線 形 代 数 (linear algebra) linear ・・・ line(直線)の形容詞形 直線的な、線形の、一次の

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線 形 代 数 (linear algebra) linear ・・・ line(直線)の形容詞形 直線的な、線形の、一次の     線 形 代 数    (linear algebra) linear ・・・ line(直線)の形容詞形      直線的な、線形の、一次の algebra・・・代数      数の代わりに記号を用い                 て演算を行うこと    a+2b=c ,  y=ax+b

数学 ---> 抽象化、一般化 より複雑な関係ー>解析学 一次関数 y=ax+b より多くの要素ー>線形代数 x y f(x) y1 x1 数学 ---> 抽象化、一般化 より複雑な関係ー>解析学 一次関数 y=ax+b より多くの要素ー>線形代数 要素       関係       要素 x y f(x) y1 x1 y2 x2 線形 ・ ・ ・ ・ ym xn

線形代数の重要性 理系、文系を問わず、幅広い分野の基礎 自然科学、工学、経済学、等 計算機の出現ー>情報化 大量のデータの高速な計算    自然科学、工学、経済学、等 計算機の出現ー>情報化    大量のデータの高速な計算 実社会での幅広い応用    情報技術の基礎

行 列 複数の要素を、縦と横に表の形に 並べたもの。 行列の例: 買い物 値段 購入数 25 70 100 1 2 3 0 30 80 行 列   複数の要素を、縦と横に表の形に 並べたもの。      行列の例:   買い物 値段 購入数 果物屋 スーパー みかん 30 25 りんご 80 70 バナナ 120 100 みかん りんご バナナ 佐藤  1  2  3 田中 鈴木  0

行列の例: 物を作る 工場での生産 原料の使用量 製品の生産量 製品A 製品B 原料p 2 2.5 原料q 1.5 1 原料r 3 4 今週 行列の例:  物を作る 工場での生産 原料の使用量 製品の生産量 製品A 製品B 原料p  2 2.5 原料q 1.5 1 原料r 3 4 今週 来週 製品A  10 12 製品B 16 20

行 列 a11 a12 ・・・・・ a1n m行n列の行列 a21 a22 ・・・・・ a2n A= m×n型の行列  行 列    a11  a12 ・・・・・ a1n  m行n列の行列 a21  a22 ・・・・・ a2n A= m×n型の行列 ・・・・・・・・・・・・ am1 am2 ・・・・・ amn m×n行列 aij:行列Aの (i , j) 成分 a1j a2j  [ ai1  ai2 ・・・・・ ain ] Aの列 ・ ・ Aの行 amj

A=[ aij ], A=[ aij ]m×n, A=[ aij ] 零行列:全ての成分が0であるような行列 0 0 0 O= 0 0 0 正方行列:行と列の数が等しい行列 n次正方行列:n×n行列

対角成分:正方行列の成分のうち、対角線上 に並ぶ成分 a11 a12 ・・・ a1n  a21 a22 ・・・ a2n 対角行列 A= ・ ・ ・ aii 2 0 0 ・ ・ ・ 0 3 0 an1 an2 ・・・ ann 0 0 4 対角行列:正方行列のうち、対角成分以外の 成分は全て0である行列

スカラー行列:対角成分が全て等しい対角行列 単位行列:対角成分が全て1で、それ以外の 成分は全て0である行列 1 0 0 E= E3= 0 1 0 0 0 1 スカラー行列:対角成分が全て等しい対角行列 2 0 0 0 2 0 0 0 2

転置行列:行と列を入れ替えた行列 tA:行列Aの転置行列 a11 a12 ・・・・・ a1n a11 a21 ・・・・・ am1 A= tA= ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ am1 am2 ・・・・・ amn a1n a2n ・・・・・ amn 1 4 1 3 -2 A= tA= 3 5 4 5 2 -2 2

n次の行ベクトル:1×n行列 m次の列ベクトル:m×1行列 [ 0 2 0 1 ] 4次の行ベクトル 3次の列ベクトル [ 0 2 0 1 ] 5 3 4次の行ベクトル 3次の列ベクトル クロネッカーのデルタ:δij δij ={ 1 ( i=j ) En=[δij ] 0 ( i≠j ) n×n

