ニコチン依存の仕組みと その治療 ABE NAIKA IIN 「タバコを吸うとどんな気持ちになるでしょうか? ほっとするとか、落ち着くとか…」 (※以後、本人が使う「ほっとした」「落ち着く」に相当する言葉を使って話を進めていく) 「ほっとする、落ち着く、という感情は人間の体のどこで生まれると思いますか?」 ABE NAIKA IIN
気持ちよさを生み出すシステム 体に良い情報 ABE NAIKA IIN 「実は人間は脳の前の方(側座核)で、ほっとする、落ち着く、安らぐといった気持ちを感じています。そしてここがどのように刺激されるかというと、まず体によい情報、たとえば『美味しいご飯をいっぱい食べたよ』『仕事や勉強がすんだよ』という情報が、脳の後の方(腹側被蓋野)に伝わります。この部分を拡大してみますね」 ABE NAIKA IIN
気持ちよさを生み出すシステム 落ち着く~ 体に良い情報 ドパミン 側座核細胞群 ドパミン作動性神経 アセチルコリン 「この脳の前の方(側座核)と後の方(腹側被蓋野の間には(ドパミン作動性)神経が走っています。まず先ほどもお話させていただいたように、体によい情報、たとえば『美味しいご飯をいっぱい食べたよ』『仕事や勉強がすんだよ』という情報が脳の後ろの方(腹側被蓋野)に伝わります。たとえば子供の頃、『美味しいおやつをいっぱい食べて満足した』という経験はいかがでしょうか? また子供の頃『宿題が終わったぁ! さあ、遊びに行こう!』という経験はいかがでしょうか。こういう良いことがあったときに、脳からはアセチルコリンという物質が分泌されるのです。そしてこの(ドパミン作動性)神経にはアセチルコリンと結合する部分があります。アセチルコリンを鍵とするのなら、この (ドパミン作動性)神経に鍵穴があるようなものです。そして『美味しいご飯をいっぱい食べたよ』『仕事や勉強がすんだよ』という情報によってアセチルコリンという鍵が出てくると、その(ドパミン作動性)神経の鍵穴にはまりこんで、 (ドパミン作動性)神経が興奮し電気が流れます。つまりこの(ドパミン作動性)神経はアセチルコリンを受け取って、そして電気を流す、という仕事をしているのです。そして電気が流れると、今度はこの(ドパミン作動性)神経の前の方(側座核)でドパミンという物質が分泌されます。脳の前の方(側座核)の細胞には、ドパミンを受け取る部分があります。ドパミンを鍵とするのなら、この脳の前の方(側座核)の細胞には、ドパミンを受け取る鍵穴があるようなものです。そしてこのドパミンがこの脳の前の方(側座核)と結合し電気が流れることで、『あぁ、落ち着くなぁ』『あぁ、安らぐなぁ』という感情が生み出されるわけなのです。つまりこの前の方(側座核)の細胞はドパミンを受け取って、そして電気を流し、「落ち着く」「安らぐ」という感情を作り出す仕事をしているのです」 「ところでこのアセチルコリンという物質は人の体の中にあるものなのですが、たまたま偶然、このアセチルコリンと似た作用をもった物質を作っている植物があるのです。想像つくでしょうか。実はタバコという植物が作っているニコチンという物質が、たまたまこのアセチルコリンと同じような作用を持っていたのです。いわばタバコという植物が、たまたまアセチルコリンという鍵に似た合鍵を作っていたようなものです」 ドパミン作動性神経 ドパミン アセチルコリン ABE NAIKA IIN
