cholesterol and Recurrent Events Trial)                                                                  TC240mg/dl以下のCHD既往者にスタチンを投与。 CHD再発率は-24%の有意な減少。治療前LDL値は150以上で-35%、125~150で-26%、125未満で有意差なし。 MIRACL                                           ACS発症後4ヶ月の短期間に虚血の再発抑制効果があった。 AVERT 安定狭心症患者にアトルバスタチンを投与し平均LDL-Cを77mg/dL以下に低下させたところ,PTCA群に比べ投与群で心血管イベントの発症率が36%低下した。 REVERSAL試験 アトルバスタチンによる積極的な脂質低下療法で動脈プラークの進展が停止。             (冠血管内エコー検査による評価) 以上からスタチンの動脈硬化抑制作用が示されている