行列の演算 行列の和と差 行列の型が等しいときに限って定義される 行列のスカラー倍 a 1 -2 8 -2 5 1 -1 3 9 + =  行列の演算    行列の和と差 行列の型が等しいときに限って定義される 1 -2 8 -2 5 1 -1 3 9 + = 2 5 -1 3 -1 2 5 4 1 行列のスカラー倍 1 -2 8 3 -6 24 2 1 2a a a 3 = = 2 5 -1 9 15 -3 4 3 4a 3a

 行 列 の 積 買い物の例:    値段 購入数 果物屋 スーパー みかん 30 25 りんご 80 70 バナナ 120 100 みかん りんご バナナ 佐藤  1  2  3 田中 鈴木  0 果物屋 スーパー 佐藤 550 465 田中 540 460 鈴木 210 175 佐藤,果物屋 30×1+80×2+120×3=550 田中,スーパー 25×2+70×3+100×2=460

行 列 の 積 生産の例: 原料の使用量 製品の生産量 製品A 製品B 原料p 2 2.5 原料q 1.5 1 原料r 3 4 今週 来週  行 列 の 積 生産の例:    原料の使用量 製品の生産量 製品A 製品B 原料p  2 2.5 原料q 1.5 1 原料r 3 4 今週 来週 製品A  10 12 製品B 16 20 今週  来週 原料p  60 74 原料q 31 38 原料r 94 116 原料pの今週の使用量 2×10+2.5×16 =60 原料rの来週の使用量 3×12+4×20 =116

Aの列の個数とBの行の個数が等しいとき に限って定義される 行列の積 行列Aと行列Bの積は Aの列の個数とBの行の個数が等しいとき  に限って定義される B:n×r行列 A:m×n行列 A=[ aij ], B=[ bj k] AB= [ aij ] [ bj k] = [ ci k] m×n n×r m×r cik = ai1 b1k + ai2 b2k +・・・・・+ ain bnk  (1≦i ≦m, 1 ≦ k ≦ r)

行列の積 k列 k列 i行 i行 = m行r列 m行n列 n行r列       行列の積 k列 k列 a11 a12 ・・・・・・・・ a1n      ・・・・・・・・・・・・・ ai1  ai2 ・・・・・・・・ ain am1 am2 ・・・・・・・ amn b11・・b1k ・・ b1r b21・・b2k ・・ b2r   ・・・・・・・・・・・・・  ・・・・・・・・・ bn1・・bnk ・・・ bnr c11 ・・ c12 ・ c1r      ・・・・・・・・・・・・・ ci1 ・・ cij ・ cir cm1 ・・cm2 ・ cmr i行 i行 = m行r列 m行n列 n行r列 n cik= ai1 b1k + ai2 b2k +・・・・・+ ain bnk = ∑ aij bjk j=1

3 1 0 2 1 -3 11 -10 -4 = 2 0 -1 1 -5 2 -9 9 7 -1 4 1 1 3 2 1 [ 1 3 2 ] = -1 -3 -2 -1 2 6 4 2 1 = 2 [ 1 3 2 ] -1 2

(A+B)+C=A+(B+C) (和の結合律) [aij+bij] +[cij] =[aij+bij+cij]   行列の演算に関する性質 正方行列 A,B AB=BA -> 行列AとBは可換である <和の性質> A+B=B+A            A+O =A [aij+bij]=[bij+aij] [aij+0]=[aij] (A+B)+C=A+(B+C)  (和の結合律) [aij+bij] +[cij] =[aij+bij+cij] [aij]+[bij+cij]=[aij+bij+cij]