気持ちよさを生み出すシステム ニコチン 落ち着く~ ドパミン 側座核細胞群 ドパミン作動性神経 ABE NAIKA IIN 「そしてタバコの葉を燃やして、肺に入れるとどうなるとかというと、タバコを吸って5秒~10秒もすると、肺から脳へ血液の流れに乗ってニコチンがやってきて、この(ドパミン作動性)神経にニコチンが結合します。するとこの(ドパミン作動性)神経が興奮して、瞬間的に多量のドパミンが出て、脳の前の方(側座核)の細胞に結合します。 するとこの細胞に電気が流れ安らいだ落ち着いた気持ちになります。つまり『体によいことなんか何もなくっても』タバコを吸いさえすれば、ニコチンが多量のドパミンを出してくれて、安らいだ落ち着いた気持ちになれるのです」 「良いことなんか何もなくっても、タバコを吸いさえすれば、直接、瞬間的に多量のドパミンが出て、落ち着いた安らいだ気持ちになれる。これって素晴らしい良いことだと思いませんか?」 「ただし良い話には落とし穴もあります。例えば●●さんの[ご主人さん/奥さん/恋人/家族]が、ある日[仕事で画期的な業績をあげて/小説を書いてみたら大ベストセラーになって]毎月1,000万円の収入が入ってきたとしますよね。そして何も仕事をしなくても、いくらでも贅沢ができる生活になったとします。良い話ですよね。さてそれではそうなると、●●さんが頑張って仕事をしようという意欲はどうなるでしょうか?」 「仕事をしようという意欲なんかなくなってしまいますよね。さて実は先ほどの脳の話に返りますが、脳でも同じようなことがおきるのではないかと言われています。先にお話したとおり、脳の前の方(側座核)の細胞は『美味しいご飯をいっぱい食べたよ』『仕事や勉強がすんだよ』といったような「体によいこと」となる情報によって出てきたドパミンを受け取り、そして落ち着く、安らぐ、といった気持ちを作り出していました。ところが再々、多量のドパミンが分泌されるようになると、この脳の前の方(側座核)の細胞のドパミンを受け取る仕事はどうなってしまうと思われますか?」 ドパミン作動性神経 ドパミン ABE NAIKA IIN
気持ちよさを生み出すシステム ?? 体に良い情報 ドパミン 側座核細胞群 ドパミン作動性神経 アセチルコリン ABE NAIKA IIN 「そう『鈍る』、さぼってしまいます。鈍ってしまうと、今度は体によい情報があってドパミンが出てきても、それに反応しなくなってきますよね。脳の前の方(側座核)の細胞がドパミンを受け取る仕事を少々さぼっても、タバコを吸ってニコチンがいつもやってくるようになり、瞬間的に多量のドパミンが出てくるのなら、それで十分ということになりますよね」 「実はさきほどドパミンが鍵で、この脳の前の方(側座核)の細胞にそれを受け取る鍵穴があるという話をしましたが、多量のドパミンを脳の前の方(側座核)の細胞が再々浴びるようになると、その鍵穴(ドパミン受容体)が減少し、ドパミンに対する反応性が鈍るということがわかっています。」 ドパミン作動性神経 ドパミン アセチルコリン ABE NAIKA IIN
一日でタバコを吸っているのは どんな時? 朝、起きたとき …ストレスがたまっているときですか? 食後 仕事や勉強が一段落したとき お酒を飲んでいるとき …ストレスがたまっているときですか? 「例えば、喫煙者が普段、どんなタイミングでタバコを吸っているのか、代表的な4つのタイミングをあげてみました。「朝、起きたとき」「食後」「仕事や勉強が一段落したとき」「お酒を飲んでいるとき」この中で●●さんに、いくつかあてはまるものはあるでしょうか?」 「さてそこで考えていただきたいのですが、「朝、起きたとき」というのはストレスがたまっているときでしょうか?」 「それから「ご飯を食べた後」というのはストレスがたまっているときでしょうか? たとえば「あぁ、まずいご飯を食べたから、ストレスがたまる」と思ってタバコを吸うのでしょうか?」 「そして「仕事が終わって仕事から解放されたとき」というのは本当にストレスがたまっているときでしょうか? 例えば●●さんが子供の頃、宿題が終わったあと、どんな気分だったでしょうか? 「やったー! 宿題が終わったぁ! 遊びに行こう!」とか思われませんでしたか?」 「また「お酒を飲んでいる」ときはストレスがたまっているときでしょうか? たとえば「この酒はまずいし、一緒にいる奴は嫌な奴だし、あぁ、ストレスがたまる」と思ってタバコを吸っているのでしょうか? 全部違いますよね。