あなたに合った 薬と出会うために 監修 : 昭和大学名誉教授 上島 国利 すまいるナビゲーター ブックレットシリーズ No.4 監修 : 昭和大学名誉教授 上島 国利 こころの健康情報局 すまいるナビゲーター http://www.smilenavigator.jp 2018年4月改訂 AB1804097 AT
「薬」を「靴」にたとえてみると… あなたに合った「靴」を探しましょう! ■あなたの治療目標 目的にあった靴の種類を選ぶ ■薬の用量 靴のサイズや重さ ■副作用 足のトラブル(靴ずれなど) ■剤形や服用回数 あなた好みの色やデザイン ■薬に対する印象 (飲みごこち、使い勝手) 靴の履きごこち 提供:社会福祉法人 桜ヶ丘社会事業協会 桜ヶ丘記念病院 宮本聖也先生 イラスト:松鳥むう©
治療の主役はあなた自身 あなたが 感じていることを 主治医に 伝えましょう。 困った副作用は 出ていませんか? お薬に対する 印象は どうですか? 飲みごこち ・ 使い勝手 改善した症状は? 改善していない 症状は? 生活に影響する 症状が ありますか? イラスト:松鳥むう©
「薬を変えたい」と考えている あなたに 薬の切り替えにあたって ■ストレスのかかることや 生活環境が大きく変わ る予定はないですか? ■ストレスのかかることや 生活環境が大きく変わ る予定はないですか? ■家族や友人、医療スタッ フの協力を得ることが できますか? ■何かあったら、すぐに 医療機関を受診するこ とができますか? イラスト:松鳥むう©
薬の切り替え方法① 上乗せ後漸減法(うわのせごぜんげんほう) 現在の薬の用量はそのままで、新しい薬を追加し、量を調整した後で前の薬を徐々に減らしていく方法です。 ●切り替え中の症状の悪化、 前薬の離脱症状が出現する 可能性が低い。 現在の薬 ●前薬と新しい薬が重複 している時期は、一時的に 薬の量が増えるため副作用 発現の可能性が高まる。 ●他の方法に比べ切り替え 完了まで時間がかかる。 新しい薬 イラスト:松鳥むう©
薬の切り替え方法② 漸増漸減法(ぜんぞうぜんげんほう) 現在の薬の量を少しずつ減らし、同時に新しい薬を徐々に増やしていく 方法です。 ●新しい薬の開始と同時に 前の薬を減らしていくので、 上乗せ後漸減法に比べて 切り替え完了までの時間が 短い。 現在の薬 ●切り替え方法が複雑 ●切り替え中に症状が 不安定になることがある。 ●切り替え途中にみられた 症状がどちらの薬による ものかわかりにくい。 新しい薬 イラスト:松鳥むう©
薬の切り替え方法③ 即時中断漸増法(そくじちゅうだんぜんぞうほう) 現在の薬を直ちに中止し、新しい薬を徐々に増やしていく方法です。 ●最も簡単な切り替え方法 ●薬を急激に切り替える ため、症状の悪化や 前の薬の離脱症状が出現 する可能性が高い。 イラスト:松鳥むう©
薬の切り替え時の注意 切り替え時に起こりうる症状 わずかな変化でも主治医の先生に伝えましょう。
新しい薬で期待できること 切り替えの効果 ■副作用が減る ■陽性症状が少なくなる ■陰性症状が少なくなる 数日で良くなることもありますが、数週間~数カ月かかることもあります。 ■陽性症状が少なくなる 妄想・幻覚・思考障害などが、数週間~数カ月の単位で改善していきます。完全には消失しないこともあります。 ■陰性症状が少なくなる 感情の平板化・思考の貧困・意欲の欠如・自閉などの改善は部分的なことが多く、ゆっくり数カ月にわたって良くなります。 ■認知機能障害が少なくなる 記憶力・注意力・判断力の低下などの改善は部分的なことが多く、完全には消失しないこともあります。 ■抑うつや不安の軽減 他の症状の改善とともに良くなる傾向があります。 イラスト:松鳥むう©
症状の回復に伴う注意点 新たに生じる問題 ■病気はもう治ったと思って服薬しなくなる ■急激な感情の回復 ■周囲の期待や要望の高まり 服薬の中断は症状の再発につながります。 ■急激な感情の回復 つらい感情(さびしさ、恥ずかしさ、悲しみなど)が押し寄せる。 ■周囲の期待や要望の高まり 新しいストレスを感じ、挫折することも。 ■病気で失った時間を取り戻そうとする 焦った行動(職探し、デートなど)で苦い経験をすることも。 ■再発の不安 回復に伴う「良い」ストレスも、挫折による「悪い」ストレスも同じように 症状を引き起こします。 イラスト:松鳥むう©
「剤形を変えたい」と考えている あなたに 剤形の変更にあたって ■剤形には飲み薬(錠剤、口腔内崩壊錠、液剤、細粒剤)の ほかに、1回の投与で2~4週間効果が持続する持続性注 射剤(LAI:エル・エイ・アイ)があります。 ■無理なく、自分らしい生活をしながら 治療を続けられる剤形を選びましょう。 ■持続性注射剤の使用を希望される 場合には、まず主治医に あなたの希望を伝えましょう。 イラスト:松鳥むう©