(ab)A=a(bA), (aA)B=a(AB) <積の性質> AE=EA=A A0=0, 0A=0 (AB)C=A(BC)  (積の結合律) <スカラー倍> 0A=0, 1A=A (ab)A=a(bA), (aA)B=a(AB)

a(A+B)=aA+aB, (a+b)A=aA+bA <分配律> a(A+B)=aA+aB,  (a+b)A=aA+bA A(B+C)=AB+AC, (A+B)C=AC+BC A1+A2+・・・+An  すべてのAiの型が等しければ定義され、和をとる順によらず決まる A1A2・・・An  隣り合う行列の積が定義されるならば定義され、積をとる順によらず決まる

Aのべき乗An=AA・・・A  n個 行列の和、積と転置 t(A+B)= tA+ tB            t(AB)= tB tA            べき零行列 Am=o 

行列の分割 A11 A12 ・・・・・ A1t A21 A22 ・・・・・ A2t A= As1 As2 ・・・・・ Ast = = A11  行列の分割    A11  A12 ・・・・・ A1t  A21  A22 ・・・・・ A2t A= ・・・・・・・・・・・・・・・ As1 As2 ・・・・・ Ast 2 3 0 2 3 = = A11 A12 A11 A12 = 1 -2 0 1 -2 A21 A22 5 3 -9 A21 = [ 5 3 ] A22 = [ -9 ]

n1 n2 nt A11 A12 ・・・・・ A1t n1 B11 B12 ・・・・・ B1u A21 A22 ・・・・・ A2t n2 A= B= ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ As1 As2 ・・・・・ Ast nt Bt1 Bt2 ・・・・・ Btu C11  C12 ・・・・・ C1u  C21  C22 ・・・・・ C2u AB= ・・・・・・・・・・・・・・・ Cs1 Cs2 ・・・・・ Csu Cij = Ai1 B1j + Ai2 B2j +・・・・・+ Ait Btj  (1≦i ≦s, 1 ≦ j≦ u)

数ベクトル a,b,・・・,u,v,x,y アルファベットの小文字の太字 列ベクトルへの分割 A= =[ a1 a2 a3 a4 ] 1 3 4 4 A= =[ a1 a2 a3 a4 ] 2 1 0 -1 1 0 5 0 1 3 4 4 a1 = , a2 = , a3 = , a4 = 2 1 0 -1 1 0 5 0

行列の積の数ベクトルを用いた表現 a1 a2 ・am B=[ b1 b2 ・・・ br ] A= a1 b1 ・・・・・ a1 br a1 B a2B ・ am B a2 b1 ・・・・・ a2 br AB= =[Ab1 ・・・Abr ] = ・・・・・・・・・・・・・・・ am b1 ・・・・ am br

Ax=b 行列と連立1次方程式 a11x1+a12x2+・・・・・+a1nxn=b1 a21x1+a22x2+・・・・・+a2nxn=b2   行列と連立1次方程式 a11x1+a12x2+・・・・・+a1nxn=b1 a21x1+a22x2+・・・・・+a2nxn=b2 ・・・・・・・・・・・・ am1x1+am2x2+・・・・・+amnxn=bm  Ax=b 係数行列 a11  a12 ・・・・・ a1n        x1     b1 a21  a22 ・・・・・ a2n      x2  b2 A= x= b= ・・・・・・・・・・・・ ・・ ・・ am1 am2 ・・・・・ amn    xn bm

拡大係数行列 a11 a12 ・・・・・ a1n b1 a21 a22 ・・・・・ a2n b2 A b = A b = ・・・・・・・・・・・・ am1 am2 ・・・・・ amn bm 数ベクトルの1次結合 c1a1+c2a2+・・・+cmam 2 1 =2 + 3 3 1

Ax=b x1 Ax=[a1 a2・・・an] =x1a1+x2a2+・・・+xnan xn x1a1+x2a2+・・・+xnan =b  Ax=b x1 Ax=[a1 a2・・・an]   =x1a1+x2a2+・・・+xnan ・・ xn x1a1+x2a2+・・・+xnan =b