ということは、ストレスがたまっているときどころか、ストレスから開放されたときにタバコを吸っていると思いませんか?」 「たとえば、食後にタバコを吸えなかったらどんな気持ちになりますか?」 「たとえば、仕事の後にタバコを吸えなかったらどんな気持ちになりますか?」 「たとえば、宴会の席でにタバコを吸えなかったらどんな気持ちになりますか?」 「じゃあ、子供の頃からそうだったのでしょうか? たとえば子供の頃、ご飯を食べた後にタバコがなくて困りましたか?」 「子供の頃、宿題が終わった後に、タバコがなくて困りましたか?」 「ということは、子供の頃と今と自分が違ってきてしまっている、ということですよね。どうして違ってきてしまったのだと思いますか?」 「先に述べたように、タバコを吸えばドパミンが出て、ほっとできる、落ち着ける、というのは嘘ではありません。けれど、こういうストレスがたまっていない筈のタイミングばかりタバコが欲しくなるというのは不思議だなぁ、と思われませんか」 ABE NAIKA IIN
気持ちよさを生み出すシステム ?? 体に良い情報 ドパミン 側座核細胞群 ドパミン作動性神経 アセチルコリン ABE NAIKA IIN 「実はこの落ち着き、安らぎを生み出している神経が、その仕事をさぼってしまったために、子供の頃と今は違うようになってしまったのですね。確かにタバコを吸ってニコチンが入ってくれば、この神経は多量のドパミンを請け負って、落ち着き、安らぎが生み出されますよね。しかし、今度は逆に『ご飯を食べたよ』とか『仕事が終わったよ』といった『体によいこと』を受け取る能力が落ちてしまいました。そうなると今度は、本来ならストレスから開放されているはずのときに、タバコがないと落ち着き、安らぎを感じることができない体に変わってしまったのです」 ドパミン作動性神経 ドパミン アセチルコリン ABE NAIKA IIN
喫煙者がよく思いがちなこと 「タバコがない人生なんて考えられない」 「タバコがない人生なんて辛くて耐えられそうにない」 「タバコを吸わずに我慢していると、うつになりそうだ」 「タバコをやめるくらいなら、死んだほうがましだ」 また喫煙者の方でこんな思いを持っておられる方もすくなくありません。 「タバコがない人生なんて考えられない」 「タバコがない人生なんて辛くて耐えられそうにない」 「タバコを吸わずに我慢していると、うつになりそうだ」 「タバコをやめるくらいなら、死んだほうがましだ」 実はこう思って当然なのです。なぜなら… ABE NAIKA IIN
気持ちよさを生み出すシステム ?? 体に良い情報 ドパミン 側座核細胞群 ドパミン作動性神経 アセチルコリン ABE NAIKA IIN なぜならこの脳の前の方(側座核)の細胞がドパミンを受け取る仕事を少々さぼる、つまり機能低下を起こしてしまったからです。実際に脳がさぼっている、機能低下を起こしているので、タバコがないと辛い、タバコを吸わずに我慢しているとイライラして、うつになりそうな気がする、という思いが生じてくるわけです。 ドパミン作動性神経 ドパミン アセチルコリン ABE NAIKA IIN
実は裏を返せば タバコを吸えば、落ち着ける、集中力が出る、幸せになれる スモーカーは「タバコを吸わないと、落ち着けない、集中力が出ない、幸せを感じにくい」という体になってしまっているということ 「『タバコを吸えば、落ち着ける、集中力が出る、幸せになれる』これは嘘じゃないですよね。でも実は裏を返せば喫煙者は『タバコを吸わないと、落ち着けない、集中力が出ない、幸せを感じにくい』という体になってしまっているということなのです」 「ここまで脳の難しいお話でしたが、どのように思われましたでしょうか?」 ABE NAIKA IIN
ニコチン摂取必要濃度と喫煙行動 ニコチン濃度 ニコチン摂取必要濃度 ABE NAIKA IIN 「タバコを吸うと、血中のニコチン濃度が一気に上昇して、落ち着ける、安らげる。これは嘘じゃないですよね。ところが体に入ったニコチンは30分~1時間も経つと(肝臓で代謝されて)おしっこになって出て行ってしまいます。すると、30分~1時間も経つと体からニコチンがなくなってきて、なんとなく落ち着かないなぁ、手持ち無沙汰だなぁ、集中できないなぁ、という感じになりますよね。そこでタバコを吸うと、また血中のニコチン濃度が一気に上昇して、落ち着ける、安らげる。でも30分~1時間も経つと…の繰り返しで、一日が過ぎていきますよね」 「このことを踏まえて考えてみたいのですが、○○さんは自分の意志でタバコを吸っていると思われますか?」 「○○さんは、『これから毎日ずっと欠かさずタバコを吸い続けよう』と決めたことがありますか?」 「ということは、タバコを吸い続けているのは○○さん本来の意志なのでしょうか?」 「タバコによって機能低下してしまった脳によって、自分が操られてしまっている、という考え方はいかがでしょうか?」 ABE NAIKA IIN
ニコチン摂取必要濃度と喫煙行動 ニコチン濃度 ニコチン摂取必要濃度 ABE NAIKA IIN 「ちなみにどんなにタバコが好きな人でも、夜寝ている間はタバコを吸えませんよね。というと、朝起きたときニコチンの血中濃度はどうなっているかというと、そう最低になっていますよね。頭がしっかり覚めるかというと…覚めませんよね。脳がさぼっているのに、ニコチンも最低だから。そしてそこでタバコを吸うと…そうですね、そこで本当に目覚めますよね。これが朝起きたときに吸いたい理由になります」 「また例えばこんなことも考えてみましょうか。職場の皆でバスで温泉に団体旅行へ行ったとしますよね。バスの中はもう盛り上がっていて、ビールやお酒も出てくるし、おつまみも出てくるし、皆もりあがってわいわい騒いでいたとします。しかし●●さんはバスの中なのでタバコが吸えません。皆の騒いでいるノリについていけるでしょうか?」 「そうですよね。ついていけませんよね。そしてバスがサービスエリアについて休憩になったら何をするかというと…そう、真っ先にタバコを吸いますよね。そしてしばらくは皆の騒ぎについていけます。でも30分~1時間も経ってくると…」 「そしてその間、普段タバコを吸わない人は、タバコを吸わないから落ち込んでいるかというと…逆ですよね。仕事から解放されて、今日は温泉だ、遊べるぞ! と良いことばかりなので、延々とはしゃいでいますよね。つまりタバコを吸わない人にはニコチン切れのストレスそのものが存在せず、良いことがあればその分だけ100%楽しむこと、安らぐことができます ABE NAIKA IIN
喫煙者の状態 非喫煙者の状態 タバコが 要らない体 タバコがないと 落ち着かない体 タバコを吸う ABE NAIKA IIN 「ここまでの話をまとめると、自分が子供の頃や、それから普段吸っていない人は、もともとタバコが必要のない体なのです。ところが喫煙者は、タバコを吸っているから、タバコがないと落ち着かない体になってしまっている。タバコがないと落ち着かない体になっているから、タバコを吸う、タバコを吸っているから…という、ぐるぐるとした輪廻の繰り返しの中にいます。どちらがよいでしょうか? 」 ABE NAIKA IIN
気持ちよさを生み出すシステム 落ち着く~ 体に良い情報 ドパミン 側座核細胞群 ドパミン作動性神経 アセチルコリン ABE NAIKA IIN
喫煙者の状態 非喫煙者の状態 タバコが 要らない体 1本もタバコを吸わずに2~3週間 タバコがないと 落ち着かない体 タバコを吸う 「図にするとこういう感じです。今は『タバコを吸う』から『タバコがないと落ち着かない体』になっている。『タバコがないと落ち着かない体』だから『タバコを吸う』。『タバコを吸う』から『タバコがないと落ち着かない体』になる… こういう延々たる輪廻の繰り返しの中にいます。しかし2~3週間、1本もタバコを吸わなければ、この輪廻の繰り返しを断ち切ってしまえば、今度は子供の頃のような、タバコが要らない体に戻れるのだろうと言われています」 ABE NAIKA IIN
ニコチン摂取必要濃度と喫煙行動 ニコチン濃度 ニコチン摂取必要濃度 ABE NAIKA IIN 「とはいえ、この2~3週間が辛いですよね。そこで薬を使うと、少し楽になるという話になってきます。たとえば先ほどの[家族/恋人]が毎月1,000万円収入があった話を考えてみましょうか。[家族/恋人]が大金持ちになったので、自分は仕事をやめてしまったけれど、ところがその[家族/恋人]がまた何かトラブルで全然お金が入らなくなってしまった。すると、また就職先を探して、そこで給料が入るまでは苦しい生活を強いられますよね。ところがそこで毎月10万円ほどでも失業保険が入ってくれば、以前のような毎月1,000万円ほどではないけれども、生活はかなり楽になりつつ、でもまた就職して仕事をしなければ…という気になりますよね。その失業保険にあたる部分が、ニコチンパッチという貼り薬だったりチャンピックスというのみ薬だったりします」 「こういうニコチンが一気にガーンと上がる刺激ではなくて、ニコチンパッチでは皮膚からゆっくりじわり、あまりしんどくならない程度のニコチンを入れていきます。するとニコチン切れの苦しさは緩和されつつ、脳は徐々に働き始めるのです。このニコチンパッチのよいところは、タバコの中の200種類の有害物質のうち、ニコチンだけしか入っていないので、副作用の心配があまりないところです。ただし、皮膚のかぶれが出やすい、特に暑い時期は出やすいのが一番の欠点ですので、貼る場所は毎日換えていきます。それでもかぶれる場合には塗り薬を使ったりします。また夜に貼って寝ると変な夢を見る場合があるので、最近は朝に新しい封を切って貼り、入浴前にはいったんはがし、入浴後にしらばく起きている場合にはまた貼り直して、夜寝る前に捨てるという使い方が一般的になってきています」 ABE NAIKA IIN
薬物療法の限界 あなたが今までの人生の中で吸ってきた本数は… □年 × ○本/日 × 365 = 本 □年 × ○本/日 × 365 = 本 これだけの本数を吸って「吸うとほっとするなぁ」という気持ちを繰り返してきたということ。 この「吸うとほっとするなぁ」という記憶まで、薬で消すことはできません。 「あと、これらの薬を使いさえすれば、すべての人で禁煙がすっかりうまくいくかというと、皆が皆うまくいくわけではありません。確かに薬を使えば、ニコチン切れのイライラ、苦しさなどはかなり抑えることができます。しかし変えることができないものがあります。それは何かというと、人間の『記憶』です。『タバコを吸ったら、楽になった、落ち着いた』という記憶は消すことができません」(※厳密に言えば『記憶が消せない』というよりは『強固なオペラント条件付けやルール支配行動が生じている』ということになるわけですが、一般の方にわかりやすいように、ここでは『記憶』という言葉を使っています。また『心理的依存』という言葉についても同様の理由で使っていません) 「たとえば今まで●●さんの人生の中で何本のタバコを吸ってきたかというと、(電卓を叩く) ●本ですよね」 「今まで●本のタバコを吸ってきたということは、●回の『タバコを吸ったら、楽になった、落ち着いた』という経験があるということですよね。これだけ繰り返した経験は、そう簡単に人の行動、心から消すことはできません。そのために『本数は減るけれども、ゼロにならない』ということもよくあります。しかしゼロにならないと、脳はさぼったままです。すると薬をやめてからすぐにまた元の本数に戻っていきます。実は保険が利くのはチャンピックスでは12週間だけなのですが、なかなかゼロにならないようであれば、自費を使ってでも気長に薬を使いながらゼロにしていくことをお勧めします」 ABE NAIKA IIN
誰でもわきあがってきて当然 薬では対処できない 食後に吸いたい気持ちがわきあがってくる ストレスがかかった際に「ここでタバコを吸えば楽になるのに」という気持ちがわきあがってくる 飲酒時に「皆おいしそうに吸っているなぁ。ここで1本吸ったら美味しいだろうなぁ」という気持ちがわきあがってくる。 誰でもわきあがってきて当然 薬では対処できない 「また記憶を消すことはできませんから、何か嫌なことがあったときや、お酒の席で皆が美味しそうにタバコを吸っているときには、『あぁ、こんなときにタバコを吸うと気持ちが落ち着いたなぁ。もう1本だけならいいだろ』と思って吸ってしまうことが少なくありません」 「こういう気持ちはわきあがって当然ですし、残念ながら薬でそれを抑えることもできません。そして『そんなことを考えてはいけない』と思うと、よけいに苦しくなって、吸いたくなることもよくあります」 ABE NAIKA IIN
喫煙者の状態 非喫煙者の状態 タバコが 要らない体 1本もタバコを吸わずに2~3週間 タバコがないと 落ち着かない体 タバコを吸う 「しかし1本吸うと大半の方で、その瞬間から脳がさぼり始めます」 「例えば薬を使いながらも、やはり一日に何本か吸ってしまう方もおられます。この場合、確かに本数は減るのですが、1本吸えば脳は1週間はさぼったままになってしまいますから、薬をやめたら、また元の本数に戻ることになります。逆に1本も吸わなければ、必ずタバコも薬も要らない体になります。ですから、どうしても吸ってしまう場合は、薬をやめずに、薬を続けながら、その間にまったく吸わないようにすることを目指していきます」 「また、いったんタバコも薬も要らない体になっても、1本吸うとまた元の本数に逆戻りになってしまったという方も少なくありません。これはタバコをやめて何年経ってもそういうことが起きる可能性があります」 「『1本だけ、1本だけ、1本だけなら大丈夫』と頭の中でのささやきが聞こえてくる人も多いようです。これを『1本だけお化け』とも言います。でも1本吸うとまた元の本数に戻ってしまうことが多いので、要注意のお化けです」 「また元の本数に戻ってしまうと、がっかりされて自分への自信をなくされる方も少なくありません。しかし今までご説明したように、脳の仕組みがこうなっているわけですからこれは誰でもあたりまえに起きることなのです。脳の仕組みが原因であって、性格や意思などの問題ではありません」 1本タバコを吸う ABE NAIKA IIN
喫煙 「禁煙しよう」 再喫煙 あきらめる タバコから離脱した人生 タバコが 要らない体 ABE NAIKA IIN タバコを吸う タバコがないと 落ち着かない体 タバコが 要らない体 「こういう話をすると絶望的に思えたかもしれませんが、そんなことはありません。というよりも、禁煙に成功した大半の方がこのような失敗、再喫煙を何度も繰り返しながら、それでも何度も挑戦することで、最終的に禁煙を続けることに成功されています。ですから大事なことは『あきらめない』ということです。もしまた吸ってしまったら、またすぐに禁煙に再挑戦するほうがよいですので、その際には恥ずかしいことなど何もありませんから、またぜひすぐに受診ください」 再喫煙 あきらめる ABE NAIKA IIN
あきらめない 本当に一生吸わなくなるまで、何度も禁煙と再喫煙を繰り返すのは普通のこと。 あきらめたらそこで終わり。再喫煙は失敗ではなく、あきらめたときが本当の失敗。 もし再喫煙してしまったら、すぐに再挑戦を 「一本だけお化け」の誘惑に注意 「話をまとめると、一生吸わなくなるまで、何度も禁煙と再喫煙を繰り返すのは普通だということ。あきらめたらそこで終わりであり、再喫煙は失敗ではなく、あきらめたときが本当の失敗だということ。そして「一本だけお化け」の誘惑に注意すること。またもし再喫煙してしまったら、これは恥ずかしいことでも何でもありませんから、すぐに再挑戦をしてみられることをお勧めいたします。「あきらめない」ということが一番大事なことになります」 ABE NAIKA